<あらすじ>
次の小説が傑作でなければ後がない崖っぷちのミステリー作家、六波羅一輝(上川隆也)は、担当の編集者、北村みなみ(横山めぐみ)に連れられ、京都へ取材旅行。一輝に陰陽師を絡めた殺人ミステリーを書いてもらおうと意気込むみなみの鼻息は荒い。というのも、今回の小説が傑作でなければ、みなみのクビも危ういのだ。
学芸員の堂間凌子(木内晶子)と待ち合わせ場所で落ちあい、陰陽師の目一(金子昇)のいる護摩堂へ向かう一行。だが、目は、急病人の祈祷のために東京へ行くと言い残し、立ち去ってしまう。戸惑う一輝とみなみだったが、凌子の計らいで三方家の屋敷に泊めてもらうことになり、一安心。三方家は京都の名家で、凌子は三方家で家政婦をする叔母に引き取られ、今も屋敷で暮らしていた。
三方家では、当主、三方成美(夏八木勲)の一人娘、まゆみ(中山エミリ)の婚礼が整い、許嫁で名門子息の大槻賢(山下徹大)の姿もあった。2人から、結婚式の引き出物にするため、三方家の歴史を本にまとめてほしいと頼まれる一輝とみなみ。実は三方家は京都で千年続く陰陽師の家系であり、成美は占いを受け継いでいた。
そんななか、まゆみの許嫁の大槻が殺害される。現場には、陰陽師が使う人形(ひとがた)が残されていた。人形とは陰陽師が式神に使う物で、式神とは陰陽師の手足となって働く鬼神のこと。これを見た一輝は、目の護摩堂で見た人形と同じだと気づき、再び、目を訪ねる。すると目は、式神を使って大槻賢を呪い殺したと刑事に告げていた。だが、殺害時刻に目は東京で祈祷していたはず。案の定、目のアリバイが成立する。完璧なアリバイと式神による殺人!これをそのまま小説にいただこうと喜ぶみなみだが、当の一輝は、式神に殺せるはずがないと、事件の推理にのめりこんでいく。
一方、三方家では、成美が招待した経済団体の会長に、まゆみの新たな婿を世話してほしいと頼み、一輝やみなみを呆れさせる。さらに、大槻を呪い殺したと宣言した目まで呼び、私も呪い殺してみろと挑発。そんな様子に耐えかねて退席したまゆみのあとを追った一輝とみなみは、彼女から、過換気症候群で精神科医の真庭先生(大浦龍宇一)に世話になっていること、そして、三方家の一人娘としての宿命について語る。許嫁と結婚する宿命を受け入れるつもりだったけれど…、と話すまゆみの胸中に去来するのは…。
その頃、大広間では、退席したまゆみに代わり、凌子が三方家に伝わる歓迎の舞を踊っていたが、舞の途中で突然、悶え苦しみ、絶命。一輝は、凌子がつけていた面に毒が塗られていたと推理する。だが、目は自分が凌子を見せしめのために呪い殺したと告げ、次は成美を呪い殺すと宣告する。
次から次へと生まれる謎がどうしても気になる一輝。凌子が殺害されたとき、三方家に出入りする舞妓に、目がなにやら耳打ちした姿を目撃していた一輝は、同郷の2人を調べようと動き出す。だが、一輝を引きとめるみなみ。今度こそ、傑作を書かねばならないのに、小説の構想すら練っていない。だが、一輝の猛進は止まらない。訪ねた目家のお墓で新たな手掛かりを発見!はたして、真犯人はだれなのか!?一輝は小説そっちのけで、殺人事件の謎に迫る!
