2012年03月09日

「人喰い研究所殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

「人喰い研究所殺人事件」登場人物一覧:

金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

緑川繭:研究所所長、眼鏡がチャームポイントな金田一たちの中学時代の同級生。
中神深志:副所長、繭を覗けば本エピソード唯一の眼鏡。
小鷹美苗:研究員、鷹の名は伊達じゃない!?目つきが鋭い美女。
財前乙彦:観光客、あやねのツレ。今のところ影が薄い。
谷瀬あやね:観光客、財前とのコンビではこっちが主導権を握ってそう。
葉島秋也:研究所管理人、渋めのおっちゃん。
麻木根司:宿泊者、宝探し目的な人1。
鰐部鋭介:宿泊者、宝探し目的な人2。

<1話あらすじ>

その研究所(ラボ)では人が死ぬ―――。
戦時中、画期的な燃料を開発していた「仁久井(ひとくい)村」の研究所。
何故か、研究者が次々と不審死を遂げることからそこは通称「人喰い研究所」と呼ばれていた……。
今回の事件の舞台は、その「人喰い研究所」である。

時と場所は変わって駅前の薬局。
そこに何やら挙動不審な金田一の姿が。
それもその筈、これから美雪との旅行を控えていたのだ。
この旅行中に美雪との関係を1歩と言わず2歩、3歩と進めることを狙っていた金田一は「明るい家族計画」に手を伸ばす。

しかし、幾多の死体を見てきた百戦錬磨の金田一とて、そこは年頃の男の子。
素面で購入するには恥ずかしい。
そこで、他の品物に紛れ込ませての購入を企む……筈だったが、現場を当の美雪に目撃されてしまう。
仕方なく、金田一はカゴに入れていた目的以外の物を精算することを余儀なくされる。

入れ歯洗浄剤、歯ブラシ、カロリーメイトにウィダーインゼリー、計3200円也。
小遣いの半額ほどを失うとの思わぬ支出に血の涙を流す金田一。

さて、電車を乗り継ぐこと幾らか。
遠い遠い目的地へと向かう金田一と美雪。
目的は、中学時代の同級生・緑川繭に会うことだった。

緑川繭は天才少女と呼ばれていた才媛。
金田一にとって彼女の想い出は洞察問題抜きには語れないものだった。

中学時代―――繭は金田一に「オセロ盤とドミノ牌を用いたクイズ」を出した。
オセロ盤の白い角2つを除いた場合、其処にドミノ牌を敷き詰めることが出来るか?
この問いに金田一は即座に不可能と断言。

ドミノ牌は2つで1つと考えると、白と黒の組み合わせで1枚のドミノ牌と考えられる。
その場合、白が2つ不足するオセロ盤では収納できないのだ。
この答えを聞いた繭は「まるでお父さんみたい」と洩らす。

そして、そんな繭が出したもう1問が暗号文であった。
暗号文は次の通り。

「甲斐(かい)君は1、高津(たかつ)さんは18、
曽我(そが)さんは9で、鳥本(とりもと)さんは7、
寺迫(てらさこ)君は1、藤岡(ふじおか)君は20で、
鳥出(とりで)さんは15。

甲斐―1
高津―18
曽我―9
鳥本―7
寺迫―1
藤岡―20
鳥出―15」

この暗号について、大体は解けたと口にする金田一だが……。

繭とは卒業後に別れてしまった。
だが、繭と美雪は卒業後も連絡を取り合っていたらしい。
そこで、今回の訪問が実現したのだ。

さて、辿り着いた先は「仁久井(ひとくい)村」。
吊り橋のみが外界と繋がる唯一の手段という辺鄙な村だ。

その吊り橋にて、繭と感動の再会を果たす2人。
繭は白衣に身を包み、すっかり大人びていた。
どうやら、亡き父の跡を継いで研究所に就職したらしい。
現在では研究所の所長となっていた。

繭の案内で仁久井村へと進む金田一たち。
其処は、ホーローの看板や、赤電話など昭和の街並みが色濃く残るレトロな村だった。
ちなみに、携帯は使えず、PCのネットなら大丈夫らしい。

オート3輪まで走っている……と思ったら、そのオート3輪が停車。
中から出て来たのは、繭が所長を勤める研究所の副所長と研究員。

1人は、中神深志。副所長で眼鏡をかけた線の細い男。
もう1人は小鷹美苗。派遣研究員で目つきが鋭い美女だ。

彼らに連れられ、研究所へと向かう金田一たち。
その姿を観光客である財前乙彦と谷瀬あやねのコンビが見詰めていた。

オート3輪に揺られること、数十分。
辿り着いた研究所では、3人の人物が待っていた。

まずは葉島秋也、研究所管理人である。
そして、宿泊客が2人。麻木根司と鰐部鋭介。
2人は宝探しが目的らしいが、宝探しとは一体……!?

