2012年03月12日

『女の敵』(誉田哲也著、宝島社刊『誉田哲也 All Works』収録)

『女の敵』(誉田哲也著、宝島社刊『誉田哲也 All Works』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

姫川玲子のキャラクター秘話、小説の書き方、作品解説…

誉田哲也自らが明かす
初のファンブック!!

フジテレビ系
「ストロベリーナイト」でおなじみの
姫川玲子シリーズ
書き下ろし短編「女の敵」収録!

『ストロベリーナイト』『ジウ』など緻密な描写の警察小説で大人気作家・誉田哲也の初のファンブックが登場!誉田哲也自らが「姫川玲子キャラクター秘話」「作家になるまで」「小説の書き方」「作品解説」「作家のルーツ」……などを語りつくし、さらに、姫川玲子シリーズの書き下ろし短編小説「女の敵」も収録!誉田哲也の魅力がたっぷりつまったファン必読の一冊です。

目次

書き下ろし小説 「女の敵」

はじめに

Chapter1 姫川玲子 大解剖
スペシャルインタビュー 姫川玲子とそのキャラクターを語る 誉田哲也的 相関図
姫川玲子シリーズ キャラクター図鑑
相関図
ブックレビュー

Chapter2 誉田哲也の創り方
作家・誉田哲也ができるまで
誉田作品黎明期とデビューへの軌跡
直伝! 誉田流警察小説の創り方
毎日の私生活のこと
作家としてのルーツとなったもの

Chapter3 全誉田作品ガイド
誉田哲也が徹底解説! シリーズ作品について
全誉田作品 ブックレビュー
(宝島社公式HPより)


<感想>

ドラマ版『ストロベリーナイト』も好調な姫川玲子シリーズ。
本短編は『インビジブルレイン』後の玲子が、『ストロベリーナイト』以前に大塚と共に手掛けたある事件を思い出すといったもの。
時系列的には最新の玲子と、主任として最も古い最初の事件に挑む玲子の両方が描かれます。

あらすじとしては「『ストロベリーナイト』事件にて非業の死を遂げた大塚の墓を参った玲子たちは、大塚と出会う契機となった5年前の事件を思い出す。そこから大塚のある事実が浮上する」とのもの。

そして、タイトルである「女の敵」……その正体とは!?
これが分かったときには本作の世界にどっぷりと浸っている筈です。
なかなかの作品なので是非、一読を!!

一方、シリーズ最新作が『小説宝石』誌上で連載中です。
それが『ブルーマーダー』。
2012年3月号時点で、第3話までが連載されています。
過去記事はこちら。

『ブルーマーダー 第3回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)

<ネタバレあらすじ>

「ストロベリーナイト」事件にて非業の死を遂げた大塚の墓前へ参った玲子、今泉、石倉の3人。
「インビジブルレイン」事件により姫川班も解散し、其処には菊田と湯田の姿はない。
それぞれがそれぞれの道を歩んでいることを痛感する玲子。

そんな玲子は大塚と担当した5年前の事件について思い返す―――。

橋田という男性が死亡した。
死因に不審な点があった為に、捜査が開始されることに。
現場には橋田以外に女性のものと思われる足跡が2人分残されていた。

大塚とコンビを組むこととなった玲子は早速、現場へ。
そこで大塚から意外な情報を入手する。

橋田の死亡当日、現場目前の道路で交通事故が起こっていたのだ。
ところが、被害者の女性は人身事故としての届出を拒否すると、逃げるようにその場を後にしていた。
その女性の名は旅行代理店に勤務する深町と言った―――。

橋田の勤務先へ聞き込みを行った玲子たち。
上司によれば、橋田はかなりやんちゃな性格だったらしい。
ここで社員旅行に話が及ぶが、出て来た旅行代店名は深町の勤務先であった。
ひょっとして、深町が担当者だったのでは……。

関連性を確信した玲子は旅行代理店を訪ねる。
だが、旅行代店側の担当者は安斎という女性であった。
しかも、深町は内勤なので橋田と接点はないと言う。

とりあえず橋田に事情を訊くことに。
ところが、橋田は玲子に敵意を向けて来る。
その様子に過去の自身と同じものを感じ取った玲子は大塚に深町を担当させ、自身は安斎を追う。
玲子の中には、あるストーリーが見えつつあった。

矢先、橋田の死因が明らかに。
薬物とバイアグラを併用したことによる急死であった。
いよいよ、ある確信を深める玲子。

それを裏付けるように現場の監視カメラから2人の女性が映った映像が見つかる。
その1人は深町であった。

その間にも大塚はその誠実さで深町から信頼を得て行く。
遂に事情を聞き出すことに成功する大塚。
深町は橋田に性的暴行を受けていたのだ……。

玲子は遂に安斎に接触。
監視カメラの映像を武器に自供を迫る。
玲子に詰め寄られ観念した安斎はすべてを語り始める。

安斎は深町にコンプレックスを抱いていた。
皆に褒められ可愛がられる深町、一方、深町と差は無い筈にも関わらず評価されない自身。
交際している筈の橋田との関係も、おそらく橋田にとっては遊びなのだろう。
その証拠に橋田は何処で見初めたのか深町と関係を持ちたいと言い出した。

女の敵はやはり女だった……深町への怒りを爆発させた安斎は、深町を騙し現場へ呼び出すと酒に薬を混ぜて意識を奪った。
その上で橋田に提供したのだ。
貞淑そうな深町でも、乱れれば自分と同じ女であることを橋田に知らせ幻滅させるつもりだったらしい。
橋田は喜び勇んで、深町を監禁し行為に及んだ。
それは酷いものだったと言う。
ところが、安斎が席を外し戻ってみると、薬物により橋田は急死していた。
そこで慌てて逃げ出したのだ。

後に残された深町は暫くすると自身の置かれた状況を把握し、こちらも逃げ出した。
だが、途中で事故に遭ってしまう。
薬物を飲まされていた深町は、血液検査されることを恐れ届を出さなかったのだ。

深町が玲子に敵意を向けたのは玲子が安斎と同年代だからだった。
安斎と玲子を重ね合わせたのだ。

こうして、安斎は罪を裁かれることになった。
6年数ヶ月の刑を受けた安斎だったが、5年たった今でも仮釈放されたとの連絡はない。
どうやら、模範囚にはなれなかったようだ。

事件から月日が経ち―――あの忌むべき事件が起き大塚が殺害された。
以来、深町は毎年欠かさず大塚の墓を訪れているそうだ。
今泉から教えられる玲子。

もしや、大塚と深町は交際していたのでは―――。
そう考えると共に、今泉ならばすべてを知っていてもおかしくはないと納得するのだった―――エンド。

◆関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『ブルーマーダー 第3回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)

【ドラマ版】
土曜プレミアム ストロベリーナイト「大ベストセラー小説初ドラマ化!!連続猟奇殺人事件のカギを握る感染死体…真相に迫る孤高の女刑事悲しみの過去と驚愕の結末!!」(11月13日)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第1話「シンメトリー」(1月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第2話「右では殴らない(前編)」(1月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第3話「右では殴らない(後編)」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第4話「過ぎた正義(前編)」(1月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第5話「選ばれた殺意の径〜過ぎた正義(後編)」(2月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第6話「感染遊戯」(2月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第7話「悪しき実(前編)」(2月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第8話「悪しき実〜嗚咽(後編)」(2月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)

連続ドラマ「ストロベリーナイト」第9話「ソウルケイジ(前編)」(3月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)

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