<あらすじ>
天王寺珠美(泉ピン子)が勤務する丸越デパートが、映画のロケ地に選ばれる。作品はフランス在住の有名女流作家・佐伯遼子(松原智恵子)の代表作。遼子は気難しいことでも知られていたが、珠美は作品の大ファンということもあり大張り切りで準備を進め、万全の体制で視察の日を迎える。
その甲斐あって、売り場をめぐる遼子の機嫌は上々。珠美は手ごたえを得る。ところが、デパートのリニューアルに携わった空間デザイナーの村瀬和真(遠藤要)を紹介した直後に、遼子の態度が一変。急に機嫌が悪くなり、理由も告げずに視察を切り上げ帰ってしまう。
どう思い返しても、自分たちに手落ちはない。やはり、和真との間に何かあるに違いないと考えた珠美は、遼子に会って直接、事の次第を確かめることにする。
珠美は、山岡柊平(村田雄浩)を同伴し、遼子の家を訪問する。彼女は留守だったが、遼子の日本でのマネジメントを手がける、姪の竹内真弓(吉田羊)が殺されているのを発見してしまう。そして、そこには小さなちりめん細工の落し物があった。
その翌日、丸越デパートは遼子からの要望でロケ地から外される。真弓の事件とデパートとは何の関係もないのに何故なのか? 納得のいかない珠美は、遼子が閉じこもってしまったというホテルへと、直談判に向かう。
一方の山岡は、殺された真弓の丸越デパートでの買い物履歴を調査。すると、年に2回、同じ時期に100万円を超す高額な買い物をしていることが分かる。出版社の社長・染谷辰雄(羽場裕一)に確認してみると、その時期が著作権料の振込み時期とピッタリ一致。真弓に、著作権料着服の疑いが出てくる。
そのころ遼子は、警察による取調べを受けていた。実際、遼子は真弓が隠し持っていた裏帳簿の存在に気づいていた。口論の挙句、遼子が真弓を殺害したというのが警察の見立てだった。
このままでは、ロケ地変更の話どころか映画の製作自体もままならない。追い込まれた珠美は、思い切って和真を直接訪ねることにする。なんとかして、遼子と和真、二人の接点を探ろうと躍起になる珠美。すると、その目に見覚えのあるものが留まる。和真の携帯電話に、遼子の自宅に落ちていた物とよく似たちりめん細工が付いていたのだ!!
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
世界的な有名作家・佐伯遼子が1975年に発表した代表作『華燭の街』が映画化されることになった。
その撮影ロケ地として、我らが天王寺珠美が働く丸越デパートが選ばれた。
撮影に先立ち遼子の視察を受けることとなり、珠美は準備に余念が無い。
海外に移住していた遼子にとっては30年ぶりの日本となる。
万全の態勢で迎えた視察当日、遼子の機嫌が急変。
結局、決裂してしまう。
空間デザイナーの村瀬和真と出会った直後から、様子がおかしかったようだが……。
遼子の憤りは凄まじく、誰の言葉にも耳を貸さない。
これに、映画プロデューサーの栗田、出版社社長の染谷なども激しく動揺する。
原因も分からず混乱する珠美。
そんな折、“ベアール”という香水を捜す女性・岩崎朋子と出会う。
困っている様子の岩崎を見かねた珠美は化粧品売り場に案内し、在庫が無かった為に取り寄せを引き受ける。
喜ぶ朋子を見た珠美もまた少し心が軽くなるのだった。
少し元気になった珠美は、遼子の急変の原因を突き止めるべく遼子の秘書である真弓に連絡を入れる。
だが、真弓は「それどころではない!!」とにべもない。
納得のいかない珠美は直接、真弓を訪ねることに。
ところが、真弓は何者かに殺害されていた。
凶器は花瓶、指紋は検出されなかった。
そして、傍にはちりめん細工が落ちていた……。
真弓の死亡前後の状況が関係者の聞き取り調査から明らかになった。
2時30分:栗田が、真弓に遼子について様子伺いの電話を入れたが忙しいと切られた。
3時00分:染谷が、真弓から遼子の説得に協力して欲しいと電話を受けた。
そのすぐ後に珠美が連絡を入れたが怒鳴られたことになる。
このことから午後4時頃が死亡推定時刻と思われた。
矢先、真弓が立場を利用して、遼子の著作権料を横領していたことが判明。
この事実を遼子自身も掴んでいたことから、これが原因で遼子が真弓を殺害したと思われた。
一方、村瀬和真に何かあると睨んだ珠美は、山岡に和真のルーツを調べるよう指示。
