2012年09月19日

『狙われた病室(監禁探偵2)』8話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』8話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)です!!

<登場人物一覧>

アカネ:轢き逃げに遭い実日会総合病院に入院。記憶を喪失しているようだ。前作のアカネと同一人物?
多岐川:実日会総合病院の外科医。アカネの手術を担当。眼鏡着用。
米山:実日会総合病院の看護師長。
宮本:実日会総合病院の研修医。
拓人:子供。実日会総合病院の入院患者。
桐島いつき:若手の看護師。2話より登場。同話にて被害者に。
川越修:実日会総合病院院長。65歳。眼鏡着用。2話より登場。
川越学:修の息子。医師。5話より登場。
原田真菜:いつきの同僚看護師。4話より登場。
刑事:1話で登場。轢き逃げ事件を追っている。

<8話ネタバレあらすじ>

〜〜〜これまでのあらすじ〜〜〜〜〜〜〜

轢き逃げ事故に遭った少女が実日会総合病院に運び込まれた。
少女は身許を示すような品を所持しておらず、ハンカチにあった刺繍からアカネという名前を与えられる。
アカネは意識を取り戻すが、記憶を喪っていた。

そんなアカネに近付く入院患者の少年・拓人。
彼によれば、実日会総合病院は「幽霊病院」らしいが……。

車椅子により動けるようになったアカネは、看護師の桐島いつきが何者かと逢引している現場を目撃する。
翌朝、当の桐島いつきが謎の転落死を遂げるのだった。
桐島いつきの死の真相に幽霊が関わっているとの噂も飛び出す。

しかも、次なる轢き逃げ事故の被害者が死亡した夜にアカネと多岐川は幽霊を目撃する。
幽霊は消え、謎だけが残された。
さらにアカネも何者かに命を狙われてしまう。
事件の真相は!?

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

アカネに睡眠薬を盛ったのは多岐川?
アカネの指摘に動揺する宮本だが、多岐川は冷静にそれを認める。
それどころか逆に多岐川がアカネを批判することに。

多岐川がアカネに睡眠薬を服用させたのは「幽霊騒動を止める為」だった。
「あなたが幽霊騒動を仕組んだでしょう?」
アカネに詰め寄る多岐川。

確かに過去にも幽霊騒動があった。
だが、はっきりとした目撃証言が出回り始めたのは此処最近……アカネが入院して以降のことである。

「それだけではアカネの仕業とは言い切れない」と指摘する宮本に多岐川は具体的な証拠を上げる。

あの日、アカネと共に多岐川が幽霊を目撃したとき。
アカネに先行し多岐川は廊下にあるトイレを調べた。
まず、手前の男子トイレを調べたが誰も居なかった。
次に、奥から来た米山師長の手を借りて女子トイレも調べた。
だが、誰も居なかった。

それもその筈、幽霊騒動を仕掛けた犯人が隠れたのは女子トイレ。
多岐川が男子トイレを調べている間に逃げ出したのだ。
だが、奥からは米山師長が迫っていた。
逃げられる先は手前のアカネしかいない。
アカネは犯人を逃がしたのだ。
つまり、アカネは幽霊騒動の犯人と共犯となる。
いや、ある意味では首謀者と言えるだろう。
何故なら、アカネこそが幽霊騒動の犯人を焚きつけた張本人だったのだから。

そう幽霊騒動の犯人は拓人少年であった。
アカネは彼から幽霊の噂を聞き、それを実現するよう吹き込んだのだ。
拓人はモップの先に白いシーツを被せ、身長を誤魔化すと幽霊を演じ続けた。
原田看護師が屋上で幽霊を見失ったのも、相手が大人ではなく子供ならば隠れるスペースは幾らでもあるからであった。

「あなたの目的はなんですか?桐島君を殺したのもあなたですか?」

詰め寄る多岐川に、幽霊騒動を仕掛けたことを認めるアカネ。
狙いは、幽霊騒動を引き起こすことで周囲の反応を窺うことだったと語る。
中でも原田の反応は間違いなく事実であり、彼女が桐島殺害犯でないことは確信出来たそうだ。

アカネは多岐川の追及を引き継ぐように自身の命を狙った存在が居ることを指摘。
その人物は多岐川が睡眠薬をアカネに処方したことを知る立場にあったと推理。
多岐川でないとすれば……。

「あなたね」

アカネの視線の先にはカーテンに映る影と宮本の驚愕の表情があった―――9話に続く。

<感想>

2010年8月に『漫画サンデー』で連載されていた『監禁探偵』の続編です。
原作&作画は前作同様、我孫子武丸先生原作、西崎泰正先生画。
『監禁探偵』ネタバレ批評(レビュー)はこちら。

