2012年03月06日

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第9話「ソウルケイジ(前編)」(3月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第9話「ソウルケイジ(前編)」(3月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

多摩川の土手に放置された車から、血まみれの左手首が発見される。調べにより、工務店経営の高岡(石黒賢)のものだと判明。その前にガレージが血まみれになっていると高岡工務店に勤める三島耕介(浜田岳)から通報があった。彼のアリバイは恋人・美智子(蓮仏美沙子)の当該時刻に一緒にいたという証言により成立している。出血量から高岡の死亡は確定的になり、この遺体なき殺人事件を玲子(竹内結子)と日下(遠藤憲一)の両班で担当することになる。
三島の父は13年前に、木下興業の建設現場で事故死。当時、高岡は中林建設にいて、三島の父はその下請け会社でとび職をやっていた。そして、中林建設は暴力団のフロント企業だと分かる。井岡(生瀬勝久)と組んだ玲子(竹内結子)は、高岡の家の近所にある不動産店の主人から、高岡についてある話を聞く。
(@nifty tv番組表より)


では、続きから(一部、重複アリ)……

13年前、青い空を人が飛んでいた。
彼の目的地は……地面。
重力に引かれた彼の身体はひたすらに墜落して行く。
地面がどんどん近付いて―――そして、暗転。

その数日前、空を飛んだ男の目の前に子供が居た。
子供は食べる物にも事欠く様子で、ひもじさから畳を食べている。
それに気付いた男は子供を殴りつける。
そして、はっと我に返る男。
涙ながらに子供を抱きしめ、その名を呼ぶ―――耕介、と。
彼らは親子だった。

そして、男が空へと羽ばたく直前。
「殴るなら顔ですよ、高岡さん。そしたら異変に気づいてくれる人も出て来る」
別の男に話しかける父親の姿。
話しかけられた高岡という男は、何故か視線を逸らす。
その後ろ姿に「もう、覚悟は出来ていますから」と告げる父親。

直後、男は空を飛んだ。
悲鳴が青空に吸い込まれて行く―――。

同じく13年前、玲子は乱暴された。
そして―――それまでの玲子は死に、新たに生まれ変わった。
すべては13年前に起因しているのだ。

耕介の父が空を飛んだ数日後。
高岡は耕介を連れ食堂へとやって来た。
耕介は食事を摂りながら初めて笑った……。

そして、現在。
多摩川の土手に放置された車から、左手首が見つかった。
この捜査を姫川、日下両班が担当することに。
これに、昇進した井岡も加わり、玲子にとっては悩みの種は尽きないところではあるが。

事件のこれまでの概要は次のようなものである。

高岡工務店で大量の血痕が発見された。
発見者は工務店の従業員・三島耕介。

耕介の通報を受け高岡の車を捜索したところ、多摩川で発見。
その車中から人間の左手首が発見されたのだ。
手首の指紋と高岡の指紋が一致したことから手首が高岡のものと判明。
さらに、手首の切断面と工務店の血痕のDNAが合致した為に、被害者は高岡と断定された。
その出血量から既に高岡は死亡していると判断され、殺人事件として捜査することになったのだ。
つまり、遺体無き殺人事件である。

なお、事件の通報者であり第一発見者である三島耕介には、恋人・中川美智子と共に居たとのアリバイがあった。

玲子は、他の部位を多摩川に遺棄したのではと考える。
一方、日下はそれは予断だと否定。

日下に反感を抱きつつ、玲子は現場へと向かう。
玲子は多摩川土手の中央部分に設置されたテントに注目。
もしかしたら、何か目撃しているかもしれない……と、その居住者に声をかける。
だが、反応は鈍い。
どうやら、体調が悪いようだ。
結局、収穫らしい収穫もないまま引き上げる玲子。

三島耕介の聴取は日下、中川美智子の聴取は玲子が担当することに。
三島への聴取に拘る玲子だが、その希望が入れられることはなかった。

日下に負けたくない玲子は、出し抜くべく高岡の過去を調べるよう指示を出す。

矢先、玲子の母が心筋梗塞で倒れる。
もともと、母との距離感を測りかねていた玲子。
近頃は、見合いを強行に勧められたこともあって疎遠になっていた。
入院先へ駆け付けた玲子だが、仕事を理由にその場を逃げ出してしまう。

戸惑う玲子、其処へ菊田が現れる。
菊田は物も言わず静かに玲子を見詰め……そして、そっと抱きしめた。
「お帰りなさい」
菊田の呟きに、安心し涙を流す玲子だが素直にはなれない。

過去へと戻る。
児童福祉施設にて、父を亡くし1人沈み込む耕介の姿があった。
そんな彼に高岡がそっと近づく―――。

現在。
三島耕介、中川美智子への聴取がそれぞれ始まる。
玲子、日下は知らぬことだが、耕介、美智子共に「父が木下興業に勤めていた」と答える。
美智子の父は2ヶ月前に転落事故で死亡していた。
奇しくも、耕介も美智子も父親を転落事故で亡くしたことになるが……。

聴取の最中、玲子は美智子が怒声に怯える姿を目にする。
其処に過去の自分を重ねる玲子。
美智子にも何かトラウマがあるのだろうか?

