『おーい でてこーい』（星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録）

『おーい でてこーい』（星新一著、新潮社刊『ボッコちゃん』収録）ネタバレ書評（レビュー）です。

ネタバレあります、注意！！

＜あらすじ＞

著者が傑作50編を自選。ＳＦ作家・星新一の入門書。バーで人気の美人店員「ボッコちゃん」。彼女には、大きな秘密があった。

スマートなユーモア、ユニークな着想、シャープな諷刺にあふれ、光り輝く小宇宙群！　日本ＳＦのパイオニア星新一のショートショート集。表題作品をはじめ「おーい でてこーい」「殺し屋ですのよ」「月の光」「暑さ」「不眠症」「ねらわれた星」「冬の蝶」「鏡」「親善キッス」「マネー・エイジ」「ゆきとどいた生活」「よごれている本」など、とても楽しく、ちょっぴりスリリングな自選50編。

（アマゾンドットコムさんより）

＜感想＞

「野生時代」の特集に触発されて、星新一熱が再燃した管理人です。
やっぱり、星先生の作品はいいですね。
短い中に濃いエッセンスがグッと凝縮されていて、読むとハッとさせられます。

本作『おーい でてこーい』は新潮社刊『ボッコちゃん』収録の一篇。
短編です。
執筆当時の世相を反映した作品ですね。
各種施設と引き換えに便利な生活を約束されていた状況を描いたものと思われます。

ラストで穴へ消えた物がどうなるのか示されていますが、あの後に起こった混乱を想うと怖いですね。
ちなみに、西岸良平先生「鎌倉物語」でも似たようなエピソードがありました。
こちらも面白いのでオススメ！！

＜ネタバレあらすじ＞

とある田舎町で穴が見つかった。
「おーい」などと呼びかけてみるが、深さは分からない。
小石を投げ込んでみるも、やはり深さは分からない。
他にも様々な方法で穴の深さを測ろうとするが、どうにも計り知れない。

対応に悩んでいたところ、噂を聞きつけた都会の業者がやって来る。
町を発展させることと引き換えに業者に穴の権利を譲る町の人々。

業者は都会に戻ると廃棄物を引き受け、穴に処理し始める。
ゴミ、放射性廃棄物、表に出せない品々、不正の証拠、出せなかったラブレターなどなど。
穴はどんどん呑み込んで行った……。

それと比例するように町は発展を遂げて行った。
高層ビルが乱立し、今また新たなビルが建設されている。

その屋上、作業に勤しむ作業員の耳に「おーい」との声が届く。
不思議がる作業員の頭に小石が当たる。
そして、その向こうから―――エンド。

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