ネタバレあります、注意!!
<あらすじ>
夫の愛を確かめたいという女性から、報酬100万円で狂言誘拐の依頼を受けた便利屋の話をおくる。その誘拐は成功したが、便利屋は身を隠していた依頼人の女性が殺害されているのを発見してしまう。便利屋は自分の家に戻るが、依頼人の女性に渡した「人質の心得」を記したメモを現場に残したままであることを思い出し、探しに戻るが見つからない。そんな時、そのメモを「人質」に、女性を殺害した犯人から脅迫電話がかかってくる。ゲストは野沢直子、スギちゃん、SHELLYほか。司会は徳井義実、綾部祐二、紗栄子。
(@nifty tv番組表より)
8月21日放送にて再現されたのは『さらわれたい女』でした。
ネタバレ書評(レビュー)ありますね。
・『さらわれたい女』(歌野晶午著、講談社、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
【さらわれたい女(歌野晶午著)】
◆問題編(前半)スタート
閑古鳥の鳴く便利屋・黒田の事務所。
其処へ1人の女性が現れた。
彼女は依頼人、名を小宮山佐緒里と名乗った。
依頼内容は「狂言誘拐」。
佐緒里を誘拐し、夫である隆幸を脅迫。
それを通じて、夫の愛を確かめて欲しいと言うのだ。
隆幸は東亜商事の2代目社長。
東亜商事は「カフェ・ラシーヌ」などを展開する大手企業。
依頼料に目のくらんだ便利屋はこれを引き受けてしまう。
翌日、誘拐中の潜伏先が見つからないことに頭を悩ませる黒田に、佐緒里は旅行中の友人宅を提案。
これで問題が解決し、狂言誘拐はスタートした。
人質心得メモを佐緒里に渡し、打ち合わせを終えた黒田は脅迫電話を架ける。
3千万円を要求する黒田。
明日の正午までに用意しろとドスを聞かせた黒田に隆幸はタジタジ。
計画は順調な船出を迎えた。
潜伏先に佐緒里を残し黒田は外出。
同じ頃、隆幸は3千万円を用意する為に、実家に支援を求めた。
小宮山家は、母・妙子、長女・栗原冴子、次男・正志(スギちゃん)で構成される。
事態を伝え聞いた正志は警察に通報するよう隆幸に提案。
このやり取りを、隆幸の秘書・有村に知られてしまう。
結局、正志の提案が通り、通報することになった。
やって来たのは浜口という刑事。
隆幸はLというビストロで佐緒里と食事をした後、支払い中に佐緒里が消えたと主張。
隆幸は3千万円を用意すると、万全の体勢で次の連絡を待つ。
そこへ有村から電話が。
黒田が会社に次の指示を入れたのだ。
黒田の指示は「#8501を押せ」とのものだった。
「伝言ダイヤル」である。
「伝言ダイヤル」は、指定の番号をダイヤルすることで録音された内容を聞くことが出来るサービスである。
伝言ダイヤルには「車に3千万円を積み、埠頭まで来い」との指示が吹き込まれていた。
隆幸は埠頭へと赴く。
同じ頃、黒田は何故か冴子に電話する。
「佐緒里だけではなく、あんたの息子も預かっている」と脅迫する黒田。
混乱の頂点に達した冴子は、長男・勇も誘拐されたと早合点。
慌てて、家の中からお金をかき集めると駅へと向かう。
その額、5百万円。
駅の混雑に紛れた黒田は隙を見て、5百万円を奪い計画を成功させる。
その頃、待ちぼうけを食わされた隆幸は冴子が身代金を支払ったことを知り仰天。
当の冴子が帰宅すると、誘拐された筈の勇はピンピンしていた。
一方、黒田は計画の成功に満足していた。
後は、佐緒里を解放するだけだ。
潜伏先へ向かった黒田は思わぬ事態に遭遇する!!
其処には死体となった佐緒里の姿があったのだ。
どうやら、何者かが佐緒里を殺害したのだ。
しかも、人質心得メモが消えていた……あれは黒田の関与を示す決定的な証拠だった。
◆スタジオ
Q:佐緒里を殺したのは誰?
秘書の有村が怪しいとの説が大勢を占める中、黒田の二重人格説も。
ショートケーキとイチゴ大福についても語られる。
そんな中、隆幸と有村の不倫説が唱えられ、隆幸黒幕説が!!
◆問題編(後半)スタート
佐緒里の死体を発見し、怯える黒田。
そんな黒田へ何者かから脅迫電話が!!
