<あらすじ>
東京・佃で診療所を営む門倉周平(寺脇康文)は、娘の加奈(金井美樹)と2人暮らし。かつては城南医大の名医と言われていたが、妻の直子(小森琴世)を交通事故で失って以来、佃に診療所を開き活躍していた。
ある晩、周平はスナックのママ・大野静江(水沢アキ)と飲んで帰る途中、朝潮橋付近の運河で何かが水に落ちる音を聞く。その直後、橋の上を人影が走り去って行くのを目撃。慌てて運河へ駆け寄ると、そこには男の遺体が浮かんでいた…。
この事件の捜査には、周平の亡き妻・直子の妹である今村華子(櫻井淳子)や、その部下・久保寺隼人(永山たかし)らがあたることになった。華子たちの捜査の結果、亡くなっていたのは流星出版という出版社を営む磯貝保(石黒久也)で、他殺であることが判明。流星出版は名前だけの会社で、磯貝は芸能人や著名人のゴシップ記事を書いては、それをネタに恐喝を繰り返す強請り屋として生計を立てていたらしい。
やがて、捜査線上に磯貝から恐喝を受けていたという佃在住の不動産会社経営者・安部靖(森下能幸)が浮上する。華子たちは安部から任意の事情聴取を行うが、周平の娘・加奈と安部の娘・みのり(新井優歌)は親友であるため、加奈は激しいショックを受ける。そんな中、周平は、診療所に風邪の診療のためにやって来た、今人気のエステ「ジュディ」を経営する須田真理(笛木優子)と知り合いになる。
犯行を否認しているにも関わらず、周囲から犯人のように扱われ、家族が辛い目にあっている安部を見た周平は、地元の弁護士・吉岡(夏八木勲)のもとへ相談に訪れる。すると吉岡は、今度自分が参加する講演会で、町の人たちの良心に訴えようと請け合う。しかし周平は、吉岡の事務所で見た“あるもの”が気にかかる…。
その後間もなく安部は釈放されたが、その翌日、運河で遺体となって見つかってしまう。警察は、逃げ切れないと考えた安部が自殺したものと推測。しかし周平は、家族と出かける約束をしていた安部が突然自殺したとはどうしても考えられず…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから……(一部、重複あり)。
安部には具体的なアリバイが無い。
安部の娘・みのりと親友である加奈は、自室で犯行時刻に安部の吸う煙草の匂いを嗅いだと証言。
みのり自身も翌朝、灰皿に煙草の吸殻があったと安部の無実を主張する。
これが事実ならば、犯行時刻に安部は自宅ベランダで煙草を吸っていたことになるが……。
安部が本当に犯人なのか?
疑問が深まる中、匿名の通報がきっかけで弁護士の吉岡が捜査線上に浮上。
吉岡宅から磯貝殺害の凶器が発見され、吉岡自身も姿を消したことで手配されることに。
吉岡はすぐに身柄を確保され、自身の犯行を認める。
この行動を疑問視した周平。
吉岡は既に余命幾許もない病を患っていたのだ。
そんな吉岡が今更罪を犯すだろうか?
疑問に思った周平は吉岡の過去を調べ始める。
独り身だった吉岡だが、過去に熱烈な恋愛の末、女性に捨てられていたことが判明。
その名は杉山聡美。
今度は聡美を追った周平は、聡美の親友から彼女が吉岡の将来を考えて身を退いたことを聞かされる。
その後、別の男性と交際した聡美はその男性との間に幸子という女児を設けた。
しかし、すぐに男性と別れてしまったそうだ。
しかも、聡美は直後に死亡。
残された幸子は、親友の手で育てられた。
そんなある日、吉岡が訪ねて来たそうだ。
聡美の真意を知らされた吉岡は男泣きに泣いたらしい。
以降、幸子宛てにお金が送られるようになった。
しかし、この事実を幸子は知らず、ある日を境に姿を消してしまったのだった。
幸子の写真を目にした周平はその胸にあったブローチから、真理こそが幸子であると気付く。
周平はエステサロン“ジュディ”の経営者・須田真理のもとへ。
“ジュディ”という店名が「あしながおじさん」から名付けられたものであることから、彼女が「あしながおじさん」を求めていたと指摘する周平。
真理は知らなかったものの、既に「あしながおじさん」が居たことを伝える。
幼い幸子宛てにお金を送りつづけていた人物の存在を明かしたのだ。
それこそ、吉岡であった。
吉岡はずっと真理を見守り続けていたのである。
磯貝の脅迫リストが内縁の妻宅から発見された。