結果、遼子と和真に意外な関わりが判明する。
和真は以前、鎌倉に住んでいた。
両親はちりめん細工の職人だったらしい。
だが、30年前に和真の母が親友の子供・健太を預かり目を離した隙に死亡させてしまう事故を起こしていた。
この親友こそが遼子であった。
つまり、遼子は子供を亡くしていたのだ。
以来、遼子は和真一家を責め続け、居た堪れなくなった一家が引越ししたそうだ。
遼子は和真を恨んでいたのだ。
これこそが遼子が豹変した原因であった。
矢先、遼子が何者かに狙われる。
偶然、通りがかった珠美たちにより事無きを得るが……。
このことから犯人の狙いが真弓ではなく遼子だったと考える珠美。
真弓はたまたま犯人に遭遇した為に殺害されたと推測する。
村瀬和真に事情を確認した珠美。
遼子が和真を恨んでいたように、和真もまた遼子を恨んでいた。
遼子は健太の死亡後、連日、村瀬家を訪ね和真の母を責め続けた。
しかも、和真自身にも「お前が死ねばよかったのに!!」と呪詛の言葉を浴びせ続けたらしい。
これが原因で、母は心を病むようになり、そんな母を庇う為に父は引越しした。
だが、引っ越し先でも母は一向に回復せず、遂には自殺未遂までも引き起こす。
なんとか、命を取り留めた母だったが、翌日に黙って家を出てしまい連絡が取れないらしい。
「あの人(遼子)は母を僕と父から奪ったんです」怒りを込め呟く和真。
一方、山岡は遼子をボディーガードしていた。
遼子は健太を喪った傷を引き摺っていた。
山岡に辛く当たる遼子。
山岡は珠美もまた託児所の過失で娘の理恵を4歳で亡くしていることを告げる。
翌日、同じ傷を抱えていることを知った遼子は珠美に心を開く。
健太は、当時駆け出しだった遼子と大御所作家との間に生まれた不義の子であった。
秘密を明かしたことで、一瞬、心通ったかに見えた珠美と遼子だが……。
遼子は珠美自身が子供を守れなかったことに責任を感じていると知り、またも豹変。
あくまで自身ではなく相手が悪いと主張したのだ。
さらに、映画自体を中止するとまで宣言する。
珠美のどんな言葉も遼子には届かないのか?
傷心の珠美のもとに“ベアール”が届いた。
朋子を職場に訪ねた珠美、朋子は介護士をしていた。
珠美はそこで朋子がちりめん細工を趣味としていることを聞き、彼女の身許を確認する。
なんと、朋子こそ村瀬和真の行方不明の母であった。
珠美は遼子と朋子の仲を取り持とうとするが、遼子は応じようとしない。
山岡は朋子が“ベアール”を注文したことを疑問視していた。
“ベアール”は若い女性向けの香水だが、40年以上前に流行した香水らしい。
それを何故、今になって……。
これを聞いた珠美は遼子との関連性に気付く。
40年前ということは、1966年。
その年は、遼子が同人誌の短編『華やかな少女たち』で文壇に注目され、『新婦の雪』でデビューした年であった。
山岡が『華やかな少女たち』を入手した。
そこに「百合子と学校の帰りにデパートに寄った」との記述を見つけた珠美。
どうやら『華やかな少女たち』は『華燭の街』のもととなった短編らしい。
珠美は朋子を訪ねる。
『華やかな少女たち』に「親友に“ベアール”を贈る」との記述があった。
朋子は、遼子に謝罪し親友としてやり直すべくベアールを贈るつもりだったのだ。
朋子が丸越デパートに赴いたのも遼子に会う為だったらしい。
だが、行き違いとなった朋子は遼子の自宅へ。
其処には真弓が居た。
真弓は電話中、相手に対し「遼子に横領がバレた。殺すしかない」と語っていた。
その直後、真弓は別の電話に「それどころではない!!」と怒鳴っていたそうだ。
これを聞いていた朋子は遼子を守ろうと真弓に立ち向かった。
揉み合いになった結果、朋子は真弓を花瓶で殴り倒してしまう。
動かなくなった真弓を見た朋子は慌ててその場を逃げ出したらしい。
その為に、現場にちりめん細工が残されたのだ。
これを聞いた珠美は違和感を覚える。
凶器は確かに花瓶だが、指紋は検出されなかったのだ。
しかも、真弓が怒鳴った別の電話が自分たちのものだとすれば、それ以前の電話と言えば……。
「「染谷だ!!」」
珠美と山岡の声が重なる。
しかも、真弓死亡時に染谷の鞄を室内で見かけたことを思い出す。
あのとき、染谷は室内に居たのだ!!
