2012年05月13日

土曜ワイド劇場「事件15 復讐殺人法廷娘を殺した男がたった4年で出所?許さない!残された家族が立てた恐るべき計画」(5月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

土曜ワイド劇場「事件15 復讐殺人法廷娘を殺した男がたった4年で出所?許さない!残された家族が立てた恐るべき計画」(5月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

伊丹秀一(北大路欣也)は、正義感あふれる人権派の弁護士。海外研修中の弁護士・加瀬直人のピンチヒッターとして、伊丹の娘で弁護士の織枝(松本莉緒)が事務所を手伝うこととなり、少々やりにくさを感じていた。
そんなとき、伊丹が引き受けたのは、奇しくも娘を殺した犯人に復讐した容疑で逮捕、起訴された高校教師・中井光一(杉本哲太)の国選弁護人だった。中井家は、妻・美佐子(若村麻由美)、長女の綾(吉谷彩子)、長男・涼(前田公輝)、次男・舜(溝口琢矢)の幸せな5人家族だったが、4年前、音楽大学に合格し前途洋々だった綾が2人組のひったくりに遭遇して転倒、頭部を強打して死亡するという痛ましい事件に巻き込まれたのだ。
ひったくり犯のひとり、佐山琢磨(宗像大介)には無期懲役の判決が下ったが、事件当時、未成年だった共犯・黒川圭太(窪田正孝)は10年以上15年未満の不定期刑となり、結局、仮釈放が認められて、わずか4年で出所。その黒川が先日、公園で死体となって見つかり、光一が殺人容疑で逮捕されたのだ。だが、光一は警察でも検察でも一貫して容疑を否認しており、接見した伊丹にも無実を主張する。

公判初日。若月検事(石丸謙二郎)は、被害者の血痕が光一のジャケットに付着していたこと、現場の土が光一の靴底や中井家の玄関から採取されたことなどを証拠として挙げるが、光一は依然として否認。証言台に立った美佐子も、事件当夜、黒川が殺害された夜10時半よりも前に夫が帰宅していたことを証言、血痕は1カ月前に付着したものだと話す。
実は、事件の1カ月前、光一と美佐子、そして生前、綾と交際していたサッカーコーチ・遠藤祐介(南圭介)の3人で、出所したばかりの黒川に会いに行ったところ、悪態をつかれ、我慢できず殴りかかったという揉め事が起きていたのだ…。だが、美佐子は証言台で「黒川の反省のない態度を目の当たりにしたら、殺意が芽生えるのは当然」とも発言してしまい、裁判員の多くは、光一に不利な印象を抱いたようだった。
 
ところが、思いもよらない事態が起きた。巻き返しを図らなければと臨んだ公判2日目、なんと美佐子が前日の証言を翻し、夫が帰宅したのは夜11時過ぎであり、光一からその偽証を頼まれたと言い出したのだ。予想外の出来事に、驚く伊丹と光一。
さらに、思わぬ展開は続いた。光一の弟・拓次(原田龍二)が思いつめた表情で伊丹の事務所を訪れ、1通のメールを見せたのだ。それは、黒川が殺された公園の土をこっそり持ってくるようにと拓次に指示する、美佐子からのメールだった。なんと美佐子は拓次と不倫関係にあり、邪魔な夫・光一に罪をきせるため、証拠をねつ造したというのだ。光一は、やはり冤罪だったのか…!?はたして、この“復讐殺人”の裁判の行方はどうなるのか…!?伊丹が調べを進めた結果、驚くべき真相が浮かび上がってくるのだが…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)


では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……

舜に、犯行当日の光一について事情を尋ねる伊丹。
だが、舜は何も知らないと主張。
黒川殺害当日は、姉の恋人であった遠藤祐介と共に11時までサッカーのビデオを視聴していたらしい。

土質の違いから拓次の証言が偽証と判明。
光一、美佐子、拓次3人による罪を逃れる為の工作だったのだ。
これにより、光一の心証は最悪に。

光一は黒川殺害の動機について語り始める。
綾の墓参りに黒川を連れて行こうと彼に掛け合った光一。
しかし、黒川はそれを拒否する。
それどころか、反省などしていないと笑う。

反省の手紙を送り続けていた黒川。
ところが、その手紙はすべて他の受刑者に代筆させたものだった。
嘲笑う黒川の姿に、怒りが頂点に達した光一は手近にあった石で殴りつけてしまう……。

判決の日。
結局、心証の悪さをひっくり返すことが出来ず、反省の色が見られなかったことで懲役13年の判決が下る。
工作の件も含めて、懲役8年が妥当かと思われたが……。
遠藤祐介は光一の量刑が不当として控訴すべきと訴えるが、美佐子たちは判決を受け入れる。

