ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
推理小説の名手による社会派ミステリーをおくる。東京郊外にある病院で、周囲から嫌われていた入院患者が殺害される。死因は筋弛緩(しかん)剤の投与によるもので、周囲の全員に殺害の動機があった。やがて医師が逮捕されるが、新たな事件が発生する。事件を調べ始めた看護師が真実に迫る。ゲストは山村紅葉、赤江珠緒、アイドリング・菊地亜美。司会は徳井義実、綾部祐二、紗栄子。
(@nifty tv番組表より)
7月17日放送にて再現されたのは『毒 poison』でした。
過去にネタバレ書評(レビュー)ありますね。
・『毒 poison』(深谷忠記著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【毒 poison(深谷忠記著)】
◆問題編(前半)スタート
ある病院の入院患者・松永が死亡した。
松永の担当医であった高島は松永の死に不審な点があるとして、松永の妻・綾乃を通じて届けを出す。
こうして、事件は表面化した。
解剖の結果、松永の死因は筋弛緩剤にあると判明。
病院では数日前に筋弛緩剤盗難事件が発生しており、この筋弛緩剤が用いられたと思われたが……。
盗難事件の容疑者として、ナースの柿沼の名前が挙がっていた。
松永殺害犯について師長らから事情を聞く担当刑事。
此処で意外なことが分かる。
松永は周囲の人々から毒と呼ばれていた嫌われ者だったのである。
松永は誰彼かまわず暴力を奮っていたのだ。
ナースの柳麻衣子によれば、同僚の柿沼が相当な被害に遭っていたようだ。
柿沼を聴取したところ、妻の綾乃も被害者であった。
しかも、患者たちもその例外ではなかったらしい。
特に被害に遭っていたのは池村という男性患者。
池村は評判も良い患者。
彼の妻・通子や息子・聖志などは毎日介護していたらしい。
其処へ麻衣子から新たな情報が。
池村が生命保険に加入しており、夫婦ともにどちらかが死亡すれば3000万円の契約をしていたそうだが……。
高島と松永に因縁があることが判明。
松永が「人殺しのヤブ医者」と高島を罵っていたそうだ。
実は松永の息子・肇と高島は中学時代の同級生。
肇は高島宅で薬物を多量摂取し死亡していたのだ。
肇は松永に虐待されており、それを苦にしたことが原因で死亡したと思われていた。
過去、肇は綾乃が自分同様に松永に虐待される現場を目撃していた。
肇は松永殺害を計画するが、高島に説得され断念していた。
この話を高島から聞かされた麻衣子は「肇は綾乃が松永と離婚できるよう自殺したのでは」と考える。
警察は高島と綾乃を容疑者と見て捜査を進める。
高島は容疑を否定。
綾乃も「夫の暴力は自分に問題があったからだ」と発言し、動機を否定する。
◆スタジオ
問:松永を殺したのは誰か?
・松永の死を聞き駆け付けた綾乃がバッチリメイクしていたことから綾乃犯人説。
・さらに、カット数の少ない聖志犯人説も浮上。
此処で番組側よりプレゼントクイズの告知アリ。
4択問題、松永殺害犯は誰か?
