2012年07月17日

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第91話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第91話(講談社ヤングマガジン連載中)ネタバレ批評(レビュー)です!!

三億円事件奇譚 モンタージュ1


登場人物一覧は本記事下部に移動しました。

<第91話あらすじ>

〜〜前回までのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜〜

沖縄へと到着した大和たちは、響子と出会うことに成功。
同じ頃、鈴木の義父は「鈴本」を名乗り、響子たちに接近していた。

一方、関口二郎に双子の兄・欽一が居ることが判明。
修羅を生きる兄弟の過去が明かされ始める。
虐待と血に染められた幼年期、その終わりに2人は殺人を決意する!!

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

これ以上の虐待には耐えられない、ヤラレル前にヤレ。
健と真理、2人の殺害を決意した欽一。
二郎は真理殺害に対しては抵抗を感じているようだが……。

「あの女はあいつを優先させるに決まってる」

結局、欽一の言葉と剣幕に押し切られてしまう。

1979年12月24日―――巷がクリスマス・イブに浮かれている中、兄弟は殺害計画を実行に移す。
脚立を用意した欽一は、包丁を手にした二郎を上に登らせる。
刺傷部位を上部にすることで、大人の犯行に見せかける為である。
後は健たちの帰宅を待ち、欽一が脚立前に誘導し二郎が刺殺する手筈である。

そうとは知らない健は上機嫌で真理を連れ歩いていた。
健は真理の店で酒を呑んでいたようだ。
千鳥足の健を抱える真理。
そんな真理に健はもう一つ上機嫌の理由を語る。
なんと、欽一と二郎の買い手が見つかったのだ。
数日後には欽一たちは小児性愛の対象となってしまうのである。
これを聞いた真理は顔を曇らせるが、無言を貫く……。

帰宅した健と真理を出迎える欽一。
真意を悟られぬよう笑いながら健の手を引き誘導する―――二郎が待つ必殺の場所へと。

反撃されるなど思いもよらない健は、無防備に其処へと連れ出された。
上部より襲い掛かる二郎、その一撃は健を絶命させるに十分だった。
胸を包丁で一突きされた健は、何が起こったのか理解する間もなく逝った……。

残るは真理である。
目の前の光景に驚くと共に、何が起こったのか遅れて理解する真理。
そんな真理の背中を欽一が二郎へ向けて押す。

二郎は呟く「……お母さん」と。
しかし、包丁の刃は真理へと吸い込まれて行く。

「いいのよ……」
事態を理解し、これを許した真理。
真理の声と共に包丁は彼女の胸へと消えた。

事を終え、2つの死体と2人の子供が残された。
「最後まで狡い奴だ……」
真理を見た欽一は吐き捨てる。

そんな兄弟の視界の外れに真理の荷物が転がっていた。
「欽一、二郎、辛いことがあっても頑張ろう Merry Christmas」
そう書かれたメッセージカードと共にプレゼントが2つ、其処にはあった―――92話に続く。

<感想>


12月24日の悲劇!!


沖縄篇第14回にして関口過去編3回目となりました。

健と真理が欽一、二郎兄弟の手にかかりました。
しかし、これは悲劇であると共に当然の帰結だったのかもしれません。
おそらく、欽一たちが先手を打たなければ、いずれ彼らが殺されていたでしょう。

欽一の分析が的確なことも尚、悲壮感を高めます。
欽一は言いました。
「あの女(真理)はあいつ(健)を優先する」
正しい判断でしょう。
健が欽一たちに次に何をやらせようとしているか理解しつつ、それを黙認したこと。
兄弟が殺意を固めるほどに追い詰められていたにも関わらず、それから目を背け、実際、助けるわけでもなくただクリスマスプレゼントを用意していた状況は、真理の現実に対する認識が著しく誤っていたことを示しています。
寧ろ、「特に打開策があるワケでも無く、耐えれば何とかなる」と現実逃避していたと言い換えてもいい。
あのまま我慢していたところで、欽一たちは健の食い物にされ使い捨てられただけです。

