2012年07月31日

『猫弁と透明人間』(大山淳子著、講談社刊)

『猫弁と透明人間』(大山淳子著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

天才弁護士・百瀬のもとに、一通のメールが届いた。
「はじめておたよりします。ぼくはタイハクオウムが心配で、昼も眠れません。 透明人間より」
そのメールは法廷に立たずに事件を解決するゴースト弁護士、沢村から送られたものだった。ひきこもりで人と話せない沢村は、自らが解決した事件の結末が気になり、オウムの行く末を百瀬に託す。
この依頼人はきっと困っているはずだ――。百瀬はタイハクオウムを救い出し、メールを手がかりに透明人間の正体を探る。沢村が取り組む医療ミス問題に不審な点を発見した百瀬は、奇跡の弁護で法廷の流れを逆転させる。
果たして百瀬は、オウムを、ゴースト弁護士を、患者を、救うことができるのか?
(アマゾンドットコムさんより)


<感想>

『猫弁 天才百瀬とやっかいな依頼人たち』シリーズ続編です。

前作ラストにて亜子に告白された百瀬。
2人はあの後、どうなったのか―――との読者の誰もが思ったであろう謎に答えが出されています。
告白が成功している以上、物語的に展開の選択肢は少ない筈ですが、流石は猫弁。
「成功しているように見えて成功していない」と来たか。
確かに2人は相思相愛ですが、奥手のあまり「告白が成功しているのか分からない」ところからスタート。
そういえば、前作ラストで百瀬はきちんと答えていなかったなぁ……なるほど。
でもって、此処から「ネタバレあらすじ」のスタートまで進むワケです。
この間、前作の読者はやきもきしっ放し。
ある意味、読者こそが百瀬の母的立ち位置に……ついつい見守ってしまう。

これと並行して事件が進んで行くのは、前回と同じ。
事件自体は些か弱いが、その結末には安堵する筈。

前作を読んだ方は是非!!

<ネタバレあらすじ>

前作の告白により、大福亜子と交際を始めた百瀬。
だが、彼の人となりに相応しく、その交際はぎこちないものだった。
もともと、百瀬は恋愛に強くない。
さらに、数多のカップルを成立させた亜子の剛腕も自身の恋愛にはからっきし。
結婚相談所の後輩・春子に後押しして貰う状態であった。

百瀬のもとに謎のメールが届いた。
メールの差出人は「透明人間」。
その内容は「タイハクオウムを救って欲しい」とのものだった。
百瀬はこのメールの依頼を受けて、杉山という名のタイハクオウムを保護する。

一方、「法律王子」として売出し中の弁護士・二見にはある秘密があった。
常に連戦連勝する二見だが、実はその法廷戦術はすべてブレーンの発案によるものだった。
そのブレーンの名は沢村。
沢村は引き籠りになってしまっており、表に立てない彼に代わり二見が弁護士として活躍していたのだ。
弁護士として稀有な才を持つ沢村、人の心を掴むことに長けた二見、この2人こそが「法律王子」の正体であった。
そして、沢村こそ百瀬の依頼人「透明人間」だったのである。

最近の沢村は二見の野心に引き摺られがちであった。
少しずつ、二見の方針に疑問を抱く沢村。
ついに自身が事件に関与したことで誰かを辛い目に遭わせているのではと悩み始める。
タイハクオウムの件もある事件の産物であり、以前から自身を上回る天才だと認めていた百瀬に託したのだ。

とある医療ミス訴訟が発生。
消防士の男性が医療ミスにより重体になっていたのである。
男性の妻子は病院側を訴えた。

この訴訟で二見は病院側につく。
沢村に弁護のシナリオを書かせる二見。
だが、沢村は原告側である消防士とその妻子の存在を知り密かに二見を裏切る。
証拠品となるであろう電子カルテを改竄し、病院側のミスを立証出来るようにしたのだ。
これで弱者を救うことが出来る……沢村は安心していたが。

百瀬もまたひょんなことからこの事件に関わることとなった。
証拠品の電子カルテを一目見た百瀬は顔を顰める。
それから数日、百瀬は人知れず奔走するのだった。

沢村の所在をマルボロを手掛かりに突き止めた百瀬。
此処に2人の天才弁護士は出会うことに。

「法律はすべての人を幸せにすることが出来る筈だ」と考える百瀬。
「法律は勝敗を分けるもので、勝者のみが幸せになれる」とする沢村。
沢村は百瀬に反発を感じる。

そこへ、激怒した様子の二見が現れる。
「よくも騙したな!!」
ここまでは沢村の計画通りだった。
だが、ここからが違った。

「相手の弁護士にまで入れ知恵しやがって、何がしたかったんだ?」
二見はそう叫んだのだ。

沢村はそこまでしていない。
一方的に絶交宣言すると去って行く二見。
沢村はワケも分からず呆然としていたが、やがて百瀬の仕業と気付く。

「一体、何をした?」
詰め寄る沢村に百瀬はすべてを明かす。
あのままでは、一方的に病院側に責任が課せられ担当の麻酔医が被害に遭う。
そこで、消防士に起こったことの原因を調べた上で、特殊なケースであり病院側の責任はゼロではないが低いことを突き止めたのだ。
その上で、妥協できる和解案をまとめた。
沢村のシナリオを上回るシナリオを書いたのだ。

これにより、被害者家族には困らない程度の慰謝料が。
病院側は必要以上の悪評を立てられることなく、訴訟が終焉することとなった。
こうして、原告被告双方が納得した上で和解したのであった。

自身の想像を軽々と上回った百瀬に、沢村は自身の考えが間違っていたことに気付く。
そして、自分もまた表舞台に立ち、百瀬のように人々の幸せの為に戦うことを決意するのだった。

数日後、亜子は春子の提案で両親と百瀬を引き合わせることに。
百瀬は精一杯のオシャレをして亜子の両親に挨拶を。
だが、亜子の父は大の猫嫌いであった。
娘を盗られるかもしれないと警戒する気持ちもあって、猫好きの百瀬を認めようとしない。
遂には百瀬の母親を貶したことで、亜子と衝突し物別れに終わってしまう。

こうして、亜子の作戦は失敗に終わった。
だが、百瀬は逆に「人の親とはああいうものなんですね」と感心。
「自分にとっての家族は事務所の人たちだから」と亜子を婚約者として紹介したいと誘うのだった。

タイハクオウムは沢村に引き取られることとなった。
一度は怒った二見だが、今では沢村の帰還を待っている。
透明人間はもう現れないだろう―――エンド。

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