<あらすじ>
望月幸平(高嶋政伸)は、東京駅遺失物係、通称“お忘れ物預り所”に勤務するJR職員で、上司の嶋田福男(北村総一朗)の家に下宿している。嶋田の妻・満江(高橋ひとみ)は東京駅の助役で、普段から嶋田は妻に頭が上がらないのだが、浮気がバレて以来、この夫婦は別居状態にある。
ある日、幸平が働くお忘れ物預り所に、ひとりの若い女性が飛び込んできた。箕島早紀(井上和香)と名乗るその女性は、陶器製の髪留めを駅構内で落としたと話す。詳しく状況を聞こうとする幸平だが、早紀は時間がないと言って早々に出て行ってしまう。
その夜、幸平と同僚の由希子(櫻井淳子)たちは嶋田夫婦の結婚10周年記念の祝いの会を開いた。長らく別居している嶋田と満江の間をとりなそうと企画したのだが、どうしても早紀が落とした髪留めのことが気になる幸平は駅に戻ろうと早々に店を出て、早紀とバッタリ再会する。「今、無性に飲みたい気分なの」という早紀に強引に誘われ、幸平は仕方なく一緒に酒を飲むことに。
ところが翌日、所轄の刑事が殺人事件の裏付け捜査だといって、幸平を訪ねて来た。早朝、都内のマンションで滋賀・信楽の製陶会社社長・兵頭淳夫(エド山口)の刺殺体が発見されたのだが、警察はなんと早紀の犯行を疑っていたのだ。
兵頭は前日、同窓会に出席するという妻の澄子(丘みつ子)を伴って東京に出張。現場のマンションは、兵頭が東京出張の際に使用しているもので、同窓会に参加し友人とホテルに宿泊した澄子が朝になってそのマンションを訪ねたところ、夫の死体を発見したという。早紀は兵頭のなじみの銀座のホステスで、彼女らしき若い女性がマンションから慌てた様子で出てきたところを住民に目撃されていた。
警察によると、早紀は、兵頭の死亡推定時刻は幸平と一緒だったと主張しており、証拠として携帯電話で撮影した写真まで示したという。だが、実は幸平が早紀と会ったのはアリバイが必要な時間の後だった…。
その直後、警察署で偶然、顔を合わせた澄子と早紀。社長秘書の片岡泰浩(国広富之)から早紀が兵頭となじみのホステスだと聞いた澄子はいきなり「あなたが主人を殺したのね!」と彼女の頬を打つ。ショックを受けた早紀をそのまま放っておくことができず、幸平は嶋田家に彼女を泊めるが、その翌朝、幸平と満江がまだ寝ている間に早紀が嶋田家の包丁を1本奪って姿を消した。心配した幸平は、早紀を追って信楽に向かうが…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……
箕島早紀が兵頭淳夫の過去の恋人・理恵子の娘らしいことが分かる。
どうやら、早紀は淳夫の隠し子のようだ。
矢先、兵頭淳夫の養子・和明までもが殺害される。
早紀にはアリバイがなく、またも疑われてしまうことに。
淳夫の友人である陶芸職人・田辺と会った幸平は、淳夫が両親の依頼で兵頭家に養子に入っていた事実を知る。
理恵子は事情を察し、身を退いていた。
当時、淳夫以外にそんな理恵子に想いを寄せていた男性が居たらしいが……。
早紀が浄観寺のパンフレットを所持していたことを思い出した幸平は、和明の殺害当日に早紀が浄観寺に居たのではと考える。
もしかしたら、早紀は亡き母の墓を買おうとしていたのではないか。
墓地分譲中の広告を見て、そう思う幸平。
しかし、幸平の推測を聞いた由希子は早紀が本当に理恵子の娘なのか疑問を抱く。
髪留めの裏に書かれた年数や理恵子が子供を産んだと思われる年数と、早紀の干支も合致しない……。
この疑問を早紀にぶつけたところ、激しく動揺し反発する早紀。
だが、由希子から幸平が母に捨てられた過去があり、早紀に感情移入していることを聞かされ、態度を変える。
早紀が明かした事情は次のようなものであった。
早紀は理恵子の娘ではなかった。
実父に虐待されていた早紀を隣家に住んでいた理恵子が母親のように可愛がった。
実父が事故死したことを機に、理恵子が早紀を引き取った。
それから実の母娘のように暮らした早紀。
だが、理恵子は病死してしまう。
以前に理恵子から淳夫との過去を聞いていた早紀は事の原因を淳夫に求め、激しく憎んだ。
そこで、早紀は本当に理恵子の娘になりきって淳夫宛に手紙を書いた。
しかし、淳夫からは何の返事も無い。
苛立ちを覚えた早紀は淳夫について調べ、彼の女遊びを突き止めるとホステスとして淳夫に近付いた。
すべてをぶちまけて責め立てようとした早紀だが、その夜に淳夫が殺害されてしまう。
和明殺害当日には、幸平の推測通り浄観寺にて理恵子の墓所を購入しようとしていたそうだ。
この話を伝え聞いた嶋田は「早紀の手紙は淳夫に届いては居なかったのではないか……」と洩らす。
だとしたら、手紙は澄子が握っていたに違いない。
澄子が淳夫と和明を殺害したのでは……と疑う幸平。
だが、元モデルであった和明の交際相手に出会った幸平は、和明殺害時、澄子にもアリバイがあったことを知る。
しかも、淳夫殺害時にも澄子には同窓会に出ていたとのアリバイがあった。
駅構内の防犯ビデオを調べた幸平は、片岡も東京にやって来ていたことを突き止める。
片岡ならば犯行は可能であった……。