一方、菊田たち。
高岡について調べたところ、悪い評判は全く出てこない。
相当な人格者だったようだ。
そんな中、「中林建設に聞けば詳しいことが分かるのでは」との情報を入手する。
高岡は工務店を開業する以前は中林建設に勤めていたらしい。
中林建設は但馬組のフロント企業、黒い噂が絶えない……。

日下の耕介への聴取は続いていた。
「何故、左手首が高岡のものと思ったのか?」「手の傷が高岡と同じだった」と耕介。
「何故、美智子と交際したのか?」「好きになったから」と耕介。
日下は美智子と耕介の接点を気にしているようだ、日下の聴取は続く……。

高岡について調べた玲子は、奇妙な情報を入手する。
高岡は中林建設ではなく、鉄道会社に勤めていたと言うのだ。
それどころか、高岡の親は中林建設の地上げに遭い自殺していた。
つまり、高岡と中林建設は仇の間柄だったのだ……。

同じ頃、中林建設に聞き込みに訪れた菊田は日下と鉢合わせする。
日下は自分が聞き込みを行うと主張。
日下の圧力に屈し、引き下がらざるを得ない菊田。

再び、過去へ―――耕介は高岡の弟子となっていた。
高岡は20歳になるまでに技術を身につけ、独立するよう耕介を励ます。

引き上げた菊田は玲子に報告を。
そこで、2ヶ月前に高岡と耕介が言い争いしていたとの証言が得られる。

捜査会議。
三島の父が保険金詐欺の被害者であるとの事実を日下が見つけてくる。
中林建設は保険金を得る為に常習的に転落事故死に見せかけ、従業員を殺害していた疑いがあったのだ。
だとすれば、高岡が耕介の父を殺害した可能性も……。
これにより、耕介には高岡を殺す動機があることになる。
しかも、美智子の父も2ヶ月前に転落事故死したのではなかったか?
まさか、美智子の父も……。

ここで玲子は「高岡が何故、中林建設に入社したのか?」に注目。
立ち退きの被害に遭った高岡が何故、仇とでも言うべき会社に入社したのだろうか……。

高岡の幼馴染に聞き込みした玲子は、恐ろしい事実を掴む。
写真を見せたところ、現在の高岡は別人だと言うのだ。

では、高岡を名乗っていたこの人物の正体は一体!?
「あなた、誰?」玲子の呟きが虚しく響く―――9話了。

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<感想>

前中後編となった「ソウルケイジ」の前編。
原作は長編『ソウルケイジ』。

・原作『ソウルケイジ』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

では、感想を。

かなり、良かったですね。
なかなか原作に忠実だったように思います。
ただ、時系列が錯綜していたので混乱する方も多かったかも。
回想シーンは多用しない方が良かったかもしれないですね。
でも、十分に良かった。

それと、玲子のトラウマも並行して解決していく物語となりそうで期待が膨らみます。

ここから、原作を通して本作の真相部分に触れます。
極力避けますが、ドラマに改変が無ければネタバレになる恐れがあります。
避けたい方は、此処から先を読まれないことをオススメします。


今回は録画必須の回だったかも。
真相への伏線描写が多数ありました。

まず、オープニングで耕介に香典を渡した派手なスーツの男が戸部ですね。
次回出て来る筈です。

そして、例のテント小屋こそが本作ラストに辿り着くあの場所ですね。
例の人物は映像自体が省略されていました。
どうやら、ラストシーンまで秘密にしておくようですね。
気になる方は『ソウルケイジ』ネタバレ書評(レビュー)をご覧ください。
そこで「ある場所」とされている場所こそが此処です。

美智子が怒声に怯えたのは戸部に関係を強要されていたからでしょう。
美智子のトラウマに玲子のトラウマを重ねて再生の物語とするのでしょうか。

来週あたりには内藤の名前も出て来そうかな。
たぶん、次回のメインは戸部になると思いますが。
とすれば、内藤の秘密判明は次回の終わりか次々回の冒頭でしょうか。
で、手首の秘密が次々回っぽいかな。

手首の秘密と言えば、管理人が『ソウルケイジ』ネタバレ書評(レビュー)で述べたあの疑問点は解消されるのでしょうか。
内藤が捜査方法を熟知していたそのワケを……。
ただ「調べたから知っていた」は勘弁して欲しいところですが……。

さて、此処まで見てくれば分かるように本作はかなり原作に忠実な模様。
今のところ、明らかなオリジナル要素は玲子関係とガンテツぐらいか。
それと、ひょっとして、左手首のトリックに何かオリジナル要素を持って来るかもしれないとは思っています。

次週は、ガンテツも登場するらしいので超期待!!

ちなみにタイトルである「ソウルケイジ」。
直訳した「魂の檻」との意味の他に、「刑事魂(ケイジダマシイ=ケイジソウル=ソウルケイジ)」という意味もあるらしい。

では、ここからは「姫川玲子シリーズ」についての情報をつらつら。

まず、原作について。
『小説宝石』(光文社刊)では、姫川班解散後を描いた姫川玲子シリーズ最新作『ブルーマーダー』が連載中。

『ブルーマーダー 第3回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)

第3回では、謎の男・マサ登場に、菊田の結婚疑惑浮上と目が離せません。
果たして、菊田は玲子以外の女性と本当に結婚してしまったのか?
注目です!!

さらに噂では本作が「映画化されるのでは」とも囁かれていますが、果たして。
次回、『ソウルケイジ(中編)』にも期待です!!

◆関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
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