2012年04月26日

「人喰い研究所殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第8話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!
遂に設問が出題されました。
本ブログも解答に挑戦しています。
詳しくは本記事下部にある「感想&推理」をどうぞ!!


「人喰い研究所殺人事件」登場人物一覧:

金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

緑川繭:研究所所長、眼鏡がチャームポイントな金田一たちの中学時代の同級生。
中神深志:副所長、繭を覗けば本エピソード唯一の眼鏡。
小鷹美苗:研究員、鷹の名は伊達じゃない!?目つきが鋭い美女。
財前乙彦:観光客、あやねのツレ。影が薄い。第3の被害者。
谷瀬あやね:観光客、財前とのコンビでこっちが主導権を握ってそう。
葉島秋也:研究所管理人、渋めのおっちゃん。
麻木根司:宿泊者、宝探し目的な人1。第2の被害者。
鰐部鋭介:宿泊者、宝探し目的な人2。第1の被害者。

<8話あらすじ>

〜〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

中学時代の同級生・緑川繭に会うために「仁久井村」を訪れた金田一と美雪。
そこは昭和の面影を色濃く残す村だった。

旧友との再会を喜ぶ金田一たち。
だが、その夜、村へ通じる唯一の吊り橋が何者かにより焼き落とされてしまう。
しかも、元研究所員である鰐部が謎の転落死を遂げる。
不穏な空気に包まれる中、今度は麻木根が死亡。
さらに、財前までもが殺害される……。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これまでの事件についてまとめ始める金田一。

鰐部殺害は低周波と鰐部自身の思い込みを利用した殺人だった。

次に、麻木根殺害時には関係者全員にアリバイが成立している。
金田一と美雪はカラオケのメンバーを募っていた。
谷瀬と小鷹はそれぞれの部屋に居た。
小鷹によれば葉島も部屋で読書をしていたらしい。
繭と中神は通話中だった。

そして、財前殺害は第1研究室という密室内で行われている。
鍵は第3研究室と財前の掌の中にあった。

この謎に挑むべく金田一は葉島に頼み第1研究室へ。
葉島によれば、普段第1研究室には鍵はかけていないらしい。
したがってマット下に鍵があったというのもおかしな話らしいが……。

一歩踏み出すとライトが点灯する。
あの時は懐中電灯が必要だったんだけど……と金田一。
1つ目の扉を抜け、2つ目の扉を開ける。
中へ入って暫くした時、それは起きた。

部屋のライトが消えたのだ。
其処へ現れたのは小鷹。
手には懐中電灯を抱えている。
「人が2人も死んでいるんですよ、危ないから早く出なさい」と促す小鷹に、金田一は「分かった!!」と叫ぶ。

勢いに乗った金田一は、第3研究室へ。
そこにCO2のボンベを発見する。
さらに勝手口の外に設置されたパイプから地下へと水を流すことが可能であると判明。

ここで、繭の研究室へ。
其処で緑川所長の遺した暗号を見た金田一は何かに気付く。

「謎はすべて解けた!!」
例の決め台詞が飛び出し、関係者一同を集めることに。

その頃、犯人は毒の小瓶を手に最後のターゲットに狙いを定めつつあった……。

繭、中神、谷瀬、小鷹、葉島たちの前で今回の殺人について推理を開陳する金田一。
そもそもの原因は緑川所長の死が関わっていた。
葉島弟の自殺に乗じ、新たに3件の自殺未遂を加えることで緑川所長の他殺を自殺に偽装したと弾劾する金田一。
相手は谷瀬である。
谷瀬、鰐部、麻木根の自殺未遂は狂言だったのだ。

緑川所長の遺したメッセージ「3a+3i+3e=M」とは「3人の(a+i+e)を持つ者が犯人(Murder)」であるとの告発だった。
3人とはWanibe、Makine、Tanise。
つまり、鰐部、麻木根、谷瀬に他ならない。