伊丹は光一と美佐子の態度に不審を覚える。
予備校に通う長男・涼に接触し、真実を聞き出そうとする伊丹だが……。

翌日、光一のもとに、美佐子、涼、舜を呼び出した伊丹は、10年前に担当した事件を語り始める。
ある家庭の父親が殺人犯として起訴、判決を受け服役した。
ところが、その息子が自殺したことで真犯人が分かった。
真犯人は息子だったのだ、父親は息子を庇っていた。

これを聞いた次男・舜は伊丹が何もかも知っていると察し、真相を打ち明ける。

事件当日、舜は午後9時には帰宅していた。
遠藤も舜も偽証していたのだ。

午後9時、「黒川を殺したかもしれない……」光一は帰宅するなりそう語った。
カッとなった光一が黒川を殴りつけたのだ。
これを聞いた舜は現場へ駆け付け、黒川に止めを刺したらしい。

美佐子は「犯人なんて誰だっていいじゃないですか!!」と喰ってかかる。
さらに、「綾のときに司法は何もしてくれなかったのに、今回に限って追及するのか」と叫ぶ。

すべては美佐子の計画だったと言う。
まず、光一が被告人として裁判に。
ここで無罪を争う。
その際に、例の工作を持ち出し有耶無耶にする。
これで光一が無罪になれば良し、駄目ならば判決を受け入れる。
これならば、最悪でも舜は守れるのだ。

そんな美佐子に伊丹は「あなたが知らない事実がある」と告げる。

綾の恋人・遠藤祐介は舜を庇っていた筈だった。
だが、舜のアリバイは偽物だった。
つまり、遠藤のアリバイも存在しないのだ。
しかも、光一の判決を聞いた際に量刑に不服を唱えた。

これが何を意味するか?

伊丹の追及に、遠藤は黒川殺害を認める。

光一と黒川が言い争う現場を目撃した遠藤。
光一は遠藤に一撃を喰らわせると逃げるようにその場を後にした。
そこへ駆け付けた遠藤は、助けを求める黒川を見て綾を重ね合わせ怒りを爆発。
自ら手を下した。

そこへ光一から事態を聞きつけた舜がやって来た。
舜は「黒川が少年法に守られたように、自分ならば守られる筈だ。それでチャラだ」と主張。
遠藤はそれに納得した。

こうして、舜は自分こそが犯人であると偽りの事実を打ち明けることに。
そして、光一と美佐子が舜を庇ったのだ。

あくまで「自分が犯人だ」と主張し続ける美佐子。
「殺意があった。自分がやるべきだった」と言うのだ。

「それはあなたの我儘だ。罪の苦しさを遠藤君に背負わせる気ですか?綾さんはそれで許してくれますか?」伊丹は必死に諭す。

「先生(伊丹)はこんな目に遭っていないから言えるんです!!もう、綾は何処にもいないのに……」
尚、反発する美佐子だったが……。

「あなたにはご主人も涼君も舜君も、家族同然の遠藤君も居るじゃないですか!!」
そう力強く訴えた伊丹に、美佐子は泣き崩れる。

「先生のおかげで救われました」
伊丹に感謝の言葉を述べる遠藤、その顔は何処か晴れやかである。
美佐子もまた、無言で去って行く―――エンド。

<感想>

北大路欣也さん演じる伊丹弁護士が活躍する「事件」シリーズ第15弾。
シリーズ全体の原作は大岡昇平先生『事件』(新潮社刊)となっています。
ちなみに前作(第14弾)はネタバレ批評(レビュー)ありますね。

土曜ワイド劇場「事件14 横浜港に車が転落!生還した運転手と、死んだ同乗者の妻に秘密?ガラスの謎が暴いた逆転法廷」(10月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

では、ドラマ感想を。

やっぱりイイですね。
内容自体はシンプルなのですが、テーマを一本通した骨太なシナリオが良い。
登場人物の心情に大きな説得力があります。
そして、それを役者さんたちの演技が力強く支えている。
涼役の前田公輝さん、舜役の溝口琢矢さん共にマッチしていました。
文句なしです。

中でも、ラストの伊丹と美佐子の応酬が特に心に残った。
普通の2時間ドラマだと、「亡くなったお子さんがそれで喜びますか!!」が決め台詞になりがち。
「それで納得するようなら初めから復讐しないよなぁ……」と常々思っていました。
今回は、それに対し見事に反撃が!!
亡くした者への想いも大切だが、生きて今傍に居る者を忘れてはいけないとの結論が良かった。
そして、それで終わりではないところも。

是非、16弾も放送して欲しいところです。

<キャスト>

伊丹秀一:北大路欣也
中井美佐子:若村麻由美
中井光一:杉本哲太
中井拓次:原田龍二
若月検事:石丸謙二郎
伊丹織枝:松本莉緒
本多和美:山下容莉枝
三田村裁判長:深水三章 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)


大岡昇平先生の「事件 (新潮文庫)」です!!
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