「監禁探偵」(我孫子武丸原作、西崎泰正画)まとめ

さて、第8話。
作中で発生した「桐島いつき殺害」、「幽霊騒動」、「轢き逃げ事件」の3つの事件のうち、「幽霊騒動」の犯人が明らかになりました。

なんと、犯人はアカネ自身だそうです。

ええ〜〜〜っ!!
これには驚いた。
確かにアカネは想定外でしたね。
1、2回の頃は偽アカネの可能性も考慮し、犯人では……と疑ってもいましたが、本物のアカネが事件を起こしていたとは。
しかも、アカネ入院前から話題になっていた「幽霊事件」の犯人とは。

もっとも、アカネ自身が関与したのは入院後の「幽霊事件」であり、それ以前の物については噂レベルに過ぎない物だったようです。
ここは納得。

実行犯が拓人なのも、屋上で消えた事実から逆に導き出すことは可能でしょう。
現に、管理人も幽霊騒動については拓人が実行犯であると繰り返して来ました。

ただ、一点不服な箇所が。
アカネが幽霊騒動の犯人であるとの根拠は「実行犯である拓人を逃がせたから」のみなのですが、これは同様に米山師長にも同じことが言えると思うのですが。
むしろ、アカネよりも米山師長の方が女子トイレに隠れたままの場合でも庇えるし。
蓋然性で言えばこちらの可能性の方が高い気もします。
動機についていえば、アカネも米山も似たり寄ったりな立場にような気もするし。
ここがモヤモヤ。
何故、米山師長を否定したのかを明確にして欲しいぞ、多岐川!!

一方で、当の米山師長がアカネ襲撃犯として指摘されそうな様子。
ラストのコマで、容疑者は一見、宮本っぽく見えますがその後のカーテンに人影が映っています。
あれが米山師長でしょう。
此処は前回で「多岐川の指示に便乗した人物が犯人」との管理人の推理通り。

ただ、米山師長が何故、アカネを襲ったかが謎。
自身の犯行を隠す為ならば「桐島殺害」なども米山師長の犯行になる。
誰かを庇う為ならば「桐島殺害」などは庇われた人物の犯行になる。

ここで大きく今後の展開が変わりそう。
今回の「幽霊事件」がアカネによるものと分かったことで、残り2つの「桐島いつき殺害」、「轢き逃げ事件」も別の人物による犯行の線も強まって来たように思われる。
とはいえ、それと「アカネ襲撃犯」が別かと問われると分からない。
あまりに手掛かりが無い状態。

こうなると、ロジックで犯人を当てるのは無理っぽい。
物語的に蓋然性の高そうなプロットを想像するしかない。
米山が「桐島いつき殺害犯」か否かで次の2つのパターンが上げられる。

米山師長が桐島いつき殺害犯だった場合。
米山師長は院長の川越修と愛人関係にあった。
若い桐島いつきに院長を奪われた為に嫉妬からこれを殺害。

米山師長が誰かを庇っている場合。
米山師長は川越学の生みの母であった。
学が桐島いつきを殺害した為にこれを庇おうと調べ回るアカネを襲った。

割とありがちな展開を探るとこうなった。
前回でアカネが宮本に何事かを調べるよう指示していたことが絡んで来るのではないかと思われるが。

ただ、既に否定していた川越親子が此処で再登場することになるとは……。
そして、どちらのパターンにしろ、「轢き逃げ犯」とは別になるが……うむむ。
こりゃ、まだまだ予断を許さんぞ。
管理人が今後も右往左往する可能性、大ですな。

というワケで、今後も『狙われた病室』と管理人のブログ記事には要注目なのです!!

それにしても、アカネが病室から逃げ出すことも出来ず記憶喪失状態であったなら、身体的、精神的2重の意味で『監禁探偵』のタイトル通りだったと思うと、今の自由行動状態は些か勿体ない感もあるなぁ……。
8話までではこんなところか、9話に注目です。

そして、我孫子武丸先生といえば『狼と兎のゲーム』が『メフィスト』(講談社刊)にて連載中。
こちらも注目です!!

◆「狙われた病室」関連過去記事

『狙われた病室(監禁探偵2)』1話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』2話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』3話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』4話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

【容疑者絞りました】『狙われた病室(監禁探偵2)』5話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』6話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

『狙われた病室(監禁探偵2)』7話(我孫子武丸原作、西崎泰正画、実業之日本社刊『漫画サンデー』連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事

「狼と兎のゲーム(第1回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

「狼と兎のゲーム(第2回)」(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第3回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

『狼と兎のゲーム(第4回)』(我孫子武丸著、講談社メフィスト連載)ネタバレ書評(レビュー)

・[速水三兄妹シリーズ]
「8の殺人」(講談社)ネタバレ書評(レビュー)

『夏に消えた少女』(我孫子武丸著、新潮社『Mystery Seller(ミステリーセラー)』掲載)ネタバレ書評(レビュー)

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我孫子武丸先生の「殺戮にいたる病 (講談社文庫)」です!!
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◆我孫子武丸先生のその他の作品はこちら。
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