2012年05月26日

2012年5月24日の「空が灰色だから」ネタバレ批評(レビュー)

1巻も好評発売中の阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書房)。
ネット上で話題となっており、順調に版を重ねているとの情報も流れています。
実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、前回のネタバレ批評(レビュー)以降に掲載された作品をあらすじのみ、まとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力をお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年5月24日「週刊少年チャンピオン」掲載

中学3年生の真子は夏休みを利用して小学3年生の従弟・響平の家へ遊びにやって来た。
実に1年ぶり、翌日からは受験を目的とした塾が始まる為に1泊のみの予定である。

1年ぶりの響平は去年と変わらず生意気で憎まれ口を平然と叩く。

「(真子が)来てくれて嬉しい」と口にしたかと思えば「夕食が唐揚げになるから」。
「好きな人が居てさ、年上なんだ」と口にしたかと思えば「あはは、自分だと思った?」。

そのペースに巻き込まれた真子だが、何処か憎めない響平を可愛く思う。

その夜、響平の部屋に泊まることになった真子。
響平は「もう1泊しろよ〜〜〜」と希望を述べるが、出来る筈もない。
「うん、塾休みたいから出来たらいいんだけどね……」と婉曲に否定する。
困った真子は「好きな人にはあんな嘘を吐いちゃ駄目だよ」と昼間の響平の行為を窘める。
何故か素直に頷く響平。

翌夕。
響平が目を覚ますと、真子が帰り支度を始めていた。
ワケが分からず驚き慌てる響平は叫ぶ。

「え?なんで帰るの?まだ居るって言ったじゃん」

どうやら、真子の否定の言葉を自分に都合のいいように解釈していたようだ。
そのまま怒り出す響平、その怒りは止まらない。

「嘘吐き、嘘吐き、嘘吐き」
「好きな人には嘘を吐くなって言ったじゃないかよ!!アレも嘘かよ」

響平の母は響平を宥めにかかるが、響平は裏切られたと思ったショックからか攻撃的な言葉を繰り返す。
遂には……。

「もう2度と来んな!!」

と禁断の言葉を口にしてしまう。
笑顔で別れたかった真子だが、思わぬ展開に傷付いたまま帰宅することに。

「少し大人になったと思ったんだけどな……」
帰り道、真子の瞳には涙が溜まっていた―――エンド。

<感想>

2012年5月24日掲載のものです。

人と人の関わりを描いた作品ですね。
響平は真子に幼い恋心を抱いており、それだけに真子の言葉を自身が都合よく解釈したにも関わらず、真子が裏切ったと思い込み許せなくなってしまったのでしょう。
子供のことだからと断ずるのは簡単ですが、大人でさえも些細な行き違いが原因で決して本心ではない言葉を口にしてしまうことがあります。
それを思えば、誰しもありうる事と言えるでしょう。

ああ、かくも人と人とが理解し合うことは難しいのでしょうか!!
皆さんも本意ではない言葉を思わず口にすることは気をつけましょう。
相手も、そしてあなた自身も傷付くことになります。
本作の真子と響平がそうであるように。

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。

従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』に通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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