<あらすじ>
旅行作家の茶屋次郎(橋爪功)と「週刊ロイヤル」の元副編集長・山倉晋吉(角野卓造)は、山倉がセッティングした講演会に出席するため、箱根にやって来た。2人の旧知の間柄である箱根芸能組合の組合長・小林多佳子(野際陽子)の計らいで、芸者・駒蝶として活躍している北山翔子(黒川智花)が2人を出迎える。翔子は高校卒業と同時に自分の育った箱根で芸者となり、その活躍が新聞でも取り上げられるなど、地元ではちょっとした有名人だった。さらに茶屋たちは、東京から翔子たち芸者に三味線の指導に来ているという児玉雄平(蟹江一平)とも出会う。
茶屋の講演会は盛況のうちに幕を下ろし、茶屋の大ファンであるという少年・島田洋介(大嶋康太)が茶屋にサインを求めにやって来る。洋介は、茶屋たちが宿泊する旅館「島田屋」の主・島田雄一郎(中西良太)の親戚だという。「島田屋」に宿泊することになった茶屋は、そこで仲居として働く洋介の母・芳江(伊藤かずえ)と出会うが、芳江に対し雄一郎が厳しくあたっているところを見てしまう。
翌朝、茶屋は「週刊ロイヤル」で連載中のページのために、芦ノ湖を水源とする早川に取材に向かう。そこへ洋介がやって来て、取材に同行させて欲しいと願い出る。仕方なく洋介と共に芦ノ湖へ向かった茶屋は、道すがら、洋介の父は雄一郎の弟で、若い頃に家を勘当されて東京で芳江と結婚したこと、しかし3年前に亡くなってしまい、昨年から洋介と芳江は箱根に住み始めたことなどを知る。ところが、芦ノ湖の湖尻付近に着いた2人は、そこに雄一郎の車が止まっているのを発見。さらに、雄一郎の遺体が川に浮いているのを見つけてしまう。
捜査に乗り出した箱根中央署の刑事・及川(きたろう)たちは、雄一郎が亡くなって一番得をするのは雄一郎の遺産を相続する洋介・芳江親子だとして、芳江に疑いの目を向け始める。しかし、茶屋は独自に調べを進めるうちに、雄一郎のある秘密を知ってしまい…。
(水曜ミステリー9公式HPより)
では、続きから(一部、重複アリ)……。
雄一郎の秘密とは、弟・洋二郎についてであった。
過去、先代に絶縁された洋二郎であったが、その理由は使い込みにあった。
しかし、この使い込みは洋二郎ではなく、先物取引に失敗し補填を迫られた雄一郎によるものだったのである。
これを知った洋二郎が兄を庇い家を出たのだ。
以後、雄一郎は洋二郎に恩義を感じ陰ながらその生活を支えていた。
雄一郎は洋二郎の恩に報いる為、洋介に旅館を譲るつもりだったらしい。
この事実は芳江も洋介も知らない。
芳江たちに辛く当たっていたのも、周囲への配慮の為であった。
矢先、翔子の芸者の先輩・乙菊が姿を消してしまう。
翔子が体調を崩した。
多佳子は翔子が妊娠していると見抜く。
お腹の子供の父親については児玉を疑うが……。
雄一郎が死の直前に翔子と通話していたことが判明。
翔子によれば、雄一郎に会うつもりだったと言う。
実は雄一郎と翔子は男女の仲になっていた。
雄一郎と翔子の出会いは18年前、まだ翔子が物心つく前の事である。
翔子とその母が身投げしようとしていたところに雄一郎が通りがかり、2人を助けたのが始まりであった。
当初は、父と娘のような関係であったが、いつしか愛し合っていたそうだ。
そう、翔子のお腹の子供は雄一郎との間の子供だったのだ。
さらに、乙菊が死体で発見される。
死因は扼殺であった。
乙菊宅に男が出入りしていたとの証言も浮上。
乙菊の身許を確認したところ、信金から金を持ち逃げし手配されていた荒川美智子と判明する。
芳江、洋介、支配人の松岡が新証言を持ち込んで来る。
洋介は「雄一郎の死体発見当日の朝、ワゴン車を洗う乙菊を見た」と証言。
芳江は「そのワゴン車を前夜に運転する乙菊を目撃した」と証言。
松岡は「芳江がこれまで証言を控えて来た理由は、その夜に自分が告白し振られたことを配慮してくれたからだ」と述べる。
此処に及川は乙菊が雄一郎殺害に関与していたと断定。
一方、茶屋は乙菊が雄一郎殺害の共犯者だったと推理。
さらに、乙菊の動機は惚れた男の為だったと断言する。
これに基づき及川は捜査を進めるが、乙菊と交際していた男性が突き止められない。
茶屋の脳裏に過るのは児玉の影……。
茶屋は山倉に依頼し、児玉を調べ始める。
児玉は父親と2人暮らし、父親は4年前に死亡していた。
その父親は酒癖が悪く、暴力がちだったらしいが……。
これが原因で、児玉の母親は18年前に幼い妹を連れ、家を出ていた。
母と幼い妹……はて、何処かで聞いた話のような。
