2012年05月20日

ドラマスペシャル「灰色の虹〜刑事、検事、弁護士…7年目の殺人連鎖!!浮かび上がる全てを奪われた男!?暴かれる姿なき殺人者の驚くべき真実!!全てを奪われた家族の結末とは…」(2012年5月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)

ドラマスペシャル「灰色の虹〜刑事、検事、弁護士…7年目の殺人連鎖!!浮かび上がる全てを奪われた男!?暴かれる姿なき殺人者の驚くべき真実!!全てを奪われた家族の結末とは…」(2012年5月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

<あらすじ>

婚約者が殺害されるという悪夢から5年、久しぶりに現場に復帰した京都府警捜査一課の山名省吾(椎名桔平)は、ある殺人事件で所轄の伊佐山毅臣(寺島進)と捜査を共にする。伊佐山の強引な捜査方法は山名の危惧感を誘うが、当の伊佐山はまるで気に留めることなく、いつも通りの取り調べで容疑者から自白を引き出すことに成功。手柄を我がものにし上機嫌の伊佐山は、山名に対し刑事の勘が鈍っていると揶揄するような態度をとる。その伊佐山が山名と別れた直後、大型トラックと衝突し、あっけなく事故死を遂げる。
山名は、伊佐山最後の事件容疑者を担当検事・谷沢憲一(渡辺いっけい)に送検する。伊佐山の死に対し、「殉職なら特進もあったのに事故じゃね」という谷沢の冷めた言葉の響きに、ざらついた気持ちになる山名。
その晩、自宅に戻った山名に驚愕の報せが飛び込んでくる。谷沢が刺殺されたというのだ。
現職検事が殺害されるという由々しき事案に、警察は中村管理官(伊武雅刀)の指揮のもと、威信をかけて捜査を開始。山名は伊佐山の同僚だった小西晃次(吹越満)とコンビを組み、谷沢の自宅で発見された脅迫状から割り出された容疑者を確保する。だが、ほどなく容疑者のアリバイが成立。早期解決の目が消える。
そんな中、小西は初めて伊佐山と捜査を共にした7年前の殺人事件の担当検事が谷沢だったこと、そして伊佐山、谷沢の死に先立つことわずか十日前、その事件の担当弁護士が何者かに殺されていたことを思い出す。事件の犯人は江木雅史(塚本高史)。6年の刑期を終え1カ月前に出所していた。あまりにも不気味なリンクにまさかと思う小西。だが、山名は江木の顔写真を見て事件の本質が“復讐”であることを確信する。江木の顔には特徴的なアザがあった。山名は伊佐山が死んだあの夜、事故現場で江木の顔を見ていたのだ…!!
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

江木雅史は恋人・由梨恵と婚約した。
由梨恵は江木のコンプレックスの象徴である顔の痣さえ気にしないと言ってくれた。
今、江木にとって人生は薔薇色だった。

ところが、急転してしまう。
江木は会社の上司・市瀬殺害容疑で逮捕されてしまったのだ。
市瀬は由梨恵に横恋慕し、江木に辛く当たっていた。
当時の担当捜査官・伊佐山はそれが動機に違いないと断定し、江木に罪を認めるよう迫る。
目撃者がいることも江木の立場を不利にしていた―――。

そして、現在。
刑事・伊佐山、検事・谷沢が続いて殺害された。
そして、もう1人弁護士の綾部がその10日前に殺害されていたことが判明。
伊佐山、谷沢、綾部の3人はともに7年前の江木の裁判関係者だった……。

山名は其処に動機があると判断。
綾部の周辺を調べたところ、洛仁会の存在が浮上する。
実は綾部と洛仁会のトップは異母兄弟だった。

江木の母・聡子を訪ねる山名たち。
聡子は江木が家には居ないと繰り返す。
そもそも息子は7年前の事件の犯人ではないと主張する。

7年前、逮捕された江木は罪を否認した。
ところが、取り調べに当たった伊佐山は執拗に責め立てる。
江木の言葉に耳を貸さない伊佐山は由梨恵が別れを切り出したと告げ、江木の心を折った。
苛烈な取り調べに耐えられなくなった江木は罪を認めてしまう。

数日後、江木は一時の気の迷いだったと谷沢検事に訴える。
しかし、谷沢は相手にしない。
それどころか、また取り調べに戻るがいいのかと恫喝する。
こうして、江木は裁判にかけられることになった。

一方、江木家は大変なことになっていた。
江木の父は会社を辞めさせられた。
姉・京子は結婚を控えていたが、ふいになった。
母・聡子は周囲から白眼視されるようになった……。

江木の父、そして京子は混乱し江木を信じられなくなっていく。
しかし、聡子は江木の無実を信じて変わらなかった。
弁護士の綾部に無実を訴えるが、綾部は情状酌量しか念頭に無かった。