どうにもきな臭くなってきたところで、その夜に異変が起きた。

パチパチと木の焼ける音に続き、立ち込める黒煙。
外界との唯一の連絡手段である吊り橋が何者かの手により焼かれたのだ
火に照らし出された犯人の正体は―――2話に続く。

「人喰い研究所殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

<感想&推理>

……と、1話はだいたいこんなところでした。
緑川繭は中学時代の同級生、暗号文は彼女の出題でした。
予測したストーリーは、残念ながら微妙に違ってましたね。

【速報第2弾】いよいよ明日に迫った「人喰い研究所殺人事件(金田一少年シリーズ)」連載開始!!公式HPでは印象的なビジュアルシーンが公開中、そこから分かるストーリーとは!?

ただし、やっぱり吊り橋は焼け落ちました。
金田一少年には旅行先を選んで貰うよう苦言を呈したく思います。

1話は設定の説明に終始しましたね。
まさにプロローグ。

そんな中で、注目はやはりあの「暗号文」。

「甲斐(かい)君は1、高津(たかつ)さんは18、
曽我(そが)さんは9で、鳥本(とりもと)さんは7、
寺迫(てらさこ)君は1、藤岡(ふじおか)君は20で、
鳥出(とりで)さんは15。

甲斐―1
高津―18
曽我―9
鳥本―7
寺迫―1
藤岡―20
鳥出―15」

洞察問題とのことなので、知識は問われないようです。
数字の最少が1、最大が20であることから、おそらく数字をアルファベットに置き換えるものか。
1をA、2をB、3をC、4をD、5をE、6をF、7をGといった要領で変換すると―――。

甲斐―1―A
高津―18―R
曽我―9―I
鳥本―7―G
寺迫―1―A
藤岡―20―T
鳥出―15―O

つまり、「ARIGATO」で「ありがと」になりますね。
繭は金田一にお礼を伝えているのでしょうか。

ただ、これだと苗字が意味がない。
まだ何か意味があるようです。
こうなると、苗字に振り仮名が振ってあったことが気になります。

可能性としては苗字の頭、あるいは末尾の文字を拾うパターン?

頭を拾えば「かたそとてふと」。
末尾を拾えば「いつがとこがで」。

頭を拾う方はともかく、末尾の方はそれらしい言葉になりますね。
「いつがとこかで」=「いつかどこかで」。
再会を約束する言葉になりますね。
ただ、これだと濁点がずれることになりおかしいか。

「いつかどこかで」とするのならば、曽我と鳥本を「か」や「ど」で終わる苗字にすればいいだけのこと。
何かもう1つ隠された意味がありそうです。
これが見えてこない。
何処かに、曽我と鳥本である必要性がある筈なのですが……。

追記:最終話にて繭暗号の解法が判明!!
座席表が必須だった様子。解答はこちら。

「人喰い研究所殺人事件」第11話・最終話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

追記終わり


こうなると、暗号文が重要な手掛かりとなりそうか。
ただ、これが手掛かりとなるということは、暗号をダイイング・メッセージに使うことしかないワケで繭が被害者になってしまうのですが……。

繭と言えば、燃え上がる吊り橋の傍のシルエットがどうもそれっぽい。
繭の父親が死亡し跡を継いでいるとの経緯、金田一を呼んだことから合わせて考えると、金田一に父親殺害の真犯人を突き止めて貰うべくクローズドサークルにしたと言ったところか。
ところが、父親殺害の真犯人に状況を利用されるのかな。
となると、やっぱり繭の命は風前の灯……。

他に気になるのは、冒頭の金田一の買い物。
入れ歯洗浄剤、歯ブラシ、カロリーメイトにウィダーインゼリー。
カロリーメイトとウィダーインゼリーは食糧として、残った入れ歯洗浄剤と歯ブラシが意外な役割を果たしそう。
注目か。

さらに金田一の小遣いが6400円くらいと判明。
高校2年生で月の小遣いが6400円は安くないかなぁ……。
食費だけでも結構かかるだろうに、遊興費も合わせるとなかなか厳しそう。
金田一家の家計が見えるエピソードですね。

事件の舞台が昭和テイストな村というのも注意点。
レトロな土地ならではのトリックの可能性もある。
そして、携帯が使えないのも忘れてはならないだろう。

宝探しも気になる。
研究所の研究内容が燃料だったことを考えると、夢の無限機関みたいなものがあるのか。
これが宝となりそうか。

でもって、今後の展開。
公式HPによれば、鰐部は被害者の筈。
ただ、死体の状態(誰か判別できない)によっては、いち早く容疑圏外へ逃れる為に死亡したフリの可能性もあるな。

しかし、今回の舞台は広範囲な気がするなぁ。
なにしろ、仁久井村全域が対象でしょ。
おそらくメインは研究所となるのでしょうが、村全域も含まれる以上、其処に何者かが隠れる余地も生まれているワケで、厳密にクローズドサークルになるかは微妙かな。
これだけ舞台が広いと、前述した死んだフリも十分に有効な戦略となりそう。

で、当の「仁久井村(ひとくいむら)」ですが、「にくいむら」とも読めますね。
他にも「ヒト」と読ませる漢字があるにも関わらず、わざわざ「仁」の一字を使っていることから意味ありげ。
登場人物で、観光客と宿泊者を区別しているのも気にかかる……。

第2回の展開がどうなるか。
おそらく、第一の被害者が出る筈です……。

◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)

シリーズの1つ「金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(上)(週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(上)(週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(下)(週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(下)(週刊少年マガジンKC)





◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。


◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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