こうして、茶屋はある可能性に行き着く。
及川の協力を得て児玉を待ち構える茶屋。
これを知った翔子は1人、体調不良を理由に仕事を休む。
その夜、母親と同じように身投げしようとする翔子。
そこへ18年前の雄一郎のように児玉が止めに入る。
「止めるんだ、翔子」
「お兄ちゃん!!」
翔子と児玉、2人は兄妹だったのだ。
児玉は「当分、会えないが……」とその場を去ろうとするが……。
その周囲は及川と茶屋たちが囲んでいた。
茶屋の仕掛けた罠だったのである。
「あなたが雄一郎さんと乙菊さんを殺したんですね」
茶屋の指摘を受けた児玉は「妹の為だったんだ」と呟くと、その場から身を投げてしまう。
翌朝、身投げした児玉だったが救助されたことで一命を取り留め、1ヶ月の入院となった。
児玉はすべてを茶屋に語った。
生き別れの妹である翔子と密かに再会した児玉。
兄として妹を守ろうと決める。
矢先、翔子が雄一郎の子供を妊娠したことを知る。
児玉は雄一郎に直談判する。
だが、雄一郎は洋介が居る為に子供は不必要だと述べる。
言い争いになった際に、つい手を上げた。
これを「お父さんそっくりだ。だから、あなたのお母さんは家を出なければならなくなったんだ」と揶揄されてしまう。
逆上した児玉はそのまま雄一郎を殺害してしまった。
困った児玉は交際していた乙菊に相談。
その後の工作は乙菊がすべてを取り計らった。
捜査が進むにつれ、乙菊は児玉に「一緒に逃げてくれ」と迫った。
だが、児玉は翔子を優先し逃げられないと断った。
これを聞いた乙菊は「もう疲れた……警察に出頭する」と言い出した。
さらに「翔子にすべてをぶちまける」と告げられ、激情に駆られ口を封じたのである。
児玉は、病床でこれだけを語ると力尽きたように寝入ってしまったと言う。
これを聞いた翔子は「誰にも頼らず子供と生きて行く」と述べるが……。
多佳子は「翔子のお腹の子供には雄一郎の遺産を継ぐ資格がある」と伝え、芳江もまた旅館の権利を翔子の子供に譲るのだった。
数日後、東京にある茶屋の事務所。
山倉が自身をコメンテーターとして売り込もうとしていたことが判明。
ところが、これが大失敗していた。
山倉は毎度の如く、意気消沈するのであった。
その隣には大笑いする茶屋の姿が―――エンド。
<感想>
「旅行作家・茶屋次郎」シリーズ第10弾です。
前作は2011年11月30日の放送なので、実に10ヶ月ぶりのシリーズ新作となりました。
前作はネタバレ批評(レビュー)がありますね。
興味のある方はリンクよりどうぞ!!
・水曜ミステリー9「旅行作家・茶屋次郎 笛吹川連続殺人事件〜美女を狙う保険金殺人の罠!容疑者2人の死が迷宮の扉を開く」(11月30日放送)ネタバレ批評(レビュー)
ドラマ原作は、これまで通り梓林太郎先生。
さて、そんなドラマ版の感想を!!
児玉は殺さなくても良い人を殺していたような印象ですね。
これひょっとして、児玉が下手に動かなければ丸く収まっていたような。
もっとも、児玉の望む形かどうかは不明ですが。
その点、まだ見ぬ甥を未然に守ったとも言えるか。
それにしても、児玉の身投げは驚きましたね。
しかも、身投げ1分後には入院中との結論が判明。
あのくだりは必要だったのか?
そして、雄一郎の望みは皮肉にも叶わないとの結果に。
洋介は後継を拒否、命を賭してまでの希望は彼が守ろうとした者たちにより踏みにじられました。
なんとも、切ない……多少なりとも汲んでやる必要はないだろうか。
そもそも根本的に、洋介を養子にしていればこの事態は防げたワケで。
モヤモヤするなぁ……。
そして、支配人の松岡は思わせぶりながら全く関係ありませんでしたね。
なんか絡んで来ると思ったけど。
一方、キャスト的には蟹江一平さん熱演でした。
そして、野際陽子さん大活躍でしたね。
レギュラーにならないのは勿体ないなぁ。
ただ、今回はなかなかでした。
これは次回にも期待ですね!!
<キャスト>
茶屋次郎:橋爪功
山倉晋吉:角野卓造
小林多佳子:野際陽子
北山翔子:黒川智花
及川正:きたろう
島田芳江:伊藤かずえ
児玉雄平:蟹江一平
江原小夜子:甲斐まり恵
島田雄一郎:中西良太
松岡武雄:岡本富士太
乙菊:中村綾
山下和史:小林正寛
玉木加奈子:長谷川稀世
若山友子:池田道枝 ほか
(順不同、敬称略、公式HPより転載)
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