ネタバレあります、注意!!
では、ドラマ版のネタバレあらすじを。
<ナビゲーションパート・オープニング>
『月刊ホワイダニット』編集長の倉敷(中井貴一)が編集長室で食べたオムライスにより毒殺された。
彼は何故、誰に、殺されたのか―――?
と、そこで不可思議なことが起こった……倉敷が幽霊となったのである。
「誰からも恨みは買っていない筈だが」と考えた倉敷は自身の死に納得できず化けて出たらしい。
そこへ彼の死体の第一発見者がやって来る。
その女性は倉敷の不倫相手であった。
倉敷は彼女が自身の死を前にどうのような反応を示すか、観察するが……。
<本編『さよならコーチ』>
とある企業のアーチェリー部。
その部室で、選手の1人・望月直美(田中麗奈)が死体で発見された。
遺書と思われるビデオテープも発見され、自殺と思われたが……。
そして今、そのコーチである石上純一(唐沢寿明)が直美の遺したとされるビデオテープの映像を眺めている。
その後ろには、事件か自殺か判断する為に刑事たちが取り囲んでいた。
映像の中の直美は、自身の自殺の方法について明朗に述べると、最後に「さよならコーチ」と口にしていた―――。
担当となった鈴木警部(西岡徳馬)より事情聴取を受けた石上は「オリンピック選考会に落選したことが動機ではないか」と語る。
動機にビデオテープと自殺を指し示す証拠が揃い自殺説が濃厚になった。
だが、鈴木は直美のビデオテープの映像に何処か違和感を拭えなかった。
何かあるのではないかと考えた鈴木は捜査を開始する。
一方、コーチの石上は妻・陽子(戸田菜穂)の妊娠を喜んでいた。
だが、何処かその笑顔には曇りがあった……。
さらに、石上にはある悩みの存在が。
直美が死亡して以降、自宅に無言電話がかかって来ていたのだ。
石上の不安はどうしても解消されない。
翌日、鈴木が石上を訪ねて来る。
石上は直美の死は彼女の悩みに気付けなかった自分の責任であると主張。
アーチェリー部自体も廃部となる為、退社することになると明かす。
そこへ、鈴木宛に部下から電話が。
直美の死の当日、システム管理部の派遣社員・森山が部室を覗き込んでいたことが判明。
森山は何をしていたのか、それとも、何かを見たのか?
その夜、石上から陽子あてにメールが届く。
そこには「携帯が故障したので、会社のPCからメールしている。ポールスターというバーに来て欲しい」とあった。
夫からの誘いにいそいそとポールスターへ向かった陽子。
だが、そこで何者かに襲われてしまう。
悲鳴を上げる陽子。
間一髪、森山を見張っていた刑事たちが突入。
襲撃者は逮捕されることに。
そう、襲撃者の正体は森山だったのだ。
無言電話の主も彼だった。
鈴木の調べにより、森山が直美のストーカーだったことが分かる。
直美のストーカーが何故、陽子を襲ったのだろうか……?
翌日、鈴木が石上を訪ねる。
森山はシステム管理部の立場を悪用し、石上に成りすましたらしい。
度重なる鈴木の来訪に、石上は激しく動揺する。
この石上の態度から、鈴木は直美の死に秘密があると確信。
森山が何かを知っているのではないかとの疑いを抱く。
森山は「直美の死には石上が関与している」と告発。
「直美は石上の奴隷だった……」と泣き始める。
陽子を襲ったのも直美の復讐の意味があったらしい。
一方、鈴木を通じこれを聞かされた石上は「事実無根だ」とバッサリ否定。
鈴木もそれは認めるが「森山がそう思い込んだだけの理由があったんです」と語り始める。
森山は以前から直美にストーカー行為を続けていた。
しかし、直美にその気はなく、手酷く振られていた。
ところが2ヶ月前、その直美が自ら森山を呼び出したと言う。
そこで、1年前に自殺を図ったことを明かしたそうだ。
しかも、この自殺を止めたのは石上だったらしい。
これを聞いた石上は感情を波立たせる。
そんな石上に対し、鈴木は追及の手を緩めない。
汲々とする石上。
「1年前の自殺の方法は?」
「確か、首吊りでした」
「ビデオの遺書はありましたか?」
「いや、ありませんでしたよ」
何とか切り抜けたかに見えた石上だったが……。
矢先、スコアブックから直美の走り書きが発見される。
そこにはこう書き記されていた。
「わたしは死を選んだ。
でも、コーチに見つかり阻止されてしまった。
あのテープは残しておこう。
わたしの死への決意の記録。
愛する人への証として……」
どうやら、1年前に書かれた物のようだ。
「あのテープ」……つまり、石上が否定した遺書テープは存在するのだ!!
