ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
校内の事件は保健室の
先生におまかせ

教師の惨殺シーンを描いた「殺人画」。
校長から犯人捜しの特命を受けた熱血養護教諭と偏屈な美術教師の凸凹コンビが調査をはじめる!
編集部推薦作家デビュー!『このミス』大賞 2012隠し玉
校内の事件は保健室の先生におまかせ

プロローグ 椎名と……
起 殺された絵と退職とヌード
第一承 元美術部員と二枚目の絵
第二承 写生の会と過去の告白
第三承 ダマし絵と素とスケッチブック
転 殺人画家は――私です
結 終業式と名前のない悪意
解 事後と事前と渦中の二人
エピローグ 椎名とシーナと……
解説 福井健太
(宝島社公式HPより)
<感想>
第10回「このミステリーがすごい!」大賞隠し玉4作品の1つ。
応募時タイトルは『殺人画家は 私です』。
・第10回「このミステリーがすごい!」大賞が決定!!栄冠は「懲戒弁護士」に
う〜〜〜ん、悪くはない。
ただ、隠し玉4作品中ではもっとも印象が薄い。
コンパクトにまとまり過ぎているのかも。
ただ、それだけ手堅い作りの作品とは言えると思う。
個人的な主観によるものなので何とも言えないが、琴線には触れなかった。
とはいえ、特に難があるワケでは無いので、読んでみるのもアリかもしれない。
ネタバレあらすじはかなり改変しており、きちんと本書を読まれた方が楽しめると思うので注意。
<ネタバレあらすじ>
私立山瀬学園高校にて、教師をモデルにした殺人画が掲げられた。
事態を重く見た校長は、教師の遥と美術教師の椎名に犯人捜しを依頼する。
椎名によれば、殺人画の犯人は画家としての技量は粗削りなモノの一定のレベルに達しているらしい。
だが、美術部員の中には、シャイな与田を含め犯人と思われるタッチの持ち主は居なかった。
そんな中、2枚目の殺人画が掲示される。
男子の制服を着用した犯人を目撃し、追う遥だったが、逃げ切られてしまう。
どうやら、犯人は校内に精通した人物。
つまり、内部犯のようである。
そして、絵の中で殺害されていたのはまたも教師であった。
ある日、椎名から呼び出された遥、校長、被害者たち。
椎名はそこで3枚目の殺人画の存在に触れ、それが制作された理由を述べ始める。
殺人画で殺害された教師たちは皆、犬の轢き逃げ事件の加害者だった。
だが、被害者が犬ということもあり、そのまま逃げてしまったのだ。
被害に遭った犬は、椎名の飼い犬だったと言う。
この絵はその告発の為に描かれたのものだったのだ。
椎名はそのまま教職を去るが……。
数日後、今度は椎名が遥に呼び出される。
そこには与田も待っていた。
殺人画の製作者は椎名ではなく与田であった。
与田は利き手を使わずに絵を描いたのでタッチが異なっていたのだ。
男子の制服は兄の物を借りたらしい。
動機は椎名が追及した通り、犬の轢き逃げにあった。
だが、飼い主は与田だったのだ。
椎名は与田を庇っていたに過ぎなかった。
椎名が教職を去ったことを謝罪する与田。
しかし、椎名は自身の描くべき絵を見つけたことで去ったのであった。
こうして、真相は遥と椎名、与田の胸に秘められた。
「シイナ、好きよ」
椎名と同じ名を持つ自身の飼い犬に誤魔化しながら、告げる遥。
2人がこれからどうなるのかは誰も知らない―――エンド。
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