片岡と澄子を集めた幸平。
やはり、早紀の手紙を握りつぶしていたのは澄子であった。
澄子は当初こそ早紀を敵視していたが、淳夫の娘と知る和明に代わる後継者候補にと考えた。
この澄子の決意を片岡も支持していたと言う。
これを聞いた幸平は「やはり」と呟く。
実は、片岡こそが理恵子に思いを寄せていた男の正体であった。
片岡は幼い頃から理恵子に助けられ、やがて実の姉のように慕うこととなった。
理恵子が淳夫と交際し始めた際には、辛かったが祝福していたと言う。
だが、淳夫は理恵子を捨て、理恵子は姿を消した。
片岡は淳夫を憎んだ。
過去、幼い早紀は片岡に会っていたことがあった。
片岡は身を退いた理恵子を必死に探していたらしい。
結果、理恵子の所在を突き止め、後に早紀あてに雛人形を贈っていた。
以来、影ながらずっと見守っていた。
早紀がホステスとして現れた際にも、片岡はすぐに気付いたそうだ。
だが、肝心の淳夫は気付かない。
それどころか、実の娘である筈の早紀に好色な目を向けた。
実際のところ、早紀は淳夫の娘ではないのだが、片岡はそれを知らなかった……。
しかも、兵頭製陶は淳夫により滅茶苦茶にされていた。
仕事を覚えようとしない和明の尻拭いもさせられていた片岡はもはやいつ暴発しても不思議ではなかった。
すべての怒りが淳夫へと集中した片岡は、遂に淳夫を殺害してしまう。
そして、片岡の犯行に気付いた和明も殺害したのだった。
最終的に早紀に兵頭製陶を継がせる目的だったらしい。
片岡の暴発の原因が自身の行いにもあったと知った早紀は後悔するのだった……。
こうして事件は解決した。
幸平と由希子は普段通りの日常に戻るのであった―――エンド。
<感想>
七夕の日の放送となった「東京駅お忘れ物預り所シリーズ」第5弾。
随分、久しぶりに思われますがそれもその筈、第4弾は2010年7月3日に放送されており、実に2年ぶりの新作となりました。
前作はこちら(ちなみに前作記事がアップされたのは奇しくも7月7日でした)。
・土曜ワイド劇場「東京駅お忘れ物預り所4 全長6400メートル銚子電鉄殺人ルート!!すり替ったお守り袋に15年間の殺意の秘密」(7月3日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、ドラマ本編の感想。
内容的に片岡の誤解が招いた悲劇でしたね。
早紀が理恵子の実子ではないと分かっていれば、踏み止まったかもしれませんね。
最大の引き金は「(片岡視点で)実の父親である淳夫が、実の娘である早紀に手を出そうとした」ことに尽きると思いますし。
まさに、劇中で早紀が述べた通りだと思います。
この辺りはなかなかの出来でした。
そして、国広さんは同じ週に放送された「水曜ミステリー9」に続き、犯人役に。
・水曜ミステリー9「湯けむりドクター・華岡万里子の事件簿 姨捨山伝説殺人事件・信濃の秘湯で泣く母子 時を狂わす殺人トリック!老舗酒蔵の秘密(おばすて伝説殺人事件〜老母が捨てられる!?信濃の秘湯に渦巻く黒い血脈銘酒が暴くトリック)」(7月4日放送)ネタバレ批評(レビュー)
推理部分では、早紀の干支から年齢を推測し、理恵子の娘ではありえないと導き出したのは良かったですね。
ただ、その他の推理部分で思いつきや超推理も多かったと思います。
「特に浄観寺のパンフレットを持っていたから其処に居たのだろう」とまでは思っても、分譲中の広告を見て「理恵子の為に墓地を買おうとした」と断言するのはかなり際どい気が……。
普通は、知人の墓参が予想されそうなものですが。
もともと、パンフレットを持っていたとしても、その日その場所其処に居たとは言い切れないところもあるし。
ここは些か論理の飛躍が目立った気もしました。
それと、田辺は理恵子を慕う男の存在まで幸平に明かしているのだから、その場で片岡の名前まで伝えておけよ、と。
それが出来ないのならば、慕う男の存在自体を明かすなよ、と。
お約束とはいえ、余りと言えば余りに強引な匂わせ方にちょっと違和感。
他には、中盤の和明殺害辺りの構成が混乱した。
和明が澄子から後継者を外されて、CMに入り本編に戻ったかと思うと、澄子が和明の死体の前で泣いてた。
一瞬、何かを見逃したのか本気で焦りました。
ある意味、視聴者の気を引き締めるのには役立ったと思うけど、混乱する恐れがあるので気を付けて欲しい。
とはいえ、前回に比べればかなり手堅くまとまっており良かったと思います。
次回にも期待!!
<キャスト>
望月幸平:高嶋政伸
村尾由希子:櫻井淳子
嶋田満江:高橋ひとみ
嶋田福男:北村総一朗
箕島早紀:井上和香
兵頭澄子:丘みつ子
片岡泰浩:国広富之
陶芸職人・田辺:斎藤洋介
兵頭淳夫:エド山口
大口康夫:マギー ほか
(公式HPより、敬称略、順不同)
なんで忘れ物をしてしまうのか?そんな謎に真っ向から挑んだのが本書。
「失敗のメカニズム―忘れ物から巨大事故まで (角川ソフィア文庫)」です!!
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