相手は「人質心得メモを返して欲しければ、佐緒里の死体を誰にも見つからないように遺棄しろ」と言う。
黒田はコレに従い、遺体を処理。
メモを取り戻したものの、捜査の手に怯える毎日を送る。
誘拐事件発生から2週間が経過。
佐緒里と思われる死体が発見された。
これを伝え聞いた黒田は「殺人犯の汚名を逃れるには真犯人を捕まえるしかない」と決意。
調査に乗り出す。
まず、潜伏先の所有者を突き止めることに。
部屋の所収者は、アクトプロモーション代表取締役社長・栗原維であると判明。
栗原に連絡をとる黒田。
何度となく電話するものの、相手は不在を訴えるばかり。
黒田は、秘書代行サービスではないかと疑う。
一方、栗原という苗字に何か引っ掛かりを覚えていた。
何処かで聞いたような……。
ふと、冴子の苗字が栗原であることに気付いた黒田。
確認したところ、栗原維は冴子の夫であった。
こんな偶然はあり得ない。
黒田はアクトプロモーションへ足を運ぶ。
そこで、衝撃の光景を目にすることに。
なんと、佐緒里がふらふらと歩いていたのだ。
佐緒里は「津島」とのネームプレートをつけていた。
◆スタジオ(2回目)
Q:津島の正体は?
双子や整形説が浮かぶ中、ゾンビ的な復活説も。
専門家の意見。
・津島は佐緒里の代理だったのでは?
・黒田の会った佐緒里がそもそも津島だったのでは?
Q:では、真犯人は?
隆幸が津島と不倫しており、邪魔な妻を殺害したとの説が有力。
刑事・浜口説も浮上する中、事件前から既に佐緒里は死んでいた説も出る。
スタジオでは以上を踏まえたところで、「隆幸、津島犯人説。佐緒里は既に死んでいる」でファイナルアンサー!!
ここで、恒例の4択クイズ。
誰が犯人なのか?
正解者には番組より原作者のサイン本がプレゼントとのこと。
1.小宮山隆幸
2.小宮山隆幸・有村
3.小宮山隆幸・津島
4.その他
◆解答編
黒田は津島さと子を尾行し、津島が何者かと接触している光景を目撃する!!
黒田は自分の命が狙われると判断。
津島たちの連絡を待つ。
案の定、電話が。
22時の約束を交わす黒田。
黒田のもとへ現れたのは、津島と隆幸であった。
そう、2人の共謀だったのである。
真相はこうである。
佐緒里を名乗り、黒田に狂言誘拐を依頼したのは津島。
死体を棄てるよう脅迫したのも津島である。
秘書代行サービスに登録していた津島と出会った隆幸。
妻に似ながら、一見控えめに見える津島に惹かれ、浮気してしまう。
義理の兄・栗原から任されていた一室を愛の巣として利用することに。
何の問題も無い筈だったが……。
ところが、浮気の現場を佐緒里に抑えられてしまった。
揉めた挙句、カッとなった隆幸は佐緒里を殺害してしまう。
自首を考える隆幸だが、津島の提案で黒田を利用することに。
一連の狂言誘拐は、黒田に佐緒里殺害の罪をなすりつける罠だったのだ。
隆幸と津島は黒田を殺すべく、睡眠薬を盛っていた。
「あんたには死んで貰うから!!」
笑う津島だが、その笑いが凍りつく。
背後に浜口たちが居たのだ!!
黒田は事前に浜口たちと連絡を取り、盗聴器を通じて隆幸たちの告白をすべて録音させていたのだ。
こうして、隆幸と津島は逮捕された―――エンド。
<感想>
最終回を迎えた「超再現!ミステリー」。
その内容は歌野晶午先生『さらわれたい女』でした。
・『さらわれたい女』(歌野晶午著、講談社、角川書店刊)ネタバレ書評(レビュー)
まず、個人的に『さらわれたい女』は歌野先生の作品群の中ではあまり評価していないことを伝えておきたい。
その上で、歌野先生の作品ならば『密室殺人ゲーム』シリーズの1作目と2作目を推す。
設定上、倫理的に反発を覚えるかもしれないが、内容は面白いので是非!!