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
一輝は、凌子殺害時に目(サカキ)が綾菊に何事か囁いていた現場を目撃していた。
2人の繋がりを探るべく、綾菊の故郷へ。
だが、綾菊は姿を消していた。
仕方なく町を彷徨う2人は、そこで目家の墓を見つける。
目姓の人物が眠る中、ただ1人、八木零(ハジメ)なる人物の名を見つけ違和感を覚える一輝。
そこへ不意に住職が現れ、八木零について語り始める。
八木は目の弟。
つまり、八木家に養子に出た目一族の者らしい。
住職によれば、八木は山で事故に遭って死亡したらしい。
平安大学の植物学部に在籍していたと言うが……。
弟の死以後、目は本名の一彦ではなく、弟と同音の一(ハジメ)を名乗るようになったのだそうだ。
三方家に戻った一輝は、そこでまゆみが植物の世話をしている姿を目撃する。
まゆみは大学で植物学を専攻したが中退したらしい。
その夜、夕食の席にて。
成美から三方家の来歴について耳にする一輝。
一方家、二方家、三方家の3家があり、一方家が本家だったらしい。
ところが、三方家が一方家を超えたのだそうだ。
その話を聞いていたまゆみの主治医・真庭が面白いことを主張し始める。
自身が一方家の子孫だと言うのだ。
しかも、一方家は三方家に乗っ取られたのだと語る。
真庭はまゆみが自分の妻に相応しいとまで断言するが……。
その夜、真庭の主張が事実かどうか検討する一輝とみなみ。
これまで一輝の暴走を抑える側に回っていたみなみだが、遂に応援することに決める。
これを受けて一輝は全力で事件解決に当たることに。
翌朝、何故、目が大槻を殺したと主張したのか気に掛かかった一輝は目を訪ね宣戦布告する。
一輝は、今回の連続殺人が弟を殺された目の復讐ではないかと考えていた。
つまり、八木は大槻に殺害されたのではないか。
だが、目にはアリバイがある。
そこで真庭との共犯関係を疑う一輝。
だが、凌子が何故殺害されなければならなかったのかが分からない。
成美の指示で、まゆみに新たな婚約者が用意された。
これに激怒した真庭が成実を責め立てた結果、真庭はクビにされてしまう。
この様子を見ていた一輝は純粋な真庭には殺人は不可能だと判断する。
凌子が殺害された理由を探る一輝は、その部屋で猿の置物を見つける。
凌子自身が魔除けと語っていたその中にはメモリーカードが隠されていた。
其処に記録されていたのは、隠し撮りらしい八木とまゆみの2人が微笑み合う写真。
そして、大槻に命じられ凌子が八木を殺害現場に呼び出した音声データだった。
大槻と凌子が八木を殺害したのだ。
凌子は同年代にも関わらず、立場の違うまゆみに嫉妬し大槻に協力したらしい。
まゆみが隠し撮りしたと思われる写真の中から、2007年8月20日のものに注目する一輝。
どうやら、まゆみが海外へ向かう写真のようだ。
其処には、印象的なユリのバッチが写っていた……。
平安大学で情報収集を行ったみなみはまゆみの旅行先を突き止める。
まゆみは大学4年のとき、イギリスに語学留学していたのだ。
しかも、その際にあることを……。
幼い子供を連れた綾月に接触した一輝。
子供の鞄にはユリのバッチが……。
矢先、綾菊から助けを求める電話がかかって来る。
目が刺されてしまったのだ。
駆け付けた一輝は今回の事件での目の役割を明かす。
目は誰も殺害していなかった。
そして、目のいう式神とは綾菊のことだったのだ。
大槻が殺害される予感を抱いていた目は綾菊に真犯人をマークさせていた。
そして、予想通り大槻が殺害された。
綾菊から事の次第を聞いた目は凶器を回収させると共に式神の細工を施した。
その後、凌子が死亡した際にも自身の犯行を匂わせた。
目はそれだけ真犯人を庇いたかったのだ。
なぜなら、真犯人は目の弟・八木の恋人だったから。
その頃、まゆみが成実を殺害しようと迫っていた―――。
間一髪、制止する一輝。
真犯人はまゆみだったのだ。
動機は八木を殺した者たちへの復讐。
八木殺害に手を下したのは大槻と凌子だった。
だが、彼らに指示した黒幕は成美だった。
成美によれば殺害までは命じていないと言う。
それだけ、大槻の嫉妬心が強かったのだろうか。
さらに意外な事実が明かされる。
語学留学としてイギリスに渡ったまゆみだったが、実はそこで出産していた。
父親は八木である。
そして2年前、八木が死亡してしまった。
子供と2人残されたまゆみは八木の子供を出産したことを大槻に打ち明け、結婚出来ないことを告げた。
ところが、大槻はまゆみの子供を誘拐し、子供を盾に結婚を強要した。
まゆみは娘・ゆりかの為に結婚を了承するが……。
ところが結婚式直前、大槻は八木殺害を認めたどころか、ゆりかをも手にかけたと嘲笑った。
これを聞いたまゆみは逆上し、八木を奪った大槻と凌子の殺害を決める。
そして、実行に移したのだ。
真相を告白し終えたまゆみは三方家に縛られた自身の生を呪い自殺しようとするが……一輝がゆりかの生存を告げたことで思い留まる。
2年前、ゆりかを連れ去ったのは大槻ではなく成美だった。
ゆりかは綾月が預かって養育していたのだ。
そして、成美もこっそりとゆりかを可愛がっていた。
まゆみはゆりかと対面を済ますと、警察に出頭する。
目はまゆみに五芒星の札を渡していた。
五芒星には元の位置に戻るとの意味があるらしい。
まゆみもゆりかの元に戻る日が来るのだろうか―――エンド。
<感想>
