2012年05月14日

2012年5月10日の「空が灰色だから」ネタバレ批評(レビュー)

1巻も好評発売中の阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書房)。
ネット上で話題となっており、順調に版を重ねているとの情報も流れています。
実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、前回のネタバレ批評(レビュー)以降に掲載された作品をあらすじのみ、まとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力をお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年5月10日「週刊少年チャンピオン」掲載

朝、登校途中の風景。
3人の女子高生が並んで歩いている。
佐藤、田中、大垣内である。

年頃の女子高生3人が集まれば、話題は自然と彼氏のことに。
佐藤、田中は自身の経験を嬉々として語るが、1人、大垣内だけは何処か浮かぬ顔。
それもその筈、大垣内には彼氏が居なかったのだ。
「え〜〜〜、大垣内、彼氏居ないんだ〜〜〜」
佐藤と田中はそれが異常であるかのように言い募る。

話の輪に入れない大垣内そっちのけで話題は進み、何時の間にやら2股の話に。
佐藤と田中は2股が当然のように自慢し合っているが、大垣内には信じられない。
「えっ、2股はないよね」
声に出して問うてみるも、佐藤と田中の反応は次のようなものだった。

「「ありえなーい!!」」
「「大垣内、彼氏が居ないから分からないんだよ〜〜〜変わってる〜〜〜」」

2対1である、大垣内がどんなに足掻いても彼らの普通を覆せそうにはなかった。

「そういえば、大垣内って天然ぽいよね」
「うんうん」
突然、佐藤と田中により天然認定されてしまう大垣内。
「そ〜〜〜かなぁ、そう言われればそうかも」
にこやかに認める大垣内だったが……。

「「あ〜〜〜そうやって認めるところが普通っぽい」」

(普通やら、異常やら、自分たちの都合で決めてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ)
大垣内は内心、激しい怒りを燃やすが……表面上は取り繕う。

そのままコンビニに移動する3人。

「朝は缶コーヒーだよね」
「「えっ?」」
缶コーヒーを手に大垣内が同意を求めるが、またも異様な反応を示される。
「なんで、缶コーヒー?おっさんじゃないんだから」
「朝は水でしょ〜〜〜普通」
「第一、缶って!!」
「飲み切るつもりかよ〜〜〜」
佐藤と田中はそれが当然のように口にする。

納得がいかないものの、レジへと並んだ大垣内。

「袋は要りますか?」店員の問いに頷けば。
「「え〜〜〜っ、袋を貰うのかよ!!」」

「お釣りになります」店員から受け取り、そのまま財布におさめれば。
「「え〜〜〜っ、寄付しないのかよ!!」」

「あっ、これ100円多いですよ」釣り銭が誤っていたことに気付き店員に返せば。
「「普通、返さないでしょ!!」」

挙句、缶の飲み口を綺麗に拭けば。
「「なんで、拭くんだよ〜〜〜潔癖症かよ〜〜〜!!」」

袋を貰ったのは、飲み終わった缶を包んで鞄に入れる為。
お釣りを寄付するかどうかは自分の意思によるだろうし。
釣り銭が多ければ返却するのは、人として当たり前だろう。
飲み口は不特定多数の人間が触れている可能性があるのだから拭って当然だ。
悉くに難癖をつける佐藤と田中に大垣内のイライラは我慢の限界である。

そこへ止めの一撃が!!

「「そういえば、大垣内ってさぁ……」」
「食事の前に何分間も手を洗うよね〜〜〜あれって変だよ!!」
「そういえば、電話でしつこいくらい復唱確認するのも変だよ!!」
佐藤と田中はここぞとばかりに大垣内を攻撃する。

「いや、だって、手は洗わないと汚いし、復唱確認はしないと間違えるじゃない」
半分泣きながら訴える大垣内だが、佐藤も田中も聞く耳を持たない。

とうとう、大垣内の堪忍袋の緒が切れ……る前に、大垣内の心が折れた。
絶対的に否定された大垣内はどんどん精神不安定になって行く……。

そこへ追い打ちをかけるように他のクラスメートたちが通りがかる。
佐藤と田中は仲間を得たとばかりに、嬉々として大垣内の行動を伝える。

「大垣内って変わってるんだよ〜〜〜2股を理解できないんだって!!」
「そうそう、お釣り銭も返しちゃうし」
「他にも、食事前に手を洗うんだよね」
「「ね〜〜〜、大垣内おかしいよね〜〜〜」」
佐藤と田中は同意を求めるが……事情を聞いたクラスメートたちの顔色はどんどん変わって行く。

「え……と、それは佐藤と田中の方が変じゃないかな……」
「うん、大垣内が普通でしょ」
「2股はあり得ないでしょ……」
「釣り銭を返すのは当たり前だよ」
「手を洗わないなんて汚い……」
1人の呟きに皆が応じる。

一転、普通ではないとされた佐藤と田中。
大垣内は先程までとは逆に味方を得て息を吹き返す。

「ねぇ、佐藤と田中の方が変だよね。大垣内」
同意を求められた大垣内は……。

「うん、普通じゃないよね」
ニッコリと微笑むのだった―――エンド。

<感想>

2012年5月10日掲載のものです。
何気に問題作ですね。

普通にありそうな苗字の佐藤と田中、珍しい苗字である大垣内の対比を軸に「普通」と「それ以外」について語った本作。
普通そうな苗字の佐藤と田中こそが普通ではなかったとの結論がまたなんとも。

例えどんなに正しくても、他の全員が正しくなければ、正しい者こそが正しくなくなる。
悪の世界では正義こそが異質であるように。

例えば、服を着ることが常識の世界だからこそ、裸は異質となります。
ところが、裸が通常ならば、服を着ている人はその世界では異質な存在とみなされます。

普通や常識とは大多数の意思により決定されるのです。
そう、大垣内と佐藤、田中がそうであったように。

男性はズボン、女性はスカートという常識があります。
男性がスカートを履くと異質に思われるでしょう。
しかし、これが民族衣装やある特定の場所ならば許される場合もある。

常識や普通には特例があり、場所や時期により変容する場合もある。

他にも男性は青色、女性は赤色というイメージがあります。
男性が赤い服に身を包むのは異質……って、某赤い彗星が居たか。

つまり、常識や普通は決して絶対的なモノではない。

このように、常識や普通であることは立場によって変わる曖昧なモノと言えるでしょう。
社会の構成員である以上は、その社会の常識や普通こそが優先されます。
その社会の中でさえ、小さなグループが存在し、グループごとの常識や普通が存在するのかと思うと驚きですね。

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。

従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』に通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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