2012年03月31日

『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)

『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

深夜、東京の閑静な住宅街に一台のトラックが突っ込んだ。やがて起きる二つの殺人事件。事故と事件をつなぐ奇妙な鍵を炙り出す表題作。併録は人気ドラマの原作。上流家庭を気取る一家に家政婦として入った信子。どんなに表向きは幸せそうな家庭にも必ず不幸はあり、それを発見するのが信子の秘かな愉悦だった。
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

「家政婦は見た!」の原作である『熱い空気』。
2012年中に米倉涼子さん主演でスペシャルドラマ化されるとのことで、改めて読んでみました。

まさに「人の○○は蜜の味」を地で行く展開。
そして、「人を呪わば穴2つ」の結末。

これこそ「因果応報」なのでしょうか。

現在、ミステリ界では「イヤミス」なるジャンルが存在しています。
「イヤな気持ちになるミステリ」の略ですが、まさに『熱い空気』がソレ。
読者の感情を揺さぶることが出来る―――それだけの力を持った作品です。
流石、ドラマ化されるだけのことはある。

読んで損は無い作品の1つと言えるでしょう。

<ネタバレあらすじ>

東京は渋谷にある「協栄家政婦会」に所属する家政婦の1人・河野信子はこの仕事をに就いて3年目になる。
信子は32歳で夫の不貞が原因でこれと離婚し、1人で生きていく為に家政婦となった。
だが、家政婦の仕事は甘く無かった。

その家に専従するお手伝いならばまだしも、家政婦は期間限定の業務である。
雇用者は少しでも賃金以上に働かせようと無理をする。
必然、家政婦は人間らしい扱いをされ難くなる……。

そんな中、信子は驚異的な忍耐力を発揮し仕事に携わって来た。
信子にはある暗い愉しみがあったからだ。

それが、他の家庭を見て回り、その家の不幸を発見することだった。
外見から見てこの上ない幸せな家庭だと思っても、必ず何処かに瑕はある。
それを見出すことに全力を尽くすのだ。

したがって、信子は一度でも家政婦として訪れた家には興味がない。

そんな信子の新しい派遣先は青山に住む大学教授・稲村達也宅。
夫・達也にその妻・春子、3人の子供、姑の繁子。
一見、幸せそうな一家だが……。

信子はこれまでの経験からそれぞれの裏を見抜く。
達也は妻に隠れ不倫していた。
春子は体裁屋で表裏のある性格、信子を見下していた。
子供たちは出来があまりよろしくない。
繁子は家族に軽んじられており、特に春子とは関係が良くない。
むしろ、春子の妹・寿子と仲が良いくらいだった。
家族はバラバラだったのだ。

信子は春子や子供たちに嘲られるうちに憤りを募らせて行く。
やがて、彼らへの復讐を考え始める。

そんなある日、末っ子がアメリカ製のマッチで新聞を燃やす姿を目にした信子。
彼女はそれを利用し、末子にマッチを使って繁子の耳に火を点けさせることに成功する。
この故意の事故で繁子は入院してしまう。

一方、達也の不倫は続いていた。
ところが、達也が不倫相手と泊まったホテルでチフスが発生。
宿泊客に罹患の可能性があることから、当局は当時の宿泊客を必死に捜す。
だが、不倫相手との逢瀬を表沙汰に出来ない達也は当然名乗り出ることが出来ない。

この秘密を掴んだ信子は、恐れ戦く達也を見て1人ほくそ笑むのだった……。
しかも、これを黙って座視する信子ではない。
信子は当局に達也を告発する匿名文書を送り付けるのだった。

ところが、事態は信子の想像を遥に超えていた。
さらに喜ばせる出来事が起こったのだ。

なんと、寿子がチフスに罹患していることが分かったのだ。
信子は達也の浮気相手が妻の妹である寿子だと確信する。
寿子から感染経路が暴かれれば、達也との関係も明らかになるだろう。

楽しくて楽しくて仕方がない信子。

やがて、春子が寿子の見舞いに出かけたその日、達也が姿を消す。
寿子との関係が暴かれるのも時間の問題と考えて逃げ出したのだ。
不出来な末子は家庭崩壊の事実にも気付かず、アパッチごっこと称して木を削って作った手製の矢を使い遊んでいる。

やってやった!!
勝利の美酒に酔いしれる信子は仕事を放棄し、店屋物を取り寄せそれを頬張るのだった。

……が、そんな信子を文字通り強烈な衝撃が襲う。
信子の耳に末子が放った火矢が突き刺さったのだ。
余りの痛みと熱さに、信子はそのまま意識を失う。
信子の生死や如何に―――エンド。

2012年3月31日追記

コメントにてご指摘を頂き次の箇所を訂正致しました。

訂正前:『黒い画集』→訂正後:『事故―別冊黒い画集1』

文藝春秋社刊の物は『黒い画集』ではなく『事故―別冊黒い画集1』でした。
『黒い画集』は新潮社刊の物です。

エラリアナさん、ご指摘くださりありがとうございました(^O^)/!!

