2012年07月07日

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年3号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「Q.E.D.証明終了(「月刊少年マガジン+(プラス)」2012年3号掲載分)」(加藤元浩著、講談社刊「月刊少年マガジン+(プラス)」連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
燈馬想:言わずと知れた主人公。
水原可奈:言わずと知れたヒロイン。

東屋:殺害された資産家。強引なところがあり敵も多かった。
北中:東屋を訪ねた1人。
南井:東屋を訪ねた1人。
西陣:東屋を訪ねた1人。容疑者として拘留中。
玲子:東屋の妻。離婚調停中。
白台:東屋の顧問弁護士。

テレビ局が募集した再現VTRのバイトに参加した想と可奈。
実はこの撮影、「ある事件で容疑者とされる男性がいるが、その男性以外にも犯行が可能であることを立証すること」を目的としたものであった。
もしも、別の容疑者にも犯行が可能であると立証できれば5万円のボーナスが出るらしい。
これを聞き意気込む可奈。

元となった事件の詳細は次の通りである。
資産家でワンマンで知られた東屋が自宅の離れで殺害された。
殺害方法はボウガンにより一撃を加えた後の絞殺。

この容疑者として当時、東屋家に居た4人の人物のうちの1人・西陣が逮捕されたのだ。
今回の再現VTR撮影は西陣の弁護士・白台の発案によるものであった。

当日、東屋家を訪れていたのは西陣以外には3人。
東屋の妻で離婚調停中の玲子、ほかに北中と南井である。

可奈が玲子役を、想たちもそれぞれの役を演じることとなった。
シナリオは白台の提供である。
さて、シナリオに沿って行動した結果、東屋殺害が可能な人物を見つけ出すことが出来るのであろうか?

白台の書いたシナリオ通りに行動する面々。
基本、4人は互いに互いを意図せず監視するような形になっており、アリバイを補強し合っていた。
中でも、玲子は常に人の輪の中心におり、酒を呑んでは騒いでいたと言う。
そんな中、東屋と交渉すべく2万円のメロンを持参していた西陣のみが、わずかな隙を突くことが出来たのだ。

5万円目指して奔走する可奈だが、玲子は常に目立つ。
あちらこちらで騒ぎを起こしては人を集めていたのだ。
到底、東屋殺害は実行出来そうにない。
これは想たちが演じる他の2人も同じであった。

結局、殺害が可能なのは西陣のみなのか……?
そんな中、想1人は何かを考え込んでいた。
彼の見詰める先には2枚の写真が。

両方とも、東屋と玲子たちの写真である。
1枚は、白台たちをバックに東屋が玲子に寄り添っている。
もう1枚は、白台が消え、東屋の手を玲子が撥ね退けていた。

これを見た可奈は「この頃から夫婦仲が悪かったのね……」と呟く。

いよいよ、死体発見直前のシーンである。
玲子に誘われ他の面々も酒盛りをしているところに、白台が現れる。
「玲子さんに酒を呑まされたんですね、まったく……」
白台の提案で、東屋の離れへと向かった5人はこの後に東屋の死体を発見するのだ。

そして、アルバイト終了の時刻がやって来る。
結局、西陣以外には犯行は不可能であったとの結果が出てしまった。
しかも、その直後に西陣本人が犯行を認めたとの報が飛び込んで来る。

どだい無理だったのか……皆が肩を落とす中、想は「ご希望に沿わないかもしれませんが……」と東屋殺害事件の真相を明かし始める。
想によれば「犯人は可奈だ」と言う。

驚く可奈に、言い直す想。
より正確には可奈が演じた玲子が犯人であった。
しかし、玲子には完璧なアリバイがあるが……。

もともと、西陣は東屋と交渉の必要がありやって来ていた。
それは高級メロンが証明している。
つまり、交渉もせずに彼を殺すことはありえない。

一方、東屋を殺害した犯人はボウガンを用い、東屋の抵抗力を奪った上で絞殺している。
この用心深さは音を立てない為に行われたことであった。
つまり、犯人は外部から侵入したのだ。
しかし、中の様子も分からないだろうにどうやって?

此処で玲子の出番である。
玲子は酒での醜態と見せかけて、あちこちで騒動を起こし人目を惹く役目を担っていた。
その隙に真犯人が外から屋内へと侵入し東屋を殺害したのである。
その後、脱出すると、改めて屋敷に現れた。

そう、玲子と協力していた真犯人は白台であった。

「何か証拠でもあるのか?」
想の推理を否定する白台だが、想には根拠があった。

まず、写真。
1枚は、白台たちをバックに東屋が玲子に寄り添っていた。
もう1枚は、白台が消え、東屋の手を玲子が撥ね退けていた。

両方とも東屋を拒否すれば良かったのに、1枚だけ玲子が受け入れていたのは何故か?
本来ならば、玲子は東屋との仲を取り繕わなければならなかったのだ。
だが、本当の恋人の前で本音が出た。
白台が消えた写真、つまり、撮影者は白台である。

本当の恋人である白台に撮影された玲子は、つい東屋を拒否するという本音を見せてしまったのだ。

そして、もう1つ。こちらは決定的である。

白台は東屋宅を訪れ、酒盛りをしている面々を見るなりどう発言したか。
「玲子さんに酒を呑まされたんですね、まったく……」と口にしたのだ。
何故、その場に居ずに玲子に呑まされたと分かったのか?
これは事前に玲子と打ち合わせて、そのことを知っていた為だったのだ。

さらに、再現VTRの撮影を提案したのも、西陣以外に犯行不可能であることを立証する為。
同時に、西陣へは弁護するように見せつつ、自供へと誘導した。
玲子役を若い可奈に演じさせたのも、イメージを変えることで玲子への疑いを逸らす為だった。

すべては東屋の資産が目的であった。
玲子を東屋に近づけたのもその為。
東屋を殺害し、玲子が遺産を相続した後に再婚するつもりだったのだ。

「以上、証明終了です」
こうして、想により事件の全貌が明らかとなった。

白台の計画はもう少しで成功する筈であった。
だが、白台は奇しくも再現VTRを撮影するという自身の策に溺れた為に、自身の罪を明かしてしまったのだ。
「余計なことをしなければ……」
自らの破滅に気付いた白台の叫びが屋敷内を埋め尽くす―――エンド。

<感想>

「月刊少年マガジン+」2012年3号掲載分です。

かなり良かったですね。
管理人的には全員がアリバイを補強し合っていた流れから、西陣を除く3者の共同正犯を疑ってしまいました。
中盤から終盤直前辺りで漸く犯人に辿り着くことが出来ましたが「ボウガンと絞殺を重ねた意味」と「写真の意味」は最後まで気付きませんでした。
写真と言えば、映像作品だからこその仕掛けでしたね。アリです。

全体的に、今回はかなりの完成度だと思います。
「Q.E.D.証明終了」中でもベスト10に入るエピソードだと思うのですが、如何でしょうか。

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