「三億円事件奇譚モンタージュ」第87話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）: ミステリ通信　創刊号

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2012年06月15日

「三億円事件奇譚モンタージュ」第87話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

「三億円事件奇譚モンタージュ」第87話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）です！！

登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

＜第87話あらすじ＞

～～前回までのあらすじ～～～～～～～～

沖縄へと到着した大和たち。
途中、トラブルに巻き込まれたものの、ついに響子と出会うことに成功する。

泰成の義父・鈴木も響子のバーに接近。
何やら、狙いがあるようだが……。

一方、水原と夏美は沢田の痕跡を追い「鎌倉四季寿荘」へ。
そこで奇妙な石を見せられる。

この奇妙な石、全く同じ物を大和は響子から見せられた雄大の荷物の中に発見するのだった。

～～～～～～～～～～～～～～～～～～～

ここは「鎌倉四季寿荘」。
夏美は当代の女将から沢田と先代女将たちが写った集合写真を見せられていた。
当代の女将から写真を撮影した背景について説明を受ける夏美。
だが、内心むくれていた。

その原因は水原にあった。
大和からかかってきた電話を水原に取り上げられてしまったのだ。

当の水原はといえば、大和と情報交換に勤しんでいた。
3億円事件の実行犯が雄大たちであること、さらに沢田が関与していることを聞く水原。
予想していたとはいえ、大物の関与に動揺を隠せない。
平静を取り戻す為の時間稼ぎとばかりに、例の奇妙な石について語り出す。
水原にとっては特に意味も無い話の筈だったが……大和にとっては違っていた。

大和は水原の語る奇妙な石が、響子から譲り受け自分が所持しているソレと同じ物であると気付いていた……。
重大な意味がこの石には秘められているのではないか―――そう思えたのだ。

気になりつつも未来と共に買い出しに向かう大和。
と、玄関でキャサリンと出会う。

どうやら、キャサリンは大和に気のある様子。
大和にアプローチすべく待ち伏せをかけていたようだ。
これに気付いた未来は警戒心を露にする。

沖縄の街並みについてキャサリンから説明を受ける大和たち。
「各戸の屋上に設置された貯水槽など異なって見える点には、その町特有の理由があるのだ」と語るキャサリン。
大和は「何事にも理由がある」という言葉に強く惹かれる。

響子の部屋へ到着。
中を覗いた大和たちは驚愕することに。
中には泰成の義父が居座っていたのだ！！

彼は「鈴本」と名乗り、何時の間にやら響子に取り入っていた。
響子も特に警戒すべき人物とも疑わず、屋内に上げてしまったらしい。
キャサリンはそんな響子に呆れ果てる。
とはいえ、キャサリン自身も「鈴本」の危険性に気付いているワケでは無かった。
さらに、大和たちもフェリーであった人物と意外な所で出会ったぐらいのことにしか考えていなかったのである。
「鈴本」の潜入工作は見事に成功していた。

そんな「鈴本」。
早速、本領を発揮しキャサリンと夏美の身体を舐め回すように見つめ始めていた。
蛇のような彼の視線は鋭い。
と、キャサリンの服を見た彼の口から思わず「迷彩柄」との言葉が飛び出る。

これを聞いた大和の表情が一変。
急いで2階へと駆け上がる。
「鈴本」は「2階ね……」と内心で呟くのであった。

敵が迫っているとは露知らぬ大和。
入手した石の正体が「軍艦島」65号棟こと「報国寮」の壁であると推理する。
奇妙な石には、ペンキで塗られたような黒い色が染みついていた。
そして、「報国寮」の壁も迷彩目的として黒く塗られていたのだ。