1.病院関係者
2.池村家
3.松永家
4.その他
正解者のうち抽選で10名様にサイン入り原作本プレゼントとのことでした。
◆問題編(後半)スタート
看護師から意外な証言が飛び出す。
松永殺害当日、当直室に居た筈の高島と連絡が取れなかったと言うのだ。
この証言を重視した刑事たちは高島を取り調べすることに。
これに対し、高島は松永の部屋に居たことを認める。
何でも、肇の死について松永に抗議していたらしい。
一方、池村は一時帰宅することに。
意気揚々と帰宅の途に就く池村。
だが、通子や聖志たちの表情は暗い。
その裏では、柿沼が病院を辞めて実家に帰ることに。
矢先、池村が自宅で死亡してしまう。
どうやら、覚悟の自殺らしい。
遺書について尋ねる刑事だが、通子には覚えがない。
池村の死因は毒物による中毒死とのことだった。
翌日、麻衣子のもとに通子から連絡が。
なんでも、急に遺書が見つかったらしい。
金庫の中に保管されていたUSBメモリに保存されていたそうだ。
しかも、筋弛緩剤と毒薬も一緒に保管されていた。
薬物は池村が最初から所持していたものらしい。
遺書によれば「松永を殺害したのは自分である」とあり、事細かに殺害方法まで記載されていた。
この遺書により、池村が松永殺害犯と断定され、高島は釈放される。
数日後、高島と麻衣子の前にある人物が現れる。
池村の保険担当者・畑山である。
畑山は池村の自殺に疑問を抱いていた。
◆スタジオ(2回目)
綾乃と通子の共謀説が唱えられる。
さらに、穏やかな池村こそが毒なのではないか、そこで再び聖志犯人説も。
聖志の本命は池村、その犯行をミスリードする為に松永を殺害したとの説だ。
結局、聖志犯人説でファイナルアンサー!!
◆解答編
「池村が家族に暴力を奮っていた」
畑山の口から衝撃の事実を伝えられる麻衣子。
畑山は動機のある通子を疑っていた。
しかし、池村の遺書には松永の殺害方法が詳細に記されていた。
松永殺害が池村本人の犯行でなければ難しい筈だが……。
畑山は「池村が松永殺害の詳細を家族に語ったのではないか」と推理する。
だが、この推理には証拠が無かった……。
一方、高島は池村家の金庫に残されたままだった筋弛緩剤に疑問を抱く。
何故、処理しなかったのか?
理由があるとすれば、池村の犯行に見せる為しか考えられない。
つまり、松永殺害は池村の犯行ではない。
そして、松永殺害犯と池村殺害犯は同一人物ではないか。
高島と麻衣子は真犯人のもとを訪れる。
真犯人は―――聖志だった。
聖志は池村から母・通子への虐待に耐え兼ねていた。
そこへ筋弛緩剤の盗難騒ぎが起こった。
聖志はこれを池村殺害のチャンスだと考えた。
そこで、捜査を混乱させるべく池村の所持していた筋弛緩剤で松永を殺害した。
その後、遺書を偽造し、池村を殺害したのである。
松永を殺害した理由は、保険金目的という狙ってもいない動機で疑われること避ける為だったそうである。
一方、院内から盗み出された筋弛緩剤盗難事件の犯人は……柿沼であった。
柿沼は松永に復讐しようとしたが、怖くなって思い留まったらしい―――エンド。
<感想>
再び2週間のお休みを挟み、放送された「超再現!ミステリー」。
その内容は『毒 poison』でした。
・『毒 poison』(深谷忠記著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
再現版、なかなか上手くまとめられていたと思います。
幾つか不満はありますが、原作はかなりボリュームがあるのであのまとめ方で良かった。
原作だと、柳麻衣子が主人公でしたが、再現版ではどちらかと言えば誰でもなかった印象ですね。
強いて言えば、前半が捜査陣、後半が麻衣子か。
これはおそらく麻衣子でさえも容疑者に加える為の物と思われます。
あまり奏功していたとは思えませんが、アリでしょう。
ちなみに高島と麻衣子が恋人同士であることの説明が無かったような気がするが、其処はいただけないと思う。
聖志の犯行と断定するロジックがまるまる削除されていたのは不満点かな。
原作ではアレが良かっただけにちょっと残念。
このロジックに興味のある方は原作ネタバレ書評(レビュー)もどうぞ!!
