<あらすじ>
警視庁刑事・片岡悠介(寺島進)と奥村澪(原沙知絵)が所属する特命捜査対策室――通称“再捜査班”――は、主として未解決事件の継続捜査を行う部署だ。“再捜査の鬼”の異名を持つ悠介は、これまで数々の未解決事件の真相を暴きだしてきた。
ある日、悠介たちは捜査一課長の木下譲(大和田伸也)から、23年前の殺人事件の再捜査を命じられる。その事件とは、私設貸金業を営む山崎忠臣(木之内頼仁)が後頭部を殴られて殺されたもので、尾高隆二(磯部勉)という男が逮捕、起訴され、すでに結審。しかも、尾高は拘置所内で病死していた。
事件は1989年6月、足立区内にあった山崎の事務所で起きた。金庫には4000万円の現金と300枚近い借用書が残されたままだったため、当時の捜査本部は怨恨の線で捜査を進めたらしい。犯人逮捕の決め手となったのは、現場に残されていた“二百万円の返済期限の延長交渉”と毛筆で書かれたメモで、“山崎から200万円を借りていて、普段から毛筆を使っている人間”に絞って捜査を進めたところ、近くで日本美術工芸店を営んでいた尾高が浮かび上がったのだ。
尾高は犯行を否認したが、現場にあったメモと新たに捜査本部が採取した尾高の筆跡が一致。さらに尾高の自宅物置から、山崎の血痕が付着した書道用の大きな硯が見つかったこと、尾高の店でも扱っていた漆刷毛の“かもじ”という人毛が落ちていたことなどから逮捕され、東京地裁での第一審で懲役18年の判決が下った。尾高は控訴を望んだが、物証が完璧だったため国選弁護人は乗り気ではなく、やがて尾高は拘置所内で病死したのだった…。
捜査資料を読み返した悠介は、尾高が一貫して犯行を否認し続けていたことに注目。そして、金庫内の借用書の中に尾高のものがなかったこと、凶器の硯を物置に放置したままだったことなどに疑問を抱き、逮捕の決め手となった筆跡の再鑑定を依頼する。当時、科捜研技官だった山本博康(酒向芳)と印刻業者の鈴木真一(橋爪淳)の2人が同一人物によるものだと鑑定したのだが、現代の技術で調べ直したらどんな鑑定結果が出るのかと考えたのだ。分析の結果、“盲点”ともいうべき、新事実が浮かび上がるが…!?
さらに、当時の取り調べ官の名前を確認した悠介と澪は、がく然。そこに一課長・木下の名前があったのだ。いったいなぜ木下はこの事件の再捜査を命じたのか、2人は不思議に思うが…!?
そんな中、都内で人気女性カメラマン・山本有紀(宮地真緒)が撲殺される事件が起き、榎本香織(南果歩)ら一課の刑事たちが捜査に乗り出す。続いて、有紀の親友である高校教師・井上絵里(上野なつひ)が殺される事件も発生。この連続殺人と23年前の事件との“ある接点”を見つけた悠介は手がかりを求め、有紀が絵里に紹介した、美貌の書道アーティスト・末永仁美(清水美沙)に会いにいくが…!?
(土曜ワイド劇場公式HPより)
では、続きから(一部、あらすじと重複あり)……
片岡は捜査一課長・木下の依頼で23年前の尾高隆二が起こしたとされる殺人事件の再捜査を行うこととなった。
尾高は無実を主張したが、筆跡という動かぬ証拠により有罪とされていた。
この判決には国選弁護人が匙を投げたことなども影響しているらしいが……。
この筆跡鑑定結果に疑問を抱いた片岡は再鑑定することに。
結果、意外な事実が明らかになる。
なんと、比較対象とされていた現場のメモと尾高自身の筆跡とが別の筆記用具で記載されていたことが分かったのだ。
尾高は普段から毛筆を愛好していた。
だが、殺害現場に残されたメモの筆跡は筆ペンによるものだったのである。
尾高が毛筆以外を使用したとは考えにくく、メモは別人の手による可能性が浮上したのだ。
尾高は無実なのではないか……。
そんな中、カメラマン・山本有紀とその友人である高校教師・井上絵里が殺害されてしまう。
2人の知人である末永仁美によれば、特に彼女たちが恨まれる理由は思い当たらないらしいが……。
尾高事件の関係者を調べた片岡はさらなる驚愕の事実を突き止める。
殺害された井上絵里は尾高の国選弁護人・井上義男の娘。
山本有紀は筆跡鑑定人・山本博康の娘だったのだ。
こうして現在の事件と過去の事件が交錯した。
尾高の親族による復讐を疑った片岡は、尾高の妻・美智子や娘・花子を追うことに。
これがもしも遺族による復讐殺人だとすれば、次に狙われるのは鑑定を担当したもう1人・酒向真一となるが……。
尾高死亡後の美智子たちの足跡を追った片岡は尾高の弟子・杉原のもとへ。
美智子は心労から病死、花子もすぐに家を出てしまったそうだ。
杉原が口にした「まわしをする」との言葉に興味を示す片岡。
その意味は「準備をする」とのもので、この辺りの方言らしい。
さらに、尾高と接見した後に花子が「あいつはハツガマに行っていたそうだが、本当は行っていなかったのではないか。あいつが犯人なのではないかと父から聞いた」と口にしていたとの情報を手にする。
23年前の事件が起こったのは6月。
6月にハツガマの意味とは?
