<あらすじ>
具志堅陽子(浅野温子)がコンシェルジュを務める沖縄のリゾートホテルで、殺人事件が発生した。宿泊していた伊志河コーポレーションの社長・石河弘雄(井田國彦)が510号室で遺体となって発見されたのだ。石河は前日から妻の石河舞子(雛形あきこ)、息子の俊太(小林海人)と共に別の部屋で宿泊していたが、殺害された当日、石河本人から仕事用にもう一部屋予約したいとの申し入れが従業員の飯山則之(金子貴俊)にあり、舞子と俊太が午前中出掛けている間、石河は510号室で過ごしていた…。
12時15分頃、510号室の隣に設置されているエレベーターのガラスを清掃していた作業員が、弘雄と身なりの派手な女性が部屋で一緒に過ごしているところを目撃していたことから、犯人はその女性ではないかと疑われる。しかし、捜査にあたることになった陽子の幼なじみの沖縄県警刑事・大城晃宏(宅麻伸)は、ある不審な点に気付く。遺体が発見された510号室は密室になっていて、犯人がどうやって現場から逃走したのかが分からなかったのだ…。
510号室は509号室と扉一枚で繋がっているコネクティングルームという特殊な構造になっていたが、その扉には鍵がかけられており、その鍵はホテルの事務室で厳重に保管されていた。しかも、部屋のドアも内側からしか掛けられないアームロックで施錠されており、窓の外では作業員がガラス清掃をしていたため、窓から逃げるのも不可能な状態にあった。しかも、犯人はわざわざ密室を作り上げておきながら、石河の遺体には自殺したと見せかけるような工作をしておらず、大城は“歪(いびつ)な密室”殺人の目的が何なのかに疑問を抱く。
そんな中、同じホテルに石河が愛人の安西瑛子(黒坂真美)を宿泊させていたことが判明し、大城たちは瑛子が犯人なのではないかと疑い始めた。しかし、陽子は、遺体発見当時に部屋に足を踏み入れて気付いた“あること”が引っ掛かっていた…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
陽子の勤務するホテルに、伊志河コーポレーションの社長・石河弘雄の家族が宿泊することになった。
しかし、肝心の弘雄は仕事で遅れるらしく、その妻である舞子と息子の俊太が先にチェックインする。
親子2人でディナーをとる舞子たち。
そこへ、ホテル従業員の飯山が余興代わりに手品を見せる。
しかし、飯山には珍しく手品を失敗してしまう。
遅れていた弘雄が到着。
だが、舞子との間にはどこかギクシャクした空気が流れていた。
その夜、俊太が所持していた星型のキーホルダーを紛失してしまう。
舞子が大切にしていた物を譲り受けたそうで、俊太は大慌て。
陽子を始め従業員全員で捜すものの、見つからない。
ところが翌朝になり、飯山は星型のキーホルダーを持って来る。
俊太はこれに大喜び!!
飯山もそんな俊太に慈しみの籠った目を向ける。
その日の昼頃、弘雄が死体で発見された。
第一発見者は、飯山や舞子たち。
午前中に舞子と俊太がタッチングリーフ(海の生き物を放し飼いにしている人工池)で遊んでいる間に、弘雄が別室を注文し、飯山がコネクティングルームである510号室を手配していた。
その510号室で弘雄が殺害されたのだ。
しかも、510号室は扉も窓も施錠されており、内側からアームロックも施されていた。
飯山によれば、コネクティングされていた509との扉も施錠されており、マスターキーも管理下にあったので、完全な密室だった。
犯人は何処へ消えたのか?
