<あらすじ>
妻の牧恵が急死して半年、鈴木五右衛門(中村梅雀)はペンションを売却しようと考えていた。釣り仲間の大学教授、稲田隆蔵(中本賢)は元気のない五右衛門を心配している。
そんなある日、奥多摩に住む保護司、榊喬太郎(寺田農)が自宅で刺殺された。警視庁の八重樫久吉刑事(村田雄浩)とその部下・城下香津美(石川梨華)が捜査を始める。二人は、五右衛門のペンションと取引のあるクリーニング店の店員・滝川沙依(原日出子)に事情を聞く。
沙依は、弟の弘樹(土屋裕一)が強盗事件を起して服役中だと五右衛門に打ち明ける。弘樹は板金工場社長・魚住秀次(螢雪次朗)の家に押し入り、妻の和代(根本りつ子)を脅して現金を盗んだ。だが、事件後すぐ自首して盗んだ金を返していた。事件から4年後、弘樹が仮出所することになり、榊に相談していたと沙依は語る。魚住が身元を引き受けることになっていた。
出所の日、弘樹は沙依と娘の真里奈(前島亜美)が暮らすアパートに身を寄せるが、翌朝、弘樹は姿を消してしまう。その翌日、弘樹は山奥の崖から転落したところを発見され、病院で息を引き取った。さらに、五右衛門は近くの老人ホームが再開発のために立ち退きを迫られていることを知る。だが計画を推進する代議士・宮之原勝雄(大林丈史)がヤミ献金で逮捕され計画は頓挫する。入居者と職員の湯島まどか(吉田羊)は胸をなでおろす。
やがてまどかの妹・美紀(小松彩夏)が弘樹の恋人だったことと、美紀がすでに難病のため死亡していたことが判明する。
五右衛門は、一連の事件が、弘樹が服役中も借りていたトランクルームに隠していた大金と関係しているのではないかと推理を働かせる。その大金の出所は一体? 五右衛門はそれらの事実を知る意外な人物に思い至るのだが…。
(月曜ゴールデン公式HPより)
では、続きから……(一部、重複アリ)
五右衛門の妻・牧恵が急性心筋梗塞で逝去して半年が経過していた。
傷心の五右衛門を八重樫たちは必死に励ますが、イマイチ効果が無い。
そんな折、奥多摩に住む榊が何者かに殺害された。
榊は税理士であり、保護司でもあったが……。
榊が担当していた弘樹が罪を償い出所した。
弘樹は会社社長の魚住宅に強盗に入り、留守番していた魚住の妻・和代を脅しつけ1千万円を奪っていた。
数日後、盗んだ1千万円を返却し、刑に服した為に4年の刑期で仮釈放となったそうだ。
その翌日、弘樹が死亡した。
どうやら、何者かに轢き逃げされたらしい。
さらに翌日、魚住が自家用車を修理していた姿を目撃した五右衛門は魚住に注目。
その妻・和代が犯人だと気付く。
和代は弘樹による強盗被害に遭った際に強烈なトラウマを植え付けられていた。
弘樹に対する恐怖である。
和代は、その弘樹を義父の入所するホームで見かけた。
恐怖心に駆られた和代は弘樹を克服すべく、これを轢き逃げという実力行使で排除したのだった。
こうして、和代は逮捕された。
夫である秀次は妻の気持ちも理解していなかったんだなぁ……と呟く。
こうして、弘樹の轢き逃げについては解決した。
だが、五右衛門は弘樹に関する2つのことに疑問を抱いていた。
1つ、弘樹の口座から定期的に引き落としがされていたがこの理由は?
2つ、弘樹は何故、ホームを訪ねたのか?
