2012年08月27日

『キルキルカンパニー』(七尾与史著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』掲載)

『キルキルカンパニー』(七尾与史著、宝島社刊『「このミステリーがすごい!」大賞作家書き下ろしBOOK』掲載)ネタバレ書評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

<あらすじ>

リストラにあった僕は、再就職先にある派遣会社をすすめられる。
けれど、そこは――「殺し屋」斡旋会社だった!
七尾与史 キルキルカンパニー
(宝島社公式HPより)


<感想>

『死亡フラグが立ちました!』で知られる七尾与史先生の短編です。

「殺し屋斡旋会社に就職した僕。
研修社員としての卒業試験はある男性の殺害だった。
もしも、試験をクリアできなければ、殺し屋の掟により僕は殺されてしまう。
果たして、僕は試験をパスできるのか?」

が、基本のストーリー。
ただ、これでは本作の真意を伝えきれていないと思う。
もう少し、突っ込んでお伝えしよう。

「殺し屋斡旋会社に就職した僕。
研修社員としての卒業試験はある男性の殺害だった。
もしも、試験をクリアできなければ、殺し屋の掟により僕は殺されてしまう。

ところが、相手は殺し屋キラー。
過去に何人もの殺し屋が再起不能に追いやられていた。

案の定、僕も失敗してしまう。
だが、僕は殺し屋の掟により殺害されることは無かった。
何故だろう?」

このシチュエーションに興味を持たれた方は、本作を読むべし。
ちなみに管理人が考えた「教え込まれた技術で追っ手をすべて返り討ちにした」は不正解。
もちろん、「殺し屋キラー」と「僕」は仲間でも同一人物でもない。
あなたにはこの謎が解けるか?

ネタバレあらすじも謎の解答は書かれているが、原書を読んだ方が面白いと思う。

<ネタバレあらすじ>

登場人物一覧:
僕:勤め先をリストラされ「キルキルカンパニー」に再就職した。
老師:「キルキルカンパニー」での上司。卒業試験の見届け人。
ある男:卒業試験のターゲット。別名「殺し屋キラー」。

勤め先をリストラされた僕は「殺し屋」斡旋会社「キルキルカンパニー」に再就職することとなった。
上司である老師のもと、厳しい社員研修をクリアし、残すは卒業試験のみ。
これをこなせば、晴れて正社員である。

卒業試験の課題は「ある男性を殺す」こと。
これを達成すれば僕は正社員、達成出来なければ殺し屋の掟により抹殺されてしまう。

相手は何処から見ても一般人の男性。
だが、「殺し屋キラー」との異名を持っていた。
彼に敵意を持った殺し屋が次々と再起不能となったのだ。

ある者は尾行中に心臓発作となり、ある者は狙撃直前に捨てた女に刺され、ある者は事故に遭った。

「そんなのはただの偶然じゃ!!簡単過ぎる試験じゃわい」
老師はカカと笑い、僕は不安でいっぱいだった。

案の定、僕の不安は的中する。
どう見ても、隙だらけの相手に投げナイフで挑んだ僕。
ナイフは狙い違わず相手に刺さった……と思いきや、いきなり屈み込まれ躱されてしまう。
あらぬ方に飛んだナイフは壁に跳ね返り、別の殺し屋の眉間に突き刺さる。
殺し屋は何が起こったか理解できないうちに死亡してしまった。

ターゲットはといえば、屈み込むと靴紐を結び直し始めた。
彼が躱した為に起こった事態には気付いていない様子だ。
結び終えると、そのままスタスタ先に行ってしまう。

マズイ、本当に殺し屋キラーだ……及び腰の僕を老師は激励。
再度、チャレンジすることに。

ターゲットはビルの屋上へ。
転落死させるチャンスだ!!

後を追いかけた僕は、其処で驚愕の光景を目にする。
ターゲットは飛び降り自殺しようとしていたのだ。

慌てて、ターゲットへと近寄った僕。
それに気付いたターゲットは「止めないでくれ!!」と叫ぶ。
仕事に失敗し、交際相手に振られ、絶望したそうだ。

お前の為に何人の殺し屋が再起不能にされたか分かってんのか?
そんな言葉をグッと呑み込んだ僕は「いや、止めないから手助けさせてくれ」と頼み込む。
「あぁ、それならいいよ」あっさりと応じたターゲット。
これで卒業試験はパスだ……僕は快哉を叫びながら、勢いよくターゲットの背中を押した。
ターゲットは僕に感謝しつつ落下して行った。
後は、下で見届けている筈の老師に報告だ。

ところが、僕はターゲットを舐めていた。
ターゲットは生きており、結局、抹殺には失敗してしまう。
だが、僕は殺し屋の掟で殺されることも無かった。

地上に辿り着いた僕はまたも目を疑った。
ターゲットの落下地点付近に人だかりが出来ていたのは分かる。
分からなかったのは、ターゲットがそこで立っていたことだ。
そして、その足元には老師が潰れていた。

どうやら、落下地点の下に老師がおり、ターゲットのクッションとなったらしい。
ターゲットは額を切ってはいるものの、ピンピンしている。
対照的に、老師が死亡しているのは明らかだった。

掟を遂行するのは老師である。
老師が居なければ僕は抹殺されない。

ショックを引き摺りつつも、僕はターゲットに問いかける。
「お前は不死身なのか」

ターゲットは答えた。
「あれ、なんで僕の名前を?僕は富士見って言います」―――エンド。

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