2012年06月21日

水曜ミステリー9「刑事吉永誠一・涙の事件簿9 迷い骨〜愛しい日々を返して!夫殺し疑惑の保険金殺人トリック!?裏切られた家族が最後に夢見た幸せ(交番に届いた木箱には下顎の無い、頭蓋骨が!?)」(6月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)

水曜ミステリー9「刑事吉永誠一・涙の事件簿9 迷い骨〜愛しい日々を返して!夫殺し疑惑の保険金殺人トリック!?裏切られた家族が最後に夢見た幸せ(交番に届いた木箱には下顎の無い、頭蓋骨が!?)」(6月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<あらすじ>

警官が巡回中の隙に、横浜のみなと中央交番に「迷い骨」と書かれた木箱が届けられ、中から頭蓋骨が発見された。頭蓋骨は男性のもので、死後一年ほど経過しており、下あごが無い状態で木箱に入れられていた。死因は特定できないものの、後頭部に陥没があったため、他殺の可能性もあるという。その頭蓋骨を、わざわざ「迷い骨」として届け出た意図は何なのか…?神奈川県警捜査一課の刑事・吉永誠一(船越英一郎)たちは、早速身元の特定に乗り出す。
やがて、浜口慶子(田中美里)という女性から、自分の夫ではないかとの情報が寄せられた。吉永が相棒の小沢慎一(林泰文)とともに早速事情を聞きに向かうと、慶子と内川道夫(内田朝陽)という男性が吉永たちを出迎える。慶子の夫・善教(長谷川朝晴)の実家は、町工場を経営しており、慶子と道夫は善教と一緒に働いていたのだという。しかし、ちょうど一年ほど前、善教は借金をしていた消費者金融業者のもとに交渉に向かうと道夫に言って出て行ったきり、失踪してしまっていた。吉永は慶子から善教の通っていた歯科の診察券を預かり、歯の治療痕を頭蓋骨のものと照合したところ、頭蓋骨は善教のものであることが判明する。
町工場は、善教の父・浜口剛(江良潤)が興しており、善教が副社長を務め、道夫の母・内川春子(今野ひろみ)が経理を担当、慶子も結婚後事務見習いとして入社し、社員は少人数ながらも和気あいあいと働いていた。しかし、一年半前に大口取引先が倒産すると、町工場も連鎖倒産に追い込まれ、父・剛が自殺。死亡保険金は従業員の退職金にあてられ、工場とその土地は銀行の抵当にとられた挙句、慶子は未だに義父が運転資金のために借りていた金の取立てに苦しんでいた。
その後の捜査の結果、風間ファイナンスの社長・風間勇一(相島一之)が善教の町工場に多額の融資をしていたことが浮かび上がる。しかも、慶子の話によると、善教の死亡保険金として5000万円が掛けられており、善教の失踪後に「自分に万が一のことがあった場合、借金のかたとして生命保険金を風間ファイナンスに受け取って欲しい」と記された善教の念書を風間から見せられたというのだ!
さらに、善教の町工場のあった場所が、現在進められている大規模開発の対象地域だったことが判明する。町工場が最後まで立ち退きに応じなかったために開発は延期になっていたが、その開発に絡んでいた不動産会社「風間土地開発」の社長が風間だった…!
善教は土地と保険金狙いで風間に殺害されたものの、遺体が発見されず保険金が下りないために、今になって風間が頭蓋骨を届け出たのではないか…?。吉永たちがそう睨んだ矢先、その風間が水死体で発見され…。
(水曜ミステリー9公式HPより)


では、続きから……(一部、重複あり)。

下顎の無い頭骨が届け出られ、事件として捜査が開始されることに。
直後、骨の主として岩本秀行という男性の名が浮上するが、1週間前に失踪した人物であった。 
1週間前では骨の主ではありえない。

そんな折、吉永に浜口慶子と言う人物から夫ではないかとの問い合わせが入る。
慶子を訪ねたところ、疑惑の人物は夫・善教。1年程前に姿を消したと言う。
善教の弟分を名乗る内川道夫によれば、善教は風間を訪ねると語っていたらしい。
何でも善教には5000万円の保険金がかけられており、風間が受け取るとの念書があるとのことだが……。

早速、調べ始めた吉永。
歯科の善教の受診記録と白骨の治療痕が合致し、白骨は善教のものと断定される。
風間が善教の会社の土地を狙っていたことも判明し、風間による犯行と思われたが……。

矢先、当の風間も殺害されてしまう。
しかも、念書が存在しないことも明らかに。
慶子の嘘だったのか?
疑惑は慶子に向けられる。

次いで、慶子と善教の馴れ初めが、慶子が勤めるクラブであったことが判明。
そんな慶子の常連客に篠山という人物が居た。
篠山は1年前に会社が倒産し、姿をくらましていた。

1年半前、慶子が篠山に善教殺害を持ちかけていたとの情報も入る。
では、当の篠山は今何処に?
そして、慶子は悪女なのか?