さて、上記をご理解頂いた上で、『さらわれたい女』について触れて行こう。
なお、本作で次の4点に触れるのは禁止。
この4点は原作そのままなので、致し方ありません。
・「佐緒里とさと子、そんな都合よく物凄くそっくりな人が存在するのか」
→世の中には3人似た人が居るので(以下略)。
・「いくら佐緒里と津島さと子が似ていても、身体的差異などで黒田がまじまじと眺めて見て気付かないものなのか」
→生きている人と死んだ人とでは印象が異なるので(以下略)。
・「黒田が潜伏先に居座っていたらどうしたのだろうか?」
→なんとか口実を作って外出させるよう持って行ったんだよ、身代金受け取りとか。
「でも、狂言誘拐なので其処までしない可能性もあったのでは?」
→そこはそれ、ほらなんとかしたんだよ(以下略)。
・「佐緒里は死後それなりの期間が経過しているように思えるのですが……そもそも死体は何処に隠していたの?潜伏先?だったら、黒田は匂いで気付かないものなの?」
→以外と時間はかかっていないんだよ、解剖?なんとか切り抜けたのさ。死体はたぶん何処かだよ(以下略)。
正直、内容的に2時間ドラマテイストになるのは避けられないので、ドラマ版は1時間として上手くまとめていたと思います。
駆け足になるのも致し方ないでしょう。
ただ、惜しむらくは前半の誘拐パートを削り、その分を「佐緒里とさと子の入替り、真相解明部分」に費やすべきだったかもしれません。
だって、誘拐パートは特に後半に貢献していないから。
これは原作も同じ(誘拐モノ+ハードボイルド)なので致し方なし。
むしろ、1粒で2度美味しいと前向きに捉えるよう努力します。
今思うと原作自体が中編2本をそのまま繋ぎ合わせたような作品なんだなぁ。
いかん、原作に割と否定的なので、どうしてもそれが出てしまう……。
個人的には歌野晶午先生の本領は『密室殺人ゲーム』シリーズにこそあると思うので、そちらをオススメしたい。
興味のある方は過去記事からどうぞ!!
オススメした理由が分かる筈。
で、次回の超再現なのですが……未定です。
何故かと言うと、今回が最終回だから。
お疑いの方は、ネット番組表や新聞をご確認を!!
かく言う管理人も、前回から覚悟していたものの、未だに目を疑っている状態。
せめて本放送中に最終回に触れるかと思いきや、遂に触れないまま終わりを迎えるとは。
つまり、キャストの方には収録時点でこれが最終回であるとは伝えられていない可能性が高いか。
おそらく、完全な「打ち切り」ですね……。
せめてナレーション、駄目でもテロップで「最終回」について触れてくれてもいいと思うけど、それも無しとは!!
ある意味、はっきり区切られていないので「いつか復活がある」……かも。
でないと、この終わり方は辛過ぎる〜〜〜。
でもって、途中で「打ち切り」だとすると、お蔵入りになった作品もある筈なんだよなぁ。
どの作品が対象だったんでしょうか、気になります。
そして、いつか復活の日は来るのでしょうか?
当初に比べると少しずつ良化していただけに、惜しい。
いつか、きっといつか復活の日は来る筈!!
そう信じて、「超再現!ミステリー」を楽しみ続けた皆さんと共にその日を待ち続けたく思います。
◆歌野晶午先生関連過去記事
・『密室殺人ゲーム王手飛車取り』(歌野晶午著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『密室殺人ゲーム2.0』(歌野晶午著、講談社刊)ネタバレ書評(レビュー)
・『密室殺人ゲーム・マニアックス(前編)』(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2010 vol3収録)ネタバレ書評(レビュー)
・『密室殺人ゲーム・マニアックス(後編)』(歌野晶午著、講談社刊、メフィスト2011 vol1収録)ネタバレ書評(レビュー)
◆関連過去記事
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私は「密室殺人ゲーム」シリーズは読んでません。
歌野先生の作品だと「放浪探偵と七つの殺人」が一番印象に残っています。
全編、問題編と解答編に分かれていて読者への挑戦付きでした。
結局、この番組はあまり真価を発揮することなく終わってしまった感じがしますね……。
(--;)
こんばんわ。
管理人の“俺”です(^O^)/!!
確かに「想い出が……」のくだりありました。
割と自然な会話だったので、番組自体が最終回になる可能性を知っておかないと難しいかもしれませんね。
『放浪探偵と7つの殺人』ですね!!
管理人もあの短編集は好きです。
特に『ドア⇔ドア』がベスト。
あれは倒叙の傑作だと思っています。
犯人の心理が切ないんだよなぁ……。
あれを読んで以降、正月のゴミの日チェックは厳重にしていたり。
そういえば『放浪探偵〜〜〜』も問題&解答形式でしたね。
あれは意欲的でした。
そして、仰る通り「超再現!ミステリー」は此処からが本番というところで終わってしまった感がありますね。
少しずつですが、路線が固まりつつあったようにも思えただけに惜しいです。
何時の日か、単発でもいいので復活してくれるといいのですが……。