登場人物一覧は本記事下部に移動しました。
<第90話あらすじ>
〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜
沖縄へと到着した大和たちは、響子と出会うことに成功。
同じ頃、鈴木の義父は「鈴本」を名乗り、響子たちに接近していた。
一方、関口二郎に双子の兄・欽一が居ることが判明。
修羅を生きる兄弟の過去が明かされ始める。
虐待と血に染められたその幼年期とは……。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
健の虐待は留まる所を知らなかった。
帰宅した真理が見たもの……それは包丁で臀部に「047」、「056」と刻みつけられた2人の幼子の哀れな姿であった。
血塗れの兄弟に絶句する真理。
泣き尽くしたのだろうか……啜り泣く声も弱々しい欽一と二郎。
慌てて真理は健の凶行を止めようとするが、健にとって真理の言葉は何の効果ももたらさなかった。
逆に真理自身も健に殴りつけられてしまう。
そして、真理はそれに従うのだ……。
健の関口兄弟への虐待は日々、過酷さを増して行った。
風呂場での水責めはもちろん。
食事は犬用の皿に少量の水、これを這い蹲り舐めるようにしてとらされる。
犬の鳴き声を強要され、時に面白半分に蹴りを入れられる。
この際の悲鳴も「ワン」である。
「ぎゃっ」や「痛っ」と叫ぼうものなら、その比ではない暴力が待っている。
今や関口兄弟はその日その日を生き抜くことに手一杯となっていた。
そんな兄弟の心の支えは、分身である互い自身と母親である真理の存在であった……。
ある日、いたぶるのにも飽きた健は兄弟2人を置いてパチンコ屋へと出かけた。
残された関口兄弟は思い切って外出することに。
公園のベンチ、互いに捕まえたカブトムシを競わせ合っている。
その横を親に連れられた幸せそうな子供が歩き去る。
「ねーねー、カブトムシ。デパートで買ってよ〜〜〜」
その声にピクリと反応する二郎。
「カブトムシって、デパートで買うものだったんだね」
何気なく発した欽一の言葉は二郎をズタズタに切り裂いてしまう。
「なんで……なんで……ぼくらだけ……」
二郎を覗き込んだ欽一の表情が凍りつく。
二郎の眼には暗い淀みがあった。
「二郎ちゃん……?」
欽一の呼びかけに応じず、二郎は手にしたカブトムシを怒りに任せ引き千切った……。
さらに月日が過ぎた―――ある冬の夜のことである。
身を切る寒さの中、屋外にシャツ一枚で放り出された関口兄弟の姿があった。
兄弟は互いに必死に身を寄せ合う。
窓を隔てた内側では、暖房器具により温められた空気が満ちていた。
暖気の中、健は憤りを隠せない様子で叫ぶ。
「あいつら、たまに早く帰ってみれば外出してやがった。今までもやってやがったに違いない!!」
舐められてたまるか……とばかりに捲し立てる健。
その身体の下では肌を晒した真理の姿があった、2人は繋がっていた。
荒い息を吐きつつ、関口兄弟についてとりなす真理だが、健は聞く耳を持たない。
「そういえば、ああいうのが好きな奴も居るらしい。金でも稼いで貰おうかな……」
とんでもないことを口にする健。
もはや、真理は彼を止めない。
涙を流しつつ「拾ったりなんかしなければ良かった……」と呟くのだった。
これを窓越しに聞いていた欽一の眼がみるみる淀んで行く―――。
「二郎ちゃん、あいつらを……殺そう」
そう口にした欽一の前には同じ顔をした二郎が居た―――91話に続く。
<感想>
明確なる殺意!!
沖縄篇第13回にして関口過去編2回目となりました。
前回に引き続き、関口兄弟の凄惨な過去が描かれました。
二郎に続き、欽一も臀部に「刻印を施されていた」事実が判明。
兄弟はほぼ同一の幼少期を歩んでいたことに。
そして……健の虐待は激化の一途を辿り、欽一、二郎共に追い詰められる結果に。
そんな中、兄弟にとって互い以外に唯一頼れる存在だった筈の真理から思わぬ言葉が。
「拾ったりなんかしなければ良かった……」
真理にとっては、健に食い物にされる兄弟を慮っての台詞と思われますが、これは「正式に兄弟の保護を諦めた」ことと同じ。
欽一、二郎にとっては「誰も守りません」と宣告されたようなもので、遂に「窮鼠猫を噛む」しか道がなくなりました。
おそらく、互いに1人ずつ手にかけることになるのでしょうか。
次回は血の雨が降りそうです。
欽一と二郎の現在(代議士秘書と刑事)から考えると、彼らに戸籍を与えた人物が居る筈。
それが沢田か。
沢田が健と真理殺害の担当刑事となり、2人を引き取るのでしょうか。
この辺りも気になるところ。
一方、管理人の主張する「雄大は沢田に囮として利用された。実際の犯行は鉄也によるものではないか=雄大囮説&鉄也犯行説」の可能性や如何に!?
鳴海鉄也が犯人ならば、年齢的に些か疑問は残るものの、響子、東海林の発言共に矛盾は無くなる筈ですが……。
変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?
@大和たち(水原含む)
A沢田たち(関口兄弟)
B雄大一派(雄大死亡!?)
C泰成一派(義父の鈴木)
Aの沢田たちも関口兄弟と沢田の間には含みがある様子。
Cの泰成と義父の間もいろいろあり、決して一枚岩とは言え無さそう。
以上のように争いは3つ巴から4つ巴に。
更なる激化は間違いないか?
とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
91話に期待です!!
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◆関連過去記事
・「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第1話から第80話(講談社ヤングマガジン連載中)までネタバレ批評(レビュー)まとめ
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第81話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第82話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第83話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第84話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第85話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第86話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第87話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第88話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
・「三億円事件奇譚 モンタージュ」第89話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)
◆登場人物一覧
【現代】
鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中
鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
未来の両親:突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。
鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。
土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。
響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。
関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。
沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。
松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。
朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。
小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。
真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。泰成すらも信用していないようだが……。
森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。
【三億円事件当時】
川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?
健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。89話より登場。
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