次いで、今回の連続殺人については犯人自身に確たる決意は無かったと断定。
それは鰐部の殺害方法を見れば明らかだった。

ところが、鰐部の殺害が成功したことともう1つのことが重なったことで、犯人に決意を固めさせたと指摘する。
もう1つのこととは谷瀬が吊り橋を焼き落としたこと。

金田一は谷瀬の靴に付着した泥で気付いたのだ。
谷瀬にとっては研究所への滞在期間を延長する為の策だったが、犯人にとっては天啓となったらしい。

「今回の連続殺人事件の犯人……ヒトクイは此の中に居る!!」
金田一の宣言が面々を凍りつかせる―――9話(解決篇1話)に続く。

<感想&推理>

……と、8話はだいたいこんなところでした。

いよいよ出題されましたね。
問いは3問。

1.「犯人の名前」。
2.「麻木根殺害時のアリバイトリックを推理せよ」。
3.「財前殺害時の密室トリックを推理せよ」。

とのもの。
問1については複数人指摘可となっていますが、単独犯を推します。

これらについては何度かブログ内でも触れているので、現時点でも解答出来そうですが、とりあえず8話の内容を確認してから推理に移りましょう。

で、実は8話に大きなヒントが提示されました。
それが小鷹の懐中電灯のくだり。

8話では「金田一たちが入室→部屋の明かりが自動点灯→小鷹が入室→自動消灯」となっていました。
つまり、第1研究室は人の出入りにセンサーが反応し、明かりが点灯・消灯を繰り返すようです。

おそらく、こんな感じですね。

1人目(グループでも可)入室、点灯。
2人目(グループでも可)入室、消灯。
3人目(グループでも可)入室、点灯。
4人目(グループでも可)入室、消灯。

ところが、最初に金田一たちが第1研究室を訪れた際はどうだったか。
そうです。
今回、金田一が思い浮かべたように、懐中電灯が必要となりました。
これは、金田一たちが入室した為に消灯したということ。
つまり、金田一たちは「第1研究室への2組目の来訪者だった」ことになります。
先客がいたのです。

そして、中神が遅れてやって来ましたが、部屋の明かりは点灯しませんでした。
中神の発言通りならば、金田一たちに次ぐ3組目の来訪者であるにも関わらずです。

本来はこうなるべきでした。

謎の先客により、点灯。
金田一たちにより、消灯。
中神により、点灯。

ところが、実際は消灯したまま。
つまり、中神は外から来たのではなく、中に居たことになります。
中神こそが「謎の先客」だったと言えるでしょう。

しかし、中神はそれを金田一たちに明かすことなく、合流しています。
そもそも、中神は室内で何をしていたのか?

これはその後の流れを考えれば見当がつきますね。
財前殺害の罠を張っていたのでしょう。

つまり、財前殺害は中神の犯行となります。
中神は第1研究室内で財前を眠らせ死角に隠すと、自身も身を隠し、金田一たちをやり過ごし後ろから現れたということになると思われます。

葉島の証言「普段はマットの下に鍵は置かない。そもそも施錠しない」もこれを支持するかと。
では、この後、中神は何をしたか。

鍵をマットに戻した振りをしつつ、戻さない。
あるいは、偽物の鍵をマット下に戻したのでしょう。
管理人は、本物の鍵はこの時点で財前の手の中に握らされていたと見ていますが、どちらでもOKな気がします。
実際、鍵の管理者は中神なのでどうとでも工作可能。

何食わぬ顔でカラオケをしつつ、コーヒーを淹れに離席。
この際に勝手口横のパイプを捻り、研究室内の二酸化炭素を地下の第1研究室へと送り込む。
でもって、二酸化炭素に水で蓋をした。
意識のない財前はそのまま窒息死―――といったところではないでしょうか。

さて、これで奇しくも問1と問3が埋まりました。
残るは問2のみ。

問2ですが、財前が殺された理由を考えれば分かりますね。
以前、中神が襲撃を受けたことがありました。
あの襲撃犯は「緑川所長の暗号」を狙った財前でしょう。
その際に、何かを見つけた。
それをネタに中神を脅迫し、殺害されたものと思われます。
詳しくは過去記事をご覧頂きたい。

で、財前が見つけた「何か」ですが、これが携帯に代わる通話端末であることは想像に難くない。
それを用い、中神は繭と通話しつつ移動し、麻木根を殺害したものと思われます。
この端末ですが、本作中にて「携帯は使えないが、ネットは使える」と繰り返されているので、管理人はこれまで通り「IP電話」の類を推します。
ハンズフリー式の端末を所持していたのではないでしょうか。