確かに真理は兄弟に愛が無かったワケではありません、寧ろ、愛があったと思われます。
ですが、その愛はあくまで健に次ぐ2番目でした。
この悲劇的状況。
そして、それを何よりも理解していた欽一。
物凄くヘヴィな回となりました。

ただ、興味深いのは真理に対して欽一と二郎で考え方が異なっていた点。

ドライにあいつと呼んだ欽一。
お母さんと最後まで慕った二郎。

どちらかと言えば、二郎の方が家族の愛を求めているタイプに見えます。
だからこそ、大人になった二郎は厳島での未来の言葉に過剰反応したのかもしれません。

そして、気にかかるのは欽一の二郎への態度。
健と真理を直接、殺害したのはいずれも二郎。
汚れ役を意図的に二郎に割り振っていると思われます。
欽一にとっては二郎は捨て駒に過ぎないのかもしれません。
欽一と二郎の間も決して一枚岩とは言えないかもしれない。
ここが最終的にどう転ぶか……結末に絡んで来そうな予感です。

さて、次回以降は欽一と二郎の現在(代議士秘書と刑事)から考えると、彼らに戸籍を与えた人物が居る筈。
それが沢田か。
沢田が健と真理殺害の担当刑事となり、2人を引き取るのでしょうか。
或いは別の誰か?
この辺りも気になるところ。

一方、管理人の主張する「雄大は沢田に囮として利用された。実際の犯行は鉄也によるものではないか=雄大囮説&鉄也犯行説」の可能性や如何に!?
鳴海鉄也が犯人ならば、年齢的に些か疑問は残るものの、響子、東海林の発言共に矛盾は無くなる筈ですが……。

変わって、現在の勢力図はこんな感じ!?

@大和たち(水原含む)
A沢田たち(関口兄弟)
B雄大一派(雄大死亡!?)
C泰成一派(義父の鈴木)

Aの沢田たちも関口兄弟と沢田の間には含みがある様子。
Cの泰成と義父の間もいろいろあり、決して一枚岩とは言え無さそう。

以上のように争いは3つ巴から4つ巴に。
更なる激化は間違いないか?

とりあえず、今回はここまで。
逃亡し続ける大和と未来の明日はどっちだ!!
92話に期待です!!

ちなみに、2012年6月6日に「三億円事件奇譚 モンタージュ」最新第8巻が発売。
購入希望者は本記事下部のアマゾンさんリンクから是非!!

◆関連過去記事
「ヤングマガジン27号」(講談社刊)より「三億円事件奇譚 モンタージュ」連載開始!!

「三億円事件奇譚 モンタージュ」第1話から第90話(講談社ヤングマガジン連載中)までネタバレ批評(レビュー)まとめ

◆登場人物一覧

【現代】

鳴海大和:主人公、三億円事件の犯人の息子と呼ばれるが……
小田切未来:大和の幼馴染み、両親の行方不明後は大和と共に逃亡中

鳴海鉄也:大和の父、五つの首(首、手首、足首)を失くした遺体で発見されるが……
未来の両親:突然姿を消した。関口が行方を知っているらしい……。

鈴木泰成:未来の両親の後輩、要所要所にて不穏な動きを見せていたが……
水原:福岡県警所属の巡査。上司曰く「検挙率100%男」。15話より登場。
夏美:泰成の塾の教え子。大和に一目ぼれする。14話より登場。

土門:過去編の土門その人。足を洗い東海林とは友情を築いていた。47話時点では既に死亡している、病死らしい。享年70歳。
土門あきら:46話で登場した土門の孫娘。未来より1つ年下の17歳。

響子:現代編の響子。沖縄にてバーを経営していた。80話より登場。
キャサリン:響子が経営するバーの女給。81話より登場。

関口二郎:元祖悪徳警官、眼鏡の男の命令に従い大和と未来を追う。
眼鏡男:関口に指示を与えている男、どうも謎の男と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。

沢田幹事長:19話で登場、謎の男を従えているが……。
謎の男:シルエットのみ登場した沢田の腹心。関口に指示を与える人物と同一人物らしい(42話)。88話にて関口の双子の兄・欽一と判明。

