<あらすじ>
昭和35年、東京・赤坂のダンスホールで一人の踊り子が殺害される。東京地方検察庁の検事・小野木喬夫(沢村一樹)は、容疑者を追って山梨へ。そこで、小野木は美しい女性と出会う。まるで樹海に日陰に咲く花のように切なく、はかなげな女性のたたずまいに、小野木は思わず心を奪われてしまう。
東京に戻った小野木は、踊り子殺しの裏には、建設省をめぐる汚職事件が絡んでいることを知る。巨悪を暴くためには、なんとしても容疑者を確保しなければならない。だが、その思い虚しく容疑者は自殺。小野木らは手がかりの一つを失う。
そんな中、山梨で会った美女から小野木に連絡が入る。黒田頼子(羽田美智子)と名乗る女性との再会に、小野木は心を躍らせる。頼子には家庭があるのではないか? 小野木はそう直感するのだが、ほとばしる感情を抑えきれず…。
(公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
ダンスホールの踊り子・寺島茂子が殺害された。
実は寺島茂子は建設ブローカーの結城庸夫の手先、官僚を籠絡する為に利用されていた人物であった。
東京地方検察庁の検事・小野木喬夫は建設ブローカーによる不正疑惑を追及しており、この事件に強い興味を抱く。
容疑者である不正に関連した官僚の1人・梨本を追った小野木だが、梨本は殺害されてしまうのだった。
梨本の死の影に結城が居ることを突き止めた小野木は、彼を検挙するべく特捜本部に参加、追及を始める。
だが、一方で梨本を追っていた際に出会った黒田頼子を名乗る女性に強く惹かれて行くのだった。
やがて、頼子と関係を結んでしまう小野木。
小野木は知らなかった頼子が結城の妻・結城頼子であることを……。
同じ頃、結城は頼子が浮気していることに気付く。
自身の浮気を棚に上げ、嫉妬に駆られた結城は頼子の浮気相手を探り出し、その顔を見ることに成功するのだった。
矢先、小野木は遂に不正を行ったブローカーと官僚連を一斉に検挙する。
此の中にはもちろん、結城も含まれていた。
結城の自宅を訪れた小野木は、自身の愛した女性が結城の妻であることに初めて気付く。
戸惑う小野木だが、頼子への愛は揺らがなかった。
そんな小野木に頼子も結城との離婚を決意する。
しかし、そう上手くことは運ばなかった。
小野木の顔を知る結城は彼が担当検事であることを知り、これを利用する術を思いつく。
捜査の為に頼子を籠絡したと色仕掛けによる違法捜査を主張しようとしたのだ。
これを知った頼子は進退窮することに。
このままでは、小野木は破滅してしまう……。
一方、寺島と梨本を殺害した結城の部下・吉岡も逮捕された。
しかし、犯人の取り調べに小野木は参加できない。
結城の主張が小野木の上司の耳にまで達した為である。
蚊帳の外の小野木は、寺島が結城を脅迫した為に殺害されたことなどを供述する吉岡をじっと眺めていることしか出来なかった……。
そんな小野木の周囲は激しく蠢いていた。
小野木と頼子……担当検事と被疑者の妻の道ならぬ関係がマスコミへもリークされた。
さらには、被疑者の妻の弱い立場に漬け込み、小野木が関係を強要したとまで噂される。
心折れそうになる小野木だが、上司の励ましもあり、頼子の取り調べに踏み切る。
小野木も頼子も互いに距離を取り、よそよそしく接する。
頼子は結城が賄賂を贈ったこと、寺島と梨田を殺害したことを証言。
さらに、巷間噂される小野木との関係も真っ赤なウソであると否定する。
小野木を愛する頼子一世一代の嘘である。
これで無事に終わるかと思われたが……。
頼子を愛する小野木は頼子の嘘を許せなかった。
「僕は頼子と結婚する」
取り調べ中にも関わらず、錯乱状態に陥る小野木。
そんな小野木を見た頼子は彼に感謝すると共にある決意を固める。
翌日、頼子は収監された結城を訪れ別れを告げる。
「お前は命綱だ、お前と小野木のスキャンダルが俺を救う」と嘯く結城だったが、頼子の表情を見て言葉を失う。
「頼む、生きてくれ……」弱々しい結城の懇願も頼子の耳には届かなかった。
頼子は1人、樹海の中を進んで行く。
その先には何があるのか……。
エピローグ
結城は実刑判決を受けた後、3年後に病死した。
小野木は検事を辞めて弁護士となった。
一生涯、独り身を通し、頼子の消えたとされる樹海をたびたび訪れている姿が目撃されている。
そして30年後、病死した。
頼子を知る者はもう居ない―――エンド。
<感想>
原作は松本清張著『波の塔 上下』(文藝春秋社刊)。
過去記事にてネタバレ書評(レビュー)がありますね。
・『波の塔 上下』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
原作に少しアレンジ加えていましたね。
原作の特徴をより強調したアレンジだったように思います。
ラスト部分のそれは顕著でした。
原作ではドラマのエピローグ部分が存在しないので、頼子を巡る2人の男の姿をより強調した形になりましたね。
管理人的には「秘めるが花」的な原作の方が好きですが、こちらもアリかな。
蟹江さんのナレーションも重厚で耳に心地よかった。
全体的になかなか良かったように思います。
と、そんな頼子ですが来週には追われる者(の妻)から追う者(本人)に転身し警視となります。
そう「おかしな刑事」の第9弾が放送です。
次週も楽しみですね!!
