<あらすじ>
中川美奈(東ちづる)は、琵琶湖の畔、おごと温泉にある温泉旅館の若おかみ。夫の新太郎(羽場裕一)は地元警察の刑事で、2人とも毎日、大おかみ・政子(岡田茉莉子)のシゴキを受けながら、元気に働いている。
そんなある日、美奈たちの旅館では、歴史ある“大津絵”の展示会を開くことになった。江戸時代から伝わる大津絵を今に継承するのは、美奈の高校時代の友人・立花秀雄(鶴見辰吾)だ。秀雄は先代の娘・晴美(中島ひろ子)と結婚し、まもなく先代から雅号の“松山”を受け継ぐことになっていた。
その日は美奈の計らいで、彦根出身の有名画家・二宮藤子(根本りつ子)も特別ゲストとして招待され、地元紙による秀雄との対談も予定されていた。だが、美奈が秀雄と藤子を引き合わせたところ、2人は以前に会ったことがあるらしく、何やら不穏な雰囲気が漂う…。
翌朝、2人の対談が載るはずだった新聞の一面に、ある有名画家が27年前に美術展で大賞を獲得した作品が、実は盗作だったというスクープ記事が掲載される。記事を見て驚く、美奈と新太郎。疑惑の作品は琵琶湖を大胆な構図で描いたもので、紙面には大賞作品の油絵のほかに、元になった水彩画の写真も載せてあり、盗作した画家が藤子であることは誰が見ても明らかだった。
直後、新太郎のもとに、旅館近くの神社の石段下で女性の変死体が発見されたという一報が届く。死体の身許は、前日、秀雄と藤子の対談を担当した地元新聞の記者・笹木まどか(濱田万葉)だった。調べたところ、盗作の証拠である水彩画がおさめられたスケッチブックが、まどかの所持品からなくなっていることが発覚。殿山警部(若林豪)は事件には盗作疑惑が絡んでいると考え、藤子に容疑を向ける。
やがて、藤子が盗作疑惑の油絵をスケッチしたという琵琶湖畔で、27年前、ひとりの女子高生が変死体となって見つかっていたことがわかる。藤子が大賞を受賞したのも、同じ27年前…。いったい27年前に何があったのか…!? 美奈と新太郎が真相を追う中、また新たな事件が発生して…!?
(公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
まどかに盗作の情報を教えたのが秀雄の妻・晴美と判明。
晴美は自宅の整理中に夫のものと思われるスケッチブックを見つけ、その中に例の絵を発見したのだ。
そこで秀雄の絵を藤子が盗作したと考えたらしい。
晴美の証言で、スケッチブックに謎のイニシャル「H.A」との記載があったことが分かるが……。
秀雄に盗作の件を確認する新太郎だが、秀雄は否定。
秀雄の過去に何かあるのではないかと考えた新太郎と美奈。
秀雄と美奈2人の高校時代共通の恩師である平井を訪ねることに。
平井は教師を辞し、実家の写真館を継いでいた。
27年前、秀雄は平井と激しく衝突を繰り返していた。
しかし、平井が退職する際には和解していたとのことだったが……。
27年前、琵琶湖で自殺していた女子高生の存在が浮上。
その名前は相沢久子。
イニシャルは「H.A」である。
新太郎は、彼女こそがスケッチブックの持ち主だと考える。
これを聞いた美奈は、まどか殺害当日に相沢姓の人間が居たことを思い出す。
調べたところ、彼女―――相沢千恵は相沢久子の母親だった。
千恵はスケッチブックが久子のものであることを否定する。
一方、秀雄が久子と交際していたことが判明。
美奈は平井、秀雄、晴美と共に食事会を開いていた。
そこへ現れた新太郎は、秀雄に27年前の久子の死と盗作について問い質す。
秀雄は藤子が盗作した絵は久子のものであると認める。
久子から絵を託された秀雄は藤子に頼まれ絵を貸してしまう。
家業が上手く行っていなかった秀雄は絵のことを気にかけつつも日々に追われていた。
気付いたときには藤子は日本文化美術展大賞を受賞していたらしい。
藤子を批難した秀雄だったが、久子の絵が多くの人の目に触れると説得されて黙っていたらしい。
翌朝、二宮藤子が縊死体で発見される。
傍には例のスケッチブックも残されており、まどか殺害を悔いた自殺と思われたが……。
ところが、藤子の体内から睡眠薬が検出。
さらに、索状痕も2種類検出されたことから他殺と明らかに。
新太郎はまどかと藤子の殺害を秀雄の犯行と考えるが、美奈は反発。
それもその筈、秀雄には藤子殺害時にアリバイがある。
当の新太郎と美奈同席の上で、食事を楽しんでいたのだから。
今度は千恵を疑う新太郎。
千恵はスケッチブックを久子のものと認める。
その上で27年前の久子の死が自殺ではなく他殺だと主張。
捜査に協力する気はないと突っぱねる。
さらに、千恵にもアリバイが成立。
その日の午後、秀雄と接触する千恵。
千恵は久子の死を秀雄の犯行と疑っていた。
美奈は旅館にやって来ていた改装業者との会話から、藤子殺害のトリックに気付く。
真犯人は、タイマーにより藤子を絞殺したのだ。
つまり、アリバイは意味がない。
しかも、藤子の遺体から奇妙な茶色いシミが検出された。
シミの意味を知った美奈は真犯人を突き止める―――。
美奈により呼び出された平井、秀雄、晴美、千恵。
彼らの前で、平井こそが真犯人だと告発する美奈。
茶色いシミの正体は、酸化したフィルムの現像液だったのだ。
藤子殺害の現場は平井の写真館であった。
27年前、秀雄は藤子と取引し賞金500万円で盗作の事実を黙認していた。
秀雄はその金を実家の借金返済に充てていたのだ。
平井はすべてを知っていた。
平井と秀雄が衝突していたのは、平井が秀雄を諭していたのだ。
平井は何度となく秀雄を諭したが、事情が事情だけに説得し切れなかった。
