ネタバレあります、注意!!
第5話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
パパ:ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい。
ゆりか:マーニーの友人。4話で片岡とイイ感じに。
前花:マーニーの友人。
エリオット:マーニーの愛猫。
<ネタバレあらすじ>
ある日のマーニー、その姿は愛猫・エリオットと共に自宅にあった。
ふと、視界に入る何者かの影。
振り返るが、其処には誰も居ない……。
気になったマーニーは自宅玄関前に監視カメラを仕掛け、登校することに。
「もしかして、お化けじゃない?」
ゆりかの冗談を前花が聞きつけ騒然となるなど、ちょっとしたアクシデントこそあったものの、カメラに人影を捉えることに成功したマーニー。
撮影されていたのは少年であった……。
その翌日、マーニー宅から物が紛失する事件が発生。
ロイドは頭を抱えてしまう。
もしかして……心当たりのあったマーニーが解決に乗り出すことに。
張り込みを続けたマーニーは少年を捕えることに成功する。
少年によれば、同居している祖父母たちにプレゼントを贈る必要があり、それをマーニー宅から調達していたと言う。
そんな理由で盗みを働かれては堪らない。
マーニーはプレゼントは金額ではなく心のこもった物にするべきと指導。
絵を贈ってはどうかと提案するが、少年はあっさりと否定。
役に立たない物は不必要らしい。
なんとも年に似合わずリアリストな発言である。
これを聞いたマーニーは「じゃぁ……」とある提案を持ち出す。
少年は「それならいいかも」と妥協を示す。
別れ際、少年と再会を約すマーニーは本名が「真音(マリオン)」であることを教えるが……。
翌日となり、再び何かを盗み出す少年の姿があった。
数時間後、少年の同居人である祖父母たちが困り顔で語り合っていた。
眼鏡がないねぇ……アレもないねぇ……コレもないねぇ……。
どうやら、必要な物が不足しているらしい。
そこへ、少年が現れる。
手にはプレゼントの山が抱えられていた。
祖父母たちにそれを配る少年。
「あら、眼鏡。ちょうど欲しかったんだよ」
祖父母の1人が言えば「私もそう」と声が上がる。
どうやら、少年のプレゼントは彼らにとって必要な物ばかりだったようである。
「流石だねぇ、私たちが欲しがっていた物ばかりだよ」
彼らは口々に少年を褒め称えた。
その中央で、どこか複雑な表情を浮かべる少年。
同じ頃、マーニーはロイドに自身の幼児期の想い出を語っていた。
マーニーもまた少年のようにロイドにプレゼントを贈ろうとしたのだ。
そこで、マーニーが取った手段が奮っていた。
幼いマーニーにはロイドが欲しい物は用意できない。
そこで、ロイドにとって無くなると困る物を盗み出し、それをプレゼントとしてロイドに返却していたのだ。
「どう思った?」当時の行いに顔を赤めつつ問うマーニー。
「いやぁ、それだけ喜んで欲しいんだなぁと思って嬉しかったよ」微笑むロイド。
ホッと胸を撫で下ろすマーニー。
それにしても……マーニーは思う。
あの少年の家は何処にあるのだろう?
この近くに彼ぐらいの年頃の子供は居ない筈だが……。
それもその筈、少年が祖父母と暮らしていると語っていた家。
其処は現在「生きている人間」は誰も住まない廃屋だったのだから―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
今回はその第5話「なくしもの」です。
前回ほどでは無いものの、今回もイイですね。
「必要な物を贈るのが不可能ならば、奪うことで必要になるようにし返却すればよい」
まさに、逆転の発想。
しかも、目的は「相手を喜ばせる為」と真っ直ぐな物にも関わらず、採用した手段それ自体は真っ直ぐではなく歪んでいるところが恐ろしくも素晴らしい!!
やっぱり味があります。
そして、ラストにより「少年たちが幽霊」であることが示唆されており、意外なオチとなっている。
なかなかです。
更に、これは意図してかどうか不明ですが「空は灰色だから」ともリンクしており、まさに読んでいて「おおっ!!」と驚かされました。
嬉しいサプライズでしたね、アリです!!
本筋となるであろうマーニーの本名が明かされたのも良かった。
「真音(マリオン)」なんですねぇ。
名前にも意味がありそうです。
これは今後に注目か。
6話に期待!!
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第2話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第3話「ドッペルゲンガー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第4話「結婚式か葬式か」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
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老人たちが幽霊という可能性は高そうですが、少年はどうでしょうか?
カメラに写る、物を盗める、マーニーに捕まる、といった描写から、
少なくとも彼だけは生きている、と思ったのですが。
現在の家から遺品を持ち出して贈り、満足した彼らが成仏したために、
半ば取り憑かれた状態から覚めて廃屋を去った、などと想像しました。
こちらこそ初めまして!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
なるほど、確かに仰る通り少年まで幽霊とは言い切れないところがありますね。
カメラに写る、マーニー宅から物を盗むし、マーニー自身に捕まっているということもこれを指していますね。
少年がプレゼントに執着したのも、生者である少年が死者である老人たちを満足させ成仏させる為だったか。
これらを考え合せると、老人たちは幽霊だとしても、少年は生きていたと考えた方がしっくり来る。
実を言いますと管理人としては「少年が盗み出した遺品を棺に隠しているような描写から、あれが少年自身の棺である」と考えました。
その上で、次の2つのパターンを考えていました。
1つ目が「マーニーの視点からは廃屋となっているが、今もまだ少年も老人も其処で生活し続けている……何故なら幽霊なので」というパターン。
そして2つ目が「少年も老人たちも共に満足し成仏した」パターン。
こちらは「少年自体も幽霊で他の幽霊たち同様に未練に囚われている存在」だとするものです。
老人たちが「満足出来ないことに未練を抱いている」のと同様に、少年もまた「老人たちを満足させることが出来ない状態に未練を抱いている」ものと考えたパターンです。
これがマーニーの提案で解消されたので共に消えたと理解していました。
いずれにしろ、少年も幽霊であるとの前提に基づいてのものでしたが、確かに少年については生者のような描写もある。
うむむ……理解を深める為に、本作をもう少し読み込んでみます(^O^)/!!