裁判が始まった。
江木は一転、無実を主張する。
ところが、裁判官の石嶺が下した判決は懲役7年。

さらにショックを受けた江木は控訴を断念。
服役することに。

これにより、江木家はさらに混乱の渦に巻き込まれる。
江木の父は、世間の目に耐えられず1年後に自殺した。
京子はいずこかへ姿を消した。
聡子はそれでも辛抱強く待った。
すべては、江木の帰る場所を守る為である。

そして、7年後。
江木は戻って来て、家族の現状を知り憤った。
彼は何かを決意すると姿を消した。
聡子は1人残された……。

江木家を退去した山名は、その家の前に洛仁会の見張りがいることに気付く。
洛仁会は綾部の敵討ちに江木を追っているのだ。

これで、江木が7年前の事件関係者への復讐を行っていることがはっきりした。
次に狙われるのは判決を下した裁判官・石嶺だと考えた山名は保護に動く。
だが、石嶺は笑って取り合わない。

その帰り道、山名は江木を目にし、追跡するが逃げられる。
捜査本部は江木を手配することに。

その頃、石嶺は妻の浮気に頭を悩ませていた。
石嶺の妻は郵便局員と不倫していたのだ……。

一方、山名たちは由梨恵を訪ねていた。
由梨恵によれば、事件が2人の関係を狂わせたと語る。
江木からは手紙すら届かず、送った手紙にも返事が無かった。
婚約破棄についても、江木から申し渡されたそうだ。
最後には、間に立った伊佐山から江木が罪を認めたと聞かされたことから、江木を信じられなくなったらしい。
しかも、江木が一ヶ月ほど前に一度だけ職場に訪ねて来たそうだ。
結局、話すことも無くそのまま別れてしまったそうだが……。

山名は由梨恵が江木の無実を未だ信じていると感じる。

自身の大切な人―――優樹菜を思い浮かべる山名。
5年前、山名は優樹菜と婚約した。
ところが、優樹菜は強盗に殺害されてしまう。
強盗は逮捕された。
山名は犯人を恨んだが復讐できなかった……。

江木の事件の再捜査を主張する山名。
山名は江木の市瀬殺害の罪は冤罪だと考えていた。
だが、これに捜査員たちは反発する。

一方、裁判官の石嶺は妻の不倫相手への意趣返しに郵便配達中のバイクから郵便物を盗む。
1人、山影まで移動し盗んだ郵便物を破棄した石嶺に黒い人影が迫る。
そのまま石嶺は殺害されてしまった。

ところが、周囲の目撃者によれば江木らしき人物は居なかったと言う。
刑事、検事、弁護士、裁判官が殺害され復讐は終わったと思われたが……。

山名はまだ復讐が終わっていないことに気付く。
事件の目撃者として証言した雨宮を訪ねた山名。

雨宮は自分が殺されるような憶えはないと主張。
逆に山名たちを責める。

これに対し、山名は雨宮の証言の真偽を問い詰める。
雨宮の目撃証言には江木の痣のことが記載されていなかったのだ。

雨宮は自分の目撃証言が伊佐山に誘導されたものであることを認める。
だが、雨宮は悪びれもせず開き直る。

伊佐山が目撃証言を誘導。
谷沢検事はそれを鵜呑みにした。
綾部弁護士は無実を信じなかった。
石嶺裁判官はこれを結論付けた。
こうして、江木は身に覚えの無い犯人にされてしまった。

山名は江木の冤罪を証明するためには雨宮の証言が必要であると主張。
管理官の中村もこの主張を支持し、再捜査が認められる。

聡子を訪ねる山名。
山名は再捜査の件を伝えるが、聡子は「もう遅い」と聞く耳を持たない。
これに何かを感じた山名だが……。

その頃、雨宮は警護を疎んじていた。
江木の足取りがぷっつりと途絶えたことで、江木が自殺しているに違いないと主張したのだ。
そして、事件からちょうど7年目の当日になった。

今日も今日とて山名たちは雨宮を警備することに。
そして、雨宮は出社した。
山名は雨宮が狙われる可能性を捨て切れていなかった……。

部長の椅子が見えたことで上機嫌の雨宮、そんな彼の背後から近づく人影が……。
間一髪、人影を取り押さえる山名。
人影の手にはナイフが握られていた。

人影……その正体は清掃員として雨宮の会社に潜り込んでいた聡子だった。
江木は既に死亡していた。

石嶺と会った帰り道に江木を見た山名。
それが江木の最期の姿だったのだ。
江木は自宅に戻ったところを、張り込んでいた洛仁会に襲われ殺害されたのだ。

伊佐山刑事、谷沢検事、綾部弁護士を殺害したのは江木本人だった。
それ以降―――石嶺殺害と雨宮の殺人未遂は聡子の犯行だったのである。
石嶺殺害時に江木の姿が見えないのも当然だった。
江木の犯行ではなかったのだから。

