2012年07月18日

『狙われた病室(監禁探偵2)』4話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』4話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<登場人物一覧>

アカネ:轢き逃げに遭い実日会総合病院に入院。記憶を喪失しているようだ。前作のアカネと同一人物?
多岐川:実日会総合病院の外科医。アカネの手術を担当。眼鏡着用。
米山:実日会総合病院の看護師長。
宮本:実日会総合病院の研修医。
拓人:子供。実日会総合病院の入院患者。
桐島いつき:若手の看護師。2話より登場。同話にて被害者に。
川越修:実日会総合病院院長。65歳。眼鏡着用。2話より登場。
原田真菜:いつきの同僚看護師。4話より登場。

<4話ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜

轢き逃げ事故に遭った少女が実日会総合病院に運び込まれた。
少女は身許を示すような品を所持しておらず、ハンカチにあった刺繍からアカネという名前を与えられる。
アカネは意識を取り戻すが、記憶を喪っていた。

そんなアカネに近付く入院患者の少年・拓人。
彼によれば、実日会総合病院は「幽霊病院」らしいが……。

車椅子により動けるようになったアカネは、看護師の桐島いつきが何者かと逢引している現場を目撃する。
翌朝、当の桐島いつきが謎の転落死を遂げるのだった。
桐島いつきの死の真相に幽霊が関わっているとの噂も飛び出すが、果たして!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

幽霊の噂をまことしやかに語る看護師を目にしたアカネ。
幽霊騒動がいつきの死に関連があるに違いない―――そう考えたアカネは宮本の反対を押し切り、調査に乗り出す。
まるで、それが失われた記憶を取り戻す手掛かりになるとでも言うように……。

一方、宮本はいつきの死に多岐川が関わっているのではないかと不安がっている様子。
アカネははっきりさせる為にもと宮本を説得、協力させることに。

宮本の伝手で幽霊について語っていた看護師を呼び出したアカネ。
彼女の名は原田真菜、死亡したいつきとは親しくしていたらしい。

「いつきは自殺ではない、幽霊に殺された」と語る真菜。

なんでも、死亡する前日にいつきとランチの約束をしていたのだと言う。
だから、いつきは自殺ではない。
では、いつきを殺したのは誰なのか……それが幽霊らしいのだ。

いつきの死の翌日、ショックで肩を落とす真菜の前にソレは現れたそうだ。
白い物がふわふわと浮いて廊下を漂っており、間違いなく人間では無かったらしい。
ソレに誘われるように後を追ったところ、屋上へと消えた。
慌てて真菜も屋上へ飛び出したが、既に周囲に幽霊の姿は無かったそうだ。
あれは絶対に幽霊に違いない―――そう断言する真菜。
いつしか感極まったのか、「もしかするとあれはお別れを伝えに来たいつきだったのかもしれない」とまで述べる。

それを聞いたアカネの目が怪しく光る―――5話に続く。

<感想>

2010年8月に『漫画サンデー』で連載されていた『監禁探偵』の続編です。
原作&作画は前作同様、我孫子武丸先生原作、西崎泰正先生画。
『監禁探偵』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。

「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ

さて、第4話。

いつきの死についてアカネが本格的に調査開始。
これまでは単独での聞き込みでしたが、今話より宮本のサポートを得ての調査となる模様。

4話より新キャラ・原田真菜が追加。
彼女はいつきの友人らしい。

でもって、具体的な謎も提示された。
もちろん、「幽霊が屋上からどうやって消えたか」のこと。
今作のストーリー上、あれが本物の幽霊である筈はないので消失には何らかのトリックが用いられていると思われる。
そこで、そのトリックを推理する必要があるワケだ。

一番簡単なのは原田真菜の偽証。
彼女が見た幽霊自体がまるっきり嘘だった場合だ。
この場合、嘘を吐く理由が必要となるので、いつき殺害犯は真菜である可能性が高くなる。

一方で、真菜の証言が真実とすると、幽霊消失には物理的トリックが使用されていることになる。
しかし、今回の真菜の証言で「ふわふわと浮いており」幽霊が人間の変装ではありえないことが分かった。
そこで、考えられるのは次の2つ。

1.シーツか何かをピアノ線で吊るし誘導、屋上直前で回収するか、屋上から遺棄する。
2.映写機(プロジェクター)などを用い空中に像を結んだ。

1.だと操っている人間自体の隠れるスペースが屋上にないのが難点。
2.だと其処まで技術的に可能かどうかが不明。

但し、1に捕捉して操っていた犯人が屋上の手すりにぶら下がり真菜をやり過ごした可能性はある。
ただ、これだと「姿形も見なかった」との真菜の証言の信憑性が問われそうだ。

4話で気にかかったのは宮本の行動。
意図的に多岐川に容疑を向けているようにも見えた。
宮本は今作での亮太ポジションのように描かれているが……果たして。

どちらにしろ、3話でも述べた通り、むしろ多岐川のいつき殺害説は消えたものと思われます。
他に眼鏡の医師となると、院長の川越しかいなくなりますが……。
ただ、此処を素直に取っていいのかが悩みどころ。
前回も述べたとおり、多岐川に憧れるばかりに同一視した別の人物の可能性もある。
さらに逢引相手といつき殺害犯、加えて幽霊騒動の仕掛け人は別人の可能性も依然として残る。

4話までではこんなところか、5話に注目です。
ちなみに、アカネが割とあっさり病室からの拘束を抜け出してしまったのは意外でした。
もう少し粘ると思ったんだけど。

そして、我孫子武丸先生といえば『狼と兎のゲーム』が『メフィスト』(講談社刊)にて連載中。
こちらも注目です!!

◆「狙われた病室」関連過去記事

『狙われた病室(監禁探偵2)』1話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』2話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』3話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事

「狼と兎のゲーム(第1回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

「狼と兎のゲーム(第2回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第3回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

・[速水三兄妹シリーズ]
「8の殺人」(講談社)ネタバレ書評(レビュー)

『夏に消えた少女』(我孫子武丸著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ

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我孫子先生が原作を担当したコミック「監禁探偵 (マンサンコミックス)」です!!
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我孫子武丸先生の「殺戮にいたる病 (講談社文庫)」です!!
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◆我孫子武丸先生のその他の作品はこちら。
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