ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
どうして私、殺されるの!?
この世に「名探偵」がいるなら「名被害者」もいる!!
究極の犯人ホイホイ、名被害者は今日も殺されかけている!
名探偵の陰に、名被害者あり。名探偵が頻繁に事件に出くわすように、この世にはムダに殺人者と遭遇して殺されそうになる「名被害者」と呼ばれる存在がいる。
だが、名被害者的性質が世に知られることは少ない。なぜなら彼らはその体質故にすぐ殺される宿命だから!
SFの名手が描く驚天動地のミステリアス・コメディ!
(講談社公式HP)
<感想>
ドラマ化もされた『MM9』で知られるSF作家・山本弘先生の作品。
・あの「MM9」(山本弘著、東京創元社刊)がドラマ化!!
やっぱり上手いです。
話の運びといい、着地点といい、非の打ち所がない。
文体も読み易く、広い世代が柔軟に楽しめる作品。
山本先生のSFマインドもバッチリ発揮されています。
特にラストは凄い!!
“名被害者”の意味がアレとは……。
本作はミステリよりはSFなのですが、面白いったら面白い。
ネタバレあらすじを読むのも勿体ない。
本作をきっちり読みましょう!!
オススメです!!
<ネタバレあらすじ>
バラバラ殺人、密室殺人、通り的犯行と次々と狙われる16歳の女子高生・一条(仮名)。
実は彼女は「特段の理由もないけど、なんとなく殺人者に狙われやすい体質」を持つ「殺人未遂名被害者」だった!!
そして、「殺人未遂」という名が示す通り、絶対に殺されない。
必ず殺人を目論んだ方が自滅するのだ。
だから、彼女は殺意なき不慮の事故でもない限り、命を狙われても絶対に死なないのである。
案の定、犯人たちは一条を狙うが次々と自滅していく。
そして、遂に一条の体質は宇宙人をも巻き込むことに。
しかし、これまた狙って来た宇宙人と敵対する別の宇宙人により救われることになる。
とはいえ、劣勢であった。
ほうほうの態で宇宙船に収容され、敵の宇宙船と追いかけっこが開始。
敵の必殺兵器が火を吹くが、何万分の1の確率でしか起こり得ないバックファイヤにより相手が自滅する。
やはり、一条の「殺人未遂名被害者」体質は地球、宇宙を問わず有効だったのである。
これまで地球が無事だったのも一条のような「殺人未遂名被害者」たちのおかげらしい。
この体質に目をつけた宇宙人は一条を問題解決のエキスパートとしてスカウト。
遊んでいるだけで陰謀を企む相手が自滅してくれるのだ。
こうして一条は、永遠の16歳となり、今日も宇宙を駆け巡るのだった―――エンド。
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