後からやって来た振りをしたに違いない。
マズイ!!遼子が危ない!!
珠美は遼子のもとへ。
その頃、遼子は染谷にナイフで脅され遺書を書くよう強要されていた。
「真弓を殺したことを認め、著作権を染谷に譲る」と書くよう迫る染谷。
だが、危機一髪で珠美と山岡が駆け付ける。
取り押さえられる染谷。
拘束された染谷はすべてを打ち明ける。
真弓と共に横領していた染谷。
あの日、真弓から連絡を受けた染谷は遼子の殺害を示唆した。
首尾を確認すべく、真弓の様子を確認しに訪れた染谷は呻く真弓を目撃する。
真弓は「もう駄目だ」と弱音を吐いた。
そこで「このままではマズイ」と察した染谷は真弓を殺害したのである。
こうして、染谷は逮捕された。
珠美と山岡の計らいで閉店後のデパートを舞台に、遼子と朋子の和解の場を設けた。
“ベアール”を贈り謝罪する朋子。
遼子もこれに応じ、朋子を苦しめたことを謝罪する。
此処に和真も駆けつける。
和真と親子の再会を果たす朋子。
実は、染谷の襲撃前に和真も遼子に謝罪していた。
そのときに、遼子は朋子を許そうと決めたらしい。
朋子は真弓の傷害事件で出頭することに。
今回の事件を通じて、珠美は映画『華燭の街』の撮影を許可する。
但し、それには1つの条件があった―――。
後日、映画の撮影風景を写した写真を手に笑い合う珠美と山岡。
遼子の出した条件とは、珠美と山岡も映画に出演することであった―――エンド。
<感想>
デパートにやって来るさまざまなお客さまの要望に応えることで、そのお客さまの抱える問題(不安や苛立ち)などを見抜き解決していく天王寺珠美シリーズの第五弾。
前作は2010年10月16日に放送されており、実にほぼ2年ぶりの新作となりました。
前作についてはネタバレ批評(レビュー)ありますね、興味のある方はどうぞ!!
・土曜ワイド劇場「デパート仕掛け人!天王寺珠美の殺人推理(4)史上最強のクレーマー現る!遺産相続の悲劇と老夫婦の究極の愛社長殺害に秘められた驚愕の真実」(10月16日放送)ネタバレ批評(レビュー)
今回もかなりの完成度だったように思います。
このシリーズはいいですね〜〜〜。
些か、遼子の心変わりが急だったような気もしますが、これ以外には無いような気もしますし、絶妙と言えば絶妙だったか。
それと、サブタイが「大物女流作家の葬られた波乱万丈の人生」となっていますが、正確には「大物女流作家に葬られた波乱万丈の人生」ですね。
泉ピン子さんと村田雄浩さんのコンビもイイ味出してました。
第六弾が待ち遠しいです。
<キャスト>
天王寺珠美:泉ピン子
山岡柊平:村田雄浩
栗田透:野村宏伸
村瀬和真:遠藤要
竹内真弓:吉田羊
広瀬圭一:津村鷹志
野々村忠彦:相島一之
岩崎朋子:山口果林
染谷辰雄:羽場裕一
佐伯遼子:松原智恵子 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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検索していてこちらにたどり着きました。
なるほど、そういうことだったのですね。
朋子と遼子の和解に、じーんときました。
私てっきり、朋子の息子が犯人だとw
スッキリすることができました。
御礼申し上げます(__)
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
お役に立てたようで嬉しいです。
遼子と朋子の和解シーンは良かった。
それまで遼子の激しさばかりがクローズアップされていたので、あの急変には驚かされると共にグッと来た方も多いのではないでしょうか。
和真が朋子の為に憎んでいた遼子に頭を下げていたのも印象的でした。
このシリーズ、続編も期待ですね!!