<あらすじ>
社長の桶谷千代子(冨士眞奈美)を筆頭に、若女将の桶谷松子(名取裕子)と番頭の升田善蔵(でんでん)、社員の西谷拓馬(西尾浩行)で切り盛りしている下町の小さな葬儀社・桶谷葬儀社に、葬儀の依頼が入った。亡くなったのは、結婚式場を経営する天翆閣の社長・富永肇(中山敬一)で、5年ほど前に寝たきりとなって以来、次男・和彦(升毅)の妻・友美(藤田朋子)が面倒を見ていた。松子たちが納棺の儀を進めていると、肇の遺品を整理していた友美が、書斎で便箋を見つける。それは肇の遺言状だった…。
通夜には、天翆閣と長年取引がある橘花壇の社長・橘凛太郎(仲本工事)の力添えもあり、見事な菊が供えられた。凛太郎は肇に恩義を感じ、和彦の息子・純(佐藤琢磨)が拾ってきた犬も代わりに飼っているのだという。通夜は、和彦の愛人で花屋を営む佐伯悠子(中野若葉)が弔問に訪れるハプニングがあったものの、無事に終了する。
その後の通夜振る舞いの席上、総務部長の斎藤(石丸謙二郎)から、親族たちに向けて、肇の遺言状が見つかったこと、その中には「会社は和彦に譲る」と書かれていたことが明かされる。親族からは署名や捺印が無い遺言状の信憑性を疑う声があがるが、達彦と和彦の間で話し合いが行われた結果、社長には次男の和彦が就任し、達彦にはそれに見合う資産が分けられることが決まった。
しかし、和彦が社長に就任して以降、兄弟の間には少しずつ溝が生まれる。さらに和彦は、長年取引をしていた橘花壇にも突然契約の打ち切りを告げ、何の断りも無しに愛人の悠子が営む花屋に乗り換えてしまう。
そしてその直後、天翆閣の社長室で、和彦の遺体が発見された。達彦からの社長就任祝いであるペーパーナイフで胸を刺されていた。連絡を受けて急ぎ和彦の遺体を引き取りに来た松子は、和彦の頬に赤いカブレができていることに気付く。その時、松子の脳裏に肇の顔がよぎった。実は、肇の遺体の頬にも和彦同様に赤いカブレがあったのだ!
捜査にあたることになった警視庁捜査一課の河本(阿南健治)たちは、和彦から出入り禁止を言い渡されていた橘花壇の凛太郎に疑いの目を向ける。ところがその最中、新たな殺人が起きてしまい…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
総務部長の斉藤が天翆閣の乗っ取りに動き出した。
達彦は対抗策を練るが、友美の白紙委任状など用意周到な斉藤の前に手も足も出ない。
達彦は会社を奪われてしまう。
ところが、その夜に斉藤が殺害された!!
容疑は達彦に向くが……。
達彦は確かに斉藤宅を訪れたものの、すぐに帰ったと証言する。
達彦を訪ねた松子。
肇と和彦の顔にあった赤いカブレについて尋ねてみると、犬アレルギーではないかとの返答が。
矢先、千代子が倒れて入院してしまう。
見舞いに現れた橘は犬を連れていた。
和彦の息子・純に預かったらしい。
和彦が犬アレルギーだったことを思い出した松子は試みに橘に尋ねてみる。
すると、意外な事実が……和彦の妻・友美が犬好きだと言うのだ。
松子は友美に注目し始める。
斉藤宅を調べると、友美の持ち物である数珠が残されていた。
一方、匿名の電話から斉藤が達彦の帰宅後も生存していたことが判明。
達彦への容疑が晴れる。
直後に、純を残し友美が姿を消す。
松子は達彦と共に友美を追い、その実家へ向かう。
途中、友美との会話の中で聞いた昇仙峡へと移動。
そこで自殺しようとしていた友美を発見、保護する。
和彦の遺体の第一発見者は友美だった。
友美は遺体に触れてしまった。
そこで、アレルギーの為にカブレが起こったらしい。
肇の葬儀の日、斉藤は友美に社長の座が欲しくないかと持ちかけて来た。
このままでは達彦が継いでしまう……和彦と純に継がせたかった友美は斉藤の誘いに乗ってしまう。
これが間違いだった。
斉藤は肇の遺書を偽造し、和彦を社長に据えた。
これにより、斉藤は常務の座を要求した。
友美は和彦に相談を持ちかけた。
これに和彦は激怒。
「父と兄に申し訳が立たない。離婚してくれ」と主張する。
揉み合いになった友美は和彦を気絶させてしまう。
しかし、友美は殺してしまったと勘違いし、斉藤に助けを求める。
これが大間違いだった。
生きていた和彦は斉藤を詰問。
逆上した斉藤が和彦を刺殺したのだ。
これに気付いた友美は斉藤を殺害したのだった。
しかも、友美は肇も殺害していた。
肇のカブレもアレルギーによるものだったのだ。
この為に友美は斉藤の言いなりにならざるを得なかったのだ。
友美の父は病気で苦しんで死んでいた。
そこで、肇を楽に死なせたかったらしい。
「そんことは言い訳にもならない!!」と達彦。
警察に匿名の電話をしたのは友美だった。
「だからって感謝しろと!?」達彦は慟哭する!!