1つ目に対し、オウメストレージサービスというレンタルコンテナが浮上。
どうやら、弘樹はコンテナを契約していたらしい。
城下の協力を得てコンテナ内を調べた五右衛門は、そこに紙の住宅模型を発見する。
さらに、コンテナを開けるべく弘樹を名乗って訪れていた人物の存在も判明。
2つ目に対しても意外な事実が明らかに。
ホームの職員である湯島まどかが、弘樹の恋人であり数年前に拡張型心筋症で死亡した青山美樹の姉であると分かったのだ。
しかも、ホームにはまどかと美樹の母・青山茂子も入所していた。
ちなみに、紙の住宅模型は美樹が弘樹と住みたがっていた夢の家だそうだ。
まどかが気にかかる五右衛門。
直後に、ホームを狙っていた代議士・宮之原勝雄の贈収賄疑惑が発覚し、これが逮捕された。
平森建設からの1億8千万円の振り込みが発端であった。
「悪は栄えない」、「ホームが守られた」と入居者は無邪気に喜ぶが……。
一方、城下は弘樹を名乗ってコンテナの鍵を開けようとしていた人物が魚住秀次であることを突き止めた。
何か意味がある筈だ。
其処から榊殺害の容疑が魚住にかかる。
だが、魚住はイワナを釣っていたとアリバイを主張。
五右衛門の友人・稲田も彼のアリバイを証言した。
稲田によれば、魚住は奥多摩湖の下流地点で釣りをしていたそうだ。
犯行現場までは1時間以上かかる場所らしい。
「魚住は60センチ超のイワナを釣っており、クーラーボックスのそれを見せてくれた」と語る稲田。
これを聞いた五右衛門は魚住の嘘を見抜く。
60センチ超のイワナなど、奥多摩湖にしかいないのだ。
つまり、魚住が釣りをしていたのは犯行現場である奥多摩湖でしかあり得ない。
こうして、魚住は用意したアリバイにより自身の犯行を証明されてしまった。
五右衛門は弘樹のレンタルコンテナに住宅模型以外に大金が眠っていたであろうことを指摘する。
魚住は脱税で多額の金を貯蓄していた。
弘樹はそれを盗み出していたのだ。
被害届を出した魚住だが、脱税による蓄財について被害を訴えることは出来ない。
そこで1千万円としか届けられなかった。
これを知った弘樹は、盗み出した金額から1千万円を持って自首したのである。
結局、魚住は弘樹から金を取り戻そうと虎視眈々と狙うしかなくなった。
魚住が榊を殺害した理由……それは脱税を見抜かれたからだった。
榊は魚住が弘樹から盗まれた金を取り戻そうとしていると察し、半額を要求した。
そこで、魚住は榊を排除したのだ。
魚住はコンテナには1億9千万円が眠っていた筈だと主張。
俺の金なので返せと泣き叫ぶ。
どうやら、回収出来ていないらしい。
そのまま連行されて行く魚住。
魚住の言葉に嘘は無いだろう。
だとすれば、1億9千万円は何処に消えたのか……。
まどかを訪ねた五右衛門。
1億9千万円はまどかが持っていると詰め寄る。
4年前、弘樹は1億9千万円をまどかに託した。
妹・美樹の手術費用に充てようとしたまどかだが、美樹はこれを拒否。
弘樹に返却するようまどかに委ねた。
これを了承したまどかだったが……。
まどかはホームが宮之原勝雄に狙われていることを知り、戦慄した。
母の住むホームを守りたいまどかは平森建設にてリストラ対象となった社員を1千万円で買収。
これに協力させて、平森建設名義で1億8千万円を振り込みさせるとリークしたのだった。
こうして、まどかはホームを守ったのだ。
五右衛門はまどかが2億円について明かしていれば、誰も死なずに済んだと責めるのであった。
数日後、五右衛門は八重樫や城下と釣りを楽しんでいた。
妻の死を乗り越えつつあったのである―――エンド。
<感想>
「釣り刑事」のシリーズ3作目。
原作なし、オリジナル作品です。
前作は2011年5月9日に放送されており、1年3ヶ月ぶりの新作となりました。
前作までの批評(レビュー)はこちら。
・月曜ゴールデン「釣り刑事2 愛と悲しみの魚たち!脅迫される有名女優、自殺した小説家、彼女の命を救え!事件の裏に隠された人間模様を自慢の竿で一網打尽」(5月9日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・月曜ゴールデン 釣り刑事〜竿に掛かった大悪党!!「自然豊かな奥多摩で殺人事件が発生!!続けて起こる連続殺人を元刑事の鋭い着眼と釣り人ならではの知識を駆使して事件の真相に迫る」(9月6日放送)ネタバレ批評(レビュー)
ちなみにシリーズ第1作は管理人が選ぶ「2時間ドラマラズベリー賞」ノミネートに輝いた作品。
・【企画】管理人が選ぶ「“2時間ドラマ”アカデミー賞&ラズベリー賞2010」ノミネート発表!!
