<登場人物一覧>
アカネ:轢き逃げに遭い実日会総合病院に入院。記憶を喪失しているようだ。前作のアカネと同一人物?
多岐川:実日会総合病院の外科医。アカネの手術を担当。眼鏡着用。
米山:実日会総合病院の看護師長。
宮本:実日会総合病院の研修医。
拓人:子供。実日会総合病院の入院患者。
桐島いつき:若手の看護師。
川越修:実日会総合病院院長。65歳。眼鏡着用。
<2話ネタバレあらすじ>
〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜
轢き逃げ事故に遭った少女が実日会総合病院に運び込まれた。
少女は身許を示すような品を所持しておらず、ハンカチにあった刺繍からアカネという名前を与えられる。
アカネは意識を取り戻すが、記憶を喪っていた。
そんなアカネに近付く入院患者の少年・拓人。
彼によれば、実日会総合病院は「幽霊病院」らしいが……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
入院患者の少年・拓人から実日会総合病院が「幽霊病院」であると聞かされたアカネ。
なんでも、女性の幽霊が院内を夜な夜な徘徊する姿が目撃されているらしい。
記憶を喪い寄る辺ない身に、さらに不安を煽るこの噂はアカネを追い詰める。
研修医・宮本によれば、そのような噂があるのは事実だが、信憑性は薄いと言う。
それよりも、アカネが助かったのは名医である多岐川の力によるところが大きいと語る宮本。
手術を担当したのが多岐川でなければ、アカネは助からなかったそうだ。
数日後、桐島いつき看護師などの努力の甲斐あって、アカネは腕のギプスをとることが出来た。
車椅子で移動が可能になったアカネに多岐川はナイトキャップを贈る。
院長である川越修もそんなアカネを見舞うのだった。
深夜、車椅子で動けるようになったアカネは早速、夜の病院を探検することに。
と、ナースステーションの明かりが落ちている。
不審に思いながら近づくと、中からは女性の喘ぎ声が。
中では、若い女性看護師(おそらく桐島)に眼鏡の医者らしきシルエットが絡みついていた。
どうやら、関係を結んでいる最中らしい。
(こんなことが本当にあるんだ……)
医師と看護師が職場で関係を楽しむ……実際にあるとは思っていなかっただけに、アカネは驚く。
気付かれないよう静かに引き返すアカネ。
その翌朝、事件が発生した。
人だかりに気付いたアカネがそちらへ向かうと、入院患者が口々に何事か騒いでいる。
彼らの視線の先には、転落死したと見られる桐島いつきの死体が転がっていた。
果たして、自殺か?他殺か?―――3話に続く。
<感想>
2010年8月に『漫画サンデー』で連載されていた『監禁探偵』の続編です。
原作&作画は前作同様、我孫子武丸先生原作、西崎泰正先生画。
『監禁探偵』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。
・「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ
さて、第2話。
気になるのは1話でも注目していたアカネの真偽。
現在までのところだと、本物のように見えます。
ただ、わざわざ記憶喪失設定を持ってきたところに何か意味がある筈。
単なる雰囲気づくりで終わるとは思えない。
となると……
・アカネは前作とは別人である。
・アカネは前作と同一人物であるが、実日会総合病院に関するある事情を知っており、轢き逃げされた。
その情報をリセットする為に一時的な記憶喪失設定を負っている。
のどちらかが考えられますが、果たして。
一応、ここでは1話同様にアカネが本物であるとの前提で話を進めましょう。
2話にて遂に事件が発生。
桐島いつきが殺害されました。
この展開で自殺はありえないでしょう、ほぼ他殺の筈です。
とすると、犯人は誰かがポイント。
ここでの犯人がアカネの轢き逃げと同一人物、あるいは関連のある人物なのかが気になりますね。
妄想すると、轢き逃げ犯がアカネを轢いた際に桐島が同乗しており、それが原因で揉めた可能性もある。
ただ、それよりも注目すべき点が2つあります。
まず、アカネがナースステーションで聞いた男女の逢瀬の現場。
あれが誰と誰なのかが割とポイントになりそう。
女性はハート形の髪飾りなどから桐島っぽい。
ただし、より重要視されるべきはシルエットになっていた男性でしょう。
彼は眼鏡を着用していました。
