ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
■いまブームのイヤミスを堪能する、特集「イヤミス読本」。書評家・大矢博子が贈る、ブックガイド&美輪和音最新短編「背徳の羊」掲載■作家生活40年を迎える、皆川博子の巨編『双頭のバビロン』刊行記念! 特別企画「『双頭のバビロン』の世界」■ぬいぐるみマニアの音無警部が帰ってきた! 西澤保彦が贈るユーモア連作スタート「ウサギの寝床」■傑作読切 滝田務雄「田舎の刑事と魔弾の射手」。竹内真「ファンサイトの挑戦状」。ピーター・トレメイン「疵」■「書店の窓から」 ジュンク堂旭川店・高田学■第3回創元SF短編賞一次・二次選考結果掲載ほか
(東京創元社公式HPより)
<感想>
設定は凄く興味深かったので、楽しんで読んだのですが、結末がちょっと肩透かしだったかなぁ……。
あの結末はいわば、必然性のあるものではなく、後付けに過ぎないワケだし。
作中で辻堂が述べている通り、あの手の「実は……」はあくまで奇手奇策の類なのは間違いないし。
あれを面白いと感じるかどうかは、かなり微妙な気がする。
どちらかと言えば、後出しと批判されるのではないだろうか。
作中では「凄い」とか「面白い」とか書かれていても、具体的にその面白さや凄さがこちらに伝わってこないことも痛かった。
全体として、辻堂というキャラクターも良かったし、文章も読み易かっただけにあのラストだけががっかり。
具体的な例は浮かばないが、もっと度胆を抜くような捻りがあれば名作になっていたと思う。
ポテンシャルが高そうな物語だけに、その点が物凄く惜しまれる。
本当に勿体ない。
それこそ別バージョンでもう1度とはいかないのだろうか……。
<ネタバレあらすじ>
作家の辻堂原作の人気シリーズがドラマ化された。
ドラマ第1弾を視たファンの反応は厳しいものだったが、第2弾が制作される。
だが、そこで1つの問題が持ち上がった。
放送が迫る第2弾のシナリオを予想する者が出たのだ。
しかも、この予想がほとんど当たっていたから大変。
制作サイドはどう対応するべきか頭を悩ませることに。
予想したのは、辻堂のファンサイト管理人。
この予想主は、ドラマ第1弾のトリックが原作を矮小化したものと批判。
その批判に基づき、第2弾もトリックを劣化させるに違いないとして、視る価値がないとまで断言していた。
事実、原作での第2弾トリックは本物の駅舎をそのまま建て替えるとのものだったが、ドラマ化に際し駅名のみをすり替えるというものに留まっていた。
予想主はこれすらも見事に的中させていたのだ。
このままではマズイと感じた制作サイドは原作者である辻堂に助けを求める。
辻堂はある秘策を授けるが……。
例の予想主のこともあって、第2弾ドラマは放送前から話題を浚う。
そして、いよいよ放送当日。
ネット上では予想主の予想が的中するかどうかで持ち切りである。
ドラマが放送開始されるや、ネット上での書き込みは凄い勢いに。
と、中盤で異変が起こった。
原作ではラストまで明らかにならなかった犯人が明かされてしまったのだ。
「どうやら、倒叙ものに切り替えたようだ」
「メインはアリバイトリックか?」
などなど予想が綴られていく中、ドラマは佳境に。
そして、明かされる真犯人。
ドラマ版は原作と違い、犯人を操っていた黒幕が居たとの結末に終わる。
これこそが辻堂の秘策だった。
改変したラストについて賛否両論ある中で、予想主は「次回にも期待したい」と完敗宣言する。
こうして第2弾ドラマは大きな盛り上がりのうちに終了した。
後日、辻堂は「早々は出来ないが……」とした上で、今回の秘策を自画自賛するのだった―――エンド。
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