松本清張先生といえば『熱い空気』や『寒流』もドラマ化が決定しており、こちらも目が離せません。
・『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・「家政婦は見た!」がドラマ化決定、タイトルは原作通り『熱い空気』に!!
・松本清張先生『寒流』(新潮社刊『黒い画集』収録)がドラマ化されるとのこと!!
<キャスト>
小野木喬夫(42):沢村一樹
独身の検事。検事の仕事を淡々とこなしていたが、偶然出会った結城頼子に惹かれ、深く愛してしまう。
結城頼子(30):羽田美智子
悪徳ブローカーの妻。破綻した夫婦関係が続いていたが、離婚に踏み切れない理由があった。聡明な美女。
石井哲夫(東京地検・刑事部副部長):佐野史郎
田沢輪香子(田沢の娘):市川由衣
吉岡進(ブローカー・元総理の隠し子):杉本哲太
林高文(弁護士):田山涼成
源田(弁護士・元検事正):山本學
蝶丸(芸者・西岡蝶子):遊井亮子
笹尾豪(建設省・大臣):平泉成
田沢隆義(建設省・外渉局長):西岡徳馬
結城庸夫(頼子の夫・ブローカー):鹿賀丈史 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
◆松本清張先生関連過去記事
【小説】
・「霧の旗」(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「書道教授」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・「球形の荒野」(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『寒流』(松本清張著、新潮社刊『黒い画集』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『市長死す』(松本清張著、光文社刊『青春の彷徨』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『熱い空気』(松本清張著、文芸春秋社刊『事故―別冊黒い画集1』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『波の塔 上下』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・松本清張先生原作「砂の器」が5回目のテレビドラマ化決定。テレビ朝日制作、主演は玉木宏さん!!&「砂の器」ネタバレあらすじ
【ドラマ】
・月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年スペシャル「中央流沙」(12月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン特別企画 松本清張生誕100年記念スペシャルドラマ『火と汐』(12月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・松本清張ドラマスペシャル「顔」(12月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ「松本清張ドラマスペシャル 山峡の章」(1月29日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・生誕100年記念作 松本清張ドラマスペシャル〜霧の旗「歌舞伎界のプリンスが現代劇初主演!原作と異なる衝撃のラスト!魔性の女3人に振り回される傲慢敏腕弁護士誰もが陥る心の闇と罠の先に待つ真実の幸せとは?真犯人は誰?」(3月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・金曜プレステージ 文化庁芸術祭参加作品 松本清張2夜連続SP球形の荒野・前編「連続殺人の裏に隠された昭和史の光と影〜奈良古寺に残る亡霊の筆跡!」(11月26日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜プレミアム 松本清張2夜連続SP球形の荒野・後編「昭和39年東京オリンピック開催日にすべての謎は明かされる!刑事も涙した戦争で引き裂かれた父娘の結末」(11月27日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に放送へ!秋田−東京−伊勢−出雲、日本縦断3000キロの殺人捜査!!操車場の死体とカメダの謎!?二人の刑事が追う宿命…」(9月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・サスペンス特別企画「砂の器〜松本清張の最高傑作遂に完結へ!日本縦断3000キロの捜査が暴く連続殺人の罠!?二人の刑事が見た父子永遠の旅!!天才作曲家の殺意…衝撃の結末」(9月11日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「松本清張3週連続スペシャル 張込み〜平凡な幸福を壊す殺人者!美しい人妻の秘められた過去!密会現場で刑事が最後に見た真実(3週連続松本清張特別企画“張込み” 強盗殺人犯追う刑事逃亡の果てに昔の女は家族を捨てるか?)」(11月2日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「松本清張3週連続スペシャル 鉢植を買う女〜愛したから殺した!?金に執着する女2人の戦い!死体が語る消えた3000万と花壇の謎(3週連続松本清張特別企画“鉢植を買う女” 愛する殺人…優雅な暮らしの金貸し女が愛欲に溺れたとき、不幸は始まった)」(11月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・水曜ミステリー9「松本清張企画最終章 聞かなかった場所〜謎に満ちた夫の急死!燃える山鹿灯籠が暴く愛人との密会…女性官僚が堕ちた獣道(3週連続松本清張特別企画“聞かなかった場所” 夫に愛人が?女性官僚が堕ちた罠…俳句に隠された密会の屋敷)」(11月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・松本清張没後20年特別企画『市長死す 死体になるまでの5日間に市長が見たものは何か?日記に隠された市長の意外な一面が驚くべき真実を浮かび上がらせる!たった一行の文章に秘められた誰も知らない12年前の出来事…53年ぶりに隠れた名作を映像化!』(4月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
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