さらに花子を追う片岡は、19年前にディスコ・ズーで花子を見たとの証言を得る。
当時の関係者によれば、花子はひっそりと堅実に生きるタイプだったらしい。
さらに、花子が小鮒荘に住んでいたことも判明。
その小鮒荘が出火で全焼し、20代の女性が死亡していた事実も分かる。
追跡調査したところ、この死体が尾高花子として葬られていることも明らかに。
ディスコ・ズーについて調べた片岡は、ディスコに入り浸っていた丸山明恵の証言を得ることに成功する。
明恵によれば、花子と年齢、体格共によく似た女性が花子と親しくしていたらしい。
その女性は、ある日を境にプッツリと消息が途絶えたとのことだが……。
その頃、酒向真一は榎本にある重大な可能性について語っていた。
当時の尾高の筆跡鑑定に誘導された形跡があったと言うのだ。
担当刑事が現場のメモをお手本に、尾高にサンプルを書かせたとすれば似通っても不思議ではない。
筆跡だけを比較しても意味がなくなるのである。
もしも、これが事実ならば23年前の事件自体が何者かによる計画犯罪だったことになる。
それは尾高に罪を着せることを前提とした悪魔の犯罪である。
片岡は現場にあった「かもじ」に注目。
そこから、職人である大橋、坂井の2人に目を着ける。
23年前の事件当時には2人共にアリバイがあり、中でも坂井は漆を採取していたそうだが……。
矢先、明恵が花子と親しかった女性の名前を連絡してくる。
その意外な名前とは―――。
明恵から伝えられた名前は「末永仁美」であった。
まさか、あの末永仁美なのか?
しかし、科学捜査研究所で確認したところ、明恵の知る末永仁美と現在の末永仁美が別人であると結論付けられる。
これを聞いた片岡は末永仁美と花子とが入替ってしまったのではないかと指摘する。
おそらく偶然の産物であろうが、焼死した末永仁美が誤って花子と判定されてしまったのだ。
これに花子は便乗することを決めたのではないか―――。
だとすれば、末永仁美こそが山本有紀と井上絵里を殺害した犯人となる。
この推論を確認すべく仁美に接触した片岡は、仁美が「まわし」と口にしたことから花子であると確信する。
さらに「ハツガマ」の意味も判明し、片岡は仁美を止めるべく動く。
「漆器だけが秘密を知っている」そうPCに残した仁美。
これを手掛かりに片岡は後を追う。
その頃、仁美の姿は坂井と共にあった。
坂井は仁美の正体が花子であると弾劾。
これを認めた仁美は、父の死の原因となった山本鑑定人と井上弁護士への復讐の為に有紀と絵里を殺害したことを認める。
そして、坂井こそが尾高に山崎殺害の罪を着せた犯人であると逆に弾劾することに。
実は坂井の出世作は尾高が所持する無名の漆器の盗作であった。
尾高は坂井を批難しつつも、胸に収めようと沈黙を守った。
だが、これに恐怖を抱いた坂井が尾高を罠に嵌めたのだ。
何故、仁美は坂井が真犯人であると気付いたのか。
山本有紀から送られた雑誌にヒントが残されていたそうだ。
仁美はその雑誌に「初鎌」との文字を見つけた。
「初鎌」とは6月に採れる漆のこと。
つまり、23年前に漆を採っていたと語った坂井が犯人だったのだ。
証拠が無いと否定する坂井に突き付けられた1枚の書類。
其処には坂井の本名「坂井渉」と記されていた。
もちろん、坂井の肉筆である。
この名前「渉」の字と、当時のメモに残された「交渉」の字が合致したのだ。
こうして、坂井はその場で取り押さえられた。
今回の復讐殺人、その発端は山本有紀と井上絵里の何気ない会話にあった。
「父さん、過去の裁判で後悔しているんだってさ。あんたの父さんと会って鑑定が誤りだったかもしれないって聞いたんだって」
「ふ〜〜〜ん」
このやり取りを偶然、耳にした仁美は自分には無かった青春時代を謳歌した挙句、未だに楽しく暮らしている有紀と絵里を見て殺害を決意したのだそうだ。