其処には複数の男性とホテルに消える真理の写真が。
矢先、周平の説得を受けた須田真理が自首して来る。
杉山幸子という過去を捨て、須田真理として生きた彼女は、様々な男性に身を委ね資金を引き出した。
その甲斐あって、エステサロン“ジュディ”を開業することに成功する。
ところが、この真理の過去をネタに磯貝が脅迫をかけた。
これを知った吉岡は真理を救うべく、磯貝と交渉。
磯貝から手を退くとの言質を得た。
だが、磯貝は引き下がらなかったのだ。
その夜、磯貝はさらに真理を脅迫。
加えて、真理に資金援助した相手の男やその家族を脅迫すると言い出した。
焦った真理は磯貝を殺害してしまう。
その場を逃げ去った真理。
その姿を吉岡が見ていた。
吉岡は凶器のナイフを拾うと、真理を庇うべく自宅に持ち帰った。
ところが、今度は安部が真理を脅迫し始めたのだ。
もちろん、磯貝殺害をネタにである。
安部は「みのりが困ってるんだよ〜〜〜」と娘を引き合いに三千万円を要求。
「娘さんを出すなんて!!」この遣り口にカッとなった真理は安部を殺してしまう。
安部の死を知った吉岡は真理を救うべく身代わりを決意。
匿名の告発電話により自身を名指ししたのであった。
何故、吉岡は此処まで真理を庇ったのか?
吉岡は聡美の産んだ真理を実の娘のように思ったのだ。
そして、父親のように助けたいと考えたのである。
これを聞いた周平は「でも、それが本当の愛なのでしょうか?」と疑問を呈するのであった。
吉岡のもとに真理が現れた。
「ありがとうございました、あしながおじさん……」
涙ながらに感謝を述べる真理に、吉岡も聡美の真意を汲めなかったことを謝罪するのであった。
みのりたちが引っ越すこととなった。
笑顔で送り出す周平たち―――エンド。
<感想>
新シリーズ第1弾。
原作なし、オリジナル作品です。
では、ドラマの感想を。
人情物でしたね。
テーマは「家族」。
主人公である周平一家、脅迫し殺害された安部一家、そして、吉岡と真理の疑似親子。
それぞれの事情が中心でした。
ただ、『あしながおじさん』がテーマに絡められるとは思わなかった。
あれは純然たる父性愛の物語というよりは、恋愛要素の方が強い物語のような気がするので本作での使われ方には違和感を抱いた。
なにしろ、ジュディの恋心は手紙を通じて相手に筒抜けなんだよ。
特に、ラストにジュディとあしながおじさんが結婚したこともきちんと語るべきだろうに。
あくまで、『あしながおじさん』は育ての父と支援を受けた娘が結婚する話ですよ。
だったら、吉岡と真理も恋愛関係になければならなくなってしまう……。
今回の吉岡と真理は真理の母である聡美を通じて、精神的に疑似家族的な関係にあったのだから、これには該当しない。
強いてこれに近い例を挙げるなら、『源氏物語』の源氏と紫の上の関係が近い(庇護者、被庇護者の関係)と思う。
最近の2時間ドラマで言えば、先週放送されたコレの方が関係性は近い。
・水曜ミステリー9「旅行作家・茶屋次郎 箱根早川殺人事件〜“哀し過ぎる約束”禁断の愛が殺意を招く 老舗旅館と人気芸妓の封印された過去の謎(兄弟の“秘密の約束”が悲劇を呼ぶ!芸妓弁護士VS茶屋の名推理)」(9月19日放送)ネタバレ批評(レビュー)
でもって、安部の行為が家族を想った為の善行のように描かれているのもどうも……。
視聴者が否定的に捉えるようには描かれているけど、作中で最後まで否定されなかったのもモヤモヤ。
聡美も吉岡と別れた直後に別の男性と交際しなくてもいいんだよ。
純粋に吉岡の為を想って身を退いたのなら、暫く1人で居てもいいんだよ。
すぐに別の相手と交際する必要はないんだよ……。
別れた理由も、てっきり「真理を妊娠したので吉岡の負担にならないよう聡美が身を退いた」のかと思いきや、真理の父親自体が吉岡と別れて出会った男性だとは……まさに意外。
あれだと、聡美が司法試験に失敗した吉岡に見切りをつけたと思われても特に不思議はないかもしれない。
そういえば、真理の行為も余り褒められたものではありませんね。
おそらく、支援者たちを庇護者(あしながおじさん)のように見立てていたのだろうとは理解できます。
だからこそ、そんな「あしながおじさんたち」を追い詰めかねない磯貝を許せなかったのだろうと言うことも。
