2012年07月18日

「香港九龍財宝殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「香港九龍財宝殺人事件」第2話(「金田一少年の事件簿」、講談社刊「週刊少年マガジン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

3週の休載を経て、いよいよ新シリーズの開始です!!

【「香港九龍財宝殺人事件」登場人物一覧】
金田一:主人公。最終エピソードまで犯人にも被害者にもならないでしょう。
美雪:言わずと知れた金田一少年のベストパートナー。最終エピソードまで犯人にも被害者にも(以下略)。

瀧川龍太:ファッションショー「ガーリーモード」の責任者。
佐久間猛:「ガーリーモード」の関係者。
楊蘭(ヤン・ラン):美雪のソックリさん、腹部に「龍の瞳」に関する刺青を入れている。
新力(シン・リー):金田一たちが香港で出会った人物。被害者候補。
陳永福(チャン・ヨングー):香港のプロモーター。第一の被害者。蝶が苦手。
柳愛碧(リュウ・アイビー):香港のデザイナー。被害者候補。
李白龍(リー・パイロン):台湾の刑事、毒龍を知っている。
ボーイ:金田一たちが宿泊しているホテルの従業員。

王皇帝:謎の3人に殺害された人物。
謎の3人:王皇帝殺害に関与した3人組。シン、チャン、リュウと思われる。

<2話あらすじ>

九龍城跡地で出会った美雪ソックリの人物は楊蘭(ヤン・ラン)。
彼女こそ、美雪が瀧川に代理を頼まれたモデルその人であった。
失踪した理由を尋ねる金田一にヤンは腹部の刺青を見せる。
そこには下向きの龍が描かれていた。
どうやら、「龍の瞳」という財宝の在処を示すものらしい。
ヤンによれば、モデルをした際にうっかりこの刺青が雑誌に載ってしまったらしい。
そこへこの「ガーリーモード」の話が来た。
勇躍、やって来てみると、担当者は「龍の瞳」の話ばかりすると言う。
遂に怖くなったヤンは逃げ出したらしい。

ヤンに美雪が誘拐された事情について説明した金田一。
これを聞いたヤンは「自分が美雪を演じることで犯人が動揺し尻尾を出すのではないか」と提案する。
こうして、ヤンを加えた一行は「ガーリーモード」関係者の宿泊するホテルに向かうことに。

フロントで瀧川や佐久間猛の出迎えを受ける金田一たち。
と、其処へ香港側のスタッフもやって来る。

ところが、プロモーターの陳永福(チャン・ヨングー)は奇怪な動きを見せる。
何かから必死に逃げているようだ。
怪訝な様子のボーイを差し置いて、金田一はスタスタと近付くと帽子を使って何かを捕まえる。
中から出て来たのは蝶であった。
チャンは「もう要らない」と蝶の入った帽子を捨ててしまう。
よほど、蝶が苦手なようだ。

遅れてやって来たのは、デザイナーの柳愛碧(リュウ・アイビー)。
こちらはチャンと親しげな挨拶を交わす。

一方、フロントの隅では新たな騒ぎが……男が銃を持ち込んだらしい。
男の名は李白龍(リー・パイロン)、台湾の刑事であった。
何やら目的があってやって来ているらしいが……。

騒ぎが収まった直後、金田一の携帯に美雪からメールが!!
美雪は監禁されてはいるものの、命は無事なようだ。

ホッと胸を撫で下ろし、それぞれの部屋に向かう一行。
ところが、その影では何者かが不穏な動きを……。

食事の席となり、宴会場に集まった関係者たち。
其処にはあのシンも居た。
金田一たちを見ようともしないシンに不審がる佐木。

一方、丸テーブルの上には「蓮の花が描かれた器」や「蝶の描かれた器」などが並んでいる。
そんな中、チャンは何かを恐れるように席を立つと、シンに代わってくれと頼む。
どうやら、チャンとシンは顔見知りの様子。
これに応じたシンはチャンと交代する。

直後に電話の為に離席するシン。
その間に食事を口にしたチャンが死亡してしまうのであった。

これを見たリー刑事が呟く。
「毒龍の仕業だ」と―――3話に続く。

<感想&推理>

新シリーズ「香港九龍財宝殺人事件」第2話です。
ほぼ登場人物が揃ったモノと思われます。
そして、第1の殺人(王皇帝を含めれば2件目)が発生!!
でもって、顔見知りらしいことから王皇帝殺害犯はシン、チャン、リュウの3人で決まりか。
さらに、リー刑事が毒龍を知っているのも気になりますね。
毒龍は殺し屋の暗号名みたいなものなのかも。

