2012年06月05日

『狙われた病室(監禁探偵2)』1話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』1話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<登場人物一覧>

アカネ:轢き逃げに遭い実日会総合病院に入院。記憶を喪失しているようだ。前作のアカネと同一人物?
多岐川:実日会総合病院の外科医。アカネの手術を担当。
米山:実日会総合病院の看護師長。
宮本:実日会総合病院の研修医。
拓人:子供。実日会総合病院の入院患者。

<1話ネタバレあらすじ>

とある夜、1人の女性の身体が中空を舞い地面に激突した。
もちろん、自らの意思によるものではない。
車に轢かれたのだ。

彼女を轢いた車の運転手は、少し離れた所で彼女の様子を眺めると、意を決しそのまま車を発進させた。
轢き逃げである。

実日会総合病院―――外科医である多岐川は救急外来入り口で煙草を吹かしていた。
最近は病棟内では禁煙、禁煙と煩いのだ。
そこへ、1人の女性患者が搬送されるとの報が届く。
どうやら、轢き逃げされた女性が運び込まれるらしい。

危険な状態とのことで緊急オペが開始、多岐川は見事なメス裁きで患者を救う。
看護師長・米山、研修医・宮本は多岐川の手腕に感嘆するのだった。

轢き逃げ事件の報を受けて、警察が到着。
被害者の身許を調べるも、身分を証明するような所持品は一切、見つからない。
免許証どころか携帯すらなかった。
犯人が持ち去ったのかとも思われたが、ハンカチなど小物を仕舞っていたポーチは残されており、わざわざポーチを開けて携帯だけを盗んだとも思いにくかった。

翌朝、患者の意識が回復した。
ところが、患者は自身が何処の何者か分からないと述べる。
そう、事故のショックだろうか、記憶を喪失しているのだ。
所持品のハンカチに記載されたアルファベットから、彼女はアカネと呼ばれるように。

轢き逃げの上に、記憶喪失―――アカネにとっては泣きたくなるような状況である。
ところが、まだまだ終わりではなかった。

ベッドの上に横たわるアカネを物珍しげに眺める影が1つ。
その正体は、骨折により入院している少年・拓人。
拓人は、アカネにととと……と走り寄ると思わぬ事を告げる。

「お姉ちゃん、ついてないね。ここ、幽霊病院なんだよ……」

果たして拓人の語る「幽霊病院」の意味とは―――2話に続く。

<感想>

2010年8月に『漫画サンデー』で連載されていた『監禁探偵』の続編です。
原作&作画は前作同様、我孫子武丸先生原作、西崎泰正先生画。
『監禁探偵』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。

「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ

さて、第1話ですが。

いきなりショッキングなシーンから始まりました。
轢き逃げです。
しかも、被害者は前作にも登場したアカネの様子。
ただ、別人の可能性もある……ここで疑うべきは、アカネの真贋。

まず、「轢き逃げされたアカネは本当に前作のアカネと同一人物なのか」と言う点。
次に、「冒頭にて轢き逃げシーンがあったが、あれは本当にアカネの轢き逃げを描いたものか」も気になる。

最初の疑問は「アカネとされる人物がハンカチに刺繍された名前によってのみ確認されている」ことから生じます。
さらに、記憶喪失設定も加わっている為に真贋の判断が出来ない。
つまり、入院中の人物がアカネであるとは作中では一切保証されていないことになります。

確かに、入院中のアカネとされる人物の容貌は前作のアカネとそっくりです。
しかし、整形により姿を変えた別の人物の可能性は捨てきれません。

そして、2つ目の疑問点「あの轢き逃げシーンで轢かれた被害者は入院患者・アカネと同一か」。
あのシーン自体が、カットバックなど、時系列を意図的に錯綜させている可能性も捨てきれない。

この両者のメリットは、読者に探偵役を誤認させることで真犯人をカモフラージュできること。
特に前作『監禁探偵』の存在が「アカネは探偵役」との強力なミスリードを生むことも期待できる。
つまり、もしもこの仮説が正しければ「アカネを名乗る人物こそが犯人」ということも起こりうる。
当然、その場合は後半に本物のアカネが登場し、事件を解決に導く筈だ。