果たして今回の感想は!?
早速、述べて行きましょう。
まず、結論から述べると、なかなか良かったような気がします。
特に各事件が密接にリンクしていた点は良かったか。
発端が基本、4年前の強盗事件となっている点も良し。
きちんと練られていた印象。
えーと、まとめ直すと本作中にて発生していた事件は次の5つ。
1つ、4年前の魚住家強盗事件。
2つ、榊殺害事件。
3つ、弘樹の轢き逃げ事件。
4つ、宮之原勝雄の関与した贈収賄事件。
5つ、魚住による脱税事件。
2時間で5つですね。
前回の批評(レビュー)にて「思い切って5件くらいにすればいいのに」と書いていたら奇しくもその通りになっていました。
偶然とはいえ、ちょっと嬉しかったり。
で、5件の内、強盗事件に起因しているのはそれ自体も含め3件。
最終的に、脱税も贈収賄も強盗事件に絡んで来るし、なかなか上手く構成されているように思います。
で、この5つの事件に対し犯人は……。
強盗は弘樹、榊殺害は魚住、轢き逃げは和代、贈収賄は宮之原本人、脱税は魚住。
となっているので4人。
1件につき1人として5人に増やすか、逆に同一犯としてもう少し犯人を減らしても良かったかも。
そして、まとめてみて気付いたが、事件の数の割に殺人が少ない。
5件中2件、そして、犯人は魚住夫妻がそれぞれ担当か。
魚住家は波乱だなぁ……ホームの魚住弥之助さんは「悪は滅びる」との言葉をどんな気持ちで耳にするのでしょうか。
ここからは気になった点を。
公式HPのあらすじと本編の展開が異なっていましたね。
そして、あらすじ上では早々に明かされていたコンテナ内の大金の存在。
壮大なネタバレです。
それと、特に伏線もなく五右衛門がコンテナに大金が眠っていたと気付いた理由は何か?
魚住が弘樹を騙ってやって来ていたとしても、即大金とはならない気も……。
その後のまどかの振り込みについても、明確な伏線らしい伏線は無かったかな。
何より気になった点は五右衛門の妻・牧恵の扱いかな。
まさか、あんな形で登場するとは思わなかったから驚いた。
今後もの形で登場し続けるのか、それとも……。
ここも気になるなぁ……。
気になる点はあったものの、良い点も多かった。
第4弾にも期待できるでしょう。
<キャスト>
鈴木五右衛門(すずきごえもん):中村梅雀
○
城下香津美(しろしたかつみ):石川梨華
○
稲田隆蔵(いなだりゅうぞう):中本賢
○
滝川沙依(たきがわさより):原日出子
○
湯島まどか(ゆしままどか):吉田羊
滝川弘樹(たきがわひろき):土屋裕一
滝川真里奈(たきがわまりな):前島亜美(SUPER☆GiRLS)
○
魚住弥之助(うおずみやのすけ):穂積隆信
○
魚住和代(うおずみかずよ):根本りつ子
○
榊喬太郎(さかききょうたろう):寺田農
○
魚住秀次(うおずみしゅうじ):螢雪次朗
○
八重樫久吉(やえがしきゅうきち):村田雄浩 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより)
アマゾンさんにて「釣り刑事」で商品を調べてみたらこれが真っ先に出ました。
パッと見て理由が思いつかなかったのですが、やがて“ソレ”に気付くとじわじわやって来ました。
とはいえ、本書の内容は非常に真面目。
「鬼平犯科帳」好きにはオススメです!!
そんな「江戸刑事人名事典(著者・釣洋一先生)」はこちら。
江戸刑事人名事典
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まったく同感です♪
ツッコミどころは、かなりありましたが、かなり面白かったです!!!
美女は2サスに必修ってことを、あらためて感じました! 病気で亡くなった子は可愛かったですね〜〜
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
同じような感想だったとのこと、嬉しいです(^O^)/!!
青山美樹を演じた役者さんですね。
儚げな中にも芯のある演技をされていましたね。
印象的でした。
シリーズ続編にも期待ですね!!