では、これらを踏まえた上で推理していきましょう。

【2話の推理ポイント】

起きた事象だけを捉えると「シンと座席を交代したことでチャンが毒殺された」ことに。
おそらく、作中では離席したシンの犯行が疑われることになりそうか。
ただし、今回の演出では「チャンは蝶が苦手」と描写されており、宴席で用意された器には蝶の模様も見受けられました。
おそらく「シンの器には事前に毒が仕込まれており、チャンが自身に用意された蝶の模様の器を嫌いシンと交換した為に毒を引き当てた」と言えるでしょう。
ちなみに真犯人にとってはシンもターゲットの1人なので、チャンと交換せずにシンが服毒死した場合もオッケーだったのでしょう。
つまり、犯人はシンではない別の誰か。
注目したいポイントは「犯人のターゲットは誰だったのか」。

考えられるパターンは次の2通り。

1.交換しなければ毒殺されていた筈のシン。
2.交換することも犯人の予測に含まれており、死亡したチャン。

この1か2かで犯人像が大幅に変わってきます。
1ならば、犯人はチャンの嗜好を知らない人物。
2ならば、犯人はチャンの嗜好を知る人物と言える筈。

で、本格ミステリの論法で言えば、今回のホテルでの騒ぎを目撃していたかどうかで犯人か否かを絞り込むことが出来る筈。
ホテルでの騒ぎを目撃していた人物を羅列すると「金田一、佐木、ヤン、瀧川、佐久間、ボーイ」の6人。
もちろん、これにチャンと長い付き合いであると思われるシンやリュウも知っていたと思われるが彼らはどう見ても今後の被害者側と見られるので除外する。

これに当て嵌めると、1の場合はリー刑事のみ。
逆に2の場合は「ヤン、瀧川、佐久間、ボーイ」の4人が犯人の可能性があるとなりますね。

1の場合だといきなり容疑者が絞られてしまうこと、それと1だとトリックとして成立しにくいことから、此処では「2.犯人の狙いはチャンであった」と断言したいと思います。
これで容疑者は4人になりました。

次に、このトリックを成立させるとなると、食器の配置を事前に知り毒を仕込むことが可能な人物となります。
この条件を満たすのは、どうもボーイに見えるのですが……果たして。

【怪しい楊蘭?】

一方、怪しい動きを見せたのがヤン。
今回、美雪から金田一あてにメールが届いたが、まるで図ったようなタイミング。
しかも、監禁されている筈の美雪がメールを送ることが出来る筈もなく、あれは犯人によるものと思われる。

さて、此処で注意したいのがメール着信直後のヤンの描写。
鞄らしきものに手を入れているではないか!!
美雪から携帯を奪ってさえいれば、あの場でメールを送ることは可能である。
どうにも怪しい……。

しかも、2話により、ヤンには美雪誘拐のメリットが存在する。
美雪が居なければ、そのままヤンがカーリーモードのモデルとして参加していた筈である。
ところが、美雪の誘拐により、ヤンは表向きは美雪を演じているが、金田一的には「代理である美雪の代理として参加した人物」となっている。
容疑者候補としては網の外の状態だろう。
これは大きなメリットではないか。
そもそも、九龍城跡地で合流できたのも出来過ぎな気がするし……意図的な物を感じる。

ただ、美雪は車で連れ去られており、ヤン単独では難しいと思われる。
そこで、ヤンには共犯がいる可能性があることも付記しておく。

さらにヤンについては「単に美雪のソックリさんを登場させる必要があったのか」との疑問もある。
これは今後の布石と考えられはしまいか。
つまり、「救出されたとして本物の美雪に化けるヤン」もありうるのではなかろうか。
ここで、1話のドリアン……つまり、匂い(この場合、香水など)が関わって来て、見分けをつける展開があるのではないかと見ているが……。

しかも、前述の蝶による騒ぎについてはヤンも目撃しているのだ。
十分に容疑者候補として検討すべき人物と言えよう。

【2話まとめ】

ということで、現状での最有力容疑者は“ボーイ”と“ヤン”の2人と考えています。
3話以降でまた進展がある筈で、この2人は特に注目したいキャラではないでしょうか。

◆「香港九龍財宝殺人事件」関連過去記事

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「ゲームの館殺人事件」まとめ(「金田一少年の事件簿」より)

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