沢田と雄大、2人の間を「軍艦島」というキーワードが結び付けた―――88話に続く。

＜感想＞

鈴木から鈴本へ！！

沖縄篇第10回。

鈴木は鈴本を名乗り、あっさりと懐へ飛び込んで来ることに。
その危険性に誰も気付く者はいない状態、大ピンチ！！

ちなみに鈴本の狙いは「2階か……」と部屋を確認したことから大和と未来か。
ただし、その身柄やこれまでの所持品だと、例の裏切り時点で血塗れの500円札同様に泰成が回収出来た筈。
わざわざ沖縄へ大和たちを導いたことも合わせると、沖縄編以降に手に入れたアイテムが狙われている可能性が高い。
とすると、沢田も欲した例の予行演習の写真か？
直接、響子から奪うことは困難と考え、大和たちに入手させた後に奪う計画なのかもしれない。

一方、石の意味は前回の予想通り「雄大」と「沢田」を繋ぐ物で正しかった様子。
その繋ぐ土地の名は「軍艦島」。
またも登場です。

東海林の本、3億円の隠されていた地、関口も過去に足を踏み入れている……。
間違いなく重要な土地の様子。
沖縄編の次は再び「軍艦島」か。

東海林の本と言えば、若かりし日の泰成らしき人物が沢田らしき人物と和服の女性と並んで写っていた写真もありましたね。
アレの意味も気になる。

一方、管理人の主張する「雄大は沢田に囮として利用された。実際の犯行は鉄也によるものではないか＝雄大囮説＆鉄也犯行説」の可能性や如何に！？
鳴海鉄也が犯人ならば、年齢的に些か疑問は残るものの、響子、東海林の発言共に矛盾は無くなる筈ですが……。

いよいよ、次回は鈴木……いや、鈴本大活躍！？
そして、忘れてはならないのは、真玉橋。
どんな立場で登場するのか？
さらに、気になる関口は！？

変わって、現在の勢力図はこんな感じ！？

①大和たち（水原含む）
②沢田たち（眼鏡男、関口）
③雄大一派（雄大死亡！？）
④泰成一派（義父の鈴木）

②の沢田たちも眼鏡男と沢田の間には含みがある様子。
④の泰成と義父の間もいろいろあり、決して一枚岩とは言え無さそう。

以上のように争いは3つ巴から4つ巴に。
更なる激化は間違いないか？

とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ！！
88話に期待です！！

ちなみに、2012年6月6日に「三億円事件奇譚モンタージュ」最新第8巻が発売。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非！！

◆関連過去記事
・「ヤングマガジン27号」（講談社刊）より「三億円事件奇譚モンタージュ」連載開始！！

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第1話から第80話（講談社ヤングマガジン連載中）までネタバレ批評（レビュー）まとめ

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第81話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第82話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第83話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第84話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第85話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

・「三億円事件奇譚モンタージュ」第86話（講談社ヤングマガジン連載中）ネタバレ批評（レビュー）

◆登場人物一覧

【現代】

鳴海大和：主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来：大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中

鳴海鉄也：大和の父、五つの首（首、手首、足首）を失くした遺体で発見されるが……
未来の両親：突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。

鈴木泰成：未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……
水原：福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100％男」。15話より登場。
夏美：泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。

土門：過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら：46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。

響子：現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン：響子が経営するバーの女給。81話より登場。

関口：元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う
眼鏡男：関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい（42話）。

沢田幹事長：19話で登場、謎の男を従えているが……
謎の男：シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい（42話）

松葉杖の男：30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。

朝霧：46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。

小柳翔太：61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜：61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。

真玉橋：ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木：泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。泰成すらも信用していないようだが……。

森田：1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性：元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ：軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居：18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田：5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母：関口と男女の関係にある。
水原の祖母：44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川：東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子：45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野：65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。

【三億円事件当時】

川崎雄大：22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜：23話（22話は名前のみ）より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン：竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門：地元の顔役（地廻り）。竜と対立するが……
東海林：25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明（37話）。
沢田慎之介：26話より登場。竜の顔馴染み＆雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝：26話より登場。竜の後輩。
和子：27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供：28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか？