2012年05月29日

『波の塔 上下』(松本清張著、文藝春秋社刊)

『波の塔 上下』(松本清張著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

若き検事と被疑者の妻の悲恋を描く異色ロマン

愛した女性は被疑者の妻だった。衝撃の事実は若き検事を悩ませる。現代社会の悪に阻まれる悲恋を描いたロマンチックサスペンス

・上巻

R省の局長を父にもつ田沢輪香子は、旅で知り合った考古学好きの青年と深大寺で再会する。和服の女性と一緒のその青年は小野木喬夫といい、東京地検の新任検事であった。喬夫と連れの女性・結城頼子は何度かの逢瀬を重ねてきたが、頼子は喬夫に素性を明かすことはなかった。輪香子はその後、喬夫と交流をもつようになる。

・下巻

結城頼子の夫は政治家がらみの情報ブローカーで、R省を舞台にした汚職事件に深く関わっていた。特捜部の担当検事として捜査をし、喬夫は初めて頼子の真の姿を知る。悩んだ末に新たな道に踏み出そうとする喬夫だが……。新任検事と被疑者の妻の悲恋を、彼に憧れる若い女性の思慕と対比して描いた異色の恋愛小説。解説・西木正明
(文藝春秋社公式HPより)


<感想>

ある男女の愛を描いた作品です。
2人の愛はどんな結末を迎えるのか……これが本作のキモ。

献身的な愛を貫く頼子の姿は胸を打つことでしょう。
ネタバレあらすじはかなり端折っているので、是非、本作を読んで頂きたい。

ちなみに『波の塔』は2012年6月23日にドラマ版が放送されるそうなので、そちらも注目!!
松本清張先生といえば『熱い空気』や『寒流』もドラマ化が決定しており、こちらも目が離せません。
情報については過去記事をどうぞ!!

<ネタバレあらすじ>

小野木は頼子と出会い、恋に落ちた。
それは2人にとって純愛であった。

しかし、小野木は頼子の素性を全く知らなかった。
やがて、小野木は自身の職業……検事として意外な形で頼子と関わることとなる。

頼子は人妻。
夫は汚職事件の中心人物・ブローカーの結城であった。

小野木は結城の関わる事件を追う内に、被疑者の妻として頼子と再会し素性を知ったのだ。
しかし、小野木の頼子への愛は止まらなかった。

やがて、結城は収監されることとなる。
結城には複数の愛人が居り、頼子は離婚した上で小野木のもとへ向かうことを決意する。

だが、結城は妻の裏切りを許さなかった。
小野木と頼子の関係をスキャンダルとして世に告発したのだ。

小野木は休職に追い込まれる。
それでも、小野木の頼子への愛は揺らがない。
連絡を取り合った2人は駅で落ち合うことに。
小野木にとって頼子が居てくれさえすれば、他には何も要らなかった……そう、命でさえも。

ところが、頼子は待ち合わせに現れない。
不安に駆られる小野木。
やがて、彼は気付く―――頼子の真意に。
そして、絶望するのだった……。

一方、頼子。
頼子は小野木のもとへ駆け出したい気持ちを必死に抑えていた。
もしも、小野木のもとへ向かえば……それは小野木の命を奪ってしまうことになる。
だから、どうするべきか……頼子はすでに心に決めていた。

頼子は地元の農夫の注意を耳にしつつ、敢えて一度入れば戻れぬ樹海へと駆け出して行く。
それこそが、頼子の小野木への愛の形であった―――エンド。

松本清張没後20年特別企画「ドラマスペシャル 波の塔 汚職官僚連続殺人!!捜査検事に仕掛けられた女の罠!?“点と線”に続く大ベストセラーを完全映像化!東京〜京都〜富士、証言者を追う1000キロの旅衝撃の結末」(6月23日放送)ネタバレ批評(レビュー)

◆松本清張先生関連過去記事
【小説】
「霧の旗」(松本清張著、新潮社刊)ネタバレ書評(レビュー)

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松本清張没後20年特別企画『市長死す 死体になるまでの5日間に市長が見たものは何か?日記に隠された市長の意外な一面が驚くべき真実を浮かび上がらせる!たった一行の文章に秘められた誰も知らない12年前の出来事…53年ぶりに隠れた名作を映像化!』(4月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)

【情報】
「家政婦は見た!」がドラマ化決定、タイトルは原作通り『熱い空気』に!!

松本清張先生『寒流』(新潮社刊『黒い画集』収録)がドラマ化されるとのこと!!

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 書評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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