作中登場した男性で眼鏡を着用しているのは多岐川と川越。
シルエット的には多岐川がそれらしく見えます……それだけにミスリードもありそう。
現在、疑っているのは、誰かの変装の可能性。
例えば、多岐川に憧れるばかりに同一視した宮本が、多岐川になりきろうと眼鏡を着用していた可能性もある。
だからこそ、この秘密を知った桐島が殺害されたか。
さらに一歩進めば、このシルエットが男性だとも限らない。
男装した女性であり、逢瀬が女性同士によるものとも考えられます。
その場合、犯人は米山看護師長で確定になるが……。
これに関連するのがもう1つの注目ポイント。
それが「幽霊病院」の噂。
夜な夜な女性が院内を徘徊するとのことですが、ここで幽霊が女性であることを強調しているのが気になる。
男性が長髪の鬘を着用し、変装しているのではないでしょうか。
動機は院内の権力闘争でも趣味でもあり得そう。
この事実に桐島が気付いてしまって口封じされた……パターンもありそう。
この場合、多岐川、川越、宮本が怪しい。
もちろん、米山が幽霊の正体である可能性もある。
あれ……全然絞り切れていないか。
結局、分からないというのが今の解答ですね。
絞れるだけの描写が今のところ、まだ出て来ていない気がするなぁ。
そんな中、ロジック関係なしに無理に絞り込めば容疑者は2人。
宮本と米山か。
もともと劇中で発生している事象自体が、轢き逃げ、謎の逢瀬、幽霊の噂、転落死と4つある。
これが同一人物によるものとも限らない以上、それぞれに別の人物が行ったと考えても不思議ではない。
では、これに基づいて仮説を述べて行こう。
まず、轢き逃げは多岐川によるもの。
自分で轢いてしまった為に必死に手術して助けた。
次に謎の逢瀬の男性役は米山の男装。
米山は多岐川を愛するあまり、自身と同一視してしまうところがあった。
そこで変装して、看護師を抱いていた。
幽霊は宮本による女装。
多岐川を尊敬する彼は、川越を追い落とすために噂を起こしていた。
転落死は幽霊騒動の真相を桐島に気付かれての口封じ。
逢瀬の相手は関係なし。
これでどうでしょうか。
男性と思われた人物が女性で、女性と思われた人物が男性という点が、なかなか面白いかなと。
そこそこ意外性もあるし、ミスリードも効いている気もする。
本格推理としてはクレームが来そうな感じだけど、範疇的にはギリギリセーフっぽいし。
上記を2話時点での推理とします。
推理よりは妄想が多いとのツッコミは無しで。
果たして、この推理が正しいのか?
3話に注目です。
ちなみに、アカネが割とあっさり病室からの拘束を抜け出してしまったのは意外でした。
もう少し粘ると思ったんだけど。
そして、我孫子武丸先生といえば『狼と兎のゲーム』が『メフィスト』(講談社刊)にて連載中。
こちらも注目です!!
◆「狙われた病室」関連過去記事
・『狙われた病室(監禁探偵2)』1話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「狼と兎のゲーム(第1回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・「狼と兎のゲーム(第2回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・『狼と兎のゲーム(第3回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)
・[速水三兄妹シリーズ]
「8の殺人」(講談社)ネタバレ書評(レビュー)
・『夏に消えた少女』(我孫子武丸著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)
・「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ
・探偵Xからの挑戦状!「記憶のアリバイ」(11月18日)本放送ネタバレ批評(レビュー)
・探偵Xからの挑戦状!「記憶のアリバイ」解決篇(11月25日放送分)ネタバレ批評(レビュー)
・「TRICK×LOGIC(トリックロジック)」5話「亡霊ハムレット」推理にチャレンジ&発売からほぼ一週間が経過して……
(我孫子先生担当の「盗まれたフィギュア」について推理)
◆我孫子武丸先生のその他の作品はこちら。
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