これを聞いた片岡は謝罪するのだった。
そして、当時の責任を取り木下もまた勇退することとなった。
過去の捜査に対し疑惑を抱いていた木下。
今、疑惑に決着がつけられた。
その心は穏やかである。
木下を送る片岡たち―――エンド。
<感想>
「再捜査刑事・片岡悠介」の第4弾、オリジナルシリーズなので原作はありません。
前作は2012年3月24日に放送されているので、実に半年ぶりの続編となります。
これまでのシリーズについてはネタバレ批評(レビュー)がありますね。
・土曜ワイド劇場「再捜査刑事・片岡悠介 時効まであと10日!東京〜山形天童、2つの迷宮入り事件を結ぶ15年前の殺人免許証」(3月13日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「再捜査刑事・片岡悠介 函館〜横浜・同窓会不倫殺人!ホスト殺しと迷宮入り事件を結ぶネイルの傷とバターの謎!!」(6月25日放送)ネタバレ批評(レビュー)
・土曜ワイド劇場「再捜査刑事・片岡悠介 ワイナリー連続殺人 赤い死体は甘く香る!!ウソつき老人の証言と踏みつけられたブドウの謎!!」(3月24日放送)ネタバレ批評(レビュー)
では、第4弾の感想を。
伝統芸能をモチーフにするのは良かったと思うけど、全体的に無理があったかなぁ。
伏線をきちんと回収したことには好感を持てるけど、物語自体は23時過ぎの時間延長に合わせて無理に引き延ばしたような印象。
事件自体も、2つの別の事件を無理に1つにした感じ。
う〜〜〜ん、どちらかといえば「再捜査」より「おみやさん」で扱いそうな事件だった気がする。
つまり、ポイントを押さえれば1時間で十分に収まると思う。
それと、公式HPで酒向真一が鈴木真一になってますね。
キャストも同じくです。
これには些か面喰いました。
そもそも、坂井は何の罪で逮捕されるのか。
仁美の殺人未遂?
少なくとも23年前の事件は既に結審しており、罪に問えない筈だが……。
坂井と言えば、本名の「渉」を利用しての筆跡鑑定は面白かった。
仁美の動機も父の復讐よりは個人の怨恨の方が強そうだなぁ……。
青春を謳歌できなかった仁美が、その原因を作った者たちの娘であり、それを謳歌している2人に怒りをぶつけた感じかな。
これを視聴者に納得させる為に有紀と絵里があの人物造詣になったんだろうなぁ。
キャスト的には凄い満足でした。
特に磯辺勉さんが良かった。
やっぱり、いいですね。
そして、橋爪さんも良し。
もっと、お2人の出番を増やして欲しかったなぁ。
では、本作について結論。
一言で表現すると「勿体ない」かな。
やりようによってはもっと面白くなった気がします。
とりあえず、次回に期待!!
<キャスト>
片岡悠介:寺島 進
榎本香織:南 果歩
奥村 澪:原 沙知絵
浅野直樹:金子貴俊
本田勇蔵:不破万作
一二三祐希:吉田 羊
末永仁美:清水美沙
山本有紀:宮地真緒
井上絵里:上野なつひ
尾高隆二:磯部 勉
大橋義治:江藤漢斉
杉原和義:伊藤洋三郎
鈴木真一:橋爪 淳
木下 譲:大和田伸也
手塚高志:杉本哲太
片岡美知恵:吉行和子 ほか
(敬称略、順不同、公式HPより)
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こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
お役に立てたようで嬉しいです!!
コメント頂けると、今後も続けて行く励みになります(^O^)/!!
「再捜査刑事」第4弾は、惜しいところの多い作品との印象でした。
第5弾に期待ですね!!
こんばんわ!!
管理人の“俺”です(^O^)/!!
お褒め頂きありがとうございます。
そこまで仰って頂き、大変励みになります。
今後も、マイペースながらも頑張ります(^O^)/!!