ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
・上巻
「わたしの顔を見た罰よ」
闇の中で囁く女の声がじわじわと心を破壊する
元関取が愛宕(おたぎ)市内で突然暴れて多くの死傷者を出し、精神科の入院歴が問題にされた。他にも事件を起こした元患者たちが揃って直前に行方不明になっており、精神科医の鷲谷真梨子は患者の話から監禁に使われた小屋を探しあてた。が、事件の鍵を握る医療ブローカーと小屋を監視していた刑事2人が殺される。
・下巻
その瞬間、彼女は永遠に声を失った。
罪と怒りと正義の行方 問題作がスケールアップ
連続爆破事件の共犯者という疑惑が残る鈴木一郎が連続殺人犯だというスクープが地元紙に載る。かつて精神鑑定を担当した真梨子に注目が集まる中、警察捜査の裏をかくように行動する鈴木一郎。残虐行為を繰り返す美貌の殺人者とは何者なのか? 乱歩賞受賞作『脳男』から7年、更なる問題作が満を持して登場。
(講談社公式HPより)
<感想>
第46回江戸川乱歩賞受賞作『脳男』の続編。
前作『脳男』は2013年2月に映画が公開予定。
・『脳男』(首藤瓜於著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・首藤瓜於先生『脳男』(講談社刊)映画化決定!!
前作に比べると、かなり漫画的。
本作ラストにて鷲谷と鈴木が決別している。
次作があれば、対決することになるのだろうか。
全体的に『ハンニバル』の影響が強い作品のように思われる。
『ハンニバル』と言えば、ドラマ版が制作決定。
詳細はこちら。
・若きレクターの活躍を描くドラマ『ハンニバル(Hannibal)』、ハンニバル役にマッツ・ミケルセンさんが選ばれる!!
<ネタバレあらすじ>
愛宕市で殺人事件が多発。
加害者はその場で逮捕されたが、そのどれもが過去に精神科に通院歴があった。
さらに別の連続殺人事件も発生し、あの鈴木一郎の関与も噂され始める。
鈴木の精神鑑定を担当した鷲谷は鈴木の関与を疑問に思うが……。
実は事件を起こしていたのは、精神科医・潘マーシーだった。
彼女は養女であるイブを殺人マシーンに育て上げ、犯行を繰り返させていたのだ。
動機は行方の知れない鈴木一郎を捜査当局に捕えさせ、自身が担当監察医となり、研究する為。
その為だけに事件を繰り返し、世の注目を集め、鈴木一郎を追い詰めようとしたのである。
その締め括りとして鷲谷を鈴木の犯行に偽装し殺害しようとする潘。
だが、暗躍していた鈴木の通報を受けた茶屋が現場に急行。
イブと死闘の末、これを破り鷲谷を救出する。
そのどさくさに紛れ、潘は鈴木に連れ去られてしまう。
数ヶ月後、潘は防犯ビデオの前で自殺する。
すべては鈴木の仕組んだことであった。
養女・イブが茶屋に敗れ死亡したことを知らされた上に、潘が本当に愛したもう1人の養女の過去に汚点が残るよう世論を誘導すると脅迫された潘は自ら命を絶ったのだ。
この映像を目にした鷲谷は鈴木との対決を決意するのだった―――エンド。
◆関連過去記事
・『脳男』(首藤瓜於著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・第56回受賞作『再会(再会のタイムカプセル改題)』ネタバレ書評(レビュー)はこちら。
『再会』(横関大著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・第56回江戸川乱歩賞受賞作『再会』(横関大著、講談社刊)がスペシャルドラマ化決定!!
・第57回江戸川乱歩賞決定!!
・第58回江戸川乱歩賞決定!!高野史緒先生『カラマーゾフの兄妹』に!!
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