2010年12月4日に第1弾が放送された「ミステリー作家 六波羅一輝シリーズ」。
それから1年と4ヶ月。奇しくも、12月4日を逆さにした4月21日に第2弾が放送されることとなりました。
シリーズ前作のネタバレなし批評(レビュー)はこちら。
・土曜ワイド劇場「ミステリー作家 六波羅一輝の推理 白骨の語り部(白骨の語り部〜遠野オシラサマ伝説殺人!死体が一夜で白骨に!?トリック作家が挑む美人四姉妹の謎)」(12月4日放送)ネタバレなし批評(レビュー)
でもって、その原作はこちら。
・「白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理」(鯨統一郎著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
さて、本作「京都・陰陽師の殺人」。
その原作は鯨統一郎先生『作家六波羅一輝の推理 京都・陰陽師の殺人』(中央公論新社刊)。
あらすじは次の通り。
<あらすじ>
一輝の元へ「鬼に恋人を殺された」女性から手紙が届く。陰陽師が出した犯行声明によれば、殺害方法は「呪詛」、実行犯は「式神」!?鯨流旅情ミステリ、舞台は怨念渦巻く京都へ。
(中央公論新社公式HPより)
鯨統一郎先生先生と言えば、異色作『邪馬台国はどこですか?』で知られる作家。
なお、この「六波羅一輝シリーズ」は中央公論新社から5作が発表されている。
それぞれ『白骨の語り部』、『ニライカナイの語り部』、『京都・陰陽師の殺人』、『小樽・カムイの鎮魂歌』、『湯布院・産土神の殺人』(シリーズ刊行順)の5つ。
したがって、本作は原作シリーズ3番目の作品のドラマ化となる。
では、ドラマ版の感想を。
旧家の因習など舞台装置こそ重々しかったのですが、蓋を開けてみるといつもどおりといった印象。
原作は未読なのですが、前作に比べるとトリックがスケールダウンしていましたね。
犯人も意外性を追えば、それだけであっさりと予想がつくし。
前作の方が評価は高いか。
内容に触れると……。
真庭は純粋なんじゃなくて直情径行なだけのような気が……あれは一歩間違うとストーカーだな。
それだけまゆみに熱を上げたとも言えるが。
そして、大槻もまたまゆみに執着していたのかなと思う。
このように、まゆみはカリスマとして三方家の人間らしさをもっとも体現していたのかもしれない。
ある意味、凌子もまゆみに影響されている人間の1人だし。
結局、まゆみが居なくなったことで三方家はゆりかが継ぐのでしょうかね。
成美はゆりかにどう接していくのでしょうか。
其処が気になりました。
2012年4月24日追記:
ネタバレあらすじ中の八木の名前を「礼」から「零」へと訂正いたしました。
ご指摘頂いたペロリさん、ありがとうございます。感謝です(^O^)/!!
追記終わり
<キャスト>
六波羅一輝:上川隆也
北村みなみ:横山めぐみ
三方まゆみ:中山エミリ
目 一:金子 昇
真庭燿介:大浦龍宇一
堂間凌子:木内晶子
大槻 賢:山下徹大
住職:竜 雷太
三方成美:夏八木勲 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
◆関連過去記事
【書籍関連記事】
・「白骨の語り部 作家六波羅一輝の推理」(鯨統一郎著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
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【その他】
・邪馬台国はどこですか?
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お墓を見て「1、0なんだ」と思いましたので。
主人公やみなみさんのキャラクターや、その土地の習俗風習という道具立てが面白いシリーズなので引き込まれるものの、確かに今回は冷静になるとツッコミどころが多かったドラマですね。
よく判らないのですが、目さんを刺したのはやはりまゆみさんなのでしょうか?かばってくれていたのに?
恋人の兄がかばってくれていると知らずに、自分が犯人と気づかれたと思って刺したのでしょうか?
ちょこちょこ気になることはあるのですが、私が一番気になったのは登場人物の素っ頓狂なファッションセンスだったりします(笑)
普段からその格好でうろうろしているの?なお父さんや目さん、お嬢様と言うより何かのコスプレのようなまゆみさんも凄いのですが、新婚約者との場に乗り込んで来た真庭先生の服装には度肝を抜かれました。
近所で「あの人サーカスの団長さんどすやろか?」と噂になってたりしそうです。
こんばんわ(^O^)/!!
管理人の“俺”です!!
ご指摘ありがとうございます。
読みは同じでも「礼」ではなく「零」だったんですね。
早速、訂正します(^O^)/。
何故、目が刺されたのか確かに謎ですよね。
劇中での説明はなかったように思います。
目がまゆみに次の犯行を思い留まるよう説得するも、まゆみが暴走し目を刺したのかなと思われますが、定かではありません。
胴体ではなく足を刺していたので、足止めの意味かなとは思うのですが。
それと、確かに衣装のセンスは印象的でしたね。
目立ちまくりでした。
>あの人サーカスの団長さんどすやろか?
管理人も思いました。
他に陰陽師姿の人物も出入りしてるし、近所の話題を独占してそうな気はします(^O^)/。