江木は洛仁会に襲われ命を落とす直前、石嶺と雨宮への怒りを口にした。
こうして、江木の無念は聡子に引き継がれたのだ。

聡子は復讐は正しかったと繰り返す。
否定する山名だが、聡子は認めない。
「私たち家族の幸せを壊す権利があるんですか?」
そんな聡子に、山名は返す言葉が無かった。

聡子は復讐して何を得たのか?
山名は思う―――其処には何もない、と。
その道は、5年前に山名が通ったかもしれない道であった。

由梨恵は江木の再審支援の署名運動を始めた。
由梨恵によれば、聡子にも面会したそうだ。
微笑む由梨恵に微笑み返す山名。
彼らの前に虹がかかる、それは七色に輝いていた―――エンド。

<感想>

『慟哭』で知られる貫井徳郎先生原作『灰色の虹』(新潮社刊)のドラマ化。
『灰色の虹』については過去記事にてネタバレ書評(レビュー)していますね。

『灰色の虹』(貫井徳郎著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

では、ドラマ版の感想を。

寺島進さん、渡辺いっけいさんが早期に退場するとは……原作を読んで分かっていたとはいえ驚きました。
ここら辺のキャストの使い方は豪華でしたね。

そして、ストーリー的には原作に比べると改変されていましたね。
雨宮のブログと妻の言い分はそのままにして欲しかった。
あれが無いと江木の無念が弱くなる。

原作では、雨宮は自身の日常を劇的にするために見ていないものを証言します。
しかも、それをブログに書くネタにする。
これで訪問者数が増えたことに喜ぶと、繰り返し記事にし、これが原因で狙われることに。
そして、その妻は雨宮が狙われていることを聞くや、巻き込まれることを恐れ雨宮を見捨てるといった展開。
ここらはかなり印象的でした。

他にも、由梨恵の心変わりは伊佐山によるものではなく、本人自身とその家族によるものだったり。
江木の姉・京子は無事結婚するも江木家と絶縁していたり。
ここらは改変されています。
ドラマも厳しいですが、原作の方がかなり厳しいです。

それと、特にドラマ版ではラストがマイルドになり過ぎているかな。
ドラマだと、なんだか救いがあるような(実際は疑問だが……)ラストになっていますが、原作は全くの逆。
一切、救いはありません。

聡子に問い詰められた山名はむしろ自分のしたくても出来なかったことをやってのけた聡子に感動するほど。
しかも、山名の中で復讐についての結論は出ない。
そして、ラストは幸せだった頃の江木と由梨恵で締めとなっています。
本編に比べ希望を持たせる終わり方となっている為に、その後を考えると物凄く鬱々としたものになっています。
そして、考えさせられることになるでしょう。
だからこそ、『灰色の虹』なのですが……。

ドラマ版では灰色よりは『七色の虹』になっていましたね。
これを改良と見るか改悪と見るかは視聴者によるでしょう。

個人的には『灰色の虹』は割と貫井先生の他作品に近いところがあるので「評価としてはどうかな」と思っていたのですが、あのラストを変更してしまうと、それこそ特徴のない物語になってしまうので原作の方が良かった気はします。
ただ、『灰色の虹』よりは同じ貫井先生の『乱反射』の方がオススメです。

ちなみに貫井先生は、現在フジテレビで放送中のドラマの原作となった『七人の敵がいる』を著した加納朋子先生の旦那様。
加納先生は『ななつのこ』(東京創元社刊)が良いのでオススメ。

『七人の敵がいる』(加納朋子著、集英社刊)ネタバレ書評(レビュー)

そんな貫井先生は、最近ではNHKさん「探偵Xからの挑戦状!」に「殺人は難しい」を提供していらっしゃるのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
著作について興味をお持ちの方は本記事下部に過去作のネタバレ書評(レビュー)があるのでどうぞ!!

【貫井徳郎先生関連過去記事】
「乱反射」(貫井徳郎著、朝日新聞出版刊)ネタバレ書評(レビュー)

「慟哭」(貫井徳郎著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

「光と影の誘惑」(貫井徳郎著、東京創元社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『憑かれる(「崩れる 結婚にまつわる八つの風景」収録)』(貫井徳郎著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

『灰色の虹』(貫井徳郎著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

『オール・スイリ2012』(文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)

探偵Xからの挑戦状!「殺人は難しい」(貫井徳郎著)本放送(4月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)

「灰色の虹」です!!
灰色の虹





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