2012年09月21日

「名探偵マーニー」第6話「侵入者」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第6話「侵入者」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)です。

ネタバレあります、注意!!

第6話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
望月楓:ラクロス部のイケメン。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。

これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。

<ネタバレあらすじ>

学校内で人だかりが出来ている……何事か興味を持つマーニー。
その正体は、ラクロス部に所属するイケメン・望月楓と、カーディガンで統一された彼のファンによる親衛隊・カーディガンズであった。
今回の依頼人はこの望月楓である。

望月によれば、最近になり嫌がらせを受けているらしい。
その内容は望月の所持品が盗まれているとのものであった。

カーディガンさえ着込めば望月の周囲に溶け込むのは容易い。
マーニーは望月とカーディガンズを撮影した写真を複数用意。
カーディガンズのリーダーに写真の人物を確認させることで、メンバー以外の人物が紛れ込んでいることに気付く。
その人物は何処か無表情であった。
望月によれば、相手はストーカーではないかと述べるが……。

矢先、望月の自宅にまで侵入者の痕跡が!!
焦る望月にマーニーは隠しカメラを設置することを提案。
侵入者を撮影することで証拠としようと言うのだ。
だが、望月は何故か警察沙汰は御免とばかりに乗り気ではない。
不審に思うマーニー。

さらに、マーニーは望月の寝室にカメラが固定されたような跡を発見する。
もしや……マーニーはある可能性を思い浮かべる。

数日後、帰宅した望月はPCを用いて隠しカメラの画像を確認する。
そこにはあの写真の女性が侵入している姿がバッチリ残っていた。
どうやら、何かを捜しているようだが……。
やがて、女性は今、望月が座っている椅子の後ろにあるクローゼットに潜み込み……。

まさか……背筋を冷たい物が走る望月。
おそるおそる先を続けると……。

今度はマーニーが画面に現れた。
マーニーは先に侵入者があったことを知ってか知らずかスタスタと屋内へ入り込む。
そして、例のクローゼットの前へと……。

中からはカッターを手にした侵入者が飛び出して来る。
これをあっさりと取り押さえるマーニー。
そのまま、何事か話し込んでいるようで。

此処で時間はマーニーが侵入者を取り押さえたそのときに遡る。
カッターを奪い侵入者を無力化したマーニー。
彼女はすべてを打ち明けるよう相手に求める。
侵入者は涙ながらに真実を語り出す。

彼女は望月に暴行されていた。
望月は自校の生徒には手を出さないが、その容姿を活かし他校の生徒を食い物にしていたのだ。
その被害者は数十人に及ぶと言う。
しかも、望月は乱暴の様子を撮影し記録していた。
寝室のカメラはこの為であった。

侵入者は……いや、望月の被害者はこの証拠の映像を取り戻し復讐しようとしていたのだ。
既に映像は手に入れたと述べる被害者。

これを聞いたマーニーは今も監視しているであろう隠しカメラを眺めやる。
それは、数時間後にデスクトップを眺める望月を見詰めることに他ならない。

そして、現在―――マーニーに見詰められ居た堪れない様子の望月の耳にインターホンの音が。

「望月さん、警察です。事情をお伺いしたいのですが」
忍び寄る破滅の足音に頭を抱える望月―――エンド。

<感想>

「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。

今回はその第6話「侵入者」です。
今回もなかなかイイですね。

特に後半の真相解明からラストまでが良かった。
時系列を交える構成が秀逸。

既に起こってしまった過去の出来事を現在から追う望月。
何が起こったのか理解した時には旧悪が露呈し積んでいる状態となりました。
さらに、一般的にこのパターンだと、クローゼットに隠れたストーカーの姿をPC上で確認し、おそるおそる振り返ると其処には!!……的なホラー展開を予測しますが、これを裏切り、被害者と加害者が逆転するトリッキーぶり。
此処が良かった。
流石は木々津先生です。

大きな流れで言えば、猫のエリオットが今回も登場。
なんだか意味がありそうな様子、注目か。

木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。

木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!

さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。

「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。

衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。

既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。

◆「名探偵マーニー」関連過去記事
「名探偵マーニー」第1話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第2話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第3話「ドッペルゲンガー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第4話「結婚式か葬式か」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

「名探偵マーニー」第5話「なくしもの」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)

◆関連過去記事
「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)

「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)

「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)

「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)

「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)

これまでの登場人物一覧:

【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。

【学校関係者】
ゆりか:マーニーの友人。4話、5話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話にて登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。

【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。

【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。

【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。

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posted by 俺 at 12:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画批評(レビュー) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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