慶子を尾行し始めた吉永は彼女が内川宅に頻繁に出入りしていることに気付く。
しかも、決まって15時にである。
内川に事情を聞いた吉永は驚くことに。
内川の母・春子は病気が原因で介護が必要な身体となっていた。
痰の吸引が日課として課せられており、その補助に慶子がやって来てくれていると言う。
善教が春子を実の母のように慕っており、慶子は善教の代わりに介護しているらしい。

吉永はそんな慶子が善教を殺したとはどうしても信じられない。

浜口機械工業倒産の原因が篠山にあることが判明。
主要取引先であった篠山の会社が倒産した為に、連鎖的に倒産したらしい。
ところが、この篠山の倒産は風間と図った計画倒産であった。
つまり、善教は風間と篠山に罠に嵌められたのだ。

自宅へ戻った吉永。
久しぶりの家族の団欒に和む吉永だったが、夏美のスイミングスクールのエピソードがある閃きを生む。
夏美がアリサとスイミングキャップを間違えたことで、アリサと呼ばれたエピソード。
コーチは顔ではなくキャップに書かれた名前で個人を判別していたのだ。
それと同じことが今回も起こっていたとしたら……。

実は迷い骨の主は篠山であった。
歯の治療痕から浜口善教とされていたが、どうやら善教の保険証を篠山が用いたことが真相のようだ。
下顎があれば篠山であるとすぐに分かる為に上顎のみが届けられたのだろう。

慶子は善教殺害を篠山に匂わせ、協力を求めた。
善教の遺体が発見されたとしても、篠山が善教の名でカルテを作っていれば照合された際に別人と判定される―――そう言いくるめたのだ。
善教として歯科を受診した篠山。
だが、彼は知らなかった本当に殺害されようとしているのが自分であることに。

こうして、善教として篠山が殺害されてしまった。
つまり、善教は生きていることになる。

となれば、慶子と善教は今も連絡を取り合っている筈である。
吉永は2人が密会する場所はあそこしかないと断言するが……。

内川宅を監視する吉永たち。
だが、特に不審な点はない。

一方、慶子が篠山の口座から毎月10万円ずつ引き出していたことが明らかになり、いよいよ吉永の仮説は信憑性を増す。

数日が過ぎたある日、15時を過ぎ、慶子による痰吸引の時間となった。
だが、慶子は現れない……吉永はある誤りに気付く。

内川家へ飛び込む吉永たち。
そこでは善教が春子の痰吸引を行っていた。
善教は消えた1年間に春子の介護を行い続けていたのだ。

吉永の登場にもさして慌てる様子を見せない善教。
覚悟していたと言う。
遅れて現れる慶子と道夫。

1年前、篠山を殺害したのは善教だった。
1年が経過し、白骨化した篠山の頭部を届け出た。
5000万円の保険金を受け取る為である。

風間を殺害したのも善教である。
風間は吉永たちが現れたことで、慶子が何か企んでいると気付き詰め寄ったのだ。
そこで、善教が殺害されたのだ。

善教が篠山と風間を殺害したのは父の仇だったから。
そして、春子の介護費用を篠山たちから奪う為だった。
引き出された10万円は介護に充てられていた。
保険金の用途もそれだったと言う。

吉永は「だからって、人殺しは駄目だ」と諭す。

これに反論する慶子。
慶子は篠山から計画倒産について聞き出していた。
それについて、警察へと相談に足を運んだが取り合って貰えなかったらしい。

「だからと言って、人から奪ったもので人の命を繋ぐことが正しいと思いますか?そんなことを春子さんが望むワケがない!!」吉永が何故か春子の心中まで断言してしまう。

絶句する善教、慶子。
「俺が悪いんです、俺が!!」黙り込んでしまった2人に代わり泣き叫ぶ道夫。

道夫は自分が善教を追い詰めたと語り始める。
道夫は春子の介護が出来ず、無理心中をしようとしていた。
そこを善教に止められていた。

流石にこれには動揺した吉永の隙を突き、道夫を人質にとる善教。
「こうやって脅して協力させたんだ!!」
それは家族を仲間を、共犯として巻き込まない為の必死の行動だった。
だが、そんな善教に「この人たちがお前に協力したのは覚悟があってのことだ。それを汚すのか!!」と怒鳴り始める吉永。
遂には「春子さんは俺が責任を持つ」とまで言い放つ。

この言葉に何故か折れる善教。

……と、春子が何かを呟く。
善教、慶子、道夫は「奇跡だ」と口々に叫ぶのだった。

こうして事件は解決(?)した。

吉永は夏美のスイミング記録会に参加。
妻・照子相手に自身のお小遣い値上げ交渉を始めるのだった。
春子のその後は誰も知らない―――エンド。

<感想>

「刑事吉永誠一・涙の事件簿」シリーズ第9作目。
このシリーズの原案は黒川博行先生の作品群。
今回の原作は黒川博行先生の短編『迷い骨』(講談社刊『燻り』収録)。

<あらすじ>

関西アンダーグラウンドで目指せ一攫千金!痛快ハードボイルド

騙し騙され、一攫千金を狙っては燻り続ける男たち。関西アンダーグラウンド世界に蠢(うごめ)く悪党どもが、シノギを削って繰り広げる暗躍死闘を活き活きと描く。悪事の手際、会話の一言、仕草の細部にまで行き渡った、痺れるほどの緊張感とリアリティ。極上のピカレスク・ハードボイルド、9編を収録した傑作集。
(講談社公式HPより)


興味のある方は本記事下部のアマゾンさんリンクよりどうぞ!!