さらに、窓拭き担当の清掃員によれば、昼過ぎ頃に弘雄らしき人物と抱き合う派手な女性を見たらしいが……。
この事件に刑事の大城が捜査担当としてやって来る。
大城は陽子の幼馴染であった。
しかし、公私混同を避けるべく、互いに親しい仲であることは伏せてしまう。
陽子は「弘雄の死体に気を取られている隙に、隠れていた犯人が逃げ出したのが密室の正体ではないか」と推理するが、派手な女性のものと思われる香水の匂いがしなかったことを理由に自身で否定する。
弘雄が愛人である安西瑛子を舞子に隠れて連れて来ていたことが判明。
弘雄は入り婿で、伊志河コーポレーションの財が目的で舞子と結婚していたらしい。
愛の無い結婚だったのだ。
しかも、瑛子どころか他にも複数の愛人を抱えており、舞子が遠慮がちなのを良いことに好き放題していたそうだ。
弘雄に同行していた専務の目黒、秘書の須藤ともに、出て来るのは弘雄の悪口ばかり。
翌朝、瑛子までもが死体で発見される。
他殺である。
殺害場所はフタスジナマコの生息地付近にあるホテルの砂浜。
殺害時刻付近に舞子の姿が目撃されていたが……。
同日朝、タッチングリーフ前で俊太と須藤が首を傾げていた。
須藤が見た赤い魚がいないらしい。
翌朝、ホテルの従業員が星型のキーホルダーを拾って来る。
庭に落ちていたそうだ。
また俊太が落としたのか?
陽子が確認したところ、俊太は意外な反応を示す。
落としてなどいないと言うのだ。
しかも、飯山に貰ったものではなく、陽子に見つけて貰ったものこそ舞子から貰ったキーホルダーだと断言する。
では、飯山が渡したキーホルダーは一体……?
まさか……と気付いた陽子は、飯山の過去を調べ、彼が10年前に傷害事件を起こしていたことを知る。
これを聞いた大城は、飯山について調べるべく東京へ。
その日の昼、俊太と須藤がまたも首を傾げていた。
須藤が以前に通った筈の道が海に沈んでいるらしい。
どうやら、浜へと渡る道が満ち潮で沈んでいたようだが……。
大城が捜査結果を持って帰って来た。
結果を知った陽子は悲しみながら舞子と飯山を訪ねる。
そして、真相が明かされる―――。
飯山は10年前に東京で玩具会社に勤務していた。
当時、結婚まで考えていた恋人も居た。
ところが、飯山は傷害事件を起こしてしまった。
その後、飯山は恋人と別れ、沖縄へとやって来たのだ。
別れる際に、自身の企画した星型のキーホルダーを互いに1つずつ所持して……。
そう、俊太に渡した星型のキーホルダーは飯山自身の持ち物だった。
紛失し困っていた俊太を助けるべく、嘘を吐いたらしい。
そして、飯山の過去の恋人こそ舞子であった。
しかも、俊太は飯山の子供だったのだ。
飯山は自分に子供が居ることを知らなかった。
ディナーの席で舞子と会った際に初めて息子の存在を知ったのである。
だから、手品をミスしたのだ。
知ったからこそ、飯山は舞子を救おうと行動したのである。
殺害当日、舞子は弘雄と言い争いになった。
弘雄が俊太に「自分は父親ではない」とバラそうとしたのだ。
止めるべく揉み合う内に弘雄は転倒、ブロックに頭を打ち付けてしまった。
混乱する舞子は飯山に相談。
飯山は彼女を救おうとトリックを弄する。
弘雄の名前でコネクティングルームである510号室を用意すると弘雄の死体を其処に放置。
同時に509号室への扉を開けておく。
マスターキーはこの時点で返却。
飯山は清掃員の清掃時間も把握しているので、時間になったところで女装した自身と弘雄の抱き合う姿を目撃させた。
その後、内側からアームロックをかけ、509号室経由で脱出したのである。
実は509と510の扉は施錠されていなかったが、発見者となった飯山が施錠されているように芝居したのであった。
こうして密室は完成した。
しかし、自殺に見せかけるでもない歪な密室にした理由は何故か?
