2012年08月24日

「名探偵マーニー」第2話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第2話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<ネタバレあらすじ>

授業に対しやる気の出ないマーニー。
そんな彼女もいざ事件の依頼となれば、やる気を出す。

今回の依頼は学校の先輩である那智からである。
那智は学校でスポーツマンとして知られるヒーローであった。

那智の依頼の内容は親友である西郷が遺したダイイング・メッセージの謎。
西郷は那智と親しく常に2人で活動していたが、先頃になって病床に臥しそのまま死亡してしまったらしい。
その際に病室のベッドに「謎の文字列」を血で書き残していた。
親友として、この意味を教えて欲しいと言うのだ。

マーニーは早速調査を開始するが、思ったより捗々しくない。
ダイイング・メッセージの意味は遺した者以外にとっては理解が難しいからだ。

そんな中、手掛かりを求め西郷家を訪ねたマーニーは西郷家の飼い犬がきっかけで中へ上がることに成功する。
西郷の部屋を調べたマーニー。
PCを調べたところ、西郷がオンラインRPGに嵌っていたことが判明。
それをプレイしたマーニーはあることに気付く。

那智を呼び出したマーニーはダイイング・メッセージの意味を伝えることに。
那智の前でオンラインRPGをプレイするマーニー。
ディスプレイ上には、那智を模したキャラクターが動いていた。
このキャラは西郷がメイキングしたプレイヤーキャラクター。
そして、このキャラクターのパスワードこそが「謎の文字列」の正体であった。
西郷は自宅に居ながらにして、親友と冒険を続けていたのだ。
最期の時に思い浮かんだのは親友の姿だったのだろうか?
この事実に涙する那智。

だが、マーニーは思う。
学校のヒーローとなっている那智と比べ、西郷は目立たない存在であった。
道が分かたれた2人、西郷は那智と肩を並べたいと考え劣等感に苛まれていたのではないだろうか。
もっと突き詰めれば、西郷は那智になりたかったのではないか?

西郷の生前。
彼は死の間際、オンラインRPGでメイキングしたキャラを思い浮かべ、彼を呼び出すべくパスワードを自らの血で記した。
その前に姿を現す彼の親友。
西郷は彼と共に冒険の旅に出た。

後日、事件を通じてオンラインRPGに興味を持ったマーニー。
彼女がゲームを立ち上げると、其処には西郷と彼のプレイヤーキャラクターが並んで歩いていた。
西郷はゲームの世界で永遠に彼の友情を育むのだ―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。

今回はその第2話です。
切なく寂しく……歪な物語でしたね。
かなり心に来ました。

西郷は本当に那智と共に居たいが為だけに親友を模したキャラクターを作ったのか?
マーニーの疑問には一理ありますね。

那智に模したキャラクターを自身がプレイすることで彼になりきっていたのかもしれない。
あるいは、那智を支配していたつもりになっていたのかも。
それとも、置いて行かれてしまった寂しさをゲームの世界で紛らわせていたのかもしれない。
純粋に親友と対等の立場でありたいとの想いからの行動かもしれない。

いずれにしろ、現実で果たせぬ想いをゲームに託しているのは間違いないか。
ただ、管理人的には最後の「対等でありたかった」説を取りたいですね。
ラストの西郷の様子を見ると、常に那智と対等で居たかったのではないでしょうか。
そんな気がします。

本話はある意味「オンラインRPGに嵌り現実逃避してしまった人物」がテーマですね。
そして、最後まで現実逃避してしまった、と。
同じ週の「空が灰色だから」と同じ現実逃避テーマでした。

一見、明るく見えるマーニーの物語。
その実、裏には毒が満ちている……流石、木々津克久先生ですね。

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
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「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)

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