なお、シリーズ前作が2011年10月13日放送なので、実に8か月ぶりの新作となります。
前作ネタバレ批評(レビュー)はこちら。

水曜ミステリー9「刑事吉永誠一・涙の事件簿最新作 虹が消えた交差点〜デート商法殺人の謎 殺人現場に謎の文字 デート詐欺の毒牙が狙う第三の女!父と娘が涙した裏切りの真実」(10月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

では、ドラマの感想をば。

トリックどうこうよりも、吉永が……。
もう、ラストがすべてを持って行ったよ。

「春子さんは俺が責任を持つ」って、それが出来ないからこうして事件になったんじゃ……。
そして、夏美の学資保険に頭を悩ます吉永にどうこう出来る問題では無い筈だ。
ラストでは家族のことで手一杯になってるし、責任が取れる筈もない。
春子は忘れ去られてしまうのだろう……誰の記憶からも。
幾らなんでも無理だよ、アレは。

おそらく、「涙の事件簿10」は次のような物語になりそうだ。

「本作から数年後、吉永の娘・夏美が誘拐される。
犯人は慶子と道夫である。
彼らは春子のことを忘れたのかと吉永を詰る。
吉永がすっかり忘れているうちに春子は死亡してしまったのだ。
これを知った善教は獄中で自殺してしまった。

あなたのあのときの言葉を忘れない―――慶子の怒りの矛先が吉永へ向かう。
果たして、吉永はどう言いくるめて切り抜けるのか?
いや、切り抜けられるのか?

涙の事件簿第10弾 無責任の報酬 ご期待ください」

ああ……吉永に正義があるように見えないのは何故だろう。
決して悪ではないのだが……。

<キャスト>

吉永誠一:船越英一郎
吉永照子:中山忍
片山桐子:眞野あずさ
浜口慶子:田中美里
小沢慎一:林泰文
玉田隆一:山田純大
内川道夫:内田朝陽
浜口善教:長谷川朝晴
牧村仁:河西健司
篠山浩二:木下ほうか ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)


「燻り」です!!
燻り





ドラマシリーズ第1作の原作「絵が殺した (創元推理文庫)」です!!
絵が殺した (創元推理文庫)





ドラマシリーズ2作目の原作「ドアの向こうに (創元推理文庫)」です!!
ドアの向こうに (創元推理文庫)





ドラマシリーズ第3作目原作「雨に殺せば (創元推理文庫)」です!!
雨に殺せば (創元推理文庫)



【関連する記事】
この記事へのコメント
いつも、楽しく且つ参考にしながら拝見しています。


最近では科学捜査が主流で、事件解決!!と現実社会でも2時間ドラマの中でもなっているのに、今回の被害者を歯の治療痕だけで道夫だと決めつけていたのには、いささか疑問が残ります。

もちろん、ここで科学の力を借りて被害者を特定しては話が開始数十分で終了してしまうのは分かるのですが…


迷い骨は頭がい骨でなきゃダメだったんですかね?他の部位なら、(例えば脚とか腕)○年前に骨折していて的な話の広がりがあったように思えるのですが…


次回パート10の内容、楽しみです(笑)
Posted by ブンゾウ at 2012年06月22日 15:30
Re:ブンゾウさん

こんばんわ。
管理人の“俺”です(^O^)/!!

確かに迷い骨は他の部位でもアリでしたね。
頭蓋骨でなければ、被害者が確実に死亡しているかどうかをクリアすることから物語が始まるので展開の幅も広がったかもしれません。

たぶん、視聴者に与えるインパクトと、先述した他の部位の骨だと被害者が確かに死亡しているかどうかの点で疑問を残すので、ミスリードの必要性もあり頭蓋骨が選ばれたのかな。

ここらは展開に幅を持たせるか、視覚的に分かり易くするかの二者択一となる気がしますね。

吉永に悪意は無いのでしょうが、どうにも今回は納得がいかない。
シリーズ10作目は当事者の立場から吉永が事件に挑むのもアリかなぁ。
Posted by 俺 at 2012年06月22日 21:54
最後に出てきた水泳コーチ役の名前、もし知っているなら教えてください
Posted by 多忙子 at 2012年10月20日 09:18
Re:多忙子さん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

思いつく限り調べてみましたが、役者さんのお名前については確認出来ませんでした。
お力になれず申し訳ないです。
Posted by 俺 at 2012年10月21日 00:03
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