2012年08月20日

『虚像の道化師 ガリレオ7』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)

『虚像の道化師 ガリレオ7』(東野圭吾著、文藝春秋社刊)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

ガリレオシリーズ、待望の最新短篇集!

新興宗教の教祖が送る念、奇妙な幻聴、不可思議な殺人現場、犯人が仕掛けたトラップ。ガリレオこと湯川がすべての謎を解き明かす

ファンの方ならご存じと思いますが、昨年、東野さんは作家生活25周年と銘打って、『真夏の方程式』など3作の新刊を刊行しました。それからわずか、1年余り。今年もガリレオシリーズの新作をお届けいたします! 今回は短編集。相手には指1本触れず、自分が送った念で人を転落死させたと主張する新興宗教の教祖との対決を描く「幻惑(まどわ)す」ほか全4話収録。湯川のクールでスマートな推理をお楽しみください。(BY)
(文藝春秋社公式HPより)


<感想>

ガリレオシリーズ最新作です。
短編集となり、タイトルにナンバリングもつけられました。

そんな『虚像の道化師 ガリレオ7』の収録作は『幻惑す』『心聴る』『偽装う』『演技る』の4作。
それぞれの感想はこちら。

・『幻惑す』

もっとも幻惑されていたのが、あの人だったのには驚いた。
なかなか良し。

・『心聴る』

本編最後に注意書きがあるけど、実在しない物をトリックに使うのは引っかかった。

・『偽装う』

湯川の人間らしさ、優しさが見られて良かった。
トリックと相俟って、キャラが加賀っぽいところがあるけど。

・『演技る』

変則的な倒叙モノ。
意外な動機がポイント。
ちなみにネタバレあらすじでは「花火の写真」や「アドレス帳の工作」などを端折っているので注意!!

4作全体的に流石のストーリーテリングで安心の1作です。
オススメ。

ちなみにシリーズ続編『禁断の魔術 ガリレオ8』が2012年10月13日に発売されることも予告されています。
こちらの収録作も4作品。

収録作は『猛射つ』『念波る』『曲球る』『透視す』とのこと。
現在、このタイトルの読み方を文藝春秋社公式サイトにてクイズとして出題中。
解答締切は2012年9月17日まで、是非、チャレンジを。

<ネタバレあらすじ>

・『幻惑す』

とある宗教団体の金庫番が、雑誌記者の前で転落死を遂げた。
教祖が手も触れずに問い質しただけで、何かから逃げるように窓から転落したのだ。
金庫番は近く別の団体に移籍する予定だったらしい。

この事実が雑誌の記事となり、教祖は一躍時の人に。
奇跡を求めた人々は、争うように入信を競った。
その中には、草薙の祖母の姿もあったのだ!!

こうして、草薙の姉から祖母を助けて欲しいと依頼された湯川が出馬することに。
湯川は「教祖が手をかざすと、体がポカポカする」と聞き、真相を看破する。

電子レンジに用いるマイクロウェーブを利用していたのだ。
これを最大限にして用い、相手を熱で驚かせ転落死させたのが真相であった。

感熱紙を用い、このトリックを証明した湯川。
後日、草薙より意外な事実を聞かされる。

実はトリックは教祖の妻のアイデアであった。
そして、教祖は完全な飾りでありトリックの存在を知らなかった。
自身に超能力があると本気で信じていたらしい。
今回の殺人も教祖の妻とそれに繋がる幹部の犯行であった。

誰よりも教義を唱える教祖自身が惑わされていたことに気付いた湯川は嘆息するのであった―――エンド。

・『心聴る』

とある会社で不審な声を耳にし、ノイローゼになる事件が発生。
中の1人は自殺し、もう1人は追い詰められて草薙を刺してしまう。
幸い草薙は無事。

だが、内海の要請を受けた湯川が出馬することに。
湯川は他の被害者が居ないか、取り調べを指示。
結果、あるOLの被害が判明する。

そして、捕まった犯人。
その名は小中。
彼は兄が開発した超小型の指向性マイクロウェーブスピーカーを用い、対象に音を浴びせていた。
これは耳を塞ごうとも聞こえる優れもの。
これにより、被害者は幽霊の声だと錯乱したのだ。

OLに用いたのは、小中が好意を抱いており「小中を好きになる」と繰り返し聞かせることでサブリミナル効果を狙ったらしい。
残念ながら、こちらは効果が無かったようである。

こうして、小中の犯行が暴かれたのであった―――エンド。
(本作については、超小型の指向性マイクロウェーブスピーカーは存在しないと注意書きされています)

・『偽装う』

大学時代のクラブ仲間の結婚式に赴いた湯川と草薙。
当時の仲間で独身は、もはやこの2人のみである。

雨の中、車で会場へ向かう2人だが、タイヤが外れかけて立ち往生してしまう。
草薙が修理を始めるが、生憎傘が無い。
困っていたところ、通りがかった女性が傘を貸してくれた。
深く感謝する2人。

会場にも無事到着するが……事件が発生する。
著名な作詞家で知られる武久がアームチェアに座った射殺死体で発見されたのだ。
武久の死体の奥には、妻も扼殺されていた。
武久の妻の首に武久の血が残っていたこと、凶器と思われる猟銃が庭に投げ捨てられていたことから「犯人は武久を射殺後、その妻を扼殺した」と思われた。
夫妻の娘・多英は両親の死を悼み、泣いていた。
この多英こそは、あの傘を貸した女性だったのである。

