2012年04月09日

『リカーシブル 7章(連載第5回)』(『小説新潮 2012年04月号』掲載、米澤穂信著、新潮社刊)

『リカーシブル 7章(連載第5回)』(『小説新潮 2012年04月号』掲載、米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<感想>

『小説新潮』で連載中の第5回。
今回は7章が掲載されました。

リンカを含め、どうにも歪な世界であることが少しずつですが、明らかになって来ていますね。
やはりリンカが信用できないのはもちろん。
サトルの母にも何かあるのは確実。

そして、管理人的に『リカーシブル』はミステリではなく、伝奇物のように思えるのですがどうなるのでしょうか?

気になるのは友人・リンカの名前。
『リカーシブル リブート』だと「リンコ」でしたが、彼女だけ名前が変わったことには意味があるのか?
ひょっとすると、「リンカ」=「リーンカーネーション」の略なのか?
だとすれば、「転生」の意味を持つことになるが。

やっぱり、分からないなぁ……。
現状で、既に伏線が張られているのでしょうか?
だとすれば、物凄い物語と言えそうです。

次回以降にも要注目!!

<ネタバレあらすじ>

報橋にて車が炎上する事故を目撃した翌日。
登校したハルカは三浦が報橋にて事故死したとの情報を耳にする。

だが、リンカによれば、三浦は事故死しておらずあくまで重傷で入院中らしい。

本当に三浦は大丈夫なのか?
疑問を抱いたハルカはそれから数日間、報道に注目した。
と、事故から数日後にやっと三浦の負傷の記事を目にする。
気になりつつも納得するハルカ。

ある日の放課後、急用のあると言うリンカと別れ1人帰宅の途に就いたハルカ。
三浦の事故がどうしても気にかかり、遠回りして報橋へと足を運ぶ。

と、そこで意外な光景を目にする。
急用があって先に帰った筈のリンカとサトルが連れ立っていたのだ。
どうやら、サトルにリンカが何かを尋ねているらしい。
心なしか、サトルの表情には生気がないようだ。
リンカの表情もいつもとは明らかに違う。

ところが、ハルカが声をかけるとリンカはいつもの笑顔に戻る。
偶然、サトルに会ったので声をかけたと語るリンカ。
だが、ハルカにはどうしてもそれが信じられなかった……。

サトルとの帰路、ハルカがサトルの様子を窺うとひどく怯えている。
おそるおそる確認してみると、サトルはリンカに例の如く「見たことがある」と伝えた後、リンカに「それから」と執拗に聞かれたらしいが……。

その日の夜、自室に籠っていたハルカ。
この街に来る前に住んでいた家を懐かしく思い返すが……。
どうにも記憶があやふやなモノになっていることに気付く。
家の間取りがはっきりと思い出せないのだ。
これはどうしたことだろうか……。

気持ちを切り替えるように、階下へと赴くハルカだったが、そこには異様な光景が広がっていた。
母がサトルの肩を抱き、何事か問い質していたのだ。
どうやら、リンカに尋ねられたことのようだ。

サトルは夢現の様子で「それから」と聞かれたことを口にする。
「それだけ?」眉を顰める母。

そんな母にサトルは続けて「青い毛布の人影を見た」と伝える。
これを聞いた母は何故か大喜びするのだった……。

日常へ非日常の影が忍び寄る。
それを感じ取りつつあるハルカ。

ハルカは何か1つでも確かな事実を欲し、三浦の入院先とされる病院へ見舞いに行きたいと望むように。
早速、場所を確認し予定を立てたのだが……。

何故か、見舞いに行こうとすると母から用事を言いつけられてしまう。
そうこうするうちにこの計画は立ち消えとなってしまう。

数日後、さらに異変が起こる。
母が留守、ハルカとサトルの2人が留守番していたが……サトルが「妙な人が居る」と伝えに来たのだ。
サトルによれば、帽子を目深に被った怪しい男が自宅の前をうろついているらしい。

サトルを残し、家の外へと出たハルカ。
男を確認したところ、確かに行動が妙だ。
まるで、自宅を監視しているように見える。

ハルカは勇気を振り絞って声をかけることに。
当初こそしらばっくれていた男だが、どうもサトルの母に用があるらしい。
そんな男の口から、サトルの母が関わったと言う5年前の事件について語られ出すのだが―――第6回(第8章)に続く。

◆前回まではこちら。
『リカーシブル リブート』(『Story Seller 2』収録、米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『リカーシブル 5章(連載第3回)』(『小説新潮 2012年02月号』掲載、米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『リカーシブル 6章(連載第4回)』(『小説新潮 2012年03月号』掲載、米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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探偵Xからの挑戦状!「怪盗Xからの挑戦状」(米澤穂信著)本放送(5月5日放送)ネタバレ批評(レビュー)

◆映画情報
米澤穂信さん原作の「インシテミル」映画化!!

◆小説賞関連
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第10回本格ミステリ大賞・小説部門ノミネート作品発表!!
(追想五断章にてノミネート)

『リカーシブル』連載中「小説新潮 2012年 04月号 [雑誌]」です!!
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◆米澤穂信先生の作品はこちら。


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