但し、この「アカネについて」の疑惑は今のところ、確たる根拠に乏しく「とも考えられる」レベルに留まるもの。
到底断言できるものではなく、したがって、現状では「轢き逃げに遭った人物は前作のアカネ」であるとし、また、冒頭の描写も「アカネの轢き逃げシーン」であると基づいて推理を進めて行くことにします。

一応、これについては以下の様な理由も存在しています。

・一応、轢き逃げシーンにてゴスロり服に身を包んだアカネらしき人物の姿があること。
・それと、特に包帯で顔を隠している様子もないので本物と思われること(整形の可能性はあるが……)。

さて、あのアカネが本物だとすると、彼女こそが探偵役。
前回が「監禁による安楽椅子探偵」だった(終盤、このスタイルは崩れましたが)事に比べ、今回は「病室」と「記憶」の2重の「監禁」の様子。
身体的に「病室」から身動きがとれず、精神的に「記憶喪失」で身動きとれずというところか。
この「監禁」状態から如何に抜け出すかが、キモとなりそうです。

ラストで入院患者の少年・拓人が登場していますが、おそらく彼が今回の亮太ポジション(ワトスン役)と思われますね。
アカネに情報を提供し、推理を促す人物と思われます。

そして、今回の「推理すべきポイントは何か」も気にかかります。
拓人の口から「実日会総合病院は幽霊病院である」との情報が既に与えられており、これが事実ならば「幽霊の出る病院」ということが考えられるでしょう(或いは「医療事故の多い病院?」)。
もしも、「幽霊が出る」のだとすれば、その幽霊がこれから殺人を犯す可能性アリ。
この「幽霊の正体」を突き止めるのか?
それが、アカネ轢き逃げ犯の正体に繋がるのか?
謎が多いですね……。

さらに、最初の轢き逃げ、あれは偶然なのか故意なのかによってもストーリーが変わってきそう。
探偵役であるアカネが記憶喪失になったのには、設定上の必要性があった筈。
「アカネが偽物」ではないかと疑うきっかけともなった設定ですが、探偵役としてリセットする為なのか、他にも狙いがあるのか?
理由があるとすれば、アカネが轢き逃げ犯や実日会総合病院に関わる何かを突き止めた為に狙われた可能性もある。
ただ、それだと止めが刺されていない点が疑問になりますが……。

ここで、現時点での犯人予想。
どの事件かといえば「轢き逃げ事件」についてとなります。
根拠も何もない状態での勘となりますが、多岐川が本命。
どうにも、轢き逃げシーン直後の煙草のシーンが怪しい。
後々、煙草が伏線になるのではないか?
時系列的に時間差があっても不思議ではない気もするし。
何より、他の米山看護師長や研修医・宮本が語れるほどエピソードが無い。

とか言っといて、次回で多岐川が死亡している可能性もあるけど……。
そもそも、「推理すべきポイント」如何によっては轢き逃げ犯人は関わって来ない可能性もあるか。
う〜〜〜ん、今回の描写の仕方から見て、その可能性は低いと思うけど。

なんやかんやで、あの2年前の推理の日々がまた戻って来たことは嬉しい限り。
しかも、掲載誌の「漫画サンデー」が月2回の発行となったことで推理出来る期間も長めになりました。
いろいろ楽しめそうです。
現にこうして早速、推理しているワケですし。
次回が楽しみ!!

一方、あのアカネが本物だとすれば、今後もシリーズが続いた場合は「アカネ+ワトスン役」との形式になるのかもしれませんね。
このままシリーズ化して欲しい作品だけにそちらも気になる。

そして、我孫子武丸先生といえば『狼と兎のゲーム』が『メフィスト』(講談社刊)にて連載中。
こちらも注目です!!

◆関連過去記事

「狼と兎のゲーム(第1回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

「狼と兎のゲーム(第2回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第3回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

・[速水三兄妹シリーズ]
「8の殺人」(講談社)ネタバレ書評(レビュー)

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(我孫子先生担当の「盗まれたフィギュア」について推理)

我孫子先生が原作を担当したコミック「監禁探偵 (マンサンコミックス)」です!!
監禁探偵 (マンサンコミックス)





我孫子武丸先生の「殺戮にいたる病 (講談社文庫)」です!!
殺戮にいたる病 (講談社文庫)





同じく「弥勒の掌 (文春文庫)」です!!
弥勒の掌 (文春文庫)





◆我孫子武丸先生のその他の作品はこちら。


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