ただ、真理の行為自体が、家族のある人を相手にしているので相手の家庭に波紋を投げかけることは避け得ないでしょう。
金銭面での割り切った関係とはいえ、支援者を独身のみに絞るとことは出来なかったのか。
ある意味、真理自身もさして磯貝と変わらない気も……。
序盤部分で、安部のアリバイ工作があるだろうと思いましたがありませんでしたね。
あの煙草云々は実際に喫煙している姿を目撃した者は居ないので、煙草だけ残し犯行に及んだのかとも思いましたが、流石にありませんでした。
まぁ、この方法ではアリバイになるかどうか分からない不確定な工作(目撃者がいるかどうか分からない)なので、ここは良かった。
さらに、ある驚きの展開が。
なんと、22時7分時点で既に犯人が明らかになっていました。
以降は主に吉岡と真理(幸子)の心情と動機に充てられていました。
これはこれで良かった……と思うのですが、何故かピンときません。
やはり、先に挙げたモヤモヤの所為でしょうか。
個人的に「早期犯人判明」から「より深く心情を描く」ことには異論はないのですが、その結果に問題があったような気もします。
これだけの時間を割いたにも関わらず、周平関係は割とあっさりしてますし。
もう少し、周平一家、安部家、吉岡と真理の3者を絡めることは出来なかったのか……これだけのキャラがありながら活用し切れていない感があり、とても残念です。
全体的に「納得いかない作品」と言えるでしょう。
いや、本当に腑に落ちない点がイロイロと多過ぎるんだよなぁ……なんか違う。
<キャスト>
門倉周平:寺脇康文
今村華子:櫻井淳子
日下部光彦:松重豊
須田真理:笛木優子
橋本正子:山口美也子
大野静江:水沢アキ
中村フミエ:大島蓉子
久保寺隼人:永山たかし
安部靖:森下能幸
門倉加奈:金井美樹
安部杏子:小林麻子
大崎春子:水木薫
磯貝保:石黒久也
吉岡修一郎:夏八木勲 ほか
(公式HPより、順不同、敬称略)
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概ね管理人様のモヤッとしたのは同意です。このドラマで自分的にモヤッとしたのは
聡美の親友の件でなんのフォローもされてなかった事と吉岡と別れた事が思わせぶりだった事です。前者は本当に親友さん可哀相です。ちゃんと「家族だと思ってた」まで言ったのに最後までスルー、周平、幸子に言ってやれよ!!とテレビにつっこんでしまいました。
むしろ吉岡との和解よりこっちだろと
別れたのも「私のせいだ」と聡美が自分を責めてたから何があったのかと思ったら聡美的に支えが足りなかったと
「なんじゃそりゃ」と思ってしまいました。
そう思ってしまうのは二時間ドラマに慣れすぎてるせいなのかもしれませんが
このドラマの内容ではないのですがAKB殺人事件のエピローグで前田さんが電話で「お礼にアイドル仕込みの歌を教えようか?音痴治るかもよ」と言ってるのですがあれも読んでてつっこんだ記憶が…最近は機械の性能も良いですからね多少アレでも…
あと集団ですから個々の歌声が聞き取れるのは本当にファンぐらいだと
蛇足すみません
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
うわっ、確かに20時7分だと放送開始前ですね。
キャストとあらすじ時点で犯人が分かった……のではないので、こっそりと訂正せねば。
ご指摘、ありがとうございます(^O^)/!!
モヤモヤについて同士が居たのは嬉しいです。
確かに、聡美の親友についてもモヤモヤが残りますね。
実際、真理にとっては(その母が主に面倒を看ていたとはいえ)育ての親。
なんらかの形でフォローあって然るべしでした。
吉岡と聡美の関係も、てっきり「真理を妊娠したので吉岡の負担にならないよう聡美が身を退いた」のかと思いきや、真理の父親自体が吉岡と別れて出会った男性だとは……まさに意外。
あれだと、聡美が司法試験に失敗した吉岡に見切りをつけたと思われても特に不思議はないかもしれない。
いろんな意味で意外性があったドラマだったと言えそうです。
「AKB殺人事件」は青山先生が関わってらっしゃるので「名探偵コナン」とのリンクが多く仕掛けられていたんですね。
「AKB」「コナン」両者のファンにとって注目の作品でしたね。
また、同じような企画があればいいなぁ……。