ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
空き部屋で発見された撲殺死体。池袋署捜査係、姫川玲子、動く!
札って燃やすと臭いっていうよね。死体を焼いたのと同じ……。
(光文社公式HPより)
<感想>
ドラマ版『ストロベリーナイト』も好評のうちに最終回を迎え、映画化も発表された姫川玲子シリーズ。
・【速報】映画版『ストロベリーナイト』原作は『インビジブルレイン』と判明!!
そのシリーズ最新作が『小説宝石』誌上で連載中です。
それが『ブルーマーダー』。
2012年7月号時点で、第7話までが連載されています。
これまでのあらすじや感想については、過去記事のネタバレ書評(レビュー)をどうぞ。
現在のところ、次の4者の視点で物語は展開中。
ブルーマーダー(おそらくマサ)を追う玲子。
逃走犯・岩渕を追う菊田。
消えたSこと木野を追う下井。
マサと生活を共にするおやっさん。
今回は遂に玲子と下井が合流、玲子視点で物語が進展しました。
代わりに、おやっさんと菊田がお休みでした。
遂にブルーマーダーが逮捕されました。
ただ、この辺りの描写が曖昧なのが気になる。
逮捕されたブルーマーダーは確かに木野なのか……。
ブルーマーダーの移動速度が手傷を負っているにしては速過ぎる。
あれは別人の可能性もあるような……。
前回で「トキオ」も登場しているし、入れ替わった?
もし、そうならば「トキオ」が囮となり木野が本懐を遂げるパターンか。
仮に逮捕されたのが木野だったとしても、「トキオ」という教え子が彼の宿願を果たすのかもしれない。
つまり、先程の逆で、木野が囮になり時間を稼いでいる間にその分身ともいえる「トキオ」が目的を遂げるパターンだ。
いずれにしろ、ブルーマーダー事件は終わっていないと思われる。
さらに、おやっさん視点については時系列に関する叙述トリックの疑いも拭えない。
それと、木野の目的は前回の感想通り「自身についての情報を洩らした人間を探し出し復讐すること」で正解のようです。
今回、玲子から「同業者の可能性」が指摘されたことで「平間(第3回参照)」くらいしか怪しい人物は居ないような気が。
現在の玲子が属する捜査本部には容疑者らしい人物は居ないと思うし。
そう思わせて、玲子の上司である管理官あたりとの可能性もあるか。
うむむ……。
さらに、ちゃっかり活躍している勝俣の存在も忘れてならないでしょう。
やはり、本作『ブルーマーダー』は『ストロベリーナイト』の伏線を丁寧に拾っているような気がしますね。
シリーズ中、もっとも『ストロベリーナイト』に近い作品となるかもしれません。
一方、7回では過去の姫川班の面々……特に菊田について思い起こす玲子も描写されており、そちらも注目。
などなど、『ブルーマーダー』は、かなり先が気になる展開となっています。
触りを知りたい方は、とりあえずネタバレあらすじをどうぞ!!
ただし、内容は管理人なりにかなり改編しております。
正確なところをお知りになりたい方は本記事下部のアマゾンさんリンクよりどうぞ!!
<ネタバレあらすじ>
・前回(第6回)のあらすじはこちら。
『ブルーマーダー 第6回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
下井と勝俣がブルーマーダーこと木野と対決。
下井が木野に重傷を負わされ、その木野も勝俣の銃弾により手傷を負った(ここまで6回の内容)。
その夜、捜査本部で会議に参加していた玲子に急報が飛び込んで来る。
管轄内で銃撃事件が発生したと言うのだ(これが下井と木野の闘争のこと)。
しかも、この事件にブルーマーダーが関わっているとの情報も入り、捜査本部は騒然となる。
さらに、下井と勝俣も現場に居たと知るや、事態は急激に動き出す。
玲子たちは、勝俣の銃撃により負傷したとされるブルーマーダー本人を捕えるべく非常線を張る。
「被疑者らしき人物を発見、職務質問を振り切り逃走中」
「○○方面を移動中」
「○○通りを東に抜けた」
「いや、もう1つ先の○○に居る」
錯綜する情報の中、包囲網は狭められ遂にブルーマーダーらしき人物を公園に追い込む。
そして……玲子たちも参加する中、何十人という大部隊でブルーマーダーを取り押さえることに成功するのだった。
騒乱の一夜が明けた。
悠々と捜査本部へ現れた勝俣は「俺の銃弾があいつを捕まえたんだ。手柄を横取りしやがって」と憎まれ口を叩く。
玲子は下井と勝俣が何故、ブルーマーダー事件に関わっているのか興味を示す。
そこから、ブルーマーダーの正体が元刑事で後にSとなった木野と明らかに。
一方、ブルーマーダーの凶器も押収される。
それは石頭ハンマーであった。
柄の部分を短く加工し、指を通すことで固定したハンマーだったのである。
これまでのブルーマーダーの犯行が撲殺であったことを改めて思い知らされる物であった。
入院した下井の見舞いに訪れる玲子。
そこには勝俣も訪れていた。
「知らなかったとはいえ、Sとしての木野を見殺しにした自分を殺すことが木野の目的だったのかもしれない」
「いえ、だったら、もっと早くに下井さんを襲った筈です」
下井の言葉を否定する玲子。
玲子は「木野がブルーマーダーとなった目的は自身を裏切った相手を捜すことにあったのでは」と推論を口にする。
さらに、木野が警察官であると知られた理由が匿名の密告にあると聞いた玲子は「密告者は同業者……つまり同じ警察組織の人間ではないか」と述べるのだった―――エンド。
◆『ブルーマーダー』関連過去記事
・『ブルーマーダー 第3回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第4回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第5回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第6回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
◆「誉田哲也」先生関連過去記事
【姫川玲子シリーズ】
・シリーズ1作目「ストロベリーナイト」はこちら。
「ストロベリーナイト」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ2作目「ソウルケイジ」はこちら。