追い詰められていく石上。
鈴木に再度、呼び出される。
鈴木は遺書ビデオから大きな発見をしていた。
ビデオの中の直美は中指にテーピングしていた。
ところが、実際の直美の遺体からはテーピングが発見されなかったのだ。
このことから、鈴木は石上が1年前の遺書ビデオを利用したと断定。
他殺を自殺に偽装する為に、ビデオを使い回したと推理したのだ。
もはや、石上に逃げる術は無かった……。
1年前、自殺未遂を図った直美を発見した鈴木は彼女を助けた。
当時の直美はオリンピック出場のかかった大会に失敗し自暴自棄になっていた。
「私には普通の女としての幸せの記憶が無い!!」
涙ながらに訴える直美。
そんな直美を立ち直らせるべく、石上は彼女と関係を持ってしまう。
以後、石上と直美の関係は続いた。
それと同時に直美の成績も安定し始めた。
ホッとした石上だったが、それは一時のことだった。
直美は選手として下降線を辿り始めてしまう。
遂に引退を考え始めた直美。
だが、直美は引退する代わりに、石上に陽子と別れ自身の傍に居るよう迫った。
しかし、石上は陽子を愛していた。
直美を選ぶことは出来ない……。
ところが、そんな石上の意に反し、直美は少しずつ大胆な行動を取るように。
自身と石上の関係を暗に陽子に報せるような行動を取り始めたのだ。
結婚記念日にずぶ濡れで家を訪ねて来た直美。
「陽子さんみたいな人が理想なんです……」何かを思い詰めた表情で呟く直美。
「陽子さんになりたいんです……」口にすれば叶うかのように唱える直美。
陽子の背中に刃物を向ける直美。
すべてが石上を怯えさせた。
2人きりになれば、自分への愛を囁いて来る。
直美の行動は石上を恐れ慄かせるには充分であった。
そんな石上に、直美は遺書テープが部室のロッカーに仕舞っていることを打ち明ける。
しかも、「コーチ、好きなんです!!」脈絡もなく石上への想いを語るのだ。
ある日などは、陽子の後を尾行していたことも分かる。
このままでは、直美が何をするか分からない。
あいつが居る限り、家族が危ない―――遂に石上は直美の排除を目論む。
記念写真を撮影すると直美を騙した石上。
「一番、輝いていたときと同じ格好をしよう」と1年前と寸分違わぬ容姿に整えさせた。
そのまま、睡眠薬入りのワインを服用させると、時限装置を仕掛け直美を殺害したのだ。
1年前の遺書テープがある限り、自殺と判断される筈だった。
鈴木は「森山の存在こそが石上の計画犯罪を崩した」と述べる。
皮肉な物で、森山の歪んだ愛情が真相を明らかにしたと言うのだ。
だが、果たしてそれだけだろうか。
逮捕されることとなった石上は自問自答する。
今回の計画を実行に移すにあたり、何度も何度も穴が開くほどテープを見て確認していた。
にも関わらず、見落としがあったのか……そんなことが起こるのか?
力の抜けた石上の眼に、テープに映る蜘蛛が飛び込んで来る。
慌てて部屋の隅を眺めれば、テープに映った蜘蛛は其処に居た。
今、此処に居る蜘蛛が1年前のテープに映る筈がない。
まさか……最近になって撮影し直したのか!!
此処に来て、直美の行動のすべてを察した石上。
直美は石上を告発する為に遺体とテープの内容に差異が出るよう仕組んでいた。
それが、テーピングだったのだ。
直美の殺害直前の言葉―――「さよなら、コーチ」。
それはすべてを見越した直美の石上への罠であった。
そして、石上が自分のモノとなったことを確信した一言だったのだ―――『さよならコーチ』エンド。
<ナビゲーションパート・エンディング>
再び、ホワイダニット編集部。
倉敷は自身を殺害した犯人は、愛人の彼女だと断言する。
すべては愛が引き起こしたことだ、と。
「編集長!!」
だが、そこへ1人の若い男性が駆け込んで来た。
彼を見た倉敷は「訂正、もう1人容疑者が居ました……」と呟く―――2話『犯人のいない殺人の夜』に続く。
<感想>
原作は『犯人のいない殺人の夜』(光文社刊)収録の短編『さよならコーチ』。
過去にネタバレ書評(レビュー)していますね。
・『犯人のいない殺人の夜』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
では、感想を。
すべては直美の罠でした。
ドラマだと「石上の殺意を直美が見抜いて罠にかけた」となっていましたが、どちらかといえば「初めから石上に殺意を持たせるよう直美が誘導した」というのが正解でしょう。
直美は何もない自身を悲観し、石上を手に入れるべく執着し、彼を道連れにしたと言えます。
そして、大筋は原作通りでしたね。
原作と異なっていたのは、森山の存在か。
森山はオリジナルですね。
おそらく、直美の愛情と対比させる為に森山の存在を投入したものと思われますが、正直、そんなに効果を発揮していたようには思えなかった。
むしろ、直美と石上の世界に第3者が入ったみたいで改悪の印象を受けた。
特に、森山の存在が事件を左右するほどでもないし、別に加えなくても良かったかなぁ。
アレ(陽子襲撃)の所為で本筋が分かり辛くなった。
直美の死以外に事件が増えたことで散漫な印象。
陽子襲撃を加えるくらいなら、ラストの直美の罠部分をもっと強調するべきだったと思う。
この点は不満。
ただ、唐沢寿明さん、田中麗奈さんなどキャストの熱演は良かった。
この点は非常に満足。次回も期待できそう。
そんな次回のドラマ化は『犯人のいない殺人の夜』。
短編集の表題作となるだけあって、なかなかの作品です。
過去にネタバレ書評(レビュー)があるのでどうぞ!!
・『犯人のいない殺人の夜』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
今後、ドラマ化される他の作品についてもネタバレ書評(レビュー)ありますね。
興味のある方はどうぞ!!
・『怪しい人びと』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『あの頃の誰か』(東野圭吾著、光文社刊)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
【東野圭吾先生原作ドラマ関連】
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・「流星の絆」(TBS系、2008年)
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・「探偵倶楽部」(東野圭吾著、角川書店刊)
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