それと作中における「毒」の意味合いがまるっきり変わっていたような気がします。
再現版だと個人のあだ名のような扱いでしたね。
あくまで、社会問題であった原作が再現版では個人の問題に変えられていたような……。
まぁ、原作も特に問題提起に成功していたようには思えないのでコレはコレでアリか。
それに関連して聖志の結末も省略されていました。
原作の締めが良かったと思うだけに此処も残念。
ただ、今回の再現として取り上げたテキストが「社会派ミステリ」で動機から推理可能な作品であったことは良かった。
動機から犯人を絞り込む推理法を採用している本番組において、テキスト選択は重要であると思われるが、今回は上手くマッチしていたと思う。
今回を視る限り、これまでは「トリックとロジックを主とする作品を再現するべき」と考えていたが、逆に「それは余り向かないのかもしれない」と思った。
それくらい今回の推理パートは本編とマッチしており、視ていて面白かった。アリでした。
とはいえ、やはり「トリックとロジックこそミステリの華」と信じるからには、そちらも再現して欲しいところ。
その点、次回も期待出来そうだ。
で、次回の超再現なのですが、次回は来週7月24日放送予定。
超再現の対象となる作品ですが、以前記事にもした通り太田忠司先生『ミステリなふたり』(幻冬舎刊)。
中でも表題作『ミステリなふたり』と収録作『エプロン殺人事件』の2作とのこと。
・『ミステリなふたり』(太田忠司著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
・2012年7月24日放送予定「超再現!ミステリー」第10回にて超再現される作品が判明!!太田忠司先生『ミステリなふたり』(幻冬舎刊)とのこと。
『ミステリなふたり』は京堂夫妻シリーズの1冊。
シリーズは短編からなっており、シリーズには他に続編『もっとミステリなふたり 誰が疑問符をつけたか?』(幻冬舎刊)や、現在『Webミステリーズ!』(東京創元社)にて連載中の『ミステリなふたり à la carte』がある。
『ミステリなふたり à la carte』については第4話までHP上で掲載されているので本作のイメージを掴まれたい方は東京創元社さんの公式HPを見てみるのも良いかも。
・『もっとミステリなふたり 誰が疑問符をつけたか?』(太田忠司著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
再現される表題作『ミステリなふたり』は登場キャラクターの紹介に必須。
そして、『エプロン殺人事件』はロジックに特化した意外性のある作品。
2作を1時間でとのことで些か駆け足気味になりそうですが、なかなか面白くなりそうな予感がします。
次回に注目!!
◆関連過去記事
・あのミステリ小説も実写化されるかも!?2012年4月より「超再現!ミステリー」放送開始!!
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・『毒 poison』(深谷忠記著、徳間書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『ミステリなふたり』(太田忠司著、幻冬舎刊)ネタバレ書評(レビュー)
ラベル:7月17日 超再現!ミステリー 9回 毒 poison 深谷忠記 徳間書店 幻冬舎 ミステリなふたり 太田忠司 ミステリなふたり à la carte Webミステリーズ! 東京創元社 エプロン殺人事件
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山村紅葉さんの「登場カット数が少ないから聖志が犯人」という考えがいかにも二時間ドラマの常連らしい考え方で面白かった。
聖志が犯人だという証拠やロジックが示されなかったのは残念でしたね。
原作のネタバレレビューにあった「遺書に『聖志に毒を病院に運ばせた』と書いた」という一言があれば良かったのに。
再現ドラマのままだと、最後にスタジオで候補にあがった両方の妻による交換殺人もあり得る気がします。
(まぁ眠っていただろう松永と違って、半身麻痺とはいえ起きている池村を松永夫人が殺害するのは難しいかもしれませんが)
来週、楽しみですが、短い話とはいえ2つを1時間でやるってのは詰め込み過ぎにならないか心配です。
こんばんわ(^O^)/!!
管理人の“俺”です!!
今回、記事にも書いている通りかなり良かったですね!!
推理と本編とがピッタリマッチしていました。
動機中心の推理法と作品が合致したのかも。
確かに、犯人を断定するロジックが省略されていたのは残念でした。
原作はあれが凄く良かったので。
来週、『ミステリなふたり』から2短編とのことで、かなり楽しみですね。
駆け足気味かもしれませんが、テーマを上手く汲めば面白くなると思います。