では、公式の設問に対する本ブログの解答はこうなります。

1.「犯人の名前」は「中神」。
2.「麻木根殺害時のアリバイトリックを推理せよ」は「中神は移動式の端末(IP電話)を用い繭と通話しながら犯行に及んだ」。
3.「財前殺害時の密室トリックを推理せよ」は「中神は鍵を自由に出来る立場にあり、厳密には密室は成立しない。カラオケでアリバイを成立させた上で、二酸化炭素を地下室に送り込み財前を窒息死させた」。

3.あたりはアバウトなので、「中神は鍵をマットの下に戻したと見せかけて所持しており〜〜〜」とかでもいいかもしれない。

とりあえず、こんなところかな。
残る謎は繭関連の2つの暗号か。

まずは、緑川所長の暗号から。
これは5話ネタバレ批評(レビュー)でもチャレンジしているけど、あれぐらいしか思いつかない。
なので「5時に何か起こる」かなぁ……。
暗号が「四六時中」としてあるところを見ると、24時間表記で17時となる午後5時ではなくて、午前5時!?
ただ、坂本竜馬が分からない……。

そして、繭の暗号。
これは1話のネタバレ批評(レビュー)でチャレンジしてるけど、「金田一には特に解けない(繭談)」が分からない。
「ありがと、いつかどこかで」以外にも何かあるのだろうか。

ふぅ、結構長くなってしまいましたね。
ここからは、いろいろ思ったことをば。

まず、麻木根殺害時に葉島にはアリバイが成立していないような気がする。
小鷹にはアリバイがあるけど、小鷹が呼びに行った葉島はそれだけ時間がずれるので。
ちょっと、モヤモヤ。

そして、当の小鷹。
どうにも影が薄すぎるのが気になる。
ひょっとして、錬金術パターンではなかろうか。
今回の「無尽藻」、夢のエネルギーだけにラストの扱いが難しい筈。
そんなときの「怪盗紳士」パターンか?
流石に2度目はないと思うが、ここまで小鷹の影が薄いとそれも疑ってしまう。
要注意人物となるか?

でもって、毒を持つ犯人(中神)。
谷瀬を殺害するつもりっぽいが……。
何だか、金田一に指摘されてからの自殺パターンに見えてきた。
谷瀬には届かないような気がする。
ただ、ラストで本当のヒトクイが出て来るとかで谷瀬が裁かれそうな予感。
実際、戦前のヒトクイの謎は解かれていないワケだし、ありうるか。
或いは緑川因子関連かも。

今回はこんなところか。

で、当の「仁久井村(ひとくいむら)」ですが、「にくいむら」とも読める。
他にも「ヒト」と読ませる漢字があるにも関わらず、わざわざ「仁」の一字を使っていることから意味ありげ。
これも何かに関連するか?

第9回の展開がどうなるか、要注目!!

◆「人喰い研究所殺人事件」関連過去記事
「人喰い研究所殺人事件」第1話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

【犯人断定!?】「人喰い研究所殺人事件」第3話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第4話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第5話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第6話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「人喰い研究所殺人事件」第7話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆シリーズ関連過去記事
・「金田一少年の事件簿」より「ゲームの館殺人事件」のまとめはこちら
「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・「金田一少年の事件簿」より「錬金術殺人事件」のまとめはこちら。
「錬金術殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・同じく「高度1万メートルの殺人」のまとめはこちら。
「高度1万メートルの殺人」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

・さとう先生による読み切り「トキメキトキナ消失宣言」のネタバレ批評(レビュー)はこちら。
「別冊少年マガジン」(講談社)より「トキメキトキナ消失宣言」ネタバレ批評(レビュー)

シリーズの1つ「金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(上)(週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(上)(週刊少年マガジンKC)





「金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(下)(週刊少年マガジンKC)」です!!
金田一少年の事件簿 錬金術殺人事件(下)(週刊少年マガジンKC)





◆金田一少年の事件簿シリーズコミックはこちら。


◆金田一少年の事件簿シリーズ映像作品はこちら。
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