興味を持った湯川は事件の捜査に参加、即座に真実を見抜く。
多英に詰め寄る湯川。

もしも、武久が本当に射殺されたのならば反動でアームチェアから落ちていなければならないと指摘。
ここから、武久は足で身体を固定した状態で撃たれたことになる。
つまり、何者かに撃たれたのではなく自殺であったと結論付ける。

だとすれば、自殺した後に武久が妻を殺せる筈はない。
順序が逆となり、これまでの「武久→妻」ではなく「妻→武久」の順となるのだ。
だとすれば、武久が妻を殺し自殺した可能性が高い。
つまり、武久による無理心中である。
それを、第3者が他者の犯行に偽装したのだ。

第3者は何故、偽装したのか。
ここで多英が武久の実子ではなく、妻の連れ子であるとの事実を明かす湯川。
そう、武久と多英は戸籍を入れていなかったのだ。
つまり、妻が先に死亡した場合、多英は武久の遺産を相続出来ないのである。
あくまで、武久の遺産を妻が相続した状態でなければ多英には手に入らない。
これが第3者が偽装した理由、第3者の正体は多英であった。

多英は両親について考える―――酷い人たちだった、と。
多英の母は武久の弟子と不倫を繰り返していた。
武久はそのストレスの捌け口を多英に求め、性的な虐待を続けた。
多英自身は遺産に興味はない。
だが、そのトラウマが頭を過ったときに、どうしても許せなくなったのだ。
そして、工作してしまった。

罪を認めようとする多英だが、湯川は皆まで言わせず続ける。
武久に実母を殺害されたのは事実なので、被害を訴えれば補償して貰えること。
偽装については、混乱のあまりいろいろ触ってしまったとすればよい。
これについては草薙も了解している、と。

泣き出す多英は何故、そこまでしてくれるのか問う。
「傘を貸してくれたでしょう、そのお礼です」
湯川は素っ気なくそう答えるのだった―――エンド。

・『演技る』

女優の敦子はナイフを突き立てながら思った―――本当に酷い男だった、と。
敦子の視線の先には1人の男の死体。
さて、これからが大変である。

敦子は男の携帯を手に取ると、形のよく似た自分の古い携帯とすり替えた。
その後、衣装担当者を呼び出し、彼女と談笑。
その間に男の携帯から自分の携帯に電話し、何かあったようだと誘導。
彼女と共に死体の第一発見者になった。
通報するよう促すと、隙を見て携帯を元に戻した。
これでアリバイは確保できた。
敦子はこれから先を考えるとワクワクしてきた。

高名な演出家が小道具用のナイフで殺害された。
捜査を担当したのは草薙である。

男の現在の恋人である聡美によれば、元の恋人である敦子が怪しいらしい。

草薙は敦子を疑い、携帯電話も含めそのトリックを看破する。
だが、決め手がない。

矢先、湯川から連絡が。
湯川は敦子と知り合いらしい。
こうして湯川が出馬。

湯川はわざわざ小道具用のナイフが凶器として用いられていた点に注目。
別の特徴ある凶器を隠すために採用されたと指摘。

これに基づき捜査したところ、聡美の犯行が露見する。
聡美は被害者から別れ話を持ち出され、逆上し殺害してしまったらしい。
そして、凶器は裁ちばさみであった。
聡美もまた衣装を担当していたのだ。

其処へ敦子から電話が入り、敦子に相談したところ、敦子が工作を行ったのである。

何故、聡美を庇ったのか―――尋ねる草薙。
庇ってなんていません。女優として殺人者の気持ちを体験するまたとない機会だったので―――悪びれず答える敦子。
もしも、本当に犯人にされそうになった場合は、聡美が犯人であることを明かすつもりだったそうだ。

あまりと言えば、あまりな敦子の動機に呆れる草薙。
これを伝え聞いた湯川は「幻想の世界にしか生きられない者もいる」としか語らなかった―――エンド。

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【東野圭吾先生著作ネタバレ書評(レビュー)】
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米国版「容疑者Xの献身」発売される!!タイトルは「The Devotion of Suspect X」!!

韓国版『白夜行』遂に上陸!!2012年1月7日(土)日本公開!!

東野圭吾先生「人気作品ランキング」中間結果発表!!

東野圭吾先生が中国でブームに!?

東野圭吾先生「容疑者Xの献身」が上海で舞台化!!

東野圭吾先生原作『浪花少年探偵団シリーズ』(講談社刊)がTBS系月曜20時枠にてドラマ化決定!!

「エドガー賞 最優秀小説(作品)賞」受賞作発表、モー・ヘイダー『Gone(ゴーン)』に!!

東野圭吾先生原作の映画版『麒麟の翼』『夜明けの街で』『さまよう刃』が台湾にて2012年4月20日より公開!!

東野圭吾先生『容疑者Xの献身』がエドガー賞候補に!!気になる結果は2012年4月26日!!でも、何故2012年の今なのか、知りたいと思いませんか!?

東野圭吾先生『プラチナデータ』(幻冬舎刊)が映画化!!公開は2013年を予定!!

フジテレビ系列木曜劇場にて東野圭吾先生原作作品を続々ドラマ化!!その名も「東野圭吾ミステリーズ」!!

東野圭吾先生『○笑小説』シリーズから3本の短編が実写ドラマ化!!

「虚像の道化師 ガリレオ 7」です!!
虚像の道化師 ガリレオ 7





「ガリレオ DVD-BOX」です!!
ガリレオ DVD-BOX





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