2012年08月14日

日曜洋画劇場「特別企画 ミステリースペシャル さまよう刃 地上波初!娘を奪われた父の復讐 電話が告げる真犯人!衝撃の結末」(8月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)

日曜洋画劇場「特別企画 ミステリースペシャル さまよう刃 地上波初!娘を奪われた父の復讐 電話が告げる真犯人!衝撃の結末」(8月12日放送)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

中学生の少女の遺体が荒川で発見される。被害者は長峰重樹の一人娘・絵摩(伊東遥)。妻をがんで亡くし、娘の成長だけを楽しみに生きてきた長峰にとって、あまりにも衝撃的な娘の死だった。
長峰にとってさらにショックだったのは、絵摩が何者かに殺害されたということ。長峰は詳しい死因などの説明を求めるが、捜査を担当する刑事の真野(伊東四朗)はあえて事実を隠そうとする。そんなやり方に疑問を抱く部下の織部(竹野内豊)だったが、「被害者遺族を苦しめるだけだ」という真野の言葉に逆らうことができない。

それもそのはず、絵摩は何者かに理不尽に陵辱された末に殺害されていた。目撃者の証言をもとに懸命に捜査する織部ら刑事たち。
一方で長峰は捜査の進展を聞いても知らされず、ただショックから立ち直れずに彷徨い歩く日々を送っていた。

そんなある日、留守電を再生した長峰に衝撃が走る。
「僕は絵摩さんを殺した犯人を知っています…」。
いたずらでないと繰り返す、その声の主によると、犯人は菅野(岡田亮輔)と伴崎(黒田耕平)という2人の少年。匿名の電話は、伴崎の住所、そしてスペアキーのありかまで教えていた。

半信半疑で伴崎のアパートへ向かい、スペアキーで侵入した長峰は、犯行の一部始終を収めたビデオテープを発見してしまう。
激しい怒りを抑えきれなくなった長峰。その壮絶な復讐劇の幕が切って落とされようとしていた…。
(公式HPより)


では、続きから(一部、重複アリ)……

密告電話に従った長峰は絵摩の死の真相を知り、アツヤを殺害してしまう。
絵摩の仇はもう1人、カイジが残っている……。
こうして、長峰の復讐劇が始まった。

長峰に密告したのは中井誠。
誠はカイジとアツヤの後輩。
彼らにいいように使われており、彼らを長峰に殺させようとしたのだ。

刑事の真野と織部は長峰を阻止するべく彼を追う。

一方、長野へとカイジを追って来た長峰はペンションを経営する木島隆明、和佳子親子と出会う。
長峰の想いを知った彼らは、正体を知りつつこれを支援。
隆明は長峰に盗まれたことにしつつ、猟銃を渡す。

長峰を追う織部だったが、自身の正義に悩んで行く―――。

廃ペンションにカイジが潜伏していることが判明。
突入する織部たち、長峰もカイジを狙い接近する。
其処には1人の少女の姿があった。

どうやら、カイジは少女に売春行為をさせていたらしい。
いわば、少女もカイジの被害者である。
織部は少女にカイジを誘き出すよう協力を要請するのだが……少女は意に反し、カイジを逃がしてしまう。
少女はカイジが逮捕されることで面倒事に巻き込まれるのは御免だと思ったらしい。
既に巻き込まれているにも関わらず、其処は考えなかったらしい。
真野は少女の考え方に困惑、よく分からないと洩らす。

そんな折、追い詰められたカイジが誠に逃走資金を用意するよう連絡を取って来る。
誠は逃走資金を手渡すべく、密会の約束を。
ところが、警察は既に誠に辿り着いており、この情報は織部のもとにも届く。
悩んだ末に、織部は長峰にこの情報を流す……。

密会当日、カイジを待ち構える誠。
その手にはナイフが握られていた。

そして、其処へ現れるカイジ。
悪びれた様子はない。

誠は警察へカイジを引き渡す前に、彼を殺害すべく斬りつける。
しかし、躱された上にナイフを取り上げられ逃げられてしまう。
誠はその場で拘束されることに。

一方、誠からナイフを取り上げたカイジはそれを手に逃走。
人の波を掻き分け、前へ前へと進むが……。
ところが、不意に人波が開ける。

その先には、猟銃を構えた長峰の姿があった。
長峰に気付いたカイジは狼狽の末、近くの女性を人質にとる。
しかし、長峰は動じない。
銃口の先をカイジに固定しつつ、近付いて行く。
腰を抜かすカイジ、人質はその隙に逃げ去って行く。
長峰は銃口をカイジに密着し、彼を凝視する。

追い付いた真野たちは銃を長峰に向ける。
これを遮る織部。

その隙にカイジは手にしたナイフで長峰を刺す。
長峰は目を見開き、カイジの胸ぐらを掴んだ姿勢で絶命してしまう。
腰が砕けたままのカイジは、必死に手を振りほどこうとするがほどけない。

こうして、長峰の復讐は終わりを告げた。

後日、カイジの裁判の席に織部の姿があった。
織部は密告した際に聞いた長峰の言葉を思い出す。
「殺しただけでは復讐にならない。死よりも恐ろしい恐怖に苦しむことこそが相応しい」

そして、真野の言葉を。
「長峰の猟銃には弾が入っていなかったそうだ」

開廷が宣告され、織部は目を見開いた。
いよいよ、正義が問われようとしている―――エンド。

<感想>

原作『さまよう刃』から、かなり改変がありましたね。

『さまよう刃』(東野圭吾著、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)

特にラストは全くの別物。

映画版のラストは「木島親子と出会ったことで長峰の中で復讐に関して考えることが出来た。結果、ただ殺すのではなく狙われる恐怖を教え込もうとした」と言ったところでしょうか。
猟銃の弾が込められていなかったことからも、カイジを殺害するつもりは無かったのでしょう。
ひょっとすると、カイジによる過剰防衛すら狙っていたのかもしれません。

ただ、それが効果を示したのかと問われると難しいでしょう。
おそらく、カイジにとっては一時的な恐怖しか与えられなかったと思われます。
あれで、長峰が生きて収監され、いつまた命を狙うか分からないとのもので無い限りはその目的は果たされたとは言い難い。
長峰の死は、カイジにとって禍根を絶ったと同じです。
あとは、司法に委ねるしかありません。

その意味で、映画単独としてはともかく、原作と比較すると不満が残る出来でした。
長峰が斃れる点は同じですが、その意味合いが全く異なるし。
安易な妥協点を作っては問題提起になりえないと思う。
単独の映画としては良いのですが、原作の良さを表現できたとは言い難い印象。
別物として視聴するべきか。

ラスト以外にも改変点が幾つかありますね。

・密告者が変更。
・隆明が協力的など。

全体的に映画版の方がライトな感じだったかな。
映画版を視聴した上で、原作を読んで貰えればより理解が深まるかもしれない。

<キャスト>

長峰 重樹:寺尾 聰
織部 孝史:竹野内 豊
真野 信一:伊東 四朗
島田:長谷川 初範
伊藤:木下 ほうか
田中:池内 万作
菅野 カイジ:岡田 亮輔
中井 誠:佐藤 貴広
伴崎 アツヤ:黒田 耕平
木島 和佳子:酒井 美紀
木島 隆明:山谷 初男 ほか
(公式HPより、敬称略)


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