ネタバレあります、注意!!
第7話登場人物一覧:
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
香坂:生徒会書記、2年生。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話からの再登場。
これまでの登場人物については過去記事リンクの後に記載しています。
<ネタバレあらすじ>
ある日のお昼休み携帯電話のワンセグ放送を楽しんでいたマーニーたち。
そこへ白鳥からマーニーにお呼びがかかる。
どうやら依頼らしい。
今回の依頼主は生徒会の書記で2年生の香坂。
なんでも、香坂によれば「ある人物が近くに居るような気がしてならない」と言う。
だが、気配を感じて周囲を捜してもその人物は居らず、香坂は脅迫に近い感情を抱いていた。
香坂が気に掛ける人物とは香坂自身の父親。
香坂の両親は、家庭で決して笑顔を見せなかった父親が原因で離婚していた。
今の香坂は母親に引き取られているらしいが……。
早速、依頼を引き受けたマーニー。
香坂によれば、父の気配を感じた場所、時間はまちまちで統一性や共通点は無いとのことだった。
具体的な場所を聞き出し、調べたマーニーはある仮説に行き当たる。
これを実証すべく、香坂の近くでワンセグ放送を流したところ……香坂は「あの気配だ!!」と取り乱す。
ワンセグからは笑い声が漏れ出していた……。
これに確信を抱いたマーニーは結論を導き出すことに。
その結論とは、香坂が父の気配を感じた場所には「すべてテレビの番組が放送されていたこと」であった。
例えば、街頭テレビ、あるいは実験したワンセグなどである。
しかも、この番組にはもう1つ共通点が存在した。
それが「笑い声」である。
「もしかして、香坂君のお父様はお笑い芸人になっていらっしゃって番組に出演しているの?」
白鳥は尋ねるが、マーニーは首を横に振る。
香坂が反応した番組は多岐に渡っており、出演者はバラバラである。
それはあり得ない。
だが、確かに香坂の父はそのすべての番組に出演していた。
ただし、「笑い声」で。
実は香坂の父はプロの「笑い屋」であった。
業界では実力派の中堅として知られ、重宝がられているらしい。
「笑い屋」とは、テレビのコメディ番組などで適切な笑い所を自身が笑うことで周囲に報せる為のプロ。
観客の中に混ざり、ここぞというタイミングを見計らい適切な笑いを提供し、聴衆の笑いを誘うのだ。
これにより、視聴者全員が「今見ているものが面白いとのイメージ」を植え付けられるのである。
だが、これにはタイミングや笑いの大きさなど様々なテクニックが必要となる。
当然、神経をすり減らすこととなる。
しかも、職業病だろうが機械的に笑い続けることで、私生活で笑うことが出来なくなってしまうのだ。
香坂の父が私生活で笑うことが無かったのもこの為であった。
香坂は知らず知らずのうちに父親の笑い声を聞き続けていたのである。
香坂自身は一度たりとも直接には父の笑い声を聞いたことが無いにも関わらず。
マーニーに連れられ、海へと向かう香坂。
浜辺には香坂の父が静かに立っていた。
駆け寄る香坂に、父は……自然に出て来たものだろうか、そっと微笑みを浮かべるのであった―――エンド。
<感想>
「フランケン・ふらん」で知られる木々津克久先生が、2010年の「ヘレンesp」以来2年ぶりとなる「週刊少年チャンピオン」本誌への連載を開始されました!!
連載作品のタイトルは「名探偵マーニー」。
今回はその第7話「笑う男」です。
親子の愛情を描いた回でしたね。
そして、ミステリ的には香坂が父を感じた場所について共通点を探る「ミッシングリンク」ものでもありました。
笑いのプロであるからこそ、プライベートで笑えないという皮肉。
しかし、最後の微笑みは良かったですね。
あれこそが、彼にとっての本当の笑顔だったのでしょう。
そして、父親の笑い声自体は聞いたことが無いにも関わらず、無意識にそれを聞き分けていた香坂。
こちらも良かった。
父であり、子であるからこそ惹かれ合うものがあり、互いに感情を見せることが出来るのでしょう。
香坂父子がこれからどうなるのか……気になるところです。
親子と言えば、気になるのはマーニー。
姿を見せぬマーニーの母の存在も気にかかりますね。
木々津克久先生といえば「フランケン・ふらん―OCTOPUS―」が『拡張幻想 年刊日本SF傑作選』(大森望・日下三蔵編、東京創元社刊)に掲載されています。
こちらも注目。
・木々津克久先生が「週刊少年チャンピオン」本誌に帰還する!!2012年8月16日より探偵物語「名探偵マーニー」連載開始!!
さて、作者である木々津克久先生と言えば、管理人にとっては「週刊少年チャンピオン」本誌での「ヘレンesp」の作家さんとのイメージ。
「ヘレンesp」は、盲目のヘレンがその特別な力(ESP能力)を駆使し、愛犬や叔父さんたちに見守られながら同年代の友人や幽霊など様々なものと交流する物語。
衝突したり理解し合えなかったりと苦難がヘレンを襲うものの、その都度ヘレンの純粋な心で相手に向き合い相手との心の壁を乗り越えていくさまは、心に響きました。
確かにあらすじだけ聞くとよくある展開かと思うものの、本作は不思議な“熱”と“説得力”を持っており、透明感のある淡い絵柄も加え、なかなかの名作といえるでしょう。
既に連載自体は終了していますが、こちらもオススメです。
◆「名探偵マーニー」関連過去記事
・「名探偵マーニー」第1話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第2話(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第3話「ドッペルゲンガー」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第4話「結婚式か葬式か」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第5話「なくしもの」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
・「名探偵マーニー」第6話「侵入者」(木々津克久作、秋田書店刊「週刊少年チャンピオン」連載)ネタバレ批評(レビュー)
◆関連過去記事
・「フランケン・ふらん 最終話(最終回) Dream」ネタバレ批評(レビュー)
・「フランケン・ふらん 59話 BestFriend」ネタバレ批評(レビュー)
・「Phase20」(木々津克久作、「チャンピオンRED 2012年1月号」掲載)ネタバレ批評(レビュー)
・「鋏女(チャンピオンRED 5月号掲載)」ネタバレ批評(レビュー)
・「ヴァンパイア・アナライズ (チャンピオンRED 7月号掲載)」(木々津克久著、秋田書店刊)ネタバレ批評(レビュー)
これまでの登場人物一覧:
【ロイド探偵社】
マーニー:主人公にして名探偵。本名は真音(マリオン)。
ロイド(パパ):ロイド探偵事務所所長にしてマーニーの保護者。元刑事らしい(3話)。
母親:マーニーの母親、不在。事情があるらしい(1話)。
エリオット:マーニーの愛猫。
【学校関係者】
ゆりか:マーニーの友人。4話、5話に登場。
前花:マーニーの友人。
那智先輩:学校のヒーロー。2話、4話で登場。
白鳥:マーニーの先輩、白鳥財閥の令嬢。1話、7話で登場。
累:白鳥の友人、1話にて登場。
香坂:生徒会書記、2年生。7話で登場。
【警察】
毛利刑事:ロイドの後輩刑事。3話で登場。
【再登場しそうなゲスト】
亜羽:ロイドの過去の依頼人。3話で登場。
片岡:大学生、4話で登場。
【その他ゲスト】
西郷:那智の親友。2話で登場。
徳吉すばる:亜羽の同僚。3話で登場。
望月楓:ラクロス部のイケメン。6話で登場。
謎の女性:望月の周辺に現れた謎の女性。6話で登場。
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