松葉杖の男:30話で登場、小田切家を訪ねたシルエットの人物。48話で川崎雄大と判明。

朝霧:46話で登場、沢田の部下らしい。45話で石川を殺害したのは彼。64話で関口に殺害される。

小柳翔太:61話で登場、負傷した大和と水原を助けた。以後、大和と行動を共にする。
茜:61話で名前のみ登場、翔太の彼女で社会人らしい。69話で大和たちを匿う。

真玉橋:ホスト風の男性だが実は警部だった。フェリーにて大和たちと乗り合わせる。
鈴木:泰成の義父。どうにも行動が腹黒い男。泰成すらも信用していないようだが……。

森田:1話にて関口と共に現われた捜査員。以降、本編に出番なし。
血塗れの男性:元刑事、1話にて殺害される。これは関口の犯行だった。実は過去篇の東海林。
ボート小屋のオヤジ:軍艦島付近でボート小屋を営んでいた。6話で関口に殺害され、この殺人容疑が大和と未来にかかっている。
土居:18話に登場。ミステリ作家兼コメンテーター。三億円を信じていなかった。
島田:5話より登場。関口の部下だったが、19話で失態を犯し関口に処刑された。
夏美の母:関口と男女の関係にある。
水原の祖母:44話より登場。その自宅は東京での大和たちの活動拠点となっている。
石川:東海林の同僚、45話にて登場。同話にて朝霧に口封じされてしまう。
東海林の息子:45話にて登場。東海林の一人息子だが東海林とは折り合いが悪かったらしい。
高野:65話で登場。関口に協力し証拠を隠滅した。69話で関口に殺害される。

【三億円事件当時】

川崎雄大:22話より登場。三億円事件では白バイ警官役を演じたらしい。和子との間に一子をもうける。
望月竜:23話(22話は名前のみ)より登場。雄大と共に三億円事件を実行した。
響子ギブソン:竜の恋人。竜と共に土門への対策を練っていた。
土門:地元の顔役(地廻り)。竜と対立するが……
東海林:25話にて登場。土門を追う刑事。雄大の機智に興味を持っていた。後に1話で殺害された老刑事が彼と判明(37話)。
沢田慎之介:26話より登場。竜の顔馴染み&雄大の友人、日本の行く末を憂慮していた。28話にて後の幹事長と判明。
横溝:26話より登場。竜の後輩。
和子:27話より登場。雄大と交際中の女性。雄大との子供を妊娠するも事故死。
和子の子供:28話に登場。雄大と和子の子供。未熟児で生まれた。現代篇の誰になるのか?

健:真理のヒモ、関口兄弟を虐待する。89話より登場。
真理:関口兄弟を拾った人物、健の恋人。89話より登場。

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posted by 俺 at 00:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
二郎のセリフと母親(養母)のクリスマスカードのメッセージが単行本と違うみたいですが、単行本化の時に変更されたのでしょうか?(ちなみに単行本では、二郎『ごめんね』クリスマスカード『欽一・二郎へ お母さん、がんばって強くなるよ。幸せになろうね。』(原文ママ)でした)
Posted by クロスケア at 2012年12月14日 10:41
Re:クロスケアさん

こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!

記事の内容により混乱させてしまったとしたら申し訳ありません。

お尋ねについてですが、教えて頂いた台詞とクリスマスカードのメッセージ内容こそが連載時のソレです。
したがって、其処については特に連載時からの変更はないと思われます。

ネタバレあらすじについては「何と言っても、本編(連載やコミックス)に勝るものはない」との考え方のもと「あらすじをご覧になってニュアンスを掴んだ後、最終的に本編(連載やコミックス)を直接ご覧頂くこと」を目的にしているので、大筋に背かない範囲で意図的にディテールを変更した点が多々あります。
もちろん、管理人の間違いも中にはあるのですが……。

それも含めて、本編とネタバレあらすじを比較して違いを探すのも1つの楽しみ方と捉えて頂ければ幸いです(^O^)/。
Posted by 俺 at 2012年12月14日 22:54
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