それをずっと後悔していたのだそうだ。
まどかを殺害したのも平井だった。
平井はまどかから藤子の盗作について取材を受けた。
もし、まどかが盗作について騒ぎ立てれば秀雄の経歴に瑕がつく。
そこで、公表しないよう説得しようとして誤って殺害してしまったのだ。
後悔した平井だが、秘密は守られ事故として処理されるだろうと予測していた。
ところが、盗作記事が世に出てしまった。
こうなると秀雄の立場が危うい。
そこで、藤子に罪を着せることにしたのだ。
スケッチブックを渡すとして藤子を油断させ、睡眠薬を服用させ眠らせるとタイマーで殺害したのだ。
これを聞いた秀雄は平井を責め立てる。
それは自己満足に過ぎないと主張したのだ。
だが、美奈は平井の熱血指導は誤っていなかったと伝える。
美奈の言葉に満足げな平井。
そのまま平井は連行されることに。
秀雄は去り行く平井の背中に「俺なんかの為に……」と呼びかける。
千恵は秀雄に疑っていたことを謝罪、久子はやはり自殺だったと語る。
秀雄は晴美と共に自身の道を追求する。
そして、美奈は今日も旅館で働いている―――エンド。
<感想>
「温泉若女将の殺人推理」シリーズ23作目。
前作が2011年5月29日放送なのでだいたい11ヶ月ぶりの新作となりました。
若旦那が22作目より中村梅雀さんから羽場裕一さんに変わっています。
前回のネタバレ批評(レビュー)ありますね。
興味のある方はどうぞ!!
・土曜ワイド劇場「温泉若おかみの殺人推理 花巻温泉郷〜殺人は下校チャイムで始まった!!白骨死体と駆け落ちした女」(5月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ版の感想を。
羽場さんの若旦那が、前回よりも梅雀さんが演じていた若旦那に近付いていましたね。
確かに「温泉若おかみシリーズ」ぽくはなっていたのですが、個人的には前回の方が若旦那に関しては良かった気がします。
ストーリーに対しては、なんだか良く分からないなぁ……。
「なんでそうなるの?」という展開が多かった気がする。
ここから愚痴ります。
いつものやつです。
読むと不快になる恐れがあります、注意!!
平井が藤子を殺害することが秀雄を救うことにはならないと思うのだけど。
本当に秀雄を救いたいのならば、平井が自首した方が良かったのでは。
藤子を自殺に偽装し殺害したところで、秀雄の秘密は暴かれる可能性が高いし。
どうも、平井は自身の罪から逃れる為に藤子を殺害したようにしか思えない。
それと、全体として提示した情報を否定するのが早過ぎ。
基本となる情報が出て5分しないうちに「いや、○○だった」パターンが多過ぎる。
見ているこちらが、かなり振り回された。
しかも、特にこれといった根拠があって否定されるのではなく「劇中の事実としてこうなのだ!!」と提示されるのでどうも……。
例えば、これ。
「美奈と秀雄は恋仲」→「いや、美奈の片思い」
「藤子は自殺」→「いや、他殺」
特に藤子の自殺から他殺への移行は死体発見時点で「自殺に偽装した他殺」と明らかにしても良かったのでは?
まぁ、ここらまでは仕方ないとしても。
「遠隔トリックはない」→「いや、タイマーだった」
「先生のやったことは自己満足に過ぎない」→「先生、ありがとう」
ここらが納得いかない。
いや、秀雄の台詞はツンデレだと分かっているのですが……劇中の描写が希薄過ぎて納得できない。
さらに、千恵も「秀雄が久子を殺した」→「いや、自殺」と切り替えが早い。
秀雄の事情が分かったとはいえ、あれだけあっさり変わるのには違和感が。
それと、右往左往した割に結末は普通過ぎて……無駄なミスリードが多過ぎたか。
全体的に小手先の展開が多過ぎて視てて疲れた。楽しめなかった……。
次回にこそ期待!!
◆関連過去記事
・土曜ワイド劇場「温泉若おかみの殺人推理 花巻温泉郷〜殺人は下校チャイムで始まった!!白骨死体と駆け落ちした女」(5月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
<キャスト>
中川美奈:東 ちづる
中川新太郎:羽場裕一
中川政子:岡田茉莉子
殿山警部:若林 豪
小百合: 山村紅葉
立花秀雄:鶴見辰吾
立花晴美:中島ひろ子
二宮藤子:根本りつ子
平井次郎:下條アトム
相沢千恵:高林由起子 ほか
(公式HPより、敬称略)
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動機が少し弱いなという感じが否めなかったです。
作品としては決して悪くはないのですが、ちょっと作りこみすぎたかなという感じもします。
羽場さんはこれで4作目の出演となります。最初は6作目で、事件の被害者となった山川洋司・本名坂口洋司役、次は20作目で、犯人でも被害者でもない月岡透役です。
これもいつか観てみたいと思います。
コメントありがとうございます!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
管理人的に本作には不満が多かったかも。
確かに動機が弱かったですね。
単に面倒見の良い教師や、過去に導けなかったことを悔いてというのでは納得いかない点もありました。
動機面については、もっと強調した方が良かったように思えます。
羽場さん、若旦那以外でも既に出演されていたんですね。驚きです。
特に20作目でも出演されていたとは。
ほんの数作前じゃないですか。
意外な気がしますね。
現在の若旦那役を視た上で、その頃の作品を視るとまた別の楽しみ方が出来そうですね。