2012年06月09日

2012年6月7日の「空が灰色だから」ネタバレ批評(レビュー)

待望の2巻発売も迫る阿部共実先生「空が灰色だから」(秋田書房)。
ネット上で話題となっており、1巻は今も順調に版を重ねているとの情報も流れています。
実際、読んでみると不思議な魅力を持つ本作。
面白いものを読んだら語らずにはいられない管理人にとって、十分に語るべき対象となる作品であります。

というわけで、2012年6月7日に掲載された作品のあらすじをまとめておきます。

これを読んで興味を持たれた方は、是非「週刊少年チャンピオン」本誌連載とコミックスにもチャレンジして貰えればオススメした甲斐があるかもしれません。
直に本作を目にして貰えればその不思議な魅力をご理解頂けるかと思います。

では、本作の魅力を出来る限りお伝えするべくネタバレ批評(レビュー)です。

◆2012年6月7日「週刊少年チャンピオン」掲載

他人との距離感を計りかねているうちにクラスで孤立してしまった男子学生・橋野。
そのことに大きな後悔を抱き続ける橋野だが、それよりももっと大きなことが彼の心を占めていた。

愛する同級生・別府さんである。

別府さんはクラスのアイドル。
容姿端麗、小悪魔的な魅力の持ち主である。

ああ〜〜〜別府さん、君さえいれば僕は孤独なんて!!

そんな橋野の目に驚くべき光景が。
別府さんは何か自分の意見を主張しているらしいが、誰にも認められていない様子なのだ。

親友。
仲良しのクラスメート。
そうでもないクラスメート。
仲の良い男子。
特に仲が良いとは思えない男子にまで。

別府さんは何やら同意を求めては否定されている様子。
もしかして、もしかして、次は僕にも訊きに来てくれるんじゃぁ……。
妄想をたくましくする橋野。
これはチャンスだ。

別府さんの主張はたとえそれがどんなものだとしても、大きく頷こう―――そう決めた橋野。
だが、別府さんは橋野を無視するかのように別のグループへ。
ところが、そこでも同意は得られなかったようだ。

遂に別府さんは自分と真逆のタイプの女子たちにまで主張をしている。
と、中の1人が「橋野にも訊けば?」と口にする。

よくぞ、言ってくれた……いや、余計なことを。
動揺する橋野に、嫌がる別府さんを連れたその女子が迫る。

よ〜〜〜し、言うぞ。
「僕もそう思う」この一言で良いんだ。

遂に別府さんたちが目の前へ。
「あのさぁ……この娘(別府さん)があんたが一匹狼みたいでカッコいいって言うんだけど」
「うんうん、僕もそう思う……へ?」

一大決心の末に首が折れるかというほど首を縦に振った橋野。
内容が耳に入り、頭で理解し始めたところに別府さんの冷たい視線が刺さる。

「橋野君って自分で自分をカッコいいって言っちゃうんだ。一匹狼ぽくないよね……」

ええ〜〜〜っ、違うんだ。別府さん、これにはワケが……。
とはいえ、どんな言い訳ももう遅いのだった―――エンド。

<感想>

2012年6月7日掲載のものです。

まぁ、あんなことを考えている時点で、初めから「一匹狼」ではないワケなんですがね。
言い訳も「一匹狼」らしくないし。
なので、ラストの別府さんの理解は真に正しいワケなのですが……でも、これ酷くね?

これ……ひょっとしなくても別府さんの橋野イジメじゃね?

本当に「カッコいい」と思ってるのなら、周囲に同意を求めないだろうし。
求めたとしても、仲良しグループの間だけだろうし。
一回、否定された時点で口にしないでしょ。
それをわざわざクラス全員に伝えて回っている時点で、「橋野は一匹狼ではない、カッコよくない」と皆に言わせに回ったようなもの。
結局、1人ぼっちである橋野はからかわれただけのような気が……。

もっとも、これを機会に人気者の別府さんと会話しつつ、クラスに馴染むとの選択肢もあった筈ですが。
でも、それが出来るほど器用だったら橋野はあんな孤立を初めから味合わないワケで。

勘繰っちゃえば、橋野の好意に気付いた別府さんが立場を思い知らせたとも解釈できないこともなかったり。
まさに別府さん魔性の女。
いや、悪女……なのかもしれないっス!!
考え過ぎか。

そんな「空が灰色だから」は「週刊少年チャンピオン」に連載中の漫画。
読むと心がざわついて何処となく落ち着かなくなる作風。

この間から何となく感じていたのですが、本作は過去に「週刊少年チャンピオン」にて連載されていた倉島圭先生「24のひとみ」にテイストが似ていますね。

従来の枠に囚われない世界観は両者の特徴と言えるでしょう。
その味は、古典部シリーズ『氷菓』のアニメ化で話題の米澤穂信先生の著作『儚い羊たちの祝宴』に通じるモノがありそうです。

『儚い羊たちの祝宴』(米澤穂信著、新潮社刊)ネタバレ批評(レビュー)

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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