追記終わり


テレビ朝日開局55周年記念 松本清張没後20年 2週連続ドラマスペシャル「熱い空気〜家政婦は見た!セレブ家族の乱れた秘密!?医師夫婦のW不倫!嫁姑のバトル耳が“焦げた”!?愛人旅行が招く衝撃の事件二つの顔を持つ女…」(12月22日放送)ネタバレ批評(レビュー)

◆松本清張先生関連過去記事
【小説】
「霧の旗」(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「書道教授」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「球形の荒野」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『市長死す』(松本清張著、光文社刊『青春の彷徨』収録)ネタバレ書評(レビュー)

『事故』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)

松本清張先生原作「砂の器」が5回目のテレビドラマ化決定。テレビ朝日制作、主演は玉木宏さん!!&「砂の器」ネタバレあらすじ

【ドラマ】
月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年スペシャル「中央流沙」(12月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)

月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ『火と汐』(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

松本清張ドラマスペシャル「顔」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)

生誕100年記念作 松本清張ドラマスペシャル〜霧の旗「歌舞伎界のプリンスが現代劇初主演!原作と異なる衝撃のラスト!魔性の女3人に振り回される傲慢敏腕弁護士誰もが陥る心の闇と罠の先に待つ真実の幸せとは?真犯人は誰?」(3月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)

金曜プレステージ 文化庁芸術祭参加作品 松本清張2夜連続SP球形の荒野・前編「連続殺人の裏に隠された昭和史の光と影〜奈良古寺に残る亡霊の筆跡!」(11月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜プレミアム 松本清張2夜連続SP球形の荒野・後編「昭和39年東京オリンピック開催日にすべての謎は明かされる!刑事も涙した戦争で引き裂かれた父娘の結末」(11月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)

サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に放送へ!秋田−東京−伊勢−出雲、日本縦断3000キロの殺人捜査!!操車場の死体とカメダの謎!?二人の刑事が追う宿命…」(9月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)

サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に完結へ!日本縦断3000キロの捜査が暴く連続殺人の罠!?二人の刑事が見た父子永遠の旅!!天才作曲家の殺意…衝撃の結末」(9月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張3週連続スペシャル 張込み〜平凡な幸福を壊す殺人者!美しい人妻の秘められた過去!密会現場で刑事が最後に見た真実(3週連続松本清張特別企画“張込み” 強盗殺人犯追う刑事逃亡の果てに昔の女は家族を捨てるか?)」(11月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張3週連続スペシャル 鉢植を買う女〜愛したから殺した!?金に執着する女2人の戦い!死体が語る消えた3000万と花壇の謎(3週連続松本清張特別企画“鉢植を買う女” 愛する殺人…優雅な暮らしの金貸し女が愛欲に溺れたとき、不幸は始まった)」(11月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「松本清張企画最終章 聞かなかった場所〜謎に満ちた夫の急死!燃える山鹿灯籠が暴く愛人との密会…女性官僚が堕ちた獣道(3週連続松本清張特別企画“聞かなかった場所” 夫に愛人が?女性官僚が堕ちた罠…俳句に隠された密会の屋敷)」(11月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)

原作である『熱い空気』が収録された「事故―別冊黒い画集1」です!!
事故―別冊黒い画集1





ドラマシリーズ第1作「熱い空気」です!!
熱い空気





「家政婦は見た! DVD-BOX1」です!!
家政婦は見た! DVD-BOX1





同じく「家政婦は見た! DVD-BOX2」です!!
家政婦は見た! DVD-BOX2





同じく「家政婦は見た! DVD-BOX3」です!!
家政婦は見た! DVD-BOX3





同じく「家政婦は見た! DVD-BOX4」です!!
家政婦は見た! DVD-BOX4





同じく「家政婦は見た! DVD-BOX5」です!!
家政婦は見た! DVD-BOX5





【関連する記事】
posted by 俺 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「黒い画集」と「別冊黒い画集」は別の短編集なので(前者は新潮文庫)紛らわしい表現は改めたほうがいいと思います。
Posted by エラリアナ at 2012年03月31日 13:08
Re:エラリアナさん

コメントありがとうございます!!
管理人の“俺”です(^O^)/。

確かにタイトルを間違えていますね。
早速、訂正させて頂きます!!

ご指摘ありがとうございます(^O^)/!!
Posted by 俺 at 2012年03月31日 23:38
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。