「ソウルケイジ」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ3作目、短編集「シンメトリー」はこちら。
「シンメトリー」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズ4作目「インビジブルレイン」はこちら。
「インビジブルレイン」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・シリーズスピンオフ作品「感染遊戯」です。
「感染遊戯」(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『アンダーカヴァー(「宝石 ザ ミステリー」掲載)』(誉田哲也著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『女の敵』(誉田哲也著、宝島社刊『誉田哲也 All Works』収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第3回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第4回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第5回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
・『ブルーマーダー 第6回』(誉田哲也著、光文社刊『小説宝石』連載中)ネタバレ書評(レビュー)
【ジウシリーズ】
・『ジウ 1〜3』(誉田哲也著、中央公論新社刊)ネタバレ書評(レビュー)
【その他】
・『ヒトリシズカ』(誉田哲也著、双葉社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『三十九番』(誉田哲也著、双葉社刊『痛み』収録)ネタバレ書評(レビュー)
【ドラマ版】
・土曜プレミアム ストロベリーナイト「大ベストセラー小説初ドラマ化!!連続猟奇殺人事件のカギを握る感染死体…真相に迫る孤高の女刑事悲しみの過去と驚愕の結末!!」(11月13日)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第1話「シンメトリー」(1月10日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第2話「右では殴らない(前編)」(1月17日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第3話「右では殴らない(後編)」(1月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第4話「過ぎた正義(前編)」(1月31日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第5話「選ばれた殺意の径〜過ぎた正義(後編)」(2月7日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第6話「感染遊戯」(2月14日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第7話「悪しき実(前編)」(2月21日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第8話「悪しき実〜嗚咽(後編)」(2月28日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第9話「ソウルケイジ(前編)」(3月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」第10話「檻に閉じ込められた親子〜ソウルケイジ(中編)」(3月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・連続ドラマ「ストロベリーナイト」最終話(最終回、第11話)「こんなにも人を愛した殺人者がいただろうか〜ソウルケイジ(後編)」(3月20日放送)ネタバレ批評(レビュー)
【関連する記事】
- 『どこかでベートーヴェン』(中山七里著、宝島社刊)
- 『通いの軍隊』(筒井康隆著、新潮社刊『おれに関する噂』収録)
- 『クララ殺し』最終話、第6話(小林泰三著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.7..
- 『自殺予定日』(秋吉理香子著、東京創元社刊)
- 『タルタルステーキの罠』(近藤史恵著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.76 ..
- 『歯と胴』(泡坂妻夫著、東京創元社刊『煙の殺意』収録)
- 『迷い箱』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)
- 『噂の女』(奥田英朗著、新潮社刊)
- 『追憶の轍(わだち)』(櫻田智也著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.69 F..
- 『コーイチは、高く飛んだ』(辻堂ゆめ著、宝島社刊)
- 『恋人たちの汀』(倉知淳著、東京創元社刊『ミステリーズ!vol.75 FEBRU..
- 『東京帝大叡古教授』(門井慶喜著、小学館刊)
- 『傍聞き』(長岡弘樹著、双葉社刊『傍聞き』収録)
- 『動機』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『動機』収録)
- 『愚行録』(貫井徳郎著、東京創元社刊)
- 『転生の魔 私立探偵飛鳥井の事件簿』(笠井潔著、講談社刊『メフィスト 2016v..
- 『声』(松本清張著、新潮社刊『張込み』収録)
- 『黒い線』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)
- 『図書館の殺人』(青崎有吾著、東京創元社刊)
- 『陰の季節』(横山秀夫著、文藝春秋社刊『陰の季節』収録)