こうして事件は解決した。
数日後、千代子がおにぎりを握りながら死亡した。
会社を奪われた達彦は桶谷葬儀社に勤めることになった―――エンド。
<感想>
「葬儀屋・松子の事件簿」シリーズ第1弾。
原作はなし、オリジナルです。
では、ドラマ版の感想を!!
評価が難しいが、なんだか凄い気がする。
ともかく、ラストが凄かった。
友美の犯行動機が画期的すぎる。
「〜〜〜だと私が思ったから」ですべて殺人を行ってしまうとは!!
そして、何故、よりにもよって斉藤に助けを求めるのか?
さらに、何故、斉藤を殺害しなければならないのか?
しかも、それで友美自身は何の利益も得ていない(最終的に何も得ていない)のが凄い。
まさに脅威である。
そもそも、肇を殺害したから和彦の相続問題が発生している。
つまり、すべて友美が発端なのだ。
それを、他人の所為にしてしまえる……恐ろしいとしか言いようがない。
友美自身に利益はない……それは本当だろうか?
いや……利益はあった。
肇殺害で介護からの解放。
和彦殺害黙認により離婚回避。
斉藤殺害で上記の2件の口封じ。
どれも意識しての行動ではないらしいことが心底恐ろしい。
もう、このキャラを登場させただけで本作は記憶に残る作品となった。
話の内容なんてぶっ飛んだ、友美のインパクトが凄すぎる。
友美、怖いぐらい短絡的だし……。
感受性が強過ぎるのか?
それと、和彦と純のためと言いつつ、斉藤の跳梁を許したのは自身の保身の為だと思うが……。
純を捨てて自殺しようとするし。
いかん、同じことを繰り返している……恐るべし友美。
思えば、達彦のツッコミはすべてにおいて的確だった。
アレこそが製作者サイドの狙いだったのだろうか。
一旦、冷静になろう……。
うん、友美は除いて感想を述べよう。
ラストの千代子のおにぎりもインパクトがあった。
なんだか本作はインパクト勝負のところがあるなぁ。
ちなみに求めちゃいけないんだろうけど、ロジックが成立していない。
達彦が斉藤宅を出たときに斉藤が生きていたからって達彦が殺害していないとは限らないだろうに。
準備を整えて戻ったことも考えられるし。
アレルギー反応があったから友美が犯人ともならないしね。
犬を飼っている人がいればすべて可能性があるワケで。
いろいろ、ロジック面では問題があり過ぎだろう。
でも、友美のキャラがある限り、凄いよ。
ラストで達彦もレギュラーに加わっているし、シリーズ次作が物凄く気になるドラマだ。
<キャスト>
桶谷松子:名取裕子
桶谷千代子:冨士眞奈美
富永達彦:田中健
富永友美:藤田朋子
升田善蔵:でんでん
富永和彦:升毅
斎藤悠一郎:石丸謙二郎
橘凛太郎:仲本工事
河本太郎:阿南健治
宮内知念:江藤漢斉 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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