それこそ、この密室の目的は密室それ自体にはなく、死亡推定時刻を偽装し舞子のアリバイを確保することにあったのだ。
すべては舞子の為であった。
実は、10年前の飯山が行ったとされる傷害事件も舞子によるものだった。
舞子の将来を慮った飯山が庇っていたのである。
舞子は安西瑛子を殺害したのも自分だと主張するが、それは嘘だと陽子に見抜かれる。
舞子は飯山の犯行だと勘違いし、庇ったのだ。
舞子は何者かに電話で脅迫されており、それを飯山が排除したと考えたらしい。
ここまで聞いた大城は弘雄殺害犯は別にいると告げる。
弘雄は何者かに止めを刺されていたのだ。
そして、その人物こそが瑛子殺害犯。
舞子の携帯電話番号を知り、瑛子を深夜に呼び出せる人間である。
陽子は犯人と思しき人物に思い当たる。
売店でレシートを確保し、その人物の部屋から砂と紐状の何かを見つける陽子。
最後に向かった先は秘書の須藤のもとである。
須藤は俊太と共に居た。
「グルクンを知っていますか?」
須藤に問う陽子。
瑛子が殺害された翌日の朝、須藤と俊太は「須藤が見た赤い魚が居ない」と騒いでいた。
彼らが捜していた魚こそグルクン。
グルクンは、泳いでいるときは青いが、釣り上げると赤くなる。
他にも夜、寝るときには赤くなるのだ。
須藤は夜にグルクンをタッチングリーフで見かけたのだ。
つまり、瑛子殺害時である。
さらに、日中に海に水没した道を歩いていたと語っていた須藤。
つまり、潮が引いた夜に移動していたことになる。
やはり、瑛子殺害時である。
そして、須藤は売店で靴下を購入していた。
足が海水で濡れたからだ。
しかも、須藤の部屋からは、瑛子殺害現場付近の砂も見つかっていた。
そして決め手は紐状の何か……それは現場の近くに生息するフタスジナマコの内臓だったのである。
こうして、陽子に追い詰められた須藤は俊太を人質に逃げ出す。
だが、陽子は必死に追跡。
大城たちも現れ、遂に逮捕された。
弘雄殺害も須藤であった。
使い込みを弘雄に知られたので口封じだったらしい。
舞子が弘雄を気絶させた後にやって来て止めを刺したのだ。
瑛子は須藤の犯行に気付き脅迫した為に殺害されたのである。
こうして、事件は解決した。
陽子は飯山をホテルマン失格と叱責。
一方で、舞子、俊太と家族になるよう促すのであった。
今回の事件でホテルは大きく評判を損ねた。
だが、陽子の真摯な態度があれば、回復はそう遠くないことだろう―――エンド。
<感想>
新シリーズ第1弾。
原作なし、オリジナル作品です。
では、ドラマの感想を。
物凄く良かったです!!
本格ミステリのテイストが確かに息づいていました。
状況設定や舞台設定もトリックと関連してましたし。
トリックの伏線も土地柄を活かした物を綿密に張っており好感が持てました。
密室も「ただ密室」というだけではなく「これこれなので密室」ときちんと設定が説明されていました。
「歪な密室」の理由も良かった。
密室トリックから犯人が割とすぐに特定出来たのですが、それすらミスリードで本命が別にいるとの設定も豪華でした。
キャラも陽子を筆頭にきちんとカラーがつけられていたし、大満足!!
もう、文句なし。
管理人の好みで言えば、満点に近い作品です。
第2弾も見たい!!
今のクオリティで是非、頑張って欲しい作品と言えるでしょう!!
期待しています!!
<キャスト>
具志堅陽子:浅野温子
宮田賢一郎:古谷一行
大城晃宏:宅麻伸
石河舞子:雛形あきこ
飯山則之:金子貴俊
早乙女光太郎:上杉祥三
石河弘雄:井田國彦
安西瑛子:黒坂真美
